40 / 47
第四章
7 もう泣かない
しおりを挟む
しばらくクッションでぼふぼふとやっていたミアだが、運動に慣れていない彼女はすぐに疲れて息が上がってきた。
だいたい自分の細い腕で一生懸命攻撃しても、がっしりと鍛え上げられた彼の体はビクともしない。本気で申し訳なさそうに謝りながら、一切避けることもせず全てを受け止める彼が余計に憎たらしかった。
「ミア、本当にすまない。許してくれないか?」
「私……もう恥ずかしくてお嫁に行けないっ!」
本当は、自分にだって落ち度があるのは分かっていた。
こうして当たり散らしているのはただの八つ当たりで、ミアのわがままだ。
でもどうにかしてアルベルトをぎゃふんと言わせることは出来ないだろうか、とミアは涙目で考える。
こんなクッションなんかでは、彼にとっては羽根で撫でられている程度の衝撃なのかもしれない。
何かもっと強力なものを……と物騒な発想で辺りを見回すと、ちょうどテーブルに置いてあるポットが目に入った。うん、これを使えばミアにも少しは勝ち目がありそうだ。
そう思ったのに。
「……あっ、ひどい。何をするの?」
ポットへと手を伸ばしたミアに気が付いたアルベルトが、先回りしてポットを手に取り、ひょいとテーブルの隅へとやってしまったのだ。せっかくの切り札に手が届かなくなり、ミアは非難の声を上げる。
「こら。こんな物で殴ったら当たりどころが悪いと死ぬだろう」
「……そうなの?」
「あぁ。実戦経験がない君は加減を知らないから危なっかしいな」
彼に苦笑いで髪を撫でられ、ミアはむっとして頬をふくらませた。
またミアを子供扱いしている。
大好きな彼を死なせてしまっては大変だから注意してもらって助かったけれど、最後の一言は余計なのではないか。
そんなミアの不満を知ってかしらずか、彼はふと真面目な顔になった。
「ミア、本当に悪かった。いつだったか君は、『王子様と結婚するのが夢だった』と言っていただろう? だから、てっきり喜んでもらえると思っていたんだ」
「でも……っ」
それから彼が話し始めた言い訳を聞いて、ミアはぐっと言葉に詰まった。
彼が身元を明かさなかったのは事実だが、それは意図的にミアを騙すつもりだった訳ではなかったこと。何度も話そうとはしていたこと。
確かに彼は、王太子と名乗った上で絵姿を送ったり屋敷に訪問したりと、何度もミアに伝えようと試みていた。それをいつも拒否していたのはミア自身である。
そしてたまにミアに会えば、改めてそんな話をしている余裕もないくらい君に夢中だったから、とアルベルトは照れたように言った。
その結果、なんとなく言い出すタイミングがないうちに今日を迎えてしまったというのだ。
「まさか私がそんなに嫌われているとは思っていなかったんだ。怖い思いをさせてすまなかった」
真摯な表情で謝られ、ミアは気まずい思いで俯いた。
そういえばアルベルトには、王太子殿下からしつこい求婚をされて困っているという話はしたことがなかったと思い出す。せっかくの幸せな時間に他の男性の話はしたくなかったし、そもそも彼といると嫌なことなんて思い出さなかったからだ。
それでは彼が知らなかったのも当然である。
つくづくミアには分が悪い。
癇癪を起こした幼児のように散々怒りをぶつけてきたミアは、今更ながら急に恥ずかしくなってきた。
どうしよう、こんな姿を見せてアルベルトに呆れられていないだろうか。
たくさん怒ってしまったけれど、ミアが彼を好きな気持ちは変わらない。好きで、好きで、大好きで、だからこそ感情が爆発したのだ。
やっぱり結婚の話は無しでと言われたら泣いてしまう。
だから……、こんなに子供っぽい振る舞いをしてごめんなさいと素直に謝ろう、そう決めた。
なのに。
「分かった。ミアがそんなに言うなら一旦婚約は白紙にしよう」
ミアが口を開きかけたのよりも一瞬早く、ミアの恐れていた通りの言葉が耳に流れ込んできたのだ。
その瞬間、目の前が絶望に染まる。
「……っ! う、うそ……っ」
間に合わなかった。
もっと早く謝るべきだったのに。自分がつまらない意地を張っていたから。
もう嫌われてしまったのだろうか。
思わず伸ばした手で彼の腕に縋りつくと、ミアの震える両手に温かい彼の手が重ねられた。残酷な言葉とは裏腹の物柔らかな仕草に、ミアの涙腺は決壊寸前になる。
しかし次に聞こえた言葉で、彼女は再び耳を疑うことになった。
「嘘じゃない。でもその代わり、もう一度私と結婚してもいいと思ってもらえるまで、明日から毎日君のところに通うよ」
「………………え?」
「明日は両手で抱えきれないくらいのバラを持って行こう。明後日は隣国から取り寄せたばかりの香水を、その次は城の料理人に作らせた菓子にでもしようかな」
「それ、って……?」
恐る恐る上を向くと、静かな光を湛えている綺麗な空色の瞳にぶつかった。
「いつかうんと言ってくれるまで、君の足元に跪いて愛を乞う。いつまでかかってもいい。5年でも、10年でも……いや、さすがに10年も私の妃がいないのは困るな」
吐息だけで笑った彼が、そっと小さな白い手を取る。
まだわずかに震えている手の甲に唇が押し当てられて、彼が優しく微笑んだ。
「だからミア、君がいつか私を許す気になったら、もう一度この求婚を受け入れてくれる?」
その言葉を聞いて、ミアの瞳にぶわりと涙が盛り上がった。
許してもらわなければならないのはミアの方だ。
ちょっとした行き違いがあっただけで機嫌を損ねて怒り散らし、とても淑女とは思えない態度を取ってしまった。
「贈り物はいらないから結婚をやめるなんて言わないで! 可愛くないことばっかり言ってごめんなさいーっ!」
アルベルトの体にぎゅうっと抱きついて、ミアはわあわあと泣きじゃくった。
その間彼はずっと背中をよしよしと撫でてくれていて、こうしてすぐに泣いてしまうから子供扱いされてしまうんだなとどこか冷静な部分で反省する。
理想としては、こんな時は優雅に取り澄まして、『そんなにおっしゃるなら結婚して差し上げてもよろしくてよ?』なんて言える大人の女性になりたいのに。
しかし安堵と喜びの混じった涙は止めどなく溢れてくる。
だから今だけは、もう少し胸を貸して欲しい。思う存分泣いたら、これからはもう絶対に泣かないから。
ミアはしゃくり上げながら、そんな風に決意した。
「あのね、ひとつだけさっきの言葉を訂正したいのだけれど」
アルベルトに慰められながら好きなだけ泣いてやっと落ち着いた後、ミアは彼にこう切り出した。
とても言いにくい内容だが、今しかチャンスはない。
「なに? 可愛い婚約者の頼みならなんでも聞いてあげるよ」
やっぱり結婚しないなどと言い出さない限りは、と彼に付け加えられて、ミアはぶんぶんと首を振る。
そんなこと絶対に言わない。むしろ、彼がこれから翻意しても押掛け女房になってやるくらいの心意気である。
若干の気まずさにもじもじしつつ、意を決して小さな小さな声で告白した。
「……あのね、やっぱり……隣国の香水は欲しいの」
交通の要所に位置するローランは交易の中心となっている大国だ。大陸の各地から様々な珍しいものが集まり、流行や情報の発信地にもなっている。そんな国から取り寄せた香水は、ミアにとってはのどから手が出るくらい欲しいものだった。
つい勢いで贈り物はいらないと言ってしまったのを、今さらながら後悔し始めたのだ。
「香水?」
今まで泣いていたはずのミアが途端に現金なことを言い出したため、アルベルトは目を丸くして吹き出しそうになっていた。
ミアは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして下を向く。
「いや、それはもともと君のために取り寄せたものだったんだ。では香水だけでいい? 花束と菓子は?」
「…………欲しいわ」
こうしてミアは、素敵な婚約者とローランの香水、それからほっぺたが落ちそうなお菓子と、両手で抱えきれないくらいの大きな花束を手に入れた。
これまでの人生で一番幸せで、喜びに満ち溢れていて、今にも天に昇りそうな心地である。
アルベルトと離れて屋敷に帰るのは身を切られるように辛く、出来ることなら明日にでも結婚してしまいたいと思ったくらいだ。
しかしそれとは対照的に、コンスタンツィ伯爵家はしばらく荒れに荒れた。
自分が狩りに行っている間に妹の婚約が決まっていたと知ったクラウディオは高熱を出して寝込み、ロレンツォはしばらく部屋に篭って出てこず、父は酒浸りになって管を巻き続ける。
いい加減にして頂けますか旦那様、と家令にピシャリと言われる始末だ。
だがただ一人、ミアとアルベルトの婚約の顛末を聞いても驚かなかった者がいた。
ミアの母である。
「まぁ、そういうことだったのね。殿下はミアと面識があるとおっしゃっていたけれど、ミアは何も知らないと言うからおかしいと思っていたのよ。けれど殿下はそんな荒唐無稽な嘘をつく方ではないから、何かあると思っていたわ」
驚かない代わりに、母は深々とため息をついて呆れた顔をした。
「お母様……ごめんなさい」
「謝らなくてもいいのよ。あなたもそろそろ家族に秘密を持つ頃だわ。でもミア、結婚までは純潔を守るという約束は覚えているわね?」
「はい! 殿下はちゃんと待ってくださるとおっしゃっていました!」
「……ふふふ、やはりそういう状況にはなった訳ね。殿下は手の早いお方だから釘を刺しておいてよかったわ」
「?」
こんな会話があったのは女だけの秘密。
お母様だけは全てお見通しだったのであった。
だいたい自分の細い腕で一生懸命攻撃しても、がっしりと鍛え上げられた彼の体はビクともしない。本気で申し訳なさそうに謝りながら、一切避けることもせず全てを受け止める彼が余計に憎たらしかった。
「ミア、本当にすまない。許してくれないか?」
「私……もう恥ずかしくてお嫁に行けないっ!」
本当は、自分にだって落ち度があるのは分かっていた。
こうして当たり散らしているのはただの八つ当たりで、ミアのわがままだ。
でもどうにかしてアルベルトをぎゃふんと言わせることは出来ないだろうか、とミアは涙目で考える。
こんなクッションなんかでは、彼にとっては羽根で撫でられている程度の衝撃なのかもしれない。
何かもっと強力なものを……と物騒な発想で辺りを見回すと、ちょうどテーブルに置いてあるポットが目に入った。うん、これを使えばミアにも少しは勝ち目がありそうだ。
そう思ったのに。
「……あっ、ひどい。何をするの?」
ポットへと手を伸ばしたミアに気が付いたアルベルトが、先回りしてポットを手に取り、ひょいとテーブルの隅へとやってしまったのだ。せっかくの切り札に手が届かなくなり、ミアは非難の声を上げる。
「こら。こんな物で殴ったら当たりどころが悪いと死ぬだろう」
「……そうなの?」
「あぁ。実戦経験がない君は加減を知らないから危なっかしいな」
彼に苦笑いで髪を撫でられ、ミアはむっとして頬をふくらませた。
またミアを子供扱いしている。
大好きな彼を死なせてしまっては大変だから注意してもらって助かったけれど、最後の一言は余計なのではないか。
そんなミアの不満を知ってかしらずか、彼はふと真面目な顔になった。
「ミア、本当に悪かった。いつだったか君は、『王子様と結婚するのが夢だった』と言っていただろう? だから、てっきり喜んでもらえると思っていたんだ」
「でも……っ」
それから彼が話し始めた言い訳を聞いて、ミアはぐっと言葉に詰まった。
彼が身元を明かさなかったのは事実だが、それは意図的にミアを騙すつもりだった訳ではなかったこと。何度も話そうとはしていたこと。
確かに彼は、王太子と名乗った上で絵姿を送ったり屋敷に訪問したりと、何度もミアに伝えようと試みていた。それをいつも拒否していたのはミア自身である。
そしてたまにミアに会えば、改めてそんな話をしている余裕もないくらい君に夢中だったから、とアルベルトは照れたように言った。
その結果、なんとなく言い出すタイミングがないうちに今日を迎えてしまったというのだ。
「まさか私がそんなに嫌われているとは思っていなかったんだ。怖い思いをさせてすまなかった」
真摯な表情で謝られ、ミアは気まずい思いで俯いた。
そういえばアルベルトには、王太子殿下からしつこい求婚をされて困っているという話はしたことがなかったと思い出す。せっかくの幸せな時間に他の男性の話はしたくなかったし、そもそも彼といると嫌なことなんて思い出さなかったからだ。
それでは彼が知らなかったのも当然である。
つくづくミアには分が悪い。
癇癪を起こした幼児のように散々怒りをぶつけてきたミアは、今更ながら急に恥ずかしくなってきた。
どうしよう、こんな姿を見せてアルベルトに呆れられていないだろうか。
たくさん怒ってしまったけれど、ミアが彼を好きな気持ちは変わらない。好きで、好きで、大好きで、だからこそ感情が爆発したのだ。
やっぱり結婚の話は無しでと言われたら泣いてしまう。
だから……、こんなに子供っぽい振る舞いをしてごめんなさいと素直に謝ろう、そう決めた。
なのに。
「分かった。ミアがそんなに言うなら一旦婚約は白紙にしよう」
ミアが口を開きかけたのよりも一瞬早く、ミアの恐れていた通りの言葉が耳に流れ込んできたのだ。
その瞬間、目の前が絶望に染まる。
「……っ! う、うそ……っ」
間に合わなかった。
もっと早く謝るべきだったのに。自分がつまらない意地を張っていたから。
もう嫌われてしまったのだろうか。
思わず伸ばした手で彼の腕に縋りつくと、ミアの震える両手に温かい彼の手が重ねられた。残酷な言葉とは裏腹の物柔らかな仕草に、ミアの涙腺は決壊寸前になる。
しかし次に聞こえた言葉で、彼女は再び耳を疑うことになった。
「嘘じゃない。でもその代わり、もう一度私と結婚してもいいと思ってもらえるまで、明日から毎日君のところに通うよ」
「………………え?」
「明日は両手で抱えきれないくらいのバラを持って行こう。明後日は隣国から取り寄せたばかりの香水を、その次は城の料理人に作らせた菓子にでもしようかな」
「それ、って……?」
恐る恐る上を向くと、静かな光を湛えている綺麗な空色の瞳にぶつかった。
「いつかうんと言ってくれるまで、君の足元に跪いて愛を乞う。いつまでかかってもいい。5年でも、10年でも……いや、さすがに10年も私の妃がいないのは困るな」
吐息だけで笑った彼が、そっと小さな白い手を取る。
まだわずかに震えている手の甲に唇が押し当てられて、彼が優しく微笑んだ。
「だからミア、君がいつか私を許す気になったら、もう一度この求婚を受け入れてくれる?」
その言葉を聞いて、ミアの瞳にぶわりと涙が盛り上がった。
許してもらわなければならないのはミアの方だ。
ちょっとした行き違いがあっただけで機嫌を損ねて怒り散らし、とても淑女とは思えない態度を取ってしまった。
「贈り物はいらないから結婚をやめるなんて言わないで! 可愛くないことばっかり言ってごめんなさいーっ!」
アルベルトの体にぎゅうっと抱きついて、ミアはわあわあと泣きじゃくった。
その間彼はずっと背中をよしよしと撫でてくれていて、こうしてすぐに泣いてしまうから子供扱いされてしまうんだなとどこか冷静な部分で反省する。
理想としては、こんな時は優雅に取り澄まして、『そんなにおっしゃるなら結婚して差し上げてもよろしくてよ?』なんて言える大人の女性になりたいのに。
しかし安堵と喜びの混じった涙は止めどなく溢れてくる。
だから今だけは、もう少し胸を貸して欲しい。思う存分泣いたら、これからはもう絶対に泣かないから。
ミアはしゃくり上げながら、そんな風に決意した。
「あのね、ひとつだけさっきの言葉を訂正したいのだけれど」
アルベルトに慰められながら好きなだけ泣いてやっと落ち着いた後、ミアは彼にこう切り出した。
とても言いにくい内容だが、今しかチャンスはない。
「なに? 可愛い婚約者の頼みならなんでも聞いてあげるよ」
やっぱり結婚しないなどと言い出さない限りは、と彼に付け加えられて、ミアはぶんぶんと首を振る。
そんなこと絶対に言わない。むしろ、彼がこれから翻意しても押掛け女房になってやるくらいの心意気である。
若干の気まずさにもじもじしつつ、意を決して小さな小さな声で告白した。
「……あのね、やっぱり……隣国の香水は欲しいの」
交通の要所に位置するローランは交易の中心となっている大国だ。大陸の各地から様々な珍しいものが集まり、流行や情報の発信地にもなっている。そんな国から取り寄せた香水は、ミアにとってはのどから手が出るくらい欲しいものだった。
つい勢いで贈り物はいらないと言ってしまったのを、今さらながら後悔し始めたのだ。
「香水?」
今まで泣いていたはずのミアが途端に現金なことを言い出したため、アルベルトは目を丸くして吹き出しそうになっていた。
ミアは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして下を向く。
「いや、それはもともと君のために取り寄せたものだったんだ。では香水だけでいい? 花束と菓子は?」
「…………欲しいわ」
こうしてミアは、素敵な婚約者とローランの香水、それからほっぺたが落ちそうなお菓子と、両手で抱えきれないくらいの大きな花束を手に入れた。
これまでの人生で一番幸せで、喜びに満ち溢れていて、今にも天に昇りそうな心地である。
アルベルトと離れて屋敷に帰るのは身を切られるように辛く、出来ることなら明日にでも結婚してしまいたいと思ったくらいだ。
しかしそれとは対照的に、コンスタンツィ伯爵家はしばらく荒れに荒れた。
自分が狩りに行っている間に妹の婚約が決まっていたと知ったクラウディオは高熱を出して寝込み、ロレンツォはしばらく部屋に篭って出てこず、父は酒浸りになって管を巻き続ける。
いい加減にして頂けますか旦那様、と家令にピシャリと言われる始末だ。
だがただ一人、ミアとアルベルトの婚約の顛末を聞いても驚かなかった者がいた。
ミアの母である。
「まぁ、そういうことだったのね。殿下はミアと面識があるとおっしゃっていたけれど、ミアは何も知らないと言うからおかしいと思っていたのよ。けれど殿下はそんな荒唐無稽な嘘をつく方ではないから、何かあると思っていたわ」
驚かない代わりに、母は深々とため息をついて呆れた顔をした。
「お母様……ごめんなさい」
「謝らなくてもいいのよ。あなたもそろそろ家族に秘密を持つ頃だわ。でもミア、結婚までは純潔を守るという約束は覚えているわね?」
「はい! 殿下はちゃんと待ってくださるとおっしゃっていました!」
「……ふふふ、やはりそういう状況にはなった訳ね。殿下は手の早いお方だから釘を刺しておいてよかったわ」
「?」
こんな会話があったのは女だけの秘密。
お母様だけは全てお見通しだったのであった。
0
あなたにおすすめの小説
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
つかれやすい殿下のために掃除婦として就くことになりました
樹里
恋愛
社交界デビューの日。
訳も分からずいきなり第一王子、エルベルト・フォンテーヌ殿下に挨拶を拒絶された子爵令嬢のロザンヌ・ダングルベール。
後日、謝罪をしたいとのことで王宮へと出向いたが、そこで知らされた殿下の秘密。
それによって、し・か・た・な・く彼の掃除婦として就いたことから始まるラブファンタジー。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
翼 うみ
恋愛
父の会社を立て直す交換条件のため、ほぼ家族に身売りされた形で関東最大級の極道・桜花組の次期組長に嫁入りしたジェシカ。しかし母を亡くして以降、義母と義妹に虐げられていたジェシカは実家を出られるなら、と前向きだった。夫となる和仁には「君を愛することはない」と冷たく突き放される。それでもジェシカは傷つくことはなく、自分にできることを探して楽しんでいた。
和仁には辛い過去がありそれ故に誰のことも愛さないと決めていたが、純真で健気なジェシカに段々と惹かれてゆき――。
政略結婚から始まる溺愛シンデレラストーリー。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる