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新婚編・ヒーローも窃盗中
6 デートの最後はランジェリーショップ
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「……やっぱりここにも来るんですね……」
「別にいいだろ、これも服の一部なんだから」
デートの最後に恭介に連れて来られたのは、案の定というか当然の帰結というか、誰しもが想像出来る通り、複合施設内のランジェリーショップだった。
奈津も好んで使っているブランドなのだが、こうも当然のように連れて来られると呆れてしまう。
「恭介さん、新婚旅行でも散々買ってたじゃないですか」
トランジットで立ち寄ったシカゴの空港で、有名下着メーカーのショップに興奮した恭介が色々と買い漁っていたのはつい1週間前の出来事だ。
普段は、『新しい下着を買うのは月に2セットまで!』と奈津が言い渡しているのだが、シカゴでは恭介が『ここはアメリカだから、日本の国内法は適用されない』などと言い張り、結局大量に購入していた。
下着に関してはなにがなんでも自分を貫く男である。
奈津は1人しかいないのだからそんなに買っても着用出来ないというのに、一体何に使うつもりなんだろう。いつか、下着は1日3回着替えろ、なんて言われそうで怖い。
「シカゴで買ったのは外国産だ。ここにあるのは国産。全然違うだろ?」
「どこで売ってても、だいたい下着はメイドインチャイナです」
「…………」
至極真っ当な奈津の反論を無視し、恭介はまた下着の物色に戻ってしまった。都合の悪いことは聞かない主義らしい。
だが今日は1日中、奈津の趣味全開の可愛らしいカフェや映画に付き合ってもらったり、買い物にも付き合ってもらった。奈津は完全防盗仕様の高価な金庫を買ったせいで金欠気味だからと、全て恭介の財布から出ている。
だから最後に少しくらい、恭介が行きたいところにも行こうと決意したのだが。
「ほら、一緒に買い物をしているカップルもたくさんいるぞ」
「まぁそうなんですけど……」
だがよく見て欲しい。
確かに男女の組み合わせで選んでいる客もいるが、どの男性もなんとなく居心地が悪そうで、少し恥ずかしそうにソワソワしているではないか。
堂々と商品を物色し、むしろパートナーよりも生き生きとしているのは恭介くらいのものである。
「奈津、腰でリボンを結ぶタイプと、ゴムになっているタイプ、どっちがいい?」
女性の奈津ですら人前で手に取るのは恥ずかしい紐パン両手に持ち、真剣な表情で恭介が聞く。
「そうですね、敢えて言うならどっちもいやです」
「じゃあ両方買うか」
「ちょっ、私の答え聞いてましたか?!」
紐パンはどうにも落ち着かないから好きではないのだ。
奈津は必死の形相で恭介の紐パンを取り上げ、丁寧に売り場に戻す。
ちなみに恐ろしいことに、恭介はたまに単独でこの店に寄り、奈津の下着を勝手に買って帰ることもある。
以前、1人で女性下着の店に入って購入するなど恥ずかしくないのかと聞いたところ、『合法的に売っている商品を買うのに、一体どこに恥ずかしい要素があるんだ?』と眉を顰めて返事をされた。
この時奈津は、恭介とは一生分かり合えないと悟ることになった。
結局今日は、淡い水色のナチュラルなブラとショーツのセットを買うことになった。
恭介は今月分の制限である2セットとも買いたいと主張していたが、『今月もまだあと半分残っているんだから、これから欲しいものが出てきたらどうするんですか?!』と説得して1セットに抑えてもらったのだ。
2人でレジに並ぶと、すぐに順番がやってくる。
綺麗なネイルを施したお姉さんが商品を受け取って、恭介の顔を見た瞬間にハッとした。
「いつもお世話になっております」
丁寧に礼をしたお姉さんに、恭介は笑顔で会釈している。どうやらいつの間にか顔見知りになっていたらしい。
「真山様、春の新作はもうご覧になっていただけましたか?」
「ええ、ダイレクトメールを受け取ったから今日来たんですよ。繊細な色使いと柔らかいシルエットが春らしくていいですね」
「お褒めに預かって光栄です」
レジを通して包装する間、彼らはにこやかに会話していた。どう見ても常連扱いだ。
「恭介さん、名前も覚えられてるし……っ」
購入金額も多いが、なにかと目立つ容姿の恭介が1人で下着を買って行くから覚えられてしまったのだろう。
恥ずかしくてもうこの店には来られない……!
奈津はプルプルと震えながら、今度からは違う店舗に行くことを誓った。
「別にいいだろ、これも服の一部なんだから」
デートの最後に恭介に連れて来られたのは、案の定というか当然の帰結というか、誰しもが想像出来る通り、複合施設内のランジェリーショップだった。
奈津も好んで使っているブランドなのだが、こうも当然のように連れて来られると呆れてしまう。
「恭介さん、新婚旅行でも散々買ってたじゃないですか」
トランジットで立ち寄ったシカゴの空港で、有名下着メーカーのショップに興奮した恭介が色々と買い漁っていたのはつい1週間前の出来事だ。
普段は、『新しい下着を買うのは月に2セットまで!』と奈津が言い渡しているのだが、シカゴでは恭介が『ここはアメリカだから、日本の国内法は適用されない』などと言い張り、結局大量に購入していた。
下着に関してはなにがなんでも自分を貫く男である。
奈津は1人しかいないのだからそんなに買っても着用出来ないというのに、一体何に使うつもりなんだろう。いつか、下着は1日3回着替えろ、なんて言われそうで怖い。
「シカゴで買ったのは外国産だ。ここにあるのは国産。全然違うだろ?」
「どこで売ってても、だいたい下着はメイドインチャイナです」
「…………」
至極真っ当な奈津の反論を無視し、恭介はまた下着の物色に戻ってしまった。都合の悪いことは聞かない主義らしい。
だが今日は1日中、奈津の趣味全開の可愛らしいカフェや映画に付き合ってもらったり、買い物にも付き合ってもらった。奈津は完全防盗仕様の高価な金庫を買ったせいで金欠気味だからと、全て恭介の財布から出ている。
だから最後に少しくらい、恭介が行きたいところにも行こうと決意したのだが。
「ほら、一緒に買い物をしているカップルもたくさんいるぞ」
「まぁそうなんですけど……」
だがよく見て欲しい。
確かに男女の組み合わせで選んでいる客もいるが、どの男性もなんとなく居心地が悪そうで、少し恥ずかしそうにソワソワしているではないか。
堂々と商品を物色し、むしろパートナーよりも生き生きとしているのは恭介くらいのものである。
「奈津、腰でリボンを結ぶタイプと、ゴムになっているタイプ、どっちがいい?」
女性の奈津ですら人前で手に取るのは恥ずかしい紐パン両手に持ち、真剣な表情で恭介が聞く。
「そうですね、敢えて言うならどっちもいやです」
「じゃあ両方買うか」
「ちょっ、私の答え聞いてましたか?!」
紐パンはどうにも落ち着かないから好きではないのだ。
奈津は必死の形相で恭介の紐パンを取り上げ、丁寧に売り場に戻す。
ちなみに恐ろしいことに、恭介はたまに単独でこの店に寄り、奈津の下着を勝手に買って帰ることもある。
以前、1人で女性下着の店に入って購入するなど恥ずかしくないのかと聞いたところ、『合法的に売っている商品を買うのに、一体どこに恥ずかしい要素があるんだ?』と眉を顰めて返事をされた。
この時奈津は、恭介とは一生分かり合えないと悟ることになった。
結局今日は、淡い水色のナチュラルなブラとショーツのセットを買うことになった。
恭介は今月分の制限である2セットとも買いたいと主張していたが、『今月もまだあと半分残っているんだから、これから欲しいものが出てきたらどうするんですか?!』と説得して1セットに抑えてもらったのだ。
2人でレジに並ぶと、すぐに順番がやってくる。
綺麗なネイルを施したお姉さんが商品を受け取って、恭介の顔を見た瞬間にハッとした。
「いつもお世話になっております」
丁寧に礼をしたお姉さんに、恭介は笑顔で会釈している。どうやらいつの間にか顔見知りになっていたらしい。
「真山様、春の新作はもうご覧になっていただけましたか?」
「ええ、ダイレクトメールを受け取ったから今日来たんですよ。繊細な色使いと柔らかいシルエットが春らしくていいですね」
「お褒めに預かって光栄です」
レジを通して包装する間、彼らはにこやかに会話していた。どう見ても常連扱いだ。
「恭介さん、名前も覚えられてるし……っ」
購入金額も多いが、なにかと目立つ容姿の恭介が1人で下着を買って行くから覚えられてしまったのだろう。
恥ずかしくてもうこの店には来られない……!
奈津はプルプルと震えながら、今度からは違う店舗に行くことを誓った。
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