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四章 椿蓮
七十九話 コドン村調査
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「人間側に行くのも久しぶりですね」
山を越え人間側へ着いた3人は、元より用意されていた馬車に乗り込んだ。
舌を噛まないよう皆黙るしかなかった荒地を抜け、草原へ着くと快適に馬車は進んだ。
「コドン村はもっと久しぶりでしょ?」
「うん、あれ以来手紙も何も出してないからね~」
「おい…出身のお前が出さなくてどうする」
「というツバキさんも出身みたいなもんじゃないですか」
「俺は月一で現状報告に出してる」
「えっ!」
「ええっ!?」
2人ともツバキの方を驚いた様に見つめた。
「なんだよ」
「…い、いえ…まさかツバキさんが手紙を出しているとは…言われてもしなさそうなのに」
「うん…意外と律儀なんだね君…」
「普通だろ、逆に出さない方が変じゃないのか」
前の世界では自分達を心配している祖父母に週一で手紙を2人で出していたので、それが普通だと思っていた。
「な…それじゃあ私がツバキさんより薄情みたいじゃあないですか」
「最近お前ものを言うようになってきたよな」
「…ねえ、あなた達2人ってどういう関係なの? 詳しく聞いてなかった」
「仲間ですよ?」
「仲間だ」
「いや…それは分かるんだけどそうじゃなくて…。っていうかメグリ敬語だめだよ」
「ん?…あっごめん」
「久しぶりに注意したや。…メグ、あの時よりも明るくなったね」
「そうかな?」
「うん。私しか友達いなかったのに」
そう言ってクスクス笑う。言われたメグリは気まずそうに顔を赤らめた。
「い、いたからねユメちゃんが知らないだけで!」
「そうなの? 誰?」
「…わ、忘れました…」
「1度見たページは忘れないと言われたあのメグが? 記憶に薄いんだね」
「もう…この話やめてください…」
「あ、また敬語」
早朝から出発し、着いたのは正午過ぎだった。前に見た光景とほぼ変わらず、村の門はあの時と同様に立っていた。
人は近くの農場まで行っている人や家の中で作業している人が多く、外は小さな子供達が駆け回っているだけだった。
「あっ! メグリねーちゃんとツバキにーちゃん!」
こちらに気付いた子供達が駆け寄ってくる。メグリは笑いながら子供達と会話をし始め、ユメもそれに混ざって話している。
ツバキは服を引っ張ってくる子供達を引きずりながら集会場へ向かった。
「村長が言ってた、ツバキはちゃんと文通してくれるけどメグリねーちゃんは全く寄越さないって」
「らしいな、あんなのになっちゃだめだぞ」
特に強く首もとを引っ張ってくる男の子の手をぐいっと引き剥がす。それでもしつこく絡んでくる。
「にいちゃん日焼けしたね! 男らしいね!」
「あーありがとな、お前もなれるといいな」
「私女なんだけど…」
集会場に着きコンコンと扉を叩くと、内側から返事があり眼鏡を掛けた男が出てきた。
「…? おっ…お前ツバキか?」
「キン? だっけな、久しぶりだな」
訓練所の教官キンが出迎え、その奥にも見覚えのある顔が並んでいた。ツバキに気付くと一斉に立ち上がり、足早にこちらへ向かって来た。
「おかえりツバキ!」
「ああ、ただいま」
異世界に来たばかりの頃が思い出される。違う世界だと分かった途端全ての人間が異質なものに見えたが、今こうして接している人間は間違いなく自分と何も変わらない人間だ。
山を越え人間側へ着いた3人は、元より用意されていた馬車に乗り込んだ。
舌を噛まないよう皆黙るしかなかった荒地を抜け、草原へ着くと快適に馬車は進んだ。
「コドン村はもっと久しぶりでしょ?」
「うん、あれ以来手紙も何も出してないからね~」
「おい…出身のお前が出さなくてどうする」
「というツバキさんも出身みたいなもんじゃないですか」
「俺は月一で現状報告に出してる」
「えっ!」
「ええっ!?」
2人ともツバキの方を驚いた様に見つめた。
「なんだよ」
「…い、いえ…まさかツバキさんが手紙を出しているとは…言われてもしなさそうなのに」
「うん…意外と律儀なんだね君…」
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「仲間だ」
「いや…それは分かるんだけどそうじゃなくて…。っていうかメグリ敬語だめだよ」
「ん?…あっごめん」
「久しぶりに注意したや。…メグ、あの時よりも明るくなったね」
「そうかな?」
「うん。私しか友達いなかったのに」
そう言ってクスクス笑う。言われたメグリは気まずそうに顔を赤らめた。
「い、いたからねユメちゃんが知らないだけで!」
「そうなの? 誰?」
「…わ、忘れました…」
「1度見たページは忘れないと言われたあのメグが? 記憶に薄いんだね」
「もう…この話やめてください…」
「あ、また敬語」
早朝から出発し、着いたのは正午過ぎだった。前に見た光景とほぼ変わらず、村の門はあの時と同様に立っていた。
人は近くの農場まで行っている人や家の中で作業している人が多く、外は小さな子供達が駆け回っているだけだった。
「あっ! メグリねーちゃんとツバキにーちゃん!」
こちらに気付いた子供達が駆け寄ってくる。メグリは笑いながら子供達と会話をし始め、ユメもそれに混ざって話している。
ツバキは服を引っ張ってくる子供達を引きずりながら集会場へ向かった。
「村長が言ってた、ツバキはちゃんと文通してくれるけどメグリねーちゃんは全く寄越さないって」
「らしいな、あんなのになっちゃだめだぞ」
特に強く首もとを引っ張ってくる男の子の手をぐいっと引き剥がす。それでもしつこく絡んでくる。
「にいちゃん日焼けしたね! 男らしいね!」
「あーありがとな、お前もなれるといいな」
「私女なんだけど…」
集会場に着きコンコンと扉を叩くと、内側から返事があり眼鏡を掛けた男が出てきた。
「…? おっ…お前ツバキか?」
「キン? だっけな、久しぶりだな」
訓練所の教官キンが出迎え、その奥にも見覚えのある顔が並んでいた。ツバキに気付くと一斉に立ち上がり、足早にこちらへ向かって来た。
「おかえりツバキ!」
「ああ、ただいま」
異世界に来たばかりの頃が思い出される。違う世界だと分かった途端全ての人間が異質なものに見えたが、今こうして接している人間は間違いなく自分と何も変わらない人間だ。
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