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アニメ化記念SS
第七話 王女様のお茶会
王宮内の王族が暮らす区画にある、王女用の私室でミレーナ達がお茶と共に雑談をしていた。
座っているのはミレーナとキルレンで、侍女であるアルカとニノスは給仕だ。
「少し……落ち着いたわね」
ミレーナの声はいつも通り、聞く者を惹きつける美声であったが、親しいキルレン達でないと解りにくいくらいに、その声には僅かながら疲れが滲んでいた
レモナス王の急死から約半月、国葬から始まり国内や諸外国からの弔問客への対応に加え、権力の移譲とそれに関する手続き、当然行政も滞らせるわけにもいかず、まさに寝る間もないほどの忙しさであった。
それでもミレーナの天才的な手腕や、キルレン達を始め多くの臣下の尽力もあり、まだまだやることは山積みで忙しさは続くが、何とか一段落ついたというところだ。
こうして日課であった、お茶の時間も久しぶりに取れている。
「民の反応ですがほとんどがミレーナ様を支持しております。動揺や混乱も見受けられません」
「そう、地道な活動が役に立ったわね」
アルカの報告に微笑みながらミレーナがニノスを見る。
様々な仕込みで、人気取りを頑張ったニノスも、照れくさそうに笑みを浮かべた。
「……それでも即位はしばらく先ね。王女のままの方が若輩者として同情も油断も誘えるでしょう」
戴冠式も効果的な時期を見計らうことをミレーナが告げると、三人が頷いた。
「そう言えばそろそろ着いた頃でしょうか」
その後も雑談がいくつか続いたが、キルレンがふと思い出したように言うと、何を言っているかわかった、ニノスが顔をしかめる。
「相変わらず警戒しているな。何も出てこなかったのだろう?」
その顔に気付いたキルレンが苦笑する。
ニノスはカイル達があの場に偶然居合わせたと言うのは、余りにも出来すぎている気がして、何らかの形でカレナス王子に繋がっているのでは、という疑惑を持っていたのだ。
「はい、調べられる範囲では何も怪しい点はありませんでした……」
渋々ながら認める。当然ながらカイルが未来から過去に戻ってきているなど想像の外なので、ニノスとしても偶然と言うのを認めるしかないのだ。
「ですが信用しすぎるのはどうかと思います。あの資金力や強さ……得体が知れないのは間違いありません」
しかし納得をしていないのは ミレーナがカイルのことを気に入り、心を許しているように思えるので、その分警戒しているのだ。
「ニノスの言うことは解るわ。でもカランに派遣する人選に関しては贅沢を言ってる場合じゃない……それも解っているでしょう?」
「それは……」
ミレーナの問いかけには、ニノスも頷かざるを得ない。
カランに関しては帝国に譲歩する訳にはいかない。
結婚で帝国の皇子を懐に入れるなど論外だし、何かしらで譲ればこちらが国王の急死で混乱していると思い、そこにつけ込んで再現なく要求してくる……それが帝国だ。
毅然とした態度で、端的に言えば舐められる訳にはいかないのだ。
「ガルガン帝国は武を、力を尊ぶ国……我が国の新しい英雄をどう評価するか……」
「彼は帝国に対する抑止力になりますか?」
キルレンの問いにミレーナが頷く。
「実力のほどは間違いありません。そして自分に何かを期待されているとも解っているようですし……ミランダの助けになるといいのだけど」
カランに派遣している大使のミランダは、三年前まで教育係の一人だったので、その能力も人柄もよく知っている。
「あとミランダの報告では、帝国だけでなく他にもどうも不穏な……」
そこまで言ったところで、扉がノックされる。
嫌な予感を覚えながら、入室を許すと侍従の一人が慌てた様子で報告をする。
「申し上げます。ガルガン帝国の飛竜騎士団がカランに向かったとの連絡がありました。未確認ながら帝国の宮廷魔道士も搭乗しているとのことです」
その報告にミレーナはため息をつきたくなったが、何とかそれを飲み込む。
「……こうも解りやすく武力で介入してくるとは」
早速か、と苦々しい顔になるキルレン。アルカとニノスも同じようなものだ。
これはカランに対する圧力に他ならないからだ。
「頼みましたよミランダ……そしてカイル様」
窓の外、カランのある方向を見ながらミレーナがそう呟いた。
※ミレーナがカイルを使者として派遣したのは、帝国に対する抑止も含まれてます。
もし生きていたらゼントスが派遣されていたでしょう。
向こうは飛竜騎士団、こちらは英雄……やってることはほぼ一緒ですね。
ただ、もっととんでもないことが起きてしまいましたので、この先どうなるでしょうか?
座っているのはミレーナとキルレンで、侍女であるアルカとニノスは給仕だ。
「少し……落ち着いたわね」
ミレーナの声はいつも通り、聞く者を惹きつける美声であったが、親しいキルレン達でないと解りにくいくらいに、その声には僅かながら疲れが滲んでいた
レモナス王の急死から約半月、国葬から始まり国内や諸外国からの弔問客への対応に加え、権力の移譲とそれに関する手続き、当然行政も滞らせるわけにもいかず、まさに寝る間もないほどの忙しさであった。
それでもミレーナの天才的な手腕や、キルレン達を始め多くの臣下の尽力もあり、まだまだやることは山積みで忙しさは続くが、何とか一段落ついたというところだ。
こうして日課であった、お茶の時間も久しぶりに取れている。
「民の反応ですがほとんどがミレーナ様を支持しております。動揺や混乱も見受けられません」
「そう、地道な活動が役に立ったわね」
アルカの報告に微笑みながらミレーナがニノスを見る。
様々な仕込みで、人気取りを頑張ったニノスも、照れくさそうに笑みを浮かべた。
「……それでも即位はしばらく先ね。王女のままの方が若輩者として同情も油断も誘えるでしょう」
戴冠式も効果的な時期を見計らうことをミレーナが告げると、三人が頷いた。
「そう言えばそろそろ着いた頃でしょうか」
その後も雑談がいくつか続いたが、キルレンがふと思い出したように言うと、何を言っているかわかった、ニノスが顔をしかめる。
「相変わらず警戒しているな。何も出てこなかったのだろう?」
その顔に気付いたキルレンが苦笑する。
ニノスはカイル達があの場に偶然居合わせたと言うのは、余りにも出来すぎている気がして、何らかの形でカレナス王子に繋がっているのでは、という疑惑を持っていたのだ。
「はい、調べられる範囲では何も怪しい点はありませんでした……」
渋々ながら認める。当然ながらカイルが未来から過去に戻ってきているなど想像の外なので、ニノスとしても偶然と言うのを認めるしかないのだ。
「ですが信用しすぎるのはどうかと思います。あの資金力や強さ……得体が知れないのは間違いありません」
しかし納得をしていないのは ミレーナがカイルのことを気に入り、心を許しているように思えるので、その分警戒しているのだ。
「ニノスの言うことは解るわ。でもカランに派遣する人選に関しては贅沢を言ってる場合じゃない……それも解っているでしょう?」
「それは……」
ミレーナの問いかけには、ニノスも頷かざるを得ない。
カランに関しては帝国に譲歩する訳にはいかない。
結婚で帝国の皇子を懐に入れるなど論外だし、何かしらで譲ればこちらが国王の急死で混乱していると思い、そこにつけ込んで再現なく要求してくる……それが帝国だ。
毅然とした態度で、端的に言えば舐められる訳にはいかないのだ。
「ガルガン帝国は武を、力を尊ぶ国……我が国の新しい英雄をどう評価するか……」
「彼は帝国に対する抑止力になりますか?」
キルレンの問いにミレーナが頷く。
「実力のほどは間違いありません。そして自分に何かを期待されているとも解っているようですし……ミランダの助けになるといいのだけど」
カランに派遣している大使のミランダは、三年前まで教育係の一人だったので、その能力も人柄もよく知っている。
「あとミランダの報告では、帝国だけでなく他にもどうも不穏な……」
そこまで言ったところで、扉がノックされる。
嫌な予感を覚えながら、入室を許すと侍従の一人が慌てた様子で報告をする。
「申し上げます。ガルガン帝国の飛竜騎士団がカランに向かったとの連絡がありました。未確認ながら帝国の宮廷魔道士も搭乗しているとのことです」
その報告にミレーナはため息をつきたくなったが、何とかそれを飲み込む。
「……こうも解りやすく武力で介入してくるとは」
早速か、と苦々しい顔になるキルレン。アルカとニノスも同じようなものだ。
これはカランに対する圧力に他ならないからだ。
「頼みましたよミランダ……そしてカイル様」
窓の外、カランのある方向を見ながらミレーナがそう呟いた。
※ミレーナがカイルを使者として派遣したのは、帝国に対する抑止も含まれてます。
もし生きていたらゼントスが派遣されていたでしょう。
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