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一章 魔王城へ
一話の二 異世界と腹黒主人公
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腰に上着を巻き付けた女は赤くなった足を摩っている。
「最悪です…」
「助かったしいいだろ」
「そうですけど…」
俺は立ち上がって辺りを見渡す。
「ここはどこだ?」
「ん? あ、ここは…! 知ってる場所です。帰れます!」
女も勢いよく立ち上がる。
そして歩いて行くので、俺も付いていく。
【一話の二】
森を抜け暫く歩くと、女は口を開く。
「あそこが私の助けるはずだった村です」
「ああ」
遠くに煙と人の家が見える。
「なのにあなたが先に触ってしまった。力を手に入れてしまった」
そして女は急に立ち止まり、俯いた。
「…所有者を交代させるにはまず、現在の所有者が死ななくてはなりません」
「ごめんなさい」
急に女が突進して来たかと思うと、左胸にさっき足に刺されたナイフが突き立てられた。
「おい…!」
避ける暇もなく、そのまま身体は後ろへ倒れる。
「お前!!」
「致命傷にすれば回復しづらいんです」
そう言ってまた近付いてくる。
「村を救うためなんです!!」
歯を食いしばって痛みを堪え、前へ転がって女を転ばせ、腹を殴る。咳き込みながら女はうずくまった。
ナイフが抜けると、左胸は徐々に治っていった。女の顔面を蹴り、うつ伏せで倒れた身体を見下ろす。
「クソ野郎が、命の恩人に…」
持っていた剣を振り上げると、女は「ひっ…」と言って後ずさる。
「やめて…下さい…」
だめだ。殺そうとしてきた相手を生かしておくわけが無い。
足を切ろうと剣を女の足に振り下ろす。
剣は脛の表面を切り、女は悲鳴を上げて必死に逃げようとする。
「やめて死にたく…ない…」
女は体を引き摺って逃げながら、懐にあるポーチを開けようとしている。
それを蹴飛ばすと、悲鳴は更に大きくなった。まるで全ての希望を失ったように泣き叫び、地面に頭を打ち付けた。
「………」
剣を振り上げる。今度はちゃんと切れるよう、足で女の身体を抑えながら。
足からも女の震えが伝わってくる。
「大人しくしてろよ」
剣を振り下ろそうとした瞬間、矢が自分の手に刺さっているのが見えた。そして風を切る音と人の声が聞こえ、脇腹に激痛が走った。そして矢は手、頭、足と次々に突き刺さり、明らかに股間に刺さった辺りで俺の目の前は白くなった。
「最悪です…」
「助かったしいいだろ」
「そうですけど…」
俺は立ち上がって辺りを見渡す。
「ここはどこだ?」
「ん? あ、ここは…! 知ってる場所です。帰れます!」
女も勢いよく立ち上がる。
そして歩いて行くので、俺も付いていく。
【一話の二】
森を抜け暫く歩くと、女は口を開く。
「あそこが私の助けるはずだった村です」
「ああ」
遠くに煙と人の家が見える。
「なのにあなたが先に触ってしまった。力を手に入れてしまった」
そして女は急に立ち止まり、俯いた。
「…所有者を交代させるにはまず、現在の所有者が死ななくてはなりません」
「ごめんなさい」
急に女が突進して来たかと思うと、左胸にさっき足に刺されたナイフが突き立てられた。
「おい…!」
避ける暇もなく、そのまま身体は後ろへ倒れる。
「お前!!」
「致命傷にすれば回復しづらいんです」
そう言ってまた近付いてくる。
「村を救うためなんです!!」
歯を食いしばって痛みを堪え、前へ転がって女を転ばせ、腹を殴る。咳き込みながら女はうずくまった。
ナイフが抜けると、左胸は徐々に治っていった。女の顔面を蹴り、うつ伏せで倒れた身体を見下ろす。
「クソ野郎が、命の恩人に…」
持っていた剣を振り上げると、女は「ひっ…」と言って後ずさる。
「やめて…下さい…」
だめだ。殺そうとしてきた相手を生かしておくわけが無い。
足を切ろうと剣を女の足に振り下ろす。
剣は脛の表面を切り、女は悲鳴を上げて必死に逃げようとする。
「やめて死にたく…ない…」
女は体を引き摺って逃げながら、懐にあるポーチを開けようとしている。
それを蹴飛ばすと、悲鳴は更に大きくなった。まるで全ての希望を失ったように泣き叫び、地面に頭を打ち付けた。
「………」
剣を振り上げる。今度はちゃんと切れるよう、足で女の身体を抑えながら。
足からも女の震えが伝わってくる。
「大人しくしてろよ」
剣を振り下ろそうとした瞬間、矢が自分の手に刺さっているのが見えた。そして風を切る音と人の声が聞こえ、脇腹に激痛が走った。そして矢は手、頭、足と次々に突き刺さり、明らかに股間に刺さった辺りで俺の目の前は白くなった。
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