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第21話 異常事態

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「では、討伐した証をみんなで集めましょう!」

「モンスターの体の一部を切り取ってギルドに提出するというやつか?」 

「はい!30匹いるので一時間は掛かりますね・・・」

「すっ、少し休憩してからにしませんか?」

「・・・立てない・・・」

「や・・・めろ!・・・だ・・・ってない!!!」

「ん?今何か聞こえましたね・・・」

「揉めているような声だったが・・・行ってみるか?」

「そ、そうですね・・・何かトラブルがあったのかもしれません」 

「取り逃した狼でもいたんでしょうか?」

「そんな感じじゃなかったですが・・・」

「リゼ殿 動けるか?」

「は、はい!なんとか」

 リゼの足元を見てみると膝がガクガクと震え立つのもやっとという感じだ・・・これはここで休んでもらっていた方がいいかもな・・・。

「いや、やっぱり皆はここで休んでいてくれ私は様子を見てくるから何かあったら大声で叫んで欲しい」

「でも・・・」

「リゼ、ここはヴァルディさんに任せるニャ!私達はギルドに提出する物を切り取っておくニャ」

「うむ、よろしく頼む」

「ヴァルディ殿お気を付けて!」

「ああ、安心して休んでいてくれ」

・・・・・・・・・・・・・・・・

 俺は声のした場所に向かい草むらに隠れて声の出どころを探ると複数の筋肉質で剣を持っている男達ともう一人のローブを来た女が言い争いをしている真っ最中だった。

「は、話が違うじゃないですか!?奴隷の運搬は明後日のはずでしょう!!まだルート構築が終わってないんですよ!?」 

「ああ?うるせぇ奴だな!だから雇い主の命令だって言ってんだろうがよ!」

ーードンッ!

「グゥ!貴方達こんな事をしてただで済むと思っているんですか・・・」

「なに、キレてんだ?ちょっとこづいただじゃねぇか?ハッハッハッ!」

 奴隷の取引か・・・この国では禁止されていると聞かせてもらったが裏では割と行われているらしいな。

 近くに牢屋を馬車に取り付けたような物がある・・・中に手枷と足枷を付けられた様々な種族が囚われている・・・子供まで!?。

「くそッ!!!」

 ローブを着た女はそう言うと冒険者のような格好をした男にダガーを突き刺そうと突進していく・・・だが素人丸出しの攻撃は簡単に避けられ勢いあまって地面に倒れ込んでしまった。

「テメェ!!なにしやがる!」

ーードゴッ!!

 ローブの女は逆上した男達に殴られて地面に再び転がった・・・なんだ仲間割れか?ローブの女がリーダー格だと思っていたんだが違う?。

 とりあえずここはローブの女とあと一人残して他は殺すか・・・道案内もしてもらわないといけないしな、奴隷の取引が行われているならその根源を潰さないとまた繰り返される。

 それに悪人に容赦はいらないだろう。

ーーガサッ ガサッ

「誰だ!!」

「君達、こんな森の奥で何をしている?この国で奴隷の取引は禁止ではないのかな?」

「チッ!面倒なことになったぜ・・・」

「悪いがこんな所を見られたんだアンタには死んでもらう」

「“麻痺”(パラライズ)!」

「グウッ!!」

 状態異常耐性がなかったのか男達の動きが止まった、全員に逃げられると困るしな・・・ついでに密偵がいないかも見ておくか。

「“存在探索”(エネミー・サーチ)!隠れている者はいないようだな」

「ウッ!!ッッア・・・」

「ガッ・・・カッハ」

 10人近くいた男達を始末し二人だけ残したところで魔法を解除する。

「“解除”(キャンセル)さて・・・お前たちが何者か聞かせてもらおうか?」

 おそらくコイツは逃げて雇い主の元に帰るだろう。

 そこで隠密行動が得意なゴーストの出番だ、ゴーストに奴を追わせて原因の元を見つける。

「ヒィ・・!!こ、コイツ何モンだ!?」

「バ、化け物が・・・まあいい・・・こ、コイツを使って殺してやる!ヒヒ・・・ヒ」

「?」

「やめなさい!!それを使っては街にまで被害がでてしまう!!」

「こい!ワイバーン!!」

ーーパリン!

 あれはワイバーンの召喚石か・・・この世界でのモノの価値は分かってきたが召喚石を持ってるってことはただのゴロツキじゃないな。 

 それにワイバーンか・・・空を飛ばれると少々めんどくさいな・・・。

“ギシャアァァァア!!”

「ヒヒ・・・お、俺は悪くない・・・」

 予想通り男は怯えながら森の中へ逃げ込んだがここまでは予想通りだ。

「”怨霊召喚”(ゴーストサモン)!ゴースト、奴を追って逃げ込んだ場所を教えろ」 

「ウォォォォ~!」

「さて・・・お仲間は逃げてしまったのでな君に聞くとしよう」

“ギャルアアアアアッ!!”

「取り込み中だ、“電撃の一閃”(ライトニング・ボルト)!」

“グギャア!!?”

「わ、ワイバーンが・・・?あ、貴方様は い、一体・・・」
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