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一章 魔王城へ
一話 異世界と腹黒主人公
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【一話】
古びた西洋風の剣に触れる。
長方形の岩の空間の奥にその台座はあり、そこに剣は刺さっていた。
数時間前、俺は崖から落ち、気が付いたら森の中に立っていた。そして歩き回っていたらこの空間とこの剣を見つけたというわけだ。
何故崖から落ちたのに海の中ではなく森の中にいたのかは全く分からない。
しかし今はそんな事よりも帰ることだ。
…この剣、売れるだろうか。
持ち手を両手で掴み、引き上げる。
すると、空間に耳を塞ぎたくなるほどの高音が響き渡り、後ろを向くと道が岩で塞がっていた。
「ああああ!? 道が!!」
今叫んだのは俺ではない。
岩に手を当てて焦っているのは知らない女。赤茶色の髪をした背の低い女だ。
「誰だ?」
そう呼びかけると、女はバッと振り向いて、「しまった」と言うような顔をした。
「あ、えと…」
「なんでここにいるんだ」
「そ、そうでした。あなたその剣を抜いて…」
女は俺の左手に目を向ける。
「目の前で私の探していた剣に触れられて呆然としていたら閉じ込められたというわけです」
「欲しいのか? ならやるが」
「だめです、触った以上あなたが所有者なんです」
「は?」
「その剣で村を救うために探してたんです。位置もわかってここに来たらあなたが先に触っていて…」
「最低です、最悪です…」
会話が頭に入ってこない。こいつはこの剣を取りに来て、そこで俺と遭遇した、ってことでいいのか?
「それで、ここから出る方法は?」
「…え、わかりません」
「この剣知ってたのに、こういう仕掛けは知らなかったのか?」
「はい…」
「じゃあこのまま?」
「このまま…」
剣を台座に戻してみるが、岩はどかない。
ほんとどうすんだよこれ…。
岩は三メートル以上あり、2人でもとても動かせそうにない。
「あの、通路があります」
「通路?」
女が指さした先には、人が屈めばなんとか入れるくらいの道があった。
近づいて見ると奥まであるようで、先は真っ暗だった。
2人で通路に屈んで入り、進んで行く。
途中下が抜けているところがあり、そこは足を伸ばしてまたいで進んだ。
「おい、そこ穴あるからまたいで…」
と注意するのも遅く、俺の後ろの穴に女は悲鳴を上げながら落ちていった。
「…まあいいか」
見捨てる事にし、俺はそのまま進もうとするが、前にもう一つ穴がある事に気が付かず落下した。
大分高い所から落ちたそうで、とてもさっきの穴には届かなそう。
落ちた空間は下水道の様で、浅い水が真ん中に流れていて、そこに俺達は落ちていた。
「ちょっと…もう少し早くに注意してくださいよ」
ぶつけた尻を撫でながら女は言う。
それを無視して空間を見渡す。左右どちらも闇が広がり、照らしているのは松明だけ。
出られるか…?
突然、獣の様な声が空間に響き渡り、女はその声にビクッとする。
「なんの声だ?」
「み、見ればわかるじゃないですか」
そう言って指さした先には、巨大ナマコ、と言えばいいのだろうか。手足のない、口のでかい化物がいた。一言で様子を表すと、「グロい」
そのグロい生物が俺達に近付いてくる。
大きな口を開けて丸呑みにする勢いで。
「やばくないか?」
「まあ、やばいですよね…」
二人共立ち上がり、全速力で反対方向へ向かう。すると化物も同じ速さで追ってきた。
「おいあれ何なんだよ!」
「知りませんよ!」
「剣があること以外なんも知らねえのかよ」
「すみませんね!」
化物と同じ速さで走っていたが疲れてきて段々近付いてくる。女は俺の10m程後ろから遅れて来ている。そろそろ俺もやばい…!
「あ、光です!」
前を向くと、微かに穴から光が差し込んでいて、そこへ続く階段も見つけた。
俺は力を振り絞ってそこへ向かい、階段に手を掛けた。そして急いで上がっていく。
上がりきるとそこは木の少ない野原で、雲のない青空から陽が射し込み、俺の持っている剣はその光を反射してキラリと光った。
「うおおおやばいです! やばい! です!」
さっき出てきた穴から声が聞こえる。
そうだ、こいつもいたな。
「手を伸ばしてください! もう追い付かれそうです! 早く!」
そう言うので俺は穴の中に手を伸ばす。必死そうな表情の女と、そのすぐ下には化物がいた。
手を掴んで引っ張ると、上半身が出てきた。
しかし下半身が出てこない。
「足に触手が絡みついてます! ひやぁ登ってきた! 助けて下さい助けて下さぁい!」
「うるさい大人しく…」
引っ張るがまだ抜けない。穴に足をかけて更に強く引っ張る。
「あ、待って下さい強く引っ張らないで! 服が脱げちゃいます! 触手がもう腰まで来てるんです!」
「今そんなのどうでもいいだろ!」
「だめです! うっ、足がつってきた…」
「脱げます! ちょっと離して下さい! ってダメだ離さないで!」
「うるっさいっ! 黙ってろ!!」
スポン、という音と共に下半身が裸の女が穴から飛び出してきた。
古びた西洋風の剣に触れる。
長方形の岩の空間の奥にその台座はあり、そこに剣は刺さっていた。
数時間前、俺は崖から落ち、気が付いたら森の中に立っていた。そして歩き回っていたらこの空間とこの剣を見つけたというわけだ。
何故崖から落ちたのに海の中ではなく森の中にいたのかは全く分からない。
しかし今はそんな事よりも帰ることだ。
…この剣、売れるだろうか。
持ち手を両手で掴み、引き上げる。
すると、空間に耳を塞ぎたくなるほどの高音が響き渡り、後ろを向くと道が岩で塞がっていた。
「ああああ!? 道が!!」
今叫んだのは俺ではない。
岩に手を当てて焦っているのは知らない女。赤茶色の髪をした背の低い女だ。
「誰だ?」
そう呼びかけると、女はバッと振り向いて、「しまった」と言うような顔をした。
「あ、えと…」
「なんでここにいるんだ」
「そ、そうでした。あなたその剣を抜いて…」
女は俺の左手に目を向ける。
「目の前で私の探していた剣に触れられて呆然としていたら閉じ込められたというわけです」
「欲しいのか? ならやるが」
「だめです、触った以上あなたが所有者なんです」
「は?」
「その剣で村を救うために探してたんです。位置もわかってここに来たらあなたが先に触っていて…」
「最低です、最悪です…」
会話が頭に入ってこない。こいつはこの剣を取りに来て、そこで俺と遭遇した、ってことでいいのか?
「それで、ここから出る方法は?」
「…え、わかりません」
「この剣知ってたのに、こういう仕掛けは知らなかったのか?」
「はい…」
「じゃあこのまま?」
「このまま…」
剣を台座に戻してみるが、岩はどかない。
ほんとどうすんだよこれ…。
岩は三メートル以上あり、2人でもとても動かせそうにない。
「あの、通路があります」
「通路?」
女が指さした先には、人が屈めばなんとか入れるくらいの道があった。
近づいて見ると奥まであるようで、先は真っ暗だった。
2人で通路に屈んで入り、進んで行く。
途中下が抜けているところがあり、そこは足を伸ばしてまたいで進んだ。
「おい、そこ穴あるからまたいで…」
と注意するのも遅く、俺の後ろの穴に女は悲鳴を上げながら落ちていった。
「…まあいいか」
見捨てる事にし、俺はそのまま進もうとするが、前にもう一つ穴がある事に気が付かず落下した。
大分高い所から落ちたそうで、とてもさっきの穴には届かなそう。
落ちた空間は下水道の様で、浅い水が真ん中に流れていて、そこに俺達は落ちていた。
「ちょっと…もう少し早くに注意してくださいよ」
ぶつけた尻を撫でながら女は言う。
それを無視して空間を見渡す。左右どちらも闇が広がり、照らしているのは松明だけ。
出られるか…?
突然、獣の様な声が空間に響き渡り、女はその声にビクッとする。
「なんの声だ?」
「み、見ればわかるじゃないですか」
そう言って指さした先には、巨大ナマコ、と言えばいいのだろうか。手足のない、口のでかい化物がいた。一言で様子を表すと、「グロい」
そのグロい生物が俺達に近付いてくる。
大きな口を開けて丸呑みにする勢いで。
「やばくないか?」
「まあ、やばいですよね…」
二人共立ち上がり、全速力で反対方向へ向かう。すると化物も同じ速さで追ってきた。
「おいあれ何なんだよ!」
「知りませんよ!」
「剣があること以外なんも知らねえのかよ」
「すみませんね!」
化物と同じ速さで走っていたが疲れてきて段々近付いてくる。女は俺の10m程後ろから遅れて来ている。そろそろ俺もやばい…!
「あ、光です!」
前を向くと、微かに穴から光が差し込んでいて、そこへ続く階段も見つけた。
俺は力を振り絞ってそこへ向かい、階段に手を掛けた。そして急いで上がっていく。
上がりきるとそこは木の少ない野原で、雲のない青空から陽が射し込み、俺の持っている剣はその光を反射してキラリと光った。
「うおおおやばいです! やばい! です!」
さっき出てきた穴から声が聞こえる。
そうだ、こいつもいたな。
「手を伸ばしてください! もう追い付かれそうです! 早く!」
そう言うので俺は穴の中に手を伸ばす。必死そうな表情の女と、そのすぐ下には化物がいた。
手を掴んで引っ張ると、上半身が出てきた。
しかし下半身が出てこない。
「足に触手が絡みついてます! ひやぁ登ってきた! 助けて下さい助けて下さぁい!」
「うるさい大人しく…」
引っ張るがまだ抜けない。穴に足をかけて更に強く引っ張る。
「あ、待って下さい強く引っ張らないで! 服が脱げちゃいます! 触手がもう腰まで来てるんです!」
「今そんなのどうでもいいだろ!」
「だめです! うっ、足がつってきた…」
「脱げます! ちょっと離して下さい! ってダメだ離さないで!」
「うるっさいっ! 黙ってろ!!」
スポン、という音と共に下半身が裸の女が穴から飛び出してきた。
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