異世界生活の送り方を間違えている気がする?

香奈恵

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二章 魔族地方

三十九話 定期武器回収

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【三十九話】

「パラダイス?」

心当たりはあるが、別世界から来た人を『パラダイスから来た』と表現するのはどうなんだろう。

「ああ。守護霊の格好が伝えによく似とる上、雰囲気がこの世界のものではない」

よく分かったなこのオバサン。本物だと認めてやるよ。

「ツバキさんパラダイスの人なんですか?」

「だからパラダイスって何だよ」

「宗教にでてくる場所だね、知らないのかい?リッカ教、と名前くらいは聞いたことないか?」

「聞いた事ない。そもそも宗教があったのも知らなかった」

「まあしょうがないだろう」

「それで、その中でパラダイスはどんな所と言われてるんだ?」

「少し待て。その前にその宗教の成り立ちを教えようか、メグリちゃんも知ってるだろう?」

「はい、習いました」

オバサンは木の椅子を引っ張り出してきて俺達に座らせ、本を机に置いて話し始める。

「宗教の成り立ちは遠い昔、この世界にある男が来たことから始まる。その男はその時代に不釣り合いな格好をし、当時の人々は異国者だと思ったようだ」

「その男は名前をリカと名乗り、その当時にない技術を人々に伝えていった。その技術というのが、今の大砲だったり城壁の構造だったり…今のこの街があるのもその男のお陰だと言える」

「あまりにもその技術が素晴らしいものなので、人々は男を『神の使いだ』と崇め始める。そして男の死後、それが宗教化したんだね」

「リカは沢山の教えも記していたからね…一に考えるのは他人の事、持ちすぎた物は分け与えなさい、等それが纏められたのがこの本、だね」

これは前の世界の成り立ちとよく似てるんだな、そいつも転生してきたってことか?

技術からして中世の人だろう。それなら他にも転生してきた奴はいるかもしれない。
転生の条件があるのなら、それは一体何だ?

「それで、リカは『自分は別の世界から来た』と言い始める。その世界の事を『パラダイス』と呼んでいるんだね」

俺のいた世界は決して楽園なんかじゃないがな。
ここで俺は『そうだ俺はパラダイスから来た』と言っていいのだろうか、こいつらなら秘密にしてはくれるだろうが…。

「それで、どうだね?」

「…さあな」

「ツバキさん、パラダイスの人なのです?」

「…」

どう答えればいい? いつか説明しようとは思っていたが、パラダイスから来たとまだ確定はできない。

「それは……」

「答えたくなければいいですよ。でもいつか…話してくれると嬉しいです」

「…ああ」

勘の悪いこいつでも俺に心当たりがある事くらい察したのだろう。
椅子を渡し、オバサンに礼を言って離れる。

「それで、どうします?」

「まず地図が欲しい」

「それなら役場に行きましょうか」
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