異世界生活の送り方を間違えている気がする?

香奈恵

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二章 魔族地方

三十四話 魔王城にて

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魔王クロメは俺の腕を引いてどこかへ連れていこうとする。ガッシリと掴まれた自分の腕を見る。

正直、俺はこうして手を引かれるのは大嫌いだ。少し促す程度に引くならともかく、こうして強引に手を引かれると振りほどきたくなってしまう。

そして実際振りほどく。別に行きたくないとかそういう訳では無い。ただ自分の精神が受け付けないのだ。

「ちょ…なによ」

魔王は振りほどかれた手をもう一方の手で握り、眉を潜めてこちらを見る。

「手を引かれるのが嫌いだから」

「…そう、じゃあ付いてきて」

【三十四話】

先頭に立ってクロメは廊下を進んでいく。階段を上がるのかと思ったら暗い地下に入っていった。
こいつ、何する気だ?

「その剣、どこで手に入れたの?」

灯が一つしかない地下倉庫らしき場所に連れてこられ、魔王は立ち止まって話しかける。

「人間地方の地下水路近く」

「…どんな場所?」

「地下水路の上にある暗い空間で、真ん中に台座がある部屋だ。入口は別の森にあるが」

「その剣について何を知ってる?」

「力が手に入る事と、こうして手元に出現させられることくらいかな、メグリに聞いた」

「メグリ?」

「名乗ってなかったか、敬語の奴がメグリだ」

「あんたは?」

「ツバキ」

「メグリさんも知ってるの? じゃあ連れて来て」

「面倒臭い」

「…連れて来てよ」

「嫌だ」

「連れて来て」

「嫌だと言ってる」

「…分かったわよ」

そう言って部屋を出ていき、暫くしてメグリを連れて魔王が帰ってきた。
メグリを俺の横に立たせ、俺に話し掛ける。

「ここで死ぬか、それとも働くか選んで」

「え? どうしてです…」

「メグリさんじゃなくて、ツバキに言ってる」

「は? 何故急に」

「その剣、パパのなの。前代魔王の」

「返せと?」

「そういう事。殺すのも躊躇われるから、そばにいて欲しいの。その剣は原石を持っているから他に預けちゃいけない」

「…ここで『働く』って言ったら負けた気がして言いたくないんだが」

「ひねくれた性格してるわよねあんた…」

「まあでも、死ぬのは嫌だし働くが」

「そう、それは良かった」
「それと一つ聞きたいんだけど」

「なんだ?」

「あんた、パパを殺したりしてないわよね?」
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