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01 - 一学年 二学期 夏 -
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しおりを挟む「大倉くん、好きです!」
「………」
そいつは、大阪から来た転校生で、転校初日に告白されてた。
いや、覗いてたわけじゃないよ?たまたま。たまたま俺が居た場所にそいつらが来ただけ。
出て行こうにも出口付近で告白始まっちゃって出るに出れなくなっただけ。
「めんどくせぇ…」
早くどっか行ってくんないかなぁ…めんどくさいなぁ、この状況…なんて思いながら真っ青な空を眺める。
夏休みが終わって、2学期が始まった。
始まってすぐに転校生として、今告白されてた大倉が来た。因みに同じクラス。
見た目はイケメン。性格は知らない。
だって、今日転校してきたばっかだから。話もしてないし、挨拶も教室に入ってきた時にしたのしか知らない。
「はぁ…」
「…誰かおるん?」
「、ぇ」
大倉に告白した子はもうとっくに居なくなってて、あとは大倉がいなくなってくれたら終わりなのに、なかなか動かなくて。
まじでめんどくせぇ…て思いながら空を見たままため息ついてたら、声がした。大倉の。
「誰かおるん?」
「………」
えーっと…バレてる?これ、バレてるの?出ていった方がいい?それとも無視しても平気な感じ?どっち?
内心焦る。めちゃくちゃ焦る。
いたことは確かに申し訳ないと思うけど、こんなところに来るとは思わないじゃん。
しかも始業式の日に。
ここ、俺の隠れ場所なのに。
「…はぁ、」
多分、ずっと居ても埒が明かないから行くしかないか…。
あー…めんどくさい。
「…よ、」
「………」
仕方なく、大倉の前に出て行ったら、めちゃくちゃ不審な顔された。
いや。いやいやいやいや。そんな顔されても!
俺だって別に、お前たちの告白なんか見たくなかったよ?!
てか、そっちがここに来たんじゃん!
「あー…と、」
「…誰やっけ」
「え?」
「誰やっけ」ってなんだ。え、いやまぁ…1日でクラスメイト覚えるとか無理だよな…俺も無理だもん。わかる。わかるけどさ、その言い方はないんじゃない?
「えー、と…一応同じクラス、みたいな?」
「…そう」
「うん。あー…相澤 航です」
「…大倉 太史です」
「よ、よろしく…」
「…うん」
これが、初めて大倉と話した会話。
この時はまだ、そこまで仲良くはなかった。
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