異世界生活の送り方を間違えている気がする?

香奈恵

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二章 魔族地方

五十話 カムリと死屍累々

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【五十話】

「リン、クルト…お前らどうしてここに」

「買い物で…あ、でも急いでるならいいよ…」

「いやーーーすまないがリン、魔力をくれないか?」

「え、でもツバキ魔法持ってない…」

「いや、ある」

「え…? …わかった」

リンは躊躇いながら俺の手を握る。魔力が入ってくると、全身の血液が熱くなったような感覚がした。

「どれくらい?」

「できれば多く」 

門にまた岩が飛んできて街の建物が破壊される。その音に振り向いたクルトは、俺の方を見た。

「なにが起こってるんですか?」

「俺を追って敵が来てる。詳しく説明する時間はないが、今すぐにこの街を離れろ」

そう言ってリンの腕を振りほどき、走って倉庫へと向かう。後ろからまだ声が聞こえるが、無視をして走り出した。

まだ岩を投げているという事は、門の中には入っていないのだろう。「戦うな」との警告を守っていればいいが。

白い倉庫の周りは鉄柵で囲まれていた。飛び乗って中に入り、どこか窓を探す。
敷地内に人影は無く、警備員もいない。騒動を聞いて門へ向かったのだろうか。

屋根の近くに人が1人入れるくらいの窓があった。剣を使って上り、その窓の中へと体を滑り込ませる。

床に着地して中を見回す。木箱がズラリと並び、幾つも棚がある。
武器の位置は分からないので一つ一つ見て周り、使えそうなものは持っておいた。

「ここを燃やしたら王も大ダメージかもな」

そんな事を考えながら小走りで探す。二階に上がると壁の方に槍が幾つも掛けられているのが見えた。
そしてその周りには盾や弓、剣もあった。

「盾くらいなら使えるかもな…」

カツン、と倉庫内に足音が響く。

…まずい、監視員か? 俺がいる事がバレて無ければいいが。
咄嗟に棚の影に身を隠す。

その足音は二、三歩進んだ後扉を閉める。そしてその後木箱が崩れる音が倉庫内に響き、俺は棚の影から顔を覗かせる。

「…まさか」

監視員が木箱を破壊するはずが無い。
…それに、監視員の影があんなに小さいはずもない。

「…もう、来たのか…?」

街からは破壊音も何も聞こえなかった。いつアイツはここに来て…そして俺の場所が分かったんだ?
やっぱり俺の位置は常に把握されてるんじゃ…。

また足音がする。さっきよりもゆっくりと。そして数歩歩く度に木箱を破壊し、中のものを床へとぶちまける。

今から逃げられるのか?
少しでも音をたててはいけない気がする。いや、そもそも最初っから俺の位置が分かってるなら隠れてても意味がないんじゃないか…?

この壁を破壊するのは時間がかかる。屋根近くの窓の下には何も無いので、登っている間に攻撃されるかもしれない。

「戦っても勝てるわけがない…」

俺一人で相手の集団に突っ込んだからだ。あんな事しなければ、今こんな状況にはならなかったかも知れない。あの時ちゃんと判断していれば…。

…今更言ってもしょうがない。

相手に勝てないんなら逃げる。
絶対に逃げ切ってやる。
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