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二章 魔族地方
五十一話 カムリと死屍累々
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【五十一話】
天井との距離は5m程だろうか。棚は届かないから使えない。壁の薄い場所はあるのだろうか、棚に埋もれているだけで窓があるのでは?
「…いや、できるか」
今俺には魔法がある。そしてここには大量の材料。手早く天井までの道を作れるはずだ。
木箱が破壊される音と同時に、盾とその他近くにあるものを投げては固定する。
剣を天井へ投げながら急いで作った道を登ってゆく。
ガキの木箱を破壊する音が早くなり、下の方で木箱がどんどん吹っ飛ばされる光景が見えた。
「ひっ…うわぁ」
そして埃の中から矢が飛んできて、空中に固定された盾がそれを弾く。木の板に突き刺さる。
しかし今更止まるわけにもいかない。上の鉄棒を掴み、体を引き上げる。手の上に矢が通っていった。
天井に手が届いた所で、剣を天井にぶつける。少しづつ削れ、穴が空いていくがなかなか通れそうにならない。
「いっ…だあぁっ……!!」
脚に矢が突き刺さり、激痛から足を踏み外す。左手で掴んで落ちるのは防いだが、痛みで剣を振る手が弱まった。
そしてもう一発、脇腹に刺さり、そして左手にも突き刺さる。
「くっっそぉ…いってえ…!!」
歯を食いしばって我慢し、剣を天井に刺して横に振る。亀裂が出来て、少し崩れた。
その隙間に手を入れて体を引き上げる。また矢が脚に刺さる。崩れた場所に体を押し込み、顔を出してから手を出して、隙間から体を引っこ抜く。
「出られた…うおっ!」
屋根は坂になっており、足を滑らせて転がり落ち、地面に体を打ち付ける。
鈍痛を堪えて立ち上がり、矢を抜きながら柵を乗り越え、街を見る。
「嘘だろ…?」
街からは火の手が上がり、崩れた家の上に人がうろつき、灰色の街は煙で覆われて暗かった。
倉庫に入る前は門しか破壊されていなかった。そしてアイツが倉庫に入ってきたのは俺が入ってから数分後。
その間にこれをやったのか…?
瓦礫を踏みながら倉庫から走って遠ざかってゆく。
倉庫の中から爆発音が聞こえ、壁が崩れていった。
天井との距離は5m程だろうか。棚は届かないから使えない。壁の薄い場所はあるのだろうか、棚に埋もれているだけで窓があるのでは?
「…いや、できるか」
今俺には魔法がある。そしてここには大量の材料。手早く天井までの道を作れるはずだ。
木箱が破壊される音と同時に、盾とその他近くにあるものを投げては固定する。
剣を天井へ投げながら急いで作った道を登ってゆく。
ガキの木箱を破壊する音が早くなり、下の方で木箱がどんどん吹っ飛ばされる光景が見えた。
「ひっ…うわぁ」
そして埃の中から矢が飛んできて、空中に固定された盾がそれを弾く。木の板に突き刺さる。
しかし今更止まるわけにもいかない。上の鉄棒を掴み、体を引き上げる。手の上に矢が通っていった。
天井に手が届いた所で、剣を天井にぶつける。少しづつ削れ、穴が空いていくがなかなか通れそうにならない。
「いっ…だあぁっ……!!」
脚に矢が突き刺さり、激痛から足を踏み外す。左手で掴んで落ちるのは防いだが、痛みで剣を振る手が弱まった。
そしてもう一発、脇腹に刺さり、そして左手にも突き刺さる。
「くっっそぉ…いってえ…!!」
歯を食いしばって我慢し、剣を天井に刺して横に振る。亀裂が出来て、少し崩れた。
その隙間に手を入れて体を引き上げる。また矢が脚に刺さる。崩れた場所に体を押し込み、顔を出してから手を出して、隙間から体を引っこ抜く。
「出られた…うおっ!」
屋根は坂になっており、足を滑らせて転がり落ち、地面に体を打ち付ける。
鈍痛を堪えて立ち上がり、矢を抜きながら柵を乗り越え、街を見る。
「嘘だろ…?」
街からは火の手が上がり、崩れた家の上に人がうろつき、灰色の街は煙で覆われて暗かった。
倉庫に入る前は門しか破壊されていなかった。そしてアイツが倉庫に入ってきたのは俺が入ってから数分後。
その間にこれをやったのか…?
瓦礫を踏みながら倉庫から走って遠ざかってゆく。
倉庫の中から爆発音が聞こえ、壁が崩れていった。
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