アネモネ

ぱる@あいけん風ねこ

文字の大きさ
11 / 79
03 - 一学年 二学期 冬 -

01

しおりを挟む


さっっっっむい!!
流石12月、流石師走。

学園祭が終わって2週間。
季節はどっと冬になった。
雪は降らなさそうだけど、空はずっと曇ってる。スッキリしない。
そして、ここ屋上の隠れスポットは、最高に寒い。でもやっぱここに来ちゃう。




「あー…さみぃ…」




ズビって鼻啜りながらここに居る意味は多分ない。
ないけど、ここに居たい。
特に何かあった訳でもなく、ただ何となくここに居たい。落ち着く場所。




学園祭は、うちのクラスが売り上げ1位を獲得して、真琴がすげー喜んでた。
「これも全て大倉くんのおかげだね!」て言ってたけど、大倉は「みんなも頑張ったからやろ」って言って、自分だけの手柄とは思ってなかった。
そう言うとこ、良いよなって思う。


俺は、あの学園祭で大倉と少し過ごして、何故か中学の頃を良く思い出してた。
大倉がいたら楽しかったのかな、とか大倉と出会ってたら何か変わったのかなとか。
そんな事考えたって当時の事は変わらないのに。


中学の時、何で俺はいじめまがいな事をされたんだっけ。
何がきっかけだった?…いや、思い出したくもない。
ほんの些細な事だったんだ。
それで標的が俺になって。

別に思い出したくもなかったけど、何故か考えちゃう。
寒いせいかな。師走のせいかな。12月だからかな。
少しだけ、気分が落ちる。




「相澤おる?」
「…え?」
「あ、いた」
「…大倉。どした?」




柵に背中預けてぼーっと空見てたら目の前にイケメン。大倉が居た。
今日もイケメンだ。羨ましい。

 


「寒くないん?」
「ん?寒いよ?」
「寒いのにここ居るん?」
「ん?うん」
「…よく分からへん」
「あはっ。俺も」
「…ふはっ」




大倉は、最近よく笑うようになった。
最初の頃の澄ました顔もしてるけど、俺とか真琴の前では笑うようになった。
あと、クラスの奴らとも話すようになった。
多分、学園祭のおかげ。あれのおかげで、一致団結したと言うか、大倉ありがとう!の気持ちがみんな強くて、それで話してみたら普通じゃん!みたいな感じ?良い事だ。




「で、なに?」
「あ、うん。笠井くんが探してた」
「……なんで?」
「期末テストの結果教えてもらってないって」
「…あ、忘れてた」
「んふっ。忘れてやるなや」




学園祭の次の週に、期末テストがあって、今回は真琴に加えて大倉にも教えてもらった。
そのおかげか、赤点なし!補習なし!だった。ま、ギリギリだったけど。




「赤点あったん?」
「なかった!大倉ありがとな!」
「そっか。よかったな」
「うん!」
「じゃあ、笠井くんに教えてあげな」
「だな!」




いやぁ、持つべきものは友だよな。
真琴は、理数系が得意だからそっちの方を教わって、大倉にはそれ以外を教わった。
ほんと、助かった。



色々と他愛もない会話しながら、大倉と共に教室に戻ってる途中で、数名の女子に囲まれた。何故。




「あ、あの!大倉くん!」
「はい?」
「あの…」
「なに?」




…あー、告白か。告白したいのか。そっか。うん、俺邪魔だよね。

大倉に声かけた女子がソワソワしながら俺の事チラチラ見てて、多分心の中で「この人邪魔だな」って思ってるんだろうなって目で見て来てて、ちょっと申し訳なくなる。




「あー、大倉。俺先教室行ってるから」
「え?いや、ええよ」
「は?」




そそくさと教室に行こうとしたら、何故か大倉に腕掴まれて動けなくなった。何故(リターンズ)。

そんな大倉の行動に、「え?」って顔してる女子。
それ、俺も同じ。俺も「え?」って顔してる、確実に。




「話あるならここで聞くから」
「いやっ、あの…っ!」
「ここで話せへんのなら、俺らもう行く」
「えっと…あの…ま、また今度でいいですっ、すみません!」




その女子は、顔真っ赤にして走り去った。多分その子の付き添いで来てた子達も、慌てたように走り去った子を追いかけて行った。




「ちょ、大倉!」
「なん?」
「なん?じゃなくて!あれ、絶対告白じゃん!」
「やろうね」
「は?分かっててあの態度?」
「…もうめんどいねん」
「あー…」




いや、うん。確かに、引っ切り無しに呼び出されて、告白されるのはめんどいとは思う。羨ましいけど。
でもだからって、その断りに俺いらなくないから?
たまたま一緒に居たけど、俺が先に教室行くだけで良かった気もするんだけど…。




「それに」
「え?」
「…それに、あの子相澤の事睨んでたから」
「は?睨んでた?」
「うん」




大倉曰く、大倉に告白してきた子が、俺の事睨んでて、それにちょっと腹立ったと。
用があって呼び止めたにも関わらず、睨むとかあり得ないって、なんか怒ってる。
いや、怒られても…俺は、その睨んでるが分かんなかったし…確かにチラチラ見られて邪魔だと思ってるんだろうなぁとは感じてたけど…あれ、睨んでたのかな?よく分かんない。



結局そのまま教室に戻って、真琴にテストのこと報告して、次の授業の準備をした。

正直、大倉の怒りの沸点がよく分かんない。
分かんないけど、少しだけ友達として大事にされてるのかな?とか思ったら、気分は悪くなかった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

死ぬほど嫌いな上司と付き合いました

三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。 皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。 涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥ 上司×部下BL

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

俺の婚約者は小さな王子さま?!

大和 柊霞
BL
「私の婚約者になってくれますか?」 そう言い放ったのはこの国の王子さま?! 同性婚の認められるパミュロン王国で次期国王候補の第1王子アルミスから婚約を求められたのは、公爵家三男のカイルア。公爵家でありながら、長男のように頭脳明晰でもなければ次男のように多才でもないカイルアは自由気ままに生きてかれこれ22年。 今の暮らしは性に合っているし、何不自由ない!人生は穏やかに過ごすべきだ!と思っていたのに、まさか10歳の王子に婚約を申し込まれてしまったのだ。 「年の差12歳なんてありえない!」 初めはそんな事を考えていたカイルアだったがアルミス王子と過ごすうちに少しづつ考えが変わっていき……。 頑張り屋のアルミス王子と、諦め系自由人のカイルアが織り成す救済BL

告白ごっこ

みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。 ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。 更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。 テンプレの罰ゲーム告白ものです。 表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました! ムーンライトノベルズでも同時公開。

人の噂は蜜の味

たかさき
BL
罰ゲームがきっかけで付き合うフリをする事になったチャラい深見と眼鏡の塔野の話。

強面若頭は、懐っこいナースの献身に抗えない ―極道、はじめての恋を処方される―

たら昆布
BL
ウブで堅物な極道若頭×明るいわんこ系看護師

【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。

或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。 自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい! そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。 瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。 圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって…… ̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶ 【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ 番外編、牛歩更新です🙇‍♀️ ※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。 少しですが百合要素があります。 ☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました! 第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!

義兄が溺愛してきます

ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。 その翌日からだ。 義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。 翔は恋に好意を寄せているのだった。 本人はその事を知るよしもない。 その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。 成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。 翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。 すれ違う思いは交わるのか─────。

処理中です...