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シュマギナール皇国編
36 *
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「げ、せぬ…アロンダート、お前は本当に初めてか…」
「お恥ずかしいながら。…褒め言葉として受け取っても?」
「う…、それは少しだけ腹が立つな。言わぬ。」
ふてくされたような顔で、サジが顔を背ける。こういった甘やかな空気に慣れていない分、サジはどういう顔をしていいかわからないのだ。
アロンダートは、まるでこの世でたった一つのものに向けるような、そんな熱のこもった視線でサジを見てくる。もっとわかりやすく、雄臭い欲だけを向けてくれれば、サジだって平常を保っていられたに違いない。それなのに、今まで向けられた視線とはまた違った色味を持つそれを身で受け止めるには余りある。要するに、サジは今照れていたのだ。
そして、そんなわかりにくい恥じらいをきちんと受け止めたアロンダートはというと、触れることを許されたこの僥倖を逃しはせぬと、彼自身なりの雄を滲ませているのだが、いかんせんサジには伝わっていなかった。
しかしその手練手管は実に卓越しており、次はどうしてやろうかと言った好奇心がそうさせるのか。実にアロンダートは飲み込みが早く、そしてまた巧みだった。
「近い、」
「触れるのを許してくださったのは、貴方のはず。」
「う。」
鼻先を寄せ、そっと頬に口付けられたのがよほど気恥ずかしかったらしい。たおやかな手のひらによるささやかな反抗を、アロンダートは唇で受け止める。可愛い人だなと素直に思った。
こうして誘ってくるほど、経験はあるのだろう。その事実は素直に悔しかったが、アロンダートはそれでも良かった。今だけこの人は、自分だけのものなのだとわかっていたからだ。
「ん、いいぞ…」
額を重ね、その濡れた視線をゆっくりと絡める。角度を変え、その唇に己のそれを重ねると、アロンダートは答えるようにして、ゆっくりとサジの唇に舌を這わせる。
ウル、と喉奥から獣じみた声が漏れた。少しだけ、本能が前に出てしまっている。自覚をしても今更止められるわけもない、アロンダートはそのままサジの細くしなやかな足を抱え上げるために、膝裏に手を添えた。
己の目の前で、美しい人がその体をベットの上に投げ出している。白く、陶器のように肌理細やかな素肌は、腰回りが引き締まっている。男の体を組み敷いているはずなのに、その線の柔らかさに勘違いしそうになった。
アンドロギュノスのようだなと思う。それは、サジが耳にすれば噴飯するに違いないことであるのは確かだ。
足の間に腰を進めると、片方を肩にかけて膝に口付ける。サジは何をやっても様になる、そんなアロンダートの様子を見つめながら、少しだけ胸を鳴かせる。年下にそんな気持ちになるだなんてと、サジは癪だと言わんばかりに顔を背けた。
己の足の間、勃ち上がった自身の性器と重なり合うようにして、アロンダートの性器が触れ合う。サジはその逞しさにこくりと喉を鳴らすと、その手のひらでアロンダートの性器に触れ、誘導するかのようにその先端を蕾に押し付けた。
「っ、ゆっくりだ…できるな?」
「はい、…ですが、少しばかし緊張します。」
悩ましげに顔を歪めたまま、アロンダートは吐息を漏らす様に小さく呟く。分かりやすくじわりと顔を赤らめる様子に、サジは小さく吹き出した。
これから童貞を捨てるというのに、気持ちが急くのではなく緊張をするというとは。
どんな場面でも冷静に努めようとする気概は実に王族らしいといえばそうなのだが、サジの手によって押し付けられた先端へ、その蕾が懐くように吸いつく度に、ヒクリと腰を跳ねさせて怖気づくのは少しばかし面白い。
「食い千切ったりはせん。ほら、アロンダート。」
「…はい、っ…ぁ、…」
「ふ、…っ…」
桜貝のような爪が彩る指先が、己の先走りで濡れている。その視覚的情報だけでもアロンダートは達してしまいそうになる。
招かれるように飲み込まれた先端は、滑りをまとった柔らかい肉によって、ゆっくりと包まれていく。にゅぷ、と先端を飲み込んだサジの蕾が吸い付くようにして幹を刺激する。まるで、溶けてしまいそうな強い快感に、アロンダートは腰を震わせた。
「ぅあ、…っ」
サジの胎は、極上だった。あえかな吐息を漏らし、小さく身を震わしながら太いアロンダートの性器を腹に収めたサジは、その薄い腹を刺激でわずかに痙攣させていた。その震えに合わせるように、媚肉が蠢き小さな嬌声が漏れるのだ。
「あ、ぁ…っ、ンン、ん…ぁ、っ…」
「サ、ジ…さま、っ…これ、は…っ、」
「ン…ふふ、っ…ぁ、きも、ちい…だろう、っ…」
ざわ、と全身に甘い痺れが駆け抜ける。アロンダートの琥珀の瞳がきゅる、と猛禽の瞳に変わった。理性が千切れそうなくらいに興奮している証を、サジだけに見せつける。
「ふふ、っ…アロンダートよ、…本性が滲んでいる、ぞ…」
「あ、あ、っ…く、すみま、せ…」
クルル、と喉奥から小鳥が親鳥に甘えるような声を漏らすアロンダートへと、サジが細い腕を伸ばした。その逞しい背中に腕を回すと、引き寄せるかのように、ゆっくりと抱きしめる。
鍛えられた背中を、宥めるように優しく撫でられる。頬同士を重ねるように馴染むのを待てば、サジはその唇で頬をなぞるようにして、アロンダートの唇へと口付けを落とした。
「すみ、ません…」
「堪え性のないやつだ。」
ゆっくりと唇が離れる。火傷しそうな視線に捉えられたまま見つめかえしたサジが、感じいった表情で柔らかく微笑んだ。
アロンダートの髪を梳くサジの手のひらに、羽が触れる。豊かな黒髪に、漆黒の羽が交じるほどまで理性を揺るがしたらしい。その瞳孔は獣のように細められ、微かに伸びた八重歯を見せつけるように荒い呼吸を繰り返す。
サジを見下ろしたアロンダートが、苦しげな表情で喘ぐように宣う。
「サジ、様…もう、抗えない…!!」
「ん、っ…!」
サジの一呼吸を奪うかのように、アロンダートは深く口付けた。そして、その獰猛な欲を受け止めるかのようにサジの腕が己の体を引き寄せる。それを待っていたかのように、アロンダートは深くサジの胎内へと侵入を果たした。
室内に、濡れた音が響く。いくら防音代わりに空間遮蔽の術をかけているからといっても、もし聞こえていたらと思うと、少しばかし恥ずかしい。そう思うくらいには、サジは大いに乱れていた。
「あ、あっ!ぁ、や、やだぁッや、めっ、」
「やめない、っ…あなた、が…求めたのだから…。」
「んっ、ふァ、あろ、ん…ひぅ、っ!そ、そこいやだ、ぁ、あっおかじ、ぐなるっ…!」
「なりませぬ、っ…どうぞ、すきな…ように…!」
「あーっ、ぁア、あ、あ、あっ、い、やだ、ぁっ!じぬ、っ…おなか、っ…も、ぎもち、ぃ…のや、ぁあっ!」
首筋や肩口の柔らかい部分を、幾つもの歯形が彩りを添えている。アロンダートが興奮のままに齧り付いたその刺激の一つでさえもサジの射精を促すのだから、始末におえない。
大きな体で組み敷いて腕の中にサジという雌を閉じ込める。アロンダートは雄としての征服欲を満たしながら、激しくサジを求める。
胎の中を幾度となく往復する。その逞しい性器によって、サジの余裕はすでになくなっていた。
「ぁ、ろん…だぁ、と…っ…も、ばか、に…なっひゃ、ぅ…」
「ここはまだ、精を出してはくださらぬのですね…」
「や、ちが…っ、これは、っ…」
節張った男らしい指先が、サジの性器に絡みつく。濡れた先端は何度も精を撒き散らし、もうすでに透明へと変わっていた。
眉を下げるアロンダートを前に、気持ち良すぎるから出るんだよ!と、そう叫びたいのに、アロンダートが潮を撒き散らしたサジの性器を握りしめて擦るから、再びサジは中と外の激しい刺激に泣かされるはめになる。
「んやぁ、あー!!やめ、っも…でひゃ、たから、ぁっ、ん、ん、ふっ…ぅあ、あー‥」
「構いません、粗相をされても…愛くるしい…」
「こ、の…ばかぁ、ぁっ、ゃ、やら、もぅしぬ、っ…イぐの、ゃだ、ぁ、あっ!」
サジの腰回りのシーツはすでに使い物にならないくらいに濡れていた。ぱちゃ、と水音を立てながら、ガツガツと揺さぶられるのだ。ベットのシーツが何で濡れているかなんて、想像したくもない。
サジはアロンダートの腹によって、押さえつけられるように摩擦される己の性器からはしたなく漏らしながら、そんなことを思った。
鉤爪によって引きちぎられた枕の羽毛なのかわからないが、室内はふわふわした羽が舞っていた。アロンダートは腰から二本目の腕を顕現させると、細腰を鷲掴む。もう一対の腕はというと、サジの手のひらを開くようにして指を絡めながら、ベットシーツに縫いとめていた。
腹の奥深く、入れてはいけないであろう所まで深く性器を押し込まれる。快楽が好きなサジが、もう嫌だ、やめて、おしまいにしてと懇願する位には、その体を貪り、激しく交わった。
「んぁ、あも、もう、やめ…アロンダート、っ…」
「なりません、貴方が達するまでは離したくはない。」
「イ、ったぁ…から、あっ…こ、れは…しお…っ!」
「しお?すみません、あまり良くわからない…精液とは違うのですか?」
「ひぅ、うー‥ッ、や、やめぇ、そ、そこはぁ、ぁ、あ!」
「サジ様、教えて下さい。」
「いや、だ…っ、いやぁ、あ、ばか、ものぉ、おっ!」
まさかあの侍従共はこういった知識すら教えてこなかったのか。快感に溺れる中、好奇心のままに体を求めるアロンダートを受け止めながら、心のなかで悪態を吐く。アロンダートの性器はぴたりとサジの中に収まり、緩い緩いと言われてきた自身の蕾で飲み込むのにも苦労するほどの大きさだ。
胸の突起は散々に弄られた。他人の性器を握る機会もなかったためか、興味深いと言われて性器も散々に攻められた。
こんなに出し尽くして、小便も漏らし、もう身を投げだして天井を見上げているだけのサジを前にしてもまだ射精をしない。散々に腹の中で膨らませているのにだ。
「アロン、ダート…イけ、も…頼むから、っ…」
「ですが、…まだ乱れる貴方を見ていたい…」
「絶倫め、サジは…も、つかれた…っ、」
ウル、クルル、と喉奥を鳴らしながら甘えてくる。激しく好みを求めておきながら、歳下を急に出してくるのだ。そんなことをされるとサジだって堪らない。だけどこれ以上は身体がもたないのも事実だった。
サジは震える手でアロンダートの頭をよしよしと撫でてやると、そっと口付けて宣う。
「出せ、サジの中に…全てをよこすがいい。」
「っ、しかし…」
「男、の交わりでは…っ、子は孕まぬ。…安心するが良い…。」
「…そんなことは、わかっておりますとも。」
サジの言葉に、馬鹿にするなといわんばかりにアロンダートが眉を寄せる。しかし、孕ませるつもりはなかったのかと問われたら、すぐに違うとも言い切れない。そんな、アロンダートの心理を指摘されたかのようで、少しだけ気恥ずかしい。
サジは、そんな照れ臭そうなアロンダートの表情が可愛くて、その引き締まった腰を引き寄せるかのようにして足を絡ませる。
少しだけ尖ったアロンダートの耳を、舌で舐めあげる。飾羽まで出るほど興奮しているのに、今更我慢などするなと思った。
「う、あ…!」
ずち、と先端が奥に押し当てられる。もうこれ以上入らないというのに、ぐいぐいと中のいいところをすべて擦りながら押し上げられる。全身の神経が震えたかと思うほど、敏感になる。
体全体で押さえつけられるように、腰を振り下ろされるのだ。その度に、サジはアロンダートの腹を汚す。
気持ちいい、死ぬ、死んでしまう。ゆだった頭では思考もままならぬ、虚な瞳でただ揺れる天井を見上げていた。ただわかるのは、アロンダートの太腿に乗せられた自身の脚が、律動に合わせてぷらぷらと揺れているということ。
「ぁ、あっい、イぐ、っ!あ、ああっ、イっちゃ、ぁ、あろん、だぁ…どっ…も、いぐ…あ、ァ!」
「ぐ、ッ…サジ、…さ、ァ…っ、ーーっ、」
腹の奥から、全身へと刺激が波紋を広げるように広がった。経験した音もないような鋭い快楽が少しだけ怖くて、サジはその背に取り縋るように爪をたてた。
アロンダートは、まるで腹に抱えるように抱き込みながら、一際強く腰を打ちつける。張り詰めた性器をごちんと結腸に捩じ込むと、サジの奥深くで噴き出すようにして射精をした。
「ふぁ、っ…あ、あ…っ、」
こぷ、と、入り切らなかった精液が蕾から溢れる。
サジの白い肌は薔薇色に染まり、薄い胸は上下する度、ひくり、ひくりと身を震わせる。
アロンダートは、己の組み敷いた美しい人が悩ましげに快感を追いかける様子を、熱のこもった瞳で見つめた。
ぽたりと一粒汗が落ちる。そのかすかな刺激でさえ、余韻に浸るサジには毒だ。
「サジ、さま…」
「ひぁ、っ…え、もう…や、ら…はいら、ぬ…ゆらすな、ぁんっ…」
にちゅ、ぶぷっ、と耳を塞ぎたくなるようなはしたない音を立てながら、アロンダートは熱い胎内の収縮を楽しむように腰を揺らす。熱に侵されたサジの小さな抵抗は、ゆるゆると首を横に振ることでしか見せられない。指先の末端まで、痺れて動かないのだ。身を投げ出すという本当の意味を理解した気がする。
「貴方は、寝ているだけで結構。」
「へ、あ…う、うそだろう…」
「実地指導なのでしょう。ならば、確認が必要かと。」
「よ、よい…も、必要な…っ」
その先の言葉を言わせるつもりも無いとばかりに、アロンダートはサジの唇を塞ぐ。
サジは宥めるようにその枯葉色の髪を撫でられながら、絡みつく熱い舌によってアロンダートの唾液を嚥下させられる。相性は口付けでわかるという。そんなもの眉唾物かと思っていたが、アロンダートとの口付けは酩酊感を伴う。
あんなに嫌だった恋人のような甘やかな戯れも、目の前の男に対しては嫌悪感すらない事に戸惑ってしまうくありいには、サジはその身の主導権を無意識下でアロンダートに任せてしまっていた。
きゅんきゅんと腹の奥が疼いてしまう。熱った体を引き寄せるように、獣の腕がサジの足を持ち上げた。
部分的に本性が出ている事に、気が付いているのだろうか。サジはそんなことを思いながら、答えるかのようにアロンダートの羽混じりの黒髪を無でる。
「ん、んふ…ぁ、…っ!」
「口付けも、…こんなにも心地良いものなのですね…」
口の中を歯列をなぞりながら口内を侵す舌も、甘い唾液も全てが気持ちいい。サジは口端から飲みきれなかった唾液を伝わせながら、強請るように唇を追いかけた。
「ん、っ…もっとだ、アロンダート…サジが欲張りだということを、教えてやる。」
「…貴方は可愛らしい。こうして僕を溺れさせて、本当に悪い人だ。」
サジの様子に、アロンダートの瞳の奥に再び熱が灯る。ウルルと甘えるような音を喉奥から零しながら、その華奢な体を再び己の腕の内側へと閉じ込める。
「まだ、足りませぬ。」
琥珀色の瞳が、完全に金色へと変わる。寄越せといったのは唇なのに。
サジは自分が煽ったせいで火がついたアロンダートに、今更そうじゃないとは言えなかった。
「の、のぞむところだ…」
声が少しだけ震えたのは許してほしい。今まで性に奔放だった自分が、先ほど童貞を捨てたばかりの若い雄に屈服させられてたまるかという、しょうもない矜持も少しばかしはある。
しかし、サジは産まれて初めて、抱かれ殺されたらどうしようと思うくらいには、アロンダートの性欲の強さに身震いをした。しかし、煽ったのがこちらの為、文句も言えないのは事実である。
夜はまだ長い、労るような口付けも、サジにとっては食われる前の戯れにしか見えなかった。
「お恥ずかしいながら。…褒め言葉として受け取っても?」
「う…、それは少しだけ腹が立つな。言わぬ。」
ふてくされたような顔で、サジが顔を背ける。こういった甘やかな空気に慣れていない分、サジはどういう顔をしていいかわからないのだ。
アロンダートは、まるでこの世でたった一つのものに向けるような、そんな熱のこもった視線でサジを見てくる。もっとわかりやすく、雄臭い欲だけを向けてくれれば、サジだって平常を保っていられたに違いない。それなのに、今まで向けられた視線とはまた違った色味を持つそれを身で受け止めるには余りある。要するに、サジは今照れていたのだ。
そして、そんなわかりにくい恥じらいをきちんと受け止めたアロンダートはというと、触れることを許されたこの僥倖を逃しはせぬと、彼自身なりの雄を滲ませているのだが、いかんせんサジには伝わっていなかった。
しかしその手練手管は実に卓越しており、次はどうしてやろうかと言った好奇心がそうさせるのか。実にアロンダートは飲み込みが早く、そしてまた巧みだった。
「近い、」
「触れるのを許してくださったのは、貴方のはず。」
「う。」
鼻先を寄せ、そっと頬に口付けられたのがよほど気恥ずかしかったらしい。たおやかな手のひらによるささやかな反抗を、アロンダートは唇で受け止める。可愛い人だなと素直に思った。
こうして誘ってくるほど、経験はあるのだろう。その事実は素直に悔しかったが、アロンダートはそれでも良かった。今だけこの人は、自分だけのものなのだとわかっていたからだ。
「ん、いいぞ…」
額を重ね、その濡れた視線をゆっくりと絡める。角度を変え、その唇に己のそれを重ねると、アロンダートは答えるようにして、ゆっくりとサジの唇に舌を這わせる。
ウル、と喉奥から獣じみた声が漏れた。少しだけ、本能が前に出てしまっている。自覚をしても今更止められるわけもない、アロンダートはそのままサジの細くしなやかな足を抱え上げるために、膝裏に手を添えた。
己の目の前で、美しい人がその体をベットの上に投げ出している。白く、陶器のように肌理細やかな素肌は、腰回りが引き締まっている。男の体を組み敷いているはずなのに、その線の柔らかさに勘違いしそうになった。
アンドロギュノスのようだなと思う。それは、サジが耳にすれば噴飯するに違いないことであるのは確かだ。
足の間に腰を進めると、片方を肩にかけて膝に口付ける。サジは何をやっても様になる、そんなアロンダートの様子を見つめながら、少しだけ胸を鳴かせる。年下にそんな気持ちになるだなんてと、サジは癪だと言わんばかりに顔を背けた。
己の足の間、勃ち上がった自身の性器と重なり合うようにして、アロンダートの性器が触れ合う。サジはその逞しさにこくりと喉を鳴らすと、その手のひらでアロンダートの性器に触れ、誘導するかのようにその先端を蕾に押し付けた。
「っ、ゆっくりだ…できるな?」
「はい、…ですが、少しばかし緊張します。」
悩ましげに顔を歪めたまま、アロンダートは吐息を漏らす様に小さく呟く。分かりやすくじわりと顔を赤らめる様子に、サジは小さく吹き出した。
これから童貞を捨てるというのに、気持ちが急くのではなく緊張をするというとは。
どんな場面でも冷静に努めようとする気概は実に王族らしいといえばそうなのだが、サジの手によって押し付けられた先端へ、その蕾が懐くように吸いつく度に、ヒクリと腰を跳ねさせて怖気づくのは少しばかし面白い。
「食い千切ったりはせん。ほら、アロンダート。」
「…はい、っ…ぁ、…」
「ふ、…っ…」
桜貝のような爪が彩る指先が、己の先走りで濡れている。その視覚的情報だけでもアロンダートは達してしまいそうになる。
招かれるように飲み込まれた先端は、滑りをまとった柔らかい肉によって、ゆっくりと包まれていく。にゅぷ、と先端を飲み込んだサジの蕾が吸い付くようにして幹を刺激する。まるで、溶けてしまいそうな強い快感に、アロンダートは腰を震わせた。
「ぅあ、…っ」
サジの胎は、極上だった。あえかな吐息を漏らし、小さく身を震わしながら太いアロンダートの性器を腹に収めたサジは、その薄い腹を刺激でわずかに痙攣させていた。その震えに合わせるように、媚肉が蠢き小さな嬌声が漏れるのだ。
「あ、ぁ…っ、ンン、ん…ぁ、っ…」
「サ、ジ…さま、っ…これ、は…っ、」
「ン…ふふ、っ…ぁ、きも、ちい…だろう、っ…」
ざわ、と全身に甘い痺れが駆け抜ける。アロンダートの琥珀の瞳がきゅる、と猛禽の瞳に変わった。理性が千切れそうなくらいに興奮している証を、サジだけに見せつける。
「ふふ、っ…アロンダートよ、…本性が滲んでいる、ぞ…」
「あ、あ、っ…く、すみま、せ…」
クルル、と喉奥から小鳥が親鳥に甘えるような声を漏らすアロンダートへと、サジが細い腕を伸ばした。その逞しい背中に腕を回すと、引き寄せるかのように、ゆっくりと抱きしめる。
鍛えられた背中を、宥めるように優しく撫でられる。頬同士を重ねるように馴染むのを待てば、サジはその唇で頬をなぞるようにして、アロンダートの唇へと口付けを落とした。
「すみ、ません…」
「堪え性のないやつだ。」
ゆっくりと唇が離れる。火傷しそうな視線に捉えられたまま見つめかえしたサジが、感じいった表情で柔らかく微笑んだ。
アロンダートの髪を梳くサジの手のひらに、羽が触れる。豊かな黒髪に、漆黒の羽が交じるほどまで理性を揺るがしたらしい。その瞳孔は獣のように細められ、微かに伸びた八重歯を見せつけるように荒い呼吸を繰り返す。
サジを見下ろしたアロンダートが、苦しげな表情で喘ぐように宣う。
「サジ、様…もう、抗えない…!!」
「ん、っ…!」
サジの一呼吸を奪うかのように、アロンダートは深く口付けた。そして、その獰猛な欲を受け止めるかのようにサジの腕が己の体を引き寄せる。それを待っていたかのように、アロンダートは深くサジの胎内へと侵入を果たした。
室内に、濡れた音が響く。いくら防音代わりに空間遮蔽の術をかけているからといっても、もし聞こえていたらと思うと、少しばかし恥ずかしい。そう思うくらいには、サジは大いに乱れていた。
「あ、あっ!ぁ、や、やだぁッや、めっ、」
「やめない、っ…あなた、が…求めたのだから…。」
「んっ、ふァ、あろ、ん…ひぅ、っ!そ、そこいやだ、ぁ、あっおかじ、ぐなるっ…!」
「なりませぬ、っ…どうぞ、すきな…ように…!」
「あーっ、ぁア、あ、あ、あっ、い、やだ、ぁっ!じぬ、っ…おなか、っ…も、ぎもち、ぃ…のや、ぁあっ!」
首筋や肩口の柔らかい部分を、幾つもの歯形が彩りを添えている。アロンダートが興奮のままに齧り付いたその刺激の一つでさえもサジの射精を促すのだから、始末におえない。
大きな体で組み敷いて腕の中にサジという雌を閉じ込める。アロンダートは雄としての征服欲を満たしながら、激しくサジを求める。
胎の中を幾度となく往復する。その逞しい性器によって、サジの余裕はすでになくなっていた。
「ぁ、ろん…だぁ、と…っ…も、ばか、に…なっひゃ、ぅ…」
「ここはまだ、精を出してはくださらぬのですね…」
「や、ちが…っ、これは、っ…」
節張った男らしい指先が、サジの性器に絡みつく。濡れた先端は何度も精を撒き散らし、もうすでに透明へと変わっていた。
眉を下げるアロンダートを前に、気持ち良すぎるから出るんだよ!と、そう叫びたいのに、アロンダートが潮を撒き散らしたサジの性器を握りしめて擦るから、再びサジは中と外の激しい刺激に泣かされるはめになる。
「んやぁ、あー!!やめ、っも…でひゃ、たから、ぁっ、ん、ん、ふっ…ぅあ、あー‥」
「構いません、粗相をされても…愛くるしい…」
「こ、の…ばかぁ、ぁっ、ゃ、やら、もぅしぬ、っ…イぐの、ゃだ、ぁ、あっ!」
サジの腰回りのシーツはすでに使い物にならないくらいに濡れていた。ぱちゃ、と水音を立てながら、ガツガツと揺さぶられるのだ。ベットのシーツが何で濡れているかなんて、想像したくもない。
サジはアロンダートの腹によって、押さえつけられるように摩擦される己の性器からはしたなく漏らしながら、そんなことを思った。
鉤爪によって引きちぎられた枕の羽毛なのかわからないが、室内はふわふわした羽が舞っていた。アロンダートは腰から二本目の腕を顕現させると、細腰を鷲掴む。もう一対の腕はというと、サジの手のひらを開くようにして指を絡めながら、ベットシーツに縫いとめていた。
腹の奥深く、入れてはいけないであろう所まで深く性器を押し込まれる。快楽が好きなサジが、もう嫌だ、やめて、おしまいにしてと懇願する位には、その体を貪り、激しく交わった。
「んぁ、あも、もう、やめ…アロンダート、っ…」
「なりません、貴方が達するまでは離したくはない。」
「イ、ったぁ…から、あっ…こ、れは…しお…っ!」
「しお?すみません、あまり良くわからない…精液とは違うのですか?」
「ひぅ、うー‥ッ、や、やめぇ、そ、そこはぁ、ぁ、あ!」
「サジ様、教えて下さい。」
「いや、だ…っ、いやぁ、あ、ばか、ものぉ、おっ!」
まさかあの侍従共はこういった知識すら教えてこなかったのか。快感に溺れる中、好奇心のままに体を求めるアロンダートを受け止めながら、心のなかで悪態を吐く。アロンダートの性器はぴたりとサジの中に収まり、緩い緩いと言われてきた自身の蕾で飲み込むのにも苦労するほどの大きさだ。
胸の突起は散々に弄られた。他人の性器を握る機会もなかったためか、興味深いと言われて性器も散々に攻められた。
こんなに出し尽くして、小便も漏らし、もう身を投げだして天井を見上げているだけのサジを前にしてもまだ射精をしない。散々に腹の中で膨らませているのにだ。
「アロン、ダート…イけ、も…頼むから、っ…」
「ですが、…まだ乱れる貴方を見ていたい…」
「絶倫め、サジは…も、つかれた…っ、」
ウル、クルル、と喉奥を鳴らしながら甘えてくる。激しく好みを求めておきながら、歳下を急に出してくるのだ。そんなことをされるとサジだって堪らない。だけどこれ以上は身体がもたないのも事実だった。
サジは震える手でアロンダートの頭をよしよしと撫でてやると、そっと口付けて宣う。
「出せ、サジの中に…全てをよこすがいい。」
「っ、しかし…」
「男、の交わりでは…っ、子は孕まぬ。…安心するが良い…。」
「…そんなことは、わかっておりますとも。」
サジの言葉に、馬鹿にするなといわんばかりにアロンダートが眉を寄せる。しかし、孕ませるつもりはなかったのかと問われたら、すぐに違うとも言い切れない。そんな、アロンダートの心理を指摘されたかのようで、少しだけ気恥ずかしい。
サジは、そんな照れ臭そうなアロンダートの表情が可愛くて、その引き締まった腰を引き寄せるかのようにして足を絡ませる。
少しだけ尖ったアロンダートの耳を、舌で舐めあげる。飾羽まで出るほど興奮しているのに、今更我慢などするなと思った。
「う、あ…!」
ずち、と先端が奥に押し当てられる。もうこれ以上入らないというのに、ぐいぐいと中のいいところをすべて擦りながら押し上げられる。全身の神経が震えたかと思うほど、敏感になる。
体全体で押さえつけられるように、腰を振り下ろされるのだ。その度に、サジはアロンダートの腹を汚す。
気持ちいい、死ぬ、死んでしまう。ゆだった頭では思考もままならぬ、虚な瞳でただ揺れる天井を見上げていた。ただわかるのは、アロンダートの太腿に乗せられた自身の脚が、律動に合わせてぷらぷらと揺れているということ。
「ぁ、あっい、イぐ、っ!あ、ああっ、イっちゃ、ぁ、あろん、だぁ…どっ…も、いぐ…あ、ァ!」
「ぐ、ッ…サジ、…さ、ァ…っ、ーーっ、」
腹の奥から、全身へと刺激が波紋を広げるように広がった。経験した音もないような鋭い快楽が少しだけ怖くて、サジはその背に取り縋るように爪をたてた。
アロンダートは、まるで腹に抱えるように抱き込みながら、一際強く腰を打ちつける。張り詰めた性器をごちんと結腸に捩じ込むと、サジの奥深くで噴き出すようにして射精をした。
「ふぁ、っ…あ、あ…っ、」
こぷ、と、入り切らなかった精液が蕾から溢れる。
サジの白い肌は薔薇色に染まり、薄い胸は上下する度、ひくり、ひくりと身を震わせる。
アロンダートは、己の組み敷いた美しい人が悩ましげに快感を追いかける様子を、熱のこもった瞳で見つめた。
ぽたりと一粒汗が落ちる。そのかすかな刺激でさえ、余韻に浸るサジには毒だ。
「サジ、さま…」
「ひぁ、っ…え、もう…や、ら…はいら、ぬ…ゆらすな、ぁんっ…」
にちゅ、ぶぷっ、と耳を塞ぎたくなるようなはしたない音を立てながら、アロンダートは熱い胎内の収縮を楽しむように腰を揺らす。熱に侵されたサジの小さな抵抗は、ゆるゆると首を横に振ることでしか見せられない。指先の末端まで、痺れて動かないのだ。身を投げ出すという本当の意味を理解した気がする。
「貴方は、寝ているだけで結構。」
「へ、あ…う、うそだろう…」
「実地指導なのでしょう。ならば、確認が必要かと。」
「よ、よい…も、必要な…っ」
その先の言葉を言わせるつもりも無いとばかりに、アロンダートはサジの唇を塞ぐ。
サジは宥めるようにその枯葉色の髪を撫でられながら、絡みつく熱い舌によってアロンダートの唾液を嚥下させられる。相性は口付けでわかるという。そんなもの眉唾物かと思っていたが、アロンダートとの口付けは酩酊感を伴う。
あんなに嫌だった恋人のような甘やかな戯れも、目の前の男に対しては嫌悪感すらない事に戸惑ってしまうくありいには、サジはその身の主導権を無意識下でアロンダートに任せてしまっていた。
きゅんきゅんと腹の奥が疼いてしまう。熱った体を引き寄せるように、獣の腕がサジの足を持ち上げた。
部分的に本性が出ている事に、気が付いているのだろうか。サジはそんなことを思いながら、答えるかのようにアロンダートの羽混じりの黒髪を無でる。
「ん、んふ…ぁ、…っ!」
「口付けも、…こんなにも心地良いものなのですね…」
口の中を歯列をなぞりながら口内を侵す舌も、甘い唾液も全てが気持ちいい。サジは口端から飲みきれなかった唾液を伝わせながら、強請るように唇を追いかけた。
「ん、っ…もっとだ、アロンダート…サジが欲張りだということを、教えてやる。」
「…貴方は可愛らしい。こうして僕を溺れさせて、本当に悪い人だ。」
サジの様子に、アロンダートの瞳の奥に再び熱が灯る。ウルルと甘えるような音を喉奥から零しながら、その華奢な体を再び己の腕の内側へと閉じ込める。
「まだ、足りませぬ。」
琥珀色の瞳が、完全に金色へと変わる。寄越せといったのは唇なのに。
サジは自分が煽ったせいで火がついたアロンダートに、今更そうじゃないとは言えなかった。
「の、のぞむところだ…」
声が少しだけ震えたのは許してほしい。今まで性に奔放だった自分が、先ほど童貞を捨てたばかりの若い雄に屈服させられてたまるかという、しょうもない矜持も少しばかしはある。
しかし、サジは産まれて初めて、抱かれ殺されたらどうしようと思うくらいには、アロンダートの性欲の強さに身震いをした。しかし、煽ったのがこちらの為、文句も言えないのは事実である。
夜はまだ長い、労るような口付けも、サジにとっては食われる前の戯れにしか見えなかった。
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