実力を隠して勇者パーティーの荷物持ちをしていた【聖剣コレクター】の俺は貧弱勇者に【追放】されるがせっかくなので、のんびり暮らそうと思います

jester

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第14話 ギルドマスター……そんな熱い視線を送られても……

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「流石の俺も冗談を言うタイミングぐらいはわきまえるさ」

 俺がそう言うとギルドマスターは少し間を置き、真剣な顔で聞いてくる。

「……君の事を信じてもいいのかな?」

「俺はこの状況で最も犠牲が出ない方法を提案したつもりだ、信じるかどうかは任せる」

「…………分かった、君のことを信じよう! 他の冒険者たちは街の守りについてもらう」

 ギルドマスターの返事も聞けたし、他の奴らにバレて目を付けられないようにしないとな。

 俺は“擬態の聖剣”の効果を自分にかけて変装を行う。

 ついでに“次元の聖剣”に収納しておいた黒いローブを取り出し、それを被った。

 これぐらいしないと本当に面倒なことになりかねないからな……。

「ところでセレナを見なかったか? さっきは見当たらなかったんだが」

「セレナ君かい? 見ていないが、何かあったのかな?」

 やっぱり見ていないか、冒険者ギルドにいないとなると……一体どこに行ったんだ?

 腹ごしらえだ! とか言って串焼きの屋台にでもいると楽なんだけどな。

 もしくは串焼きをそこら辺に置いてたら来るんじゃないか?。

 そんなくだらないことを考えていると、ギルドマスターが心配そうに。

「一応、手が空いている冒険者に頼んで捜索してもらうかい?」

 などと言ってきたが、アイツのことだしやる気が先走って門の前辺りにいるだろう。

「大丈夫だ、大体の居場所はわかっているからな、それより後は頼んだぞ?」

 準備が整ったので部屋を出て行こうとするとギルドマスターは俺を引き止める。

「ノエル君!!」

「ん? なんだ? そんな熱烈な視線を送られても俺にそっちの趣味はないぞ?」

 冗談でそう言うとギルドマスターはニコリと微笑み。

「どうか、この街を頼む!!」

「任せておけ」

 俺たちはギルドを出てセレナがいるであろう街の門へと向かった。

 するとそこには魔物の群れが迫る大地に一つの小さな背中があった。

 やっぱりここにいたか……。

「おーい、セレナ!」

 声をかけるとセレナは振り向き。

「誰だ? お前……も、もしかして不審者か!? いや、そうに違いない! こんな可愛くて可憐な少女が一人でいるところに声をかけてくるなんて!」

 コイツの自己評価の高さはいったいどこからくるんだろうか。

 声をかけられただけで不審者扱いするなんて……いつか無実の人を牢に入れそうで怖いんだが……。

「ちげぇよ!! 俺だ! ノエルだよ!」

「!な、何しにきたんだ!!」

 セレナは俺だとわかると声を荒げそっぽを向いてしまった。

「……セレナ、助けに来たぞ」

「……遅い……」

 よく見るとセレナの足は小刻みに震えていた。

 悪いことをしてしまったな。

 ちょっとした罪悪感が残った俺はセレナの元へ歩き頭を撫でる。

「よく頑張ったな、後は俺に任せておけ」

「串焼き3本でさっきのことは許してやる」

 まったくコイツはこんな時まで飯のことかよ……。

「分かったよ、後でな。レーウィン、セレナと一緒に安全なところへ避難していてくれ」

 俺はレーウィンが頷いたのを確認し、前線へと向かう。

「あれは……人間か? 止まれ!! 我こそは魔王軍が一人バルバ! 矮小なる人間よ、なんの真似だ?」

 バルバと名乗ったその魔族は、魔物の群れを止め咆哮のような大きな声で語りかけてきた。

 こんな場所に攻め入ってくるなんて一体何の用だ?。

 できれば攻めてきた理由くらいは知りたいものだ。

 まあいいか、口を割りそうなタイプじゃなさそうだし。

コイツが命令で動いている以上闘うしかない。

「初めまして、俺はこの街で冒険者をしている者だが、俺から一つ提案があるんだが聞いてみないか?」

「提案だと? 貴様、この状況が分かっているのか!?」

「当然分かっているとも、だからこその提案だ。お互いにとって有益なモノになるだろうさ」

 まあ、言ってみただけでコイツの答えはわかっているんだけどな。

 しかし、4本の腕か戦ったら厄介そうだ……。

 これはスキルを使わないといけないかもしれない。

「ほう、貴様の提案とやらがどんなものか聞こうじゃないか?」

「単刀直入に言うが、今すぐ進軍をやめて引き返してはくれないか?」

「そうすれば俺は平和に暮らせて、お前たちは死なずに済む……とてもいい提案だと思うんだが……」

 俺が挑発まがいの提案をすると、バルバはこめかみに血管を浮かび上がらせる。

 安い挑発だが、こういうタイプはすぐに乗ってくれるからな。

「貴様! このバルバを侮っているのか!? 話していても時間の無駄のようだな!」

「まあ良い、我らの前に無謀にも立ち塞がったことは褒めてやろう! 我が直々に始末してやる!」

 バルバはドスドスと巨体を揺らしながらこちらに近づき、やがて見上げるような巨体が目の前に立ち塞がる。

「ほう、逃げ出さないとは大した度胸だな!。それとも足に力が入らないのか?」

 魔族はそういうと、やがて4本の腕で巨大な刀剣をそれぞれの手に持ち叩きつけてくる。

「死ね……ふん!!」

  巻き上がる砂埃の中でパキン……と乾いた音が響き渡る。

 異変を感じ取ったバルバが目を向き後ろに飛び退き、その額には大量の汗が流れ落ちていた。

 飛び退いた先でバルバはゆっくりと己の剣に目を向けると、4本のうち1本の剣が半ばから折れていることに気づき驚愕をあらわにする。
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