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四章 椿蓮
八十八話 王の剣
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今日、村を同時に襲わせ王国で石を回収、更に王国に集まった国民を自らの剣で刺し、そして術を発動させる。良心が痛まないかと言われたら首を横には振れない。
だが、それは10代にわたる王の意思によって成功させなければならない事。僕の良心でどうこうできる話ではないのだ。
「相手は一人か…?」
男のいた場所は人からは見づらい場所。今から指示を出しても男の顔が分かっているのは誰もいない。
しかし、もし剣か僕が狙いなら…必ずここに来る。闘技場は混乱している。ここまで来るのに時間がかかるだろうし、その前に指示するんだ。剣を持った男を殺せ、と。
「ミスト様! 9代様!」
息を切らしながららせん階段を上がってきた顔見知りの兵士がこちらを見、目を見開いてこちらにかけてくる。
「お父さんに近寄らないで下さい、危ないです」
まだあの男が狙っているかもしれない。ミストは兵士に簡潔に指示をし、かけて行った兵士を見送った。
「…やるか」
肩はもうとっくに回復している。僕の回復能力なら少々剣が貫通した所で問題はないはず。
演説台からお父さんをまたぎ、闘技場へと飛び降りた。地上まで20メートル程度。
悲鳴が耳を掠めた。決意は揺るがない。もう後には戻れないーーー。
飛び降りている僕目掛け、剣が一直線に飛んで来た、間一髪で汚れ布に包まれた剣で受け流し、剣を地面に突き立てて着地した。
群衆に紛れ、布を解き、重い装備を下に置く。
目の前には中年男性が立っている。剣を掲げ、躊躇せず振り下ろした。剣は男の肩から入り、脇腹から突き抜ける。周りの群衆は気付いた様子もなく、後ろを向いて逃げようとしている。
その背中に次々と剣を突き立てると、あっという間に細かい砂で覆われた地面は鮮やかな赤に覆われた。やっと気付いたのか、僕の方を見て恐怖に顔を歪め、尻餅をついた。そして剣を振り上げるーーー。
お父さんの愛した国民。お父さんは死んだが…、誰よりも悲しかった事だろう。これを見ずに済んで良かったかもしれない。自分の息子が、自国民を殺すのだ。
柔らかい感触で手が痛い。術を発動させるための命自体は、この闘技場に集まった人間の半分程度で足りる。後は成功率の為だ。
「あなたは…国王様の息子の…! どうして…!」
妻らしき女を連れた男が振り返ってミストに怯えきった顔で言う。男は青い首飾りを握りしめ、その後ろで女が唇を震わせていた。
「…ごめんなさい。僕は…」
術を発動させれば全て終わる。僕の苦しみも消えるはずなんだ。心を殺せ…。
目をつぶり、剣を振り下ろす。
コツ、と音がして剣が止まった。僕の剣は骨くらい難なく切れる…どうした?
目を開けた途端、剣を持った拳に強い衝撃が走り、剣が上方へ弾かれた。
そして目の前には、さっきの男、僕と同じ年齢くらいの黒い髪をした男が僕を睨みながら剣を構えていた。
光のない目はしっかりと僕を捉え、構えた剣先は僕の喉元にある。
「遅すぎた…狙いを間違っていたか」
男が呟くように言った。
だが、それは10代にわたる王の意思によって成功させなければならない事。僕の良心でどうこうできる話ではないのだ。
「相手は一人か…?」
男のいた場所は人からは見づらい場所。今から指示を出しても男の顔が分かっているのは誰もいない。
しかし、もし剣か僕が狙いなら…必ずここに来る。闘技場は混乱している。ここまで来るのに時間がかかるだろうし、その前に指示するんだ。剣を持った男を殺せ、と。
「ミスト様! 9代様!」
息を切らしながららせん階段を上がってきた顔見知りの兵士がこちらを見、目を見開いてこちらにかけてくる。
「お父さんに近寄らないで下さい、危ないです」
まだあの男が狙っているかもしれない。ミストは兵士に簡潔に指示をし、かけて行った兵士を見送った。
「…やるか」
肩はもうとっくに回復している。僕の回復能力なら少々剣が貫通した所で問題はないはず。
演説台からお父さんをまたぎ、闘技場へと飛び降りた。地上まで20メートル程度。
悲鳴が耳を掠めた。決意は揺るがない。もう後には戻れないーーー。
飛び降りている僕目掛け、剣が一直線に飛んで来た、間一髪で汚れ布に包まれた剣で受け流し、剣を地面に突き立てて着地した。
群衆に紛れ、布を解き、重い装備を下に置く。
目の前には中年男性が立っている。剣を掲げ、躊躇せず振り下ろした。剣は男の肩から入り、脇腹から突き抜ける。周りの群衆は気付いた様子もなく、後ろを向いて逃げようとしている。
その背中に次々と剣を突き立てると、あっという間に細かい砂で覆われた地面は鮮やかな赤に覆われた。やっと気付いたのか、僕の方を見て恐怖に顔を歪め、尻餅をついた。そして剣を振り上げるーーー。
お父さんの愛した国民。お父さんは死んだが…、誰よりも悲しかった事だろう。これを見ずに済んで良かったかもしれない。自分の息子が、自国民を殺すのだ。
柔らかい感触で手が痛い。術を発動させるための命自体は、この闘技場に集まった人間の半分程度で足りる。後は成功率の為だ。
「あなたは…国王様の息子の…! どうして…!」
妻らしき女を連れた男が振り返ってミストに怯えきった顔で言う。男は青い首飾りを握りしめ、その後ろで女が唇を震わせていた。
「…ごめんなさい。僕は…」
術を発動させれば全て終わる。僕の苦しみも消えるはずなんだ。心を殺せ…。
目をつぶり、剣を振り下ろす。
コツ、と音がして剣が止まった。僕の剣は骨くらい難なく切れる…どうした?
目を開けた途端、剣を持った拳に強い衝撃が走り、剣が上方へ弾かれた。
そして目の前には、さっきの男、僕と同じ年齢くらいの黒い髪をした男が僕を睨みながら剣を構えていた。
光のない目はしっかりと僕を捉え、構えた剣先は僕の喉元にある。
「遅すぎた…狙いを間違っていたか」
男が呟くように言った。
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