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四章 椿蓮
百十三話 特異型グロウリー
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平原を列をなして人々が歩いている。その横を負傷者を乗せた馬車が通り過ぎてゆく。
ユメはその列の誘導のため、大きな旗と松明、ランプを手に立っていた。先程、魔王軍より全体へ避難命令が出た。どうやらグロウリーが発生したようだ。
「これは、どこへ向かっているんだい?」
子連れの老婆が列から離れ、話しかけてきた。子供は老婆の手を握りながらこちらをじっと見てくる。10歳くらいだろうか。
「魔王城です。あそこなら物資も充実していますので」
「魔王城!? 大丈夫なのかい?」
やっぱり、一般人にはあまり理解が広まってないか。ユメは微笑みながら言った。
「ええ。王国より格段に安全です。何も心配はいりませんよ」「さ、列へ」
「そう…」
怪訝な顔をしながら老婆と子供は列へ戻った。
王国がほぼ壊滅した今、人々を立て直すには早めに偏見を無くさせないと…。
「──と、そろそろ交代ね」
旗を地面に刺し、ぱんぱんと手を払って列に背を向けた。クロメによると、地下水路から逃げている人もいるらしい。今からそこへ行き、確認と誘導をする。
舗装された道から少し離れた所にある、石の蓋に手をかけて持ち上げる。垂直に穴が続いており、中は明かり一つない。
ランプに明かりを灯して取っ手に縄を結び、徐々に下ろしてゆく。床についたところでユメも降り始める。古びた手すりはガタガタと揺れて心許ない。
「うっ、臭い」
中は腐敗臭のようなツンとした匂いが充満していた。通路の床は湿っている。
水位が上がっているらしく、すぐそばにランプの光が反射して揺らめいている。
城下町の方向へ少し進むことにした。真っ暗なので流石に怖い。水音がする度に肩が跳ねる。少し進んだところで、急に何かがランプの光に照らされた。
「うわあっ!」
驚いて尻餅をつく。バクバクと言う心臓をなだめながら、それをランプで照らす。
「あれ、人か…。どうしました?」
前に誰かが膝を抱えて座っている。声をかけても反応を示さない。
もしやと思い、出ている手に触れてみる。
「冷たい…」
脈に触れ、死んでいる事を確認した。
外傷は見られない。
原因を探る為、ランプで周りを見る。
その光景に息を飲んだ。落ち着いた心臓が再びなり始める。
ユメはその列の誘導のため、大きな旗と松明、ランプを手に立っていた。先程、魔王軍より全体へ避難命令が出た。どうやらグロウリーが発生したようだ。
「これは、どこへ向かっているんだい?」
子連れの老婆が列から離れ、話しかけてきた。子供は老婆の手を握りながらこちらをじっと見てくる。10歳くらいだろうか。
「魔王城です。あそこなら物資も充実していますので」
「魔王城!? 大丈夫なのかい?」
やっぱり、一般人にはあまり理解が広まってないか。ユメは微笑みながら言った。
「ええ。王国より格段に安全です。何も心配はいりませんよ」「さ、列へ」
「そう…」
怪訝な顔をしながら老婆と子供は列へ戻った。
王国がほぼ壊滅した今、人々を立て直すには早めに偏見を無くさせないと…。
「──と、そろそろ交代ね」
旗を地面に刺し、ぱんぱんと手を払って列に背を向けた。クロメによると、地下水路から逃げている人もいるらしい。今からそこへ行き、確認と誘導をする。
舗装された道から少し離れた所にある、石の蓋に手をかけて持ち上げる。垂直に穴が続いており、中は明かり一つない。
ランプに明かりを灯して取っ手に縄を結び、徐々に下ろしてゆく。床についたところでユメも降り始める。古びた手すりはガタガタと揺れて心許ない。
「うっ、臭い」
中は腐敗臭のようなツンとした匂いが充満していた。通路の床は湿っている。
水位が上がっているらしく、すぐそばにランプの光が反射して揺らめいている。
城下町の方向へ少し進むことにした。真っ暗なので流石に怖い。水音がする度に肩が跳ねる。少し進んだところで、急に何かがランプの光に照らされた。
「うわあっ!」
驚いて尻餅をつく。バクバクと言う心臓をなだめながら、それをランプで照らす。
「あれ、人か…。どうしました?」
前に誰かが膝を抱えて座っている。声をかけても反応を示さない。
もしやと思い、出ている手に触れてみる。
「冷たい…」
脈に触れ、死んでいる事を確認した。
外傷は見られない。
原因を探る為、ランプで周りを見る。
その光景に息を飲んだ。落ち着いた心臓が再びなり始める。
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