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三章 メグリ
七十四話 別世界と古城の男
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「それはそうとして、何か有益な情報は?」
「いや、殆どクロメの知ってる通りの事だよ。あとは、発動条件が確か…『死にたくない時、誰かを守りたい時』だったっけな…? あっでも、その条件が曖昧でね、空腹で死にそうな時発動したんだって」
「ほんと? 冗談じゃなくて?」
「うん。スープ鍋にドボン。笑えるけど彼女大火傷だから笑い事じゃないよね」
「大変じゃない…! やっぱり彼女、制御出来ない状態の魔力持ってるのは危険よね…、対策考えないと」
「とは言っても、魔法の練習もしようがないよね。制限がかかってるんだもん」
「制限の上書き、つまり完全に使えないようにする事も出来るんだけど。それを彼女が望むかどうか。それにそんなことが出来る人もパパくらいしか…」
「前代魔王さんか…、もう1回話したかったな」
「……ほんと、私を置いてどこに行ったのよ…」
「まだ、遺体は見つかっていないの」
「ええ。未だに探させてはいるんだけど、なんの手がかりもないわ」
「そっかー…」
所有者のいなくなった剣は台座へと戻る。今分かっているのは、パパが死んだ。それだけだ。
ーーーーーー
三日後、クロメに呼び出されたツバキは3人がまだ起きてない時間に音を立てないよう家を出た。
メグリの身体は下半身と左指以外はほぼ回復しており、不浄しようとする度にギャーギャーと騒いでいたのもなくなり、クルトもほっとしていた。
『じきに伝えられる』とユメが言っていたのを思い出した。例の男の事だろう。俺が呼ばれる理由はよく分からないが、前回と同様に数人が集まっての会議のようなものだろう。
「って、まだこれだけか?」
クロメの部屋の扉を開き、中を見回すと接客用の椅子にクロメが座っているだけで、他は誰もいなかった。
「これだけもなにも、あなたしか呼んでないわ」
「俺だけ? どうして」
「これから話す内容でわかると思うわ。とりあえず座りなさい」
後ろ手に扉を閉め、大量の本と紙が置かれたテーブル脇の椅子に座る。
「メグリさんはどう?」
「下半身以外はほぼ回復してる」
「よかった。近いうちにお見舞い行かないとね…。じゃあ本題に入ろっか」
「まず、あなたは別世界から来たのよね? それは確か?」
「確かだ。証明出来るものはないが」
「とりあえずそれを信じる事にする。その上で話を進めていくわね」
「? ああ」
「出身地はニホン、海に囲まれた島国で人口は1億人程度…でいいわよね?」
「ああ」
「他にも少し確認するわね」
そう言って、いくつかの質問と、前に俺が言った世界についての内容を再確認した。
「…で、それがどうしたんだ?」
「うん。ここからが本題。古城の本棚から男の手記やらが見つかったの。それで…」
一際分厚い本の1ページ目を捲り、こちらに見せる。
「その初めの部分を要約すると、彼は別世界から急にこちらに来たと書かれてるの」
「それじゃ…」
「ええ。さっきの質問でほぼ確信したわ。あなたと城の男、同じ世界から来てるみたい」
「いや、殆どクロメの知ってる通りの事だよ。あとは、発動条件が確か…『死にたくない時、誰かを守りたい時』だったっけな…? あっでも、その条件が曖昧でね、空腹で死にそうな時発動したんだって」
「ほんと? 冗談じゃなくて?」
「うん。スープ鍋にドボン。笑えるけど彼女大火傷だから笑い事じゃないよね」
「大変じゃない…! やっぱり彼女、制御出来ない状態の魔力持ってるのは危険よね…、対策考えないと」
「とは言っても、魔法の練習もしようがないよね。制限がかかってるんだもん」
「制限の上書き、つまり完全に使えないようにする事も出来るんだけど。それを彼女が望むかどうか。それにそんなことが出来る人もパパくらいしか…」
「前代魔王さんか…、もう1回話したかったな」
「……ほんと、私を置いてどこに行ったのよ…」
「まだ、遺体は見つかっていないの」
「ええ。未だに探させてはいるんだけど、なんの手がかりもないわ」
「そっかー…」
所有者のいなくなった剣は台座へと戻る。今分かっているのは、パパが死んだ。それだけだ。
ーーーーーー
三日後、クロメに呼び出されたツバキは3人がまだ起きてない時間に音を立てないよう家を出た。
メグリの身体は下半身と左指以外はほぼ回復しており、不浄しようとする度にギャーギャーと騒いでいたのもなくなり、クルトもほっとしていた。
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「って、まだこれだけか?」
クロメの部屋の扉を開き、中を見回すと接客用の椅子にクロメが座っているだけで、他は誰もいなかった。
「これだけもなにも、あなたしか呼んでないわ」
「俺だけ? どうして」
「これから話す内容でわかると思うわ。とりあえず座りなさい」
後ろ手に扉を閉め、大量の本と紙が置かれたテーブル脇の椅子に座る。
「メグリさんはどう?」
「下半身以外はほぼ回復してる」
「よかった。近いうちにお見舞い行かないとね…。じゃあ本題に入ろっか」
「まず、あなたは別世界から来たのよね? それは確か?」
「確かだ。証明出来るものはないが」
「とりあえずそれを信じる事にする。その上で話を進めていくわね」
「? ああ」
「出身地はニホン、海に囲まれた島国で人口は1億人程度…でいいわよね?」
「ああ」
「他にも少し確認するわね」
そう言って、いくつかの質問と、前に俺が言った世界についての内容を再確認した。
「…で、それがどうしたんだ?」
「うん。ここからが本題。古城の本棚から男の手記やらが見つかったの。それで…」
一際分厚い本の1ページ目を捲り、こちらに見せる。
「その初めの部分を要約すると、彼は別世界から急にこちらに来たと書かれてるの」
「それじゃ…」
「ええ。さっきの質問でほぼ確信したわ。あなたと城の男、同じ世界から来てるみたい」
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