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四章 椿蓮
八十九話 王の剣
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一代目国王の手記によって広まった「楽園」の信仰、それは500年に渡って受け継がれ、今なお国民の大多数が信仰している。その「楽園」に救いを求め憧れを抱く者は少なくない。
それは王家も同じで、2代目から始まった楽園への挑戦、それは研究に研究を重ね、8代目で内容がはっきりとした。しかしそれは残酷なものだった。
その為実行するかとの議論に長い時間を要し、そして10代目で実行する事を約束し、全ては彼に託された。
国民の信用とこれまでの王家の尽力によって成る術。それに失敗は許されない。ミストの剣に背負われているものは常人には到底計り知れない程のものだ。
ーーーそうだ。この男に分かるはずがないんだ。
「僕を…殺すのか?」
「ああ。その剣を回収しなくちゃならないんだ」
「お前は…僕の気も知らずに…!」
弾かれた剣を手に出現させ、そのまま振り下ろそうとする。しかしその手は剣ごと頭の上で切断され、僕の手は剣と共に血溜まりに落ちた。
激痛に顔を歪め、右手を抑えてきっと彼を睨む。傷口は既にある程度塞がり、出血は止まった。
「ああ。お前の理念は立派なものなんだろうな」
「だがな、客観的に見ろ。お前は何万という命の代わりにその理念を果たそうとしている。お前の望むものがなんなのかわからないが、客観的に見て、悪と思われるのはお前だ」
「それでも…僕から見てこの理念は、この意志はどれだけの命よりも大切な物…! 客観的と言う言葉で済ませられるものじゃない」
「どれだけの命よりも大切な物?」
ツバキは唯と父、母の事を思い出す。彼らのためなら俺だって何人でも命を奪っただろうーーー。
「だがな、俺はお前じゃない。お前の守ろうとしているものは俺にとって捨てることの出来る命と変わりないんだ。お前が何を言おうと、俺はお前を殺す」
そう言うとミストは歯を食いしばり、左手でまだ指の揃っていない右手を叩いた。
正論に聞こえる暴論かましやがって…。一体何者なんだこいつは? 僕の計画に気付いた正義感の変に強い奴か? それとも魔王軍…、いや、魔王軍なら1人では来ないか…?
キラリと何かが光ったかと思うと、僕の体は後方、ステージ上へ吹っ飛ばされた。
まずい、と思った時にはもう遅く、壁にもたれかかった僕の腹に剣が突き立てられる。
「がっ…! くそっ…っ!!」
動けない。目の前には冷たい目をした男、そして僕の腹にはーーー
「この剣っ…、魔王の、ユリウスの…!」
白い刀身の剣、見覚えのあるそれは光を受けて白く光る。魔王の持っていた剣、ユリウスの剣は僕のシリウスの剣と同様、術を発動することが出来る。
どうしてこいつがこれを…この男、魔王か…!?
だとしたら僕は…僕は、こいつに殺されーーー
「ミスト様っ!」
突如、目の前、僕の足すぐ先に大量の槍が飛んで来て地面に深く突き刺さった。男は剣を抜いて弾きつつ、後ろに避けたが槍は男の太腿に浅く刺さる。
それと同時に兵士団隊長のガビが、僕を抱えて後ろにいる数人の兵士に投げつけた。
「ガビ!」
空中で、剣がガビの頭部を貫通してステージの壁に突き刺さるのが見えた。血しぶきが舞い上がり、砂埃と共に風に流されていった。
それは王家も同じで、2代目から始まった楽園への挑戦、それは研究に研究を重ね、8代目で内容がはっきりとした。しかしそれは残酷なものだった。
その為実行するかとの議論に長い時間を要し、そして10代目で実行する事を約束し、全ては彼に託された。
国民の信用とこれまでの王家の尽力によって成る術。それに失敗は許されない。ミストの剣に背負われているものは常人には到底計り知れない程のものだ。
ーーーそうだ。この男に分かるはずがないんだ。
「僕を…殺すのか?」
「ああ。その剣を回収しなくちゃならないんだ」
「お前は…僕の気も知らずに…!」
弾かれた剣を手に出現させ、そのまま振り下ろそうとする。しかしその手は剣ごと頭の上で切断され、僕の手は剣と共に血溜まりに落ちた。
激痛に顔を歪め、右手を抑えてきっと彼を睨む。傷口は既にある程度塞がり、出血は止まった。
「ああ。お前の理念は立派なものなんだろうな」
「だがな、客観的に見ろ。お前は何万という命の代わりにその理念を果たそうとしている。お前の望むものがなんなのかわからないが、客観的に見て、悪と思われるのはお前だ」
「それでも…僕から見てこの理念は、この意志はどれだけの命よりも大切な物…! 客観的と言う言葉で済ませられるものじゃない」
「どれだけの命よりも大切な物?」
ツバキは唯と父、母の事を思い出す。彼らのためなら俺だって何人でも命を奪っただろうーーー。
「だがな、俺はお前じゃない。お前の守ろうとしているものは俺にとって捨てることの出来る命と変わりないんだ。お前が何を言おうと、俺はお前を殺す」
そう言うとミストは歯を食いしばり、左手でまだ指の揃っていない右手を叩いた。
正論に聞こえる暴論かましやがって…。一体何者なんだこいつは? 僕の計画に気付いた正義感の変に強い奴か? それとも魔王軍…、いや、魔王軍なら1人では来ないか…?
キラリと何かが光ったかと思うと、僕の体は後方、ステージ上へ吹っ飛ばされた。
まずい、と思った時にはもう遅く、壁にもたれかかった僕の腹に剣が突き立てられる。
「がっ…! くそっ…っ!!」
動けない。目の前には冷たい目をした男、そして僕の腹にはーーー
「この剣っ…、魔王の、ユリウスの…!」
白い刀身の剣、見覚えのあるそれは光を受けて白く光る。魔王の持っていた剣、ユリウスの剣は僕のシリウスの剣と同様、術を発動することが出来る。
どうしてこいつがこれを…この男、魔王か…!?
だとしたら僕は…僕は、こいつに殺されーーー
「ミスト様っ!」
突如、目の前、僕の足すぐ先に大量の槍が飛んで来て地面に深く突き刺さった。男は剣を抜いて弾きつつ、後ろに避けたが槍は男の太腿に浅く刺さる。
それと同時に兵士団隊長のガビが、僕を抱えて後ろにいる数人の兵士に投げつけた。
「ガビ!」
空中で、剣がガビの頭部を貫通してステージの壁に突き刺さるのが見えた。血しぶきが舞い上がり、砂埃と共に風に流されていった。
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