強くてニューサーガ

阿部正行

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11巻 終わらぬ英雄譚

11-1




 プロローグ


 それは現実離れした光景だった。カイルは眼前で起きている理解しがたい現象に、呆然ぼうぜんとなっている。
 ジルグス王国の首都マラッドの中心部にある、神々の主神たるカイリスをまつる大聖堂。他国にも知れ渡る、ジルグス国を象徴する建造物の一つだ。
 女神カイリスを鮮やかな色彩で描いたステンドグラスや、ジルグス建国神話の壁画をはじめ、備え付けの椅子の細部にまで装飾が施された、豪華絢爛ごうかけんらんかつ神聖な雰囲気のただよう場所である。
 だが今は喧噪けんそう怒号どごうが響き、燃え盛る炎が容赦なく壁や床を焦がし、天井は崩れかけるなど、ひと言で表すならば戦場のようなありさまとなっている。
 そんな厳粛げんしゅくであるべきはずの場にそぐわない騒ぎの原因であり、その中心にいるのが、カイルの眼の前で向かい合う二人の人物。
 一人は、この国のあるじとも言うべきミレーナ王女だ。身にまとった純白のドレスは装飾が少なく、特に豪奢ごうしゃというわけではないが、それがかえって『ジルグスの至宝しほう』とまで呼ばれた彼女自身の美しさと気品を際立たせている。
 そしてもう一人は、純白のミレーナの対極にあるかのような、全身を禍々まがまがしい漆黒のよろいで覆った並外れた巨体の黒騎士だ。異様異形の黒騎士はその手に持ったやはりいびつな大剣で、眼前のミレーナへと叩きつけるが如き斬撃を繰り出していた。
 自身に迫る鉄塊のような剣を、ミレーナは気丈にも眼をそらさず見据えている。しかしその命が風前の灯火ともしびなのは明らかで、次の瞬間には惨劇が訪れるだろう。


 しかしその『次の瞬間』は訪れない。
 その状態で、両者とも彫像のように微動びどうだにしないのだ。
 それはまるで英雄譚の一幕を切り抜いた絵画のような、ある種の神秘的な美しさを感じさせる非現実的な光景。
 もしくは全てが幻や夢の中の出来事のような気さえしてくるものだった。

「どうなっているんだ……?」

 全身を激痛とたとえようのない虚脱感に襲われ、床に倒れたまま身動きのできなかったカイルが、絞り出すかのように声を出す。
 そして周りを見渡して気付く。ミレーナと黒騎士だけではなく、全てが静止していることに。
 人の動きだけでなく、炎は揺らめきもせず、破損した天井から落下してくる瓦礫がれきも宙で止まっている。
 何もかもが停止した世界。これまで数々の超自然的現象と関わってきたカイルでも、自分の眼はおろか正気かどうかさえ疑いたくなる状況だ。

「何が起こっているんだ……」

 耳が痛くなるような静寂の中、困惑するカイルの声が響いた。



 1


戴冠式たいかんしきが行われることはご存じでしょうか?」

 リマーゼにある自宅の応接間でカイルがその知らせを聞いたのは、さかのぼること一月ひとつき前のこと。
 発言したニノスはまだ少女と呼ぶのが相応ふさわしい年齢だが、ミレーナが信頼を置いている側近の侍女だ。
 だからこそ、今回のようなミレーナからの密命を帯びた使者を任されている。

「ええ、勿論もちろん知っています、心よりお祝い申し上げます」

 この少女から良い感情を持たれていない、というか警戒されている自覚があるので、カイルは妙に緊張した面持おももちで背筋せすじを伸ばし、型通りの祝福の言葉を述べる。
 これで済めばいいが、と思うが、当然ながらそうはいかない。

「ありがとうございます。それで、ミレーナ様は戴冠式にカイル様を是非ぜひ招待したいと」

 予想していたことではあるが、当然のように差し出された招待状を見て、カイルは内心ため息を吐く。
 戴冠式とは正式な王になるための儀式であり、ニノスの言う戴冠式とは勿論ミレーナが行うもので、彼女はいよいよ正式に女王として即位することになった。
 先代の王であるレモナスが亡くなってからもう四年以上が経つが、ミレーナは王女のまま政務をっており、未だに女王として即位していない。
 これはレモナスが急死であったことや、ガルガン帝国で起きた内戦に影響される形での政情混乱、そして魔族との戦争など、様々な要因があったためだ。
 王女のままでも統治に問題はなかったが、やはり王がいないというのはあるべきものがないということで、国民にそこはかとない不安があったのも事実だ。
 最近になってこれらがようやく落ち着いたことで、ついにその時が来たと国中で話題になっており、『ジルグスの至宝』として国民人気の高いミレーナの正式な即位は大いに祝福されている。

「招待いただき誠に光栄なのですが、少々都合が……」
「幸いカイル様も予定は全くないようですので」

『全く』の部分を強調しながらニノスはさえぎるように言う。

「その……何と言いますか……自分は出席しない方がいいのではないかと」

 ある程度自分の立場と内心を知っているであろうニノスに対し、カイルは硬い表情と声で難色を示した。
 これまでも、ジルグス国からの爵位の授与は勿論、戦勝記念の式典などへの出席も様々な理由をつけて断っている。

「はい、そうかもしれませんね」

 歯にきぬ着せぬニノス。これは、主人であるミレーナがカイルに気を許しすぎていると思っているため、その分自分が警戒しなければ、と威嚇いかくに近い態度をもって接しているのだ。
 カイルもそれを解っているので、気にする様子はない。

「それでも最低限の付き合いは必要です。ミレーナ様がカイル様と不仲を疑われるのもまた問題です」

 邪推されても困ります、とニノスは不本意だと言わんばかりの顔だ。
 今まではジルグス国側も、カイルの意思を尊重してか、この手の式典への出席を要請することはあっても、無理強むりじいをすることはなかった。
 だが流石さすがに戴冠式は、ジルグス国にとってもミレーナにとっても、最重要と言っていい儀式だ。
 国家としての体面もあるため、何としてでもカイルに出席してもらうという意気込みが感じられる。

「それに先ほども言いましたが、カイル様もひま……予定はないようですので」

 重ねて言うニノス。実際、カイルに予定はない。全くと言っていいほどに。
 つい半月ほど前までは忙しく大陸中を巡り、様々な世界の危機に対応していた。だが、どれも一朝一夕に解決できるものではなく、とりあえず経過観察(棚上げや先送りとも言うが)ということで落ち着き、戻ってきたばかりだった。
 とにかく、カイルとしては念願だった、何年振りかの平穏な日々をようやく送りつつあったところだ。

「それに体調の方も問題ないようですね、もし何かありましたら、医療神官をすぐに派遣しますので」

 最後の手段、仮病に関しても先回りされる。

「……前向きに検討させていただきます」

 仕方なく玉虫色たまむしいろの返答をして、カイルは頭を下げた。


 ニノスが「また来ます」と念を押して帰った後、全身に疲労を覚えたカイルはソファに突っ伏した。

「カイルは出席したくないの?」

 そんなカイルの横に座り、小さな子供に話しかけるように言うのはリーゼだ。

「面倒くさい……俺はもう一生分働いた自負がある。残りの人生はひたすら自堕落じだらくに、怠惰たいだに生きたい」
「またそんなことを……」

 働きたくない、とダメ人間のきわみのようなことをのたまうカイルに、リーゼは軽いため息を吐く。が、実際カイルの頑張がんばりを知っているだけに強く言うことはなく、優しく突っ伏した頭をでている。
 幼馴染おさななじみでほぼ赤ん坊の頃からの付き合いなのだが、リーゼの生まれが数か月早いため、このように姉が弟にするかのような態度で接することがあった。

「あまり甘やかすのもどうかと思うぞ」

 そんな二人を見てたしなめるように、しかし少しうらやましそうに言うのはエルフのウルザだ。

「カイルの気持ちは解らないでもないが、そうも言っていられない。人間社会で生きていくには、避けられないしがらみというやつがあるのだろう?」

 元々閉鎖的な文化のエルフだが、だからこそ人間社会というものを学んだウルザが言う正論には、カイルとしても反論ができない。

「……俺はただ放っておいてほしいだけなんだが」
「あれだけ大それたことをしておいて、放っておかれるはずないじゃない」

 カイルのぼやきにあきれとも言える表情と口調で言うのはシノビのミナギ。彼女の言う「大それたこと」とは、世界を救った大英雄になったことだ。
 後の世で『大侵攻だいしんこう』と呼ばれる魔族による総攻撃で、人族はそのほとんどが死に、全滅寸前にまで追い込まれる――はずだった。
 魔族が攻めてくることを知っていた、正確には経験していたカイルは、事前に備えていた。この『備え』とは、人族全体に影響を持ち、まとめ上げることのできる英雄になること。
 そしてカイルは世界を救った。

「必要だったのは理解してるけど、少しやりすぎたのも事実よね」

 ただ、全人族をまとめるに際して、相手の弱みを握って半ばおどしとも言える手段を使ったこともある。暗殺も含めた闇の技術を継承するシノビの一族であるミナギは、その脅しの部分に深く関わっていた。
 そんなミナギには、カイルは良い意味でも悪い意味でも放っておけない存在なのだとよく解っているからこその発言だった。

「平時における有事の英雄、これほど扱いに困るものもないのう」

 先の三人は僅かなりともカイルを気遣っているところもあったものの、それとは違って完全にからかう口調なのはシルドニア。
 見た目こそ少女だが、彼女は人族史上最も栄えた古代魔法王国ザーレスを治めた『魔法王マジックキング』の複製とも言うべき魔法生命体である。
 シルドニアの言う通り、カイルの存在、そして扱いは、色々な所で問題になっている。
 先の戦争においてのカイルの功績は非常に大きく、世界的な名声を得ており、当人が望めばどのような地位にでも就けるだろうが、カイルの望みは平穏だ。
 ただ、平穏と言えば聞こえはいいが、要するに何もしたくないということで、世間からすればそうはいかない。
 戦争が終わったからと言って、その影響力が消えることはない。
 影響が大きいということはつまり利用価値があるということで、それは同時に邪魔な存在にもなりうるということ。放置することもまた問題を生むのだ。

「まあ排除ではなく、取り込もうという方向なのは朗報だ。あの釣書つりがきの山を見ればそれは一目瞭然」

 シルドニアが指したのは、部屋の片隅に山と積まれている見合い用の絵姿で、それを思い出してカイルはげんなりとなる。
 カイルを巡って互いに牽制し合っている人族最大の国家ガルガン帝国と、それに匹敵するジルグス王国。その眼を気にしての暗黙の了解なのか、どこからも直接的な勧誘はない。
 しかし抜け道というか例外として、カイル本人が望めば問題ないばかりに、世界中から色々な理由をつけて釣書が送られてきているのだ。
 要するに、古今東西で行われている政略結婚のために。

「どう考えても女好きと思われておるからな」

 シルドニアが部屋を見回し、面白そうに笑う。
 現在のカイルの住まいは、実家を増築した所謂いわゆる二世帯住宅である。そこでリーゼ達見目麗みめうるわしい女性陣と同居しているのだから、世間からの評価はどうしてもそうなる。
 更に『竜殺し』をはじめとするカイルの数々の英雄譚の中には、数多あまたの女性と浮名うきなを流したというものもあり、あまつさえ美少年にまで手を出した、とすら伝わっていた。
 英雄いろを好む、ではないが、それぐらいは許される功績はあるものの、『好色英雄こうしょくえいゆう』という不本意で不名誉な二つ名も広がっている。

「完璧な英雄像よりも、欠点があった方が親しまれやすいものだ……外から見ればわらわも入っておるようだから、釣書の中には幼子も含まれているのだな」

 女好きだけでなく幼女趣味もあると誤解されているようだ、と完全に面白がっているシルドニア。

「何か問題が起こったとき、色仕掛けが効く相手……そう思われておくことも大事だと言ったのはお前だろ」

 カイルがジロリとにらむ。女好きという噂が広まり始めた頃、慌てて否定しようとしたのを止めたのはシルドニアだった。

「おぬしも納得したであろう。つけ込める隙をわざと作っておけば、敵対するのではなく懐柔かいじゅうを試みてくる可能性が上がるものだ」
「……こうとまでなるとは予想してなかった」
「まあ希望的観測だったのは間違いないのぉ」

 からからと笑われ、カイルはますます落ち込む。

(戦争の英雄なんて、平和な時代には面倒な存在でしかないのは解っていた。だから引っ込んでおこうと思ったんだが……やはり甘かったとしか言いようがないか)

 思い通りにはいかないものだな、とカイルは内心でため息を吐く。

「……結局のところ、権力とはつかず離れずの関係を続けた方がいいということだな。戴冠式は付き合いの一つとして出席すべきだろう」

 それぐらいはしろ、と処世術を語るウルザに、リーゼやミナギも頷いた。

「お客様は帰られたのですか?」

 そう言いながら応接室に入ってきたのはサキラだった。その腕の中には、カイルの妹であるアレサがいる。現在三歳で、先ほどまで外で元気に走り回っていたのだが、遊び疲れたのか今は眠りについていた。
 サキラは『輝かしきグローリエス』の二つ名を持った元聖女で、ミレーナ王女にも劣らない美姫びきとして世界的に有名だ。
 彼女は本来なら神の代理人とまで呼ばれている聖王せいおうとなり、全世界の宗派の頂点に立つべき人物だった。
 だが最近の彼女はといえば、リーゼに家事を習い、家の裏に菜園を作って野菜を収穫し、アレサと遊ぶのを何よりの楽しみとしているなど、ごく普通の村人のような暮らしをしている。

「ミレーナ様からの戴冠式の御招待だったのでしょう? さぞ絢爛けんらんな式典になるでしょうし、私も楽しみです」

 サキラは、ある事情で修道院に入るしかなかった自分が今の暮らしをできているのはミレーナのおかげ、と恩義を感じており、純粋に祝おうとしていた。

「いやその……どうするか……迷っているところなんだ」

 期待に満ちたサキラに対し、カイルはまだ煮え切らない態度をとる。

「まあ」

 サキラは驚いた顔をするものの、すぐに気を取り直す。

「でも、縁があった人の晴れ舞台なのですから、お祝いするためにも出席するべきなのでは?」
「…………」

 一般常識とも言うべき意見を述べるサキラに、カイルは言葉が詰まる。
 以前は良くも悪くも浮世離うきよばなれした性格だったサキラだが、こうしたところはカイル達の中で(シルドニアを除けば)一番年上らしいと言える。

「それに、本当に何もしない生活、というのもどうかと思うよ」

 現在のカイルの日常を思い出してリーゼが悩ましそうな声を出すと、その他全員が大きく頷いた。
 強さを維持するための鍛錬たんれんは日課として行っているが、それ以外は精々せいぜい本を読むか、たまに散歩をする程度だ。
 カイル自身はこういった生き方がしょうに合っていると思っているが、リーゼ達からは老後の隠居のような生活だと揶揄やゆされている。

「このままカイルの望み通りになったら、アレサはずっと家でぐうたらしている兄しか見ていないことになるわね」

 眠っているアレサを見ながら、ミナギが呆れたように指摘してくる。

「うぐ……」

 将来妹から向けられるであろう冷たい眼を想像して、流石に応えた顔になるカイル。

「それにいずれは……」

 現在は世界の危機がいくつかあるため、警戒の意味もあって避けてはいるが、そう遠くない未来に増えるであろう家族を――自分の子供を想像して、リーゼのみならずウルザやミナギにサキラも少し顔を赤くする。

「ふむ、将来『お父さんは何でいつも家で寝てばかりなの?』と言われるわけか。冷えた家庭になりそうじゃな」

 シルドニアが妙に現実感のある未来を指摘し、カイルは顔色が悪くなる。

「確かに教育に悪いな……」

 同じように想像したウルザがため息を吐く。

「そもそも普通の家庭環境ともがたいのに」

 ミナギも頭が痛いとばかりに額に指を当てて眉をひそめる。

「そうなるといっそのこと子育ては別の家で……効率で言うならカイルを別の家に移せばいいのよね」

 家主であるカイルを除外する案をリーゼが出すと、他の面々もそれもありかと頷く。

「いや、いくら何でもそれは……」
「カイルは黙ってて」
「はい……」

 女性陣の仲がいいのは喜ばしいことだが、仲が良すぎて時折自分が邪魔者扱いになるのは流石にどうかと思うカイルだったが、これ以上は口を挟めなかった。
 サキラはこういったノリにまだついていけてないのか会話にこそ加わっていないが、慣れてきてはいるようで笑顔で見守っている。
 シルドニアは当然のように面白がっているだけだし、孤立無援のカイルは自宅なのに帰りたい気分になりつつ、天井を眺めながら諦めたように大きく息を吐く。

「働くか……」

 こうしてカイルは戴冠式に出席することを決めたのだった。



 2


「じゃあ戴冠式に出席するのね」

 その日の夕食時。食事はできる限り家族全員でとる、という方針によってレナード家が勢揃いする中、嬉しそうに声を上げたのはカイルとアレサの母親であるセライアだ。
 全員が座れる大きなテーブルには所狭しと料理が並べられており、真ん中に今日のメインとなる鶏の丸焼きが豪快に鎮座している。
 その他にも裏の畑でとれた香草による鶏肉の包み焼き、時間をかけて煮込んだ鶏肉のシチュー、チキンパイなど、鶏尽くしだった。

「いや、まだ正式に決めたわけじゃ……」

 切り分けた丸焼きを口に運びつつ、微妙に目をそらして悪あがきするかのように口をにごすカイルだったが、セライアはお構いなしに続ける。

「よかったわ、カイルがこのまま引きこもりになるんじゃないか、って心配してたのよ」

 煮込まれた鶏肉にかぶり付き、顔の下半分を汚しながらも懸命に食べているアレサ。その世話をしながらも上機嫌のセライアに、カイルは顔をしかめる。

「母さんの言う通りだぞ、カイル」

 アレサを挟んでセライアの右側に座り、静かに同意したのは父親のロエールだ。
 カイルにとっては影が薄く、普段はその存在を忘れがちであるのに、こういうときに限って正面に座るので無視できないでいる。

「子供が何もせず、それも女の子達の世話になってただ家にいるだけだなんて、親として恥ずかしいし、ご近所さんにも顔向けできなかったんだから」

 大きくため息を吐くセライア。ロエールはそんなセライアに頷きながら同意するし、面白がってとりあえず両親の真似をしてうんうんと頷いているアレサに、更に傷つくカイル。

「誰よりも母さんには言われたくないんだがなぁ……」

 書痴しょちで、他に用さえなければ日がな一日書庫にこもっている、自分以上の引きこもりである母親に反論したいカイルだったが、聞こえないように呟くのが精一杯だった。
 世界を救うという歴史に残る大偉業を成し遂げたというのに、両親からのこの評価にカイルはなげきたくなったが、同時に全く変わらない両親に安堵あんども覚えていた。


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