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学園編

Aクラス

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俺はここ最近妙な違和感を感じることがある。

なんて言うのか…学園全体が妙な気がする。まぁ、気がするだけなんだがな。




俺はレント。 ラプレツィア神殿長の息子の レント ラプレツィアである。

息子と言っても養子なので血はつながっていない。


俺は別に学園なんて入らなくてもいいと思っていたんだが、なんか神殿長が『君が学園に入らない選択をすれば必ず後悔する』と、脅してきやがったから入学することにした。

まぁ、幸い学力は申し分なかったからAクラスに入ることが出来た。

礼儀作法や言葉遣いはあんまり得意じゃねーけど、出来ない事もない。
ちゃんとしないといけない時にすればいーだろ。


そんな俺は学園にて第一王子の側付きとして生活をしている。

なぜか俺のことを気に入った第一王子は俺を側に置いたし、『ファル』と呼んでもいいとまで言ってくれた。

俺はファルに、産まれは平民だと言うことや学園を出た後は神官にならないで平民として生活をしていこうと思ってることを言ったが、学園にいる今はそんなことは気にするなと言ってくれた。

俺の他にも騎士団長の息子の『バル』に魔法士団長息子の『ジュノ』宰相の娘でありファルの婚約者の『エリー嬢』がファルのそばにいつも居た。

初めは家名に様を付けていたが、この学園の中では気にしないで過ごしたいと言うファルの願いで互いにそう呼ぶ様になった。
勿論皆は俺のことを『レント』と呼ぶ。


バルは俺達をよく笑わせてくれたし、ジュノは俺たちに色々な事を教えてくれたし、エリー嬢は俺達を支えてくれていた。

この関係が壊れ始めたのは入学して半年が過ぎた頃である。




「レントは知っているか?」

ファルが同じ学園に聖女が入学した事を知っているかと俺に聞いてきたのだ。

「あぁー…何か神殿長がそんなこと言ってたような気がするが、わりぃ。あんましらねぇ」

(あれ?そういえば神殿長が俺に入学を進めてきたのってその聖女様が現れてからじゃなかったか?)

聖女のことを思い出そうとした俺は、芋づる式に違う記憶まで思い出していた。

「そうなのだな、この国に聖女が現れるのは久しい…。何とかして陣営に取り込みたいな」

ファルは第一王子であり一応未来の国王ではあるが、四つ下に居る第二王子を担ぐ勢力が最近活発化してるらしい。

(おぉ、こえぇこえぇ)

俺はそんなめんどくさい事に首を突っ込む気はないので、聞いてないふりをした。


めんどくせぇことを考えると頭が痛くなるからな。



ファルが聖女様と交流を始めた頃、俺は学園で変な噂を聞くようになった。

「リィルニー様とファルシオン王子が惹かれあっている」
「お二人の間には甘い空気が流れている」
「王子と聖女ってまるで物語のよう」

ファルはエリーと婚約しているし、もし側室を迎えるとしても婚姻後三年して子が出来なかった場合と他国から姫を向かい入れる時だけなので、今こんな噂が立つのはファルにとって良くない事だ。

その頃からエリー嬢が度々表情を曇らせる事が多くなった気がした。ほんの些細な変化である。


最近学園の周りの瘴気が濃くなった気がする。


半年経つとファルと聖女様についての噂は下火になったが、それは風化した訳ではなく皆が見守る様になったからだ。

勿論2人が一緒にいる所を見れば

「やはりお似合いね」

「愛されているようで、とても羨ましい」

「まるで絵本の様ですわ」

そんな声が聞こえてくるが、ファルもエリーも何も言わないから俺も特に何もいわねぇ。

はぁ…俺はそう言った話を聞くと頭が痛ぇから聞きたくないんだがな。

第二学年になり、Aクラスのメンバーが少し変わった。

1年間必要な事を学んでから領地に帰ったやつもいたし、単純に馬鹿なことをして退学になった奴もいた。

学力よりも違う方面を伸ばしたい奴はBやCになっていたりもした。


今、クラスが少しざわめいてる原因はあの聖女だ。


元は平民だったのだが、努力に努力を重ねた結果Aクラスの仲間入りをした奴だ。

勿論Aクラスの皆は元平民だからと馬鹿にする様子はないし、聖女も努力を惜しまないタイプなので皆に好印象を抱かせている。

ただ、俺はコイツが少し苦手だ。


なんつーか…なんだろう?何をされた訳じゃねーけど、気持ち悪いんだよな。

多分、気が合わないって言う事じゃねーかと思う。




そんなこんなで数ヶ月経った頃、どうも学園の雰囲気がおかしいことに気づいた。

なんつーか、静かなのに騒がしい?




「レント、君はリィルの事をどう感じる?」

ある日ジュノが俺にそう問いかけてきた。

「んー…。どうも感じねぇ?つーか、どんな質問だよそれ」

俺はその質問に対して意味がわかんないからそう答えたが、ジュノは考えるそぶりをした後に俺に変なことを言ってきた。

「変なことを言うようだが、僕は恋愛対象が異性じゃないんだ…なのに異常なほどにリィルのことが頭から離れないんだ」

「いや、こえぇよ!友達のそんな話聞きたかねーよ!どう言うことだよ!返事にこまんだよ!」

「大丈夫だ、僕のタイプは君のような男性ではない」

「ちっげぇよ!そんなこと聞いてねーんだよ!」

「真面目な話なんだが…まぁいい。とりあえずだが、リィルに対して僕は違和感を感じるんだ。レント…君も重々気を付けてくれ」

「…真面目に俺に言わんでくれ。まぁ、俺はどちらかっつーと苦手だから大丈夫だ。でも、あんがと」


俺はジュノのカミングアウトを聞いて頭が痛くなった。はぁ…ふざけんなよな。


そう思いつつ俺が歩いていると、窓の外に素振りをしているバルがいた。

(お、バルと飯食いに行くか~)

そう思って俺はバルのところへ向かう、何だか歩くにつれて気分が悪くなってくる。

(風邪でも引いたかな)

そう思った俺は風邪をうつしたらいけないと踵を返そうとした。

その時目の端に何かが写った。


気になった俺がその方向に目線をやると、聖女様が素振りをしているバルを見ていた。

(あー、バルに話しかけなくてよかった。絡まれたらたまんねーしな)







その日おれは変な夢を見た。あんまり覚えてねーけど、確か森の中で生活してる夢だ。

いいな、すごくいいな。将来は森の中で生活することにしよう。



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