異世界生活の送り方を間違えている気がする?

香奈恵

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二章 魔族地方

四十九話 カムリと死屍累々

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【四十九話】

「あーくっそイライラする…」

どうしようもない状況がこれ程までに辛いとは。なす術もなく逃げているのがこれ程までに悔しいとは。

あいつは人間を襲うのか? 俺だけを狙っているのだとしたら被害は防げるが、俺の命が危うい。
あいつは人間型の上、子供だ。人間は警戒しないだろう。

まだ後ろの通路が破壊された音はしない。まだ通路の中に居るのだろう。

しかし出てくるのも時間の問題、今は距離を稼ぐのと隠れる事が第一だ。

「正面から戦っても勝ち目ないよな…」

正面には踏み固められた道が見え、その先には街の門が見える。
耳と目であいつが追ってくるのなら街は好都合。少し休んでからまた逃げるのを再開するか。

後ろを一度振り返り、塞がっているのを確認してから門へと走る。
門番がこちらを見て、門の前を塞ぐ。そして槍を構え、俺に言う。

「どこから来た!」

「……シルクレンだ」

咄嗟に嘘をつく。魔王城等とは言えない。

「証明書は?」

「そんなの必要なのか、今は急いでる」

「それはできない、ここは王国が抱える倉庫がある」

「盗みに来たわけじゃない」

「出来ないと言っている」

「だから…」

突然木の門に大岩が飛んできて、大きな音を立てながら門が崩れた。砂埃が舞い、門の内側で悲鳴が聞こえる。

「なんだっ!?」

「もう来たのかよ…!!」

突然の出来事に驚いた門番は岩の方へ駆け寄っていく。その内に俺は門の隙間から内側へと入る。

「おい、貴様!」

「いいかお前ら! 今から来る子供と戦おうとするなよ、今すぐにでも逃げろ!」

「おい!!」

門番の声を無視して街中へと入る。大岩の前には人が集まり、下敷きになった人を救出しようとしている。

「まずいな、早くここから出ないと」

かと言って引き返すと鉢合わせる可能性がある。反対側の門まで走って、そこから逃げないと。

フードを被って街中を走ると、人は怪しそうにこちらを見る。泥棒だと思った店の店主が身を乗り出す。

街の奥には大きな白い石で出来た建物が見える。あれが倉庫だろうか?

後ろでまた大きな音と悲鳴が聞こえた。
門にもう一発大岩が当たり、近くにいた人を潰したようだ。

人の街だからって容赦ないな…これじゃあ俺が出てっても攻撃を止めないんじゃないのか?

「そうだ、倉庫…」

倉庫の中なら隠れる事できるかもしれないし、使える武器もあるかも知れない。この混乱に乗じて上手く入れればいいのだが。

さっきよりもスピードを上げて走ろうとすると、急に袖を引っ張られた。バランスを崩して転びそうになる。

「誰だよっ…急いでんだ!」

そう言って振り向くと、見覚えのある顔が2人いた。袖を握っているのは小さい方。

「ツバキ…?」

リンがフードの下の顔を覗き込み、目が合うと少し照れ臭そうに下を向く。
クルトが後ろで軽く頭を下げ、微笑んだ。
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