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第二章 俺様、ダンジョンを出る
(閑話)ディオ・リジェロ様観察日記 4
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驚きました。リージェ様を探していたら、見知らぬ殿方が五人いらっしゃったのです。
リージェ様がくねくねと愛らしい踊りを踊っておられます。この方達が気に入られたのでしょうか? ですが、リージェ様に武器を向けているのは許せません。
「武器を向けるのをやめてください。リージェ様は聖竜なのですよ!」
「キュッ! キュ~ィ」
失礼にもほどがあります! と憤慨している私の肩にリージェ様が乗り、体をすり寄せてきました。
そうですよね。リージェ様は言葉が解るのですもの。心無い言葉に傷つきましたよね。
慰めになれば、と頭を撫でて差し上げると、頭をさらに擦り付けてきました。とても愛おしいのです。
殿方達は武器を下ろしてくれたものの、あろうことかリージェ様が聖竜ではないと言い出しました。
「そんな筈はありません! リージェ様は先代聖女様が探し出して神殿にお連れしたのです!」
先代聖竜様が今際に産み落とした卵。毎日毎日女神様にお祈りして、やっと生まれた私のパートナーです。侮辱は許せません。
ベルナルドと名乗った魔術師が鑑定で聖竜の称号がなかったため誤解してしまったと謝罪してきました。いずれ聖竜へとなるだろうと。
聖竜から生まれた御子に聖竜の称号がない? そんなバカな……。いえ、こんなにも神々しく賢くいらっしゃるリージェ様ですもの。きっと聖竜となるに決まっております。私はそれを信じて支えるだけです。
愕然とする私にアルベルトと名乗る剣士が告げたのは、驚くべきお話でした。王都に暗黒破壊神が現れ結界が壊されたというのです。お父様とお母様はご無事でしょうか?
「急ぎましょう」
私の聖女としての初めての仕事が、まさか私の生まれ育った王都の結界修復だなんて。
自然と駆け足になります。アルベルト様はしきりに私の体力を気遣って休憩を申し出てくれますが、王都で苦しんでいる民を思えばこのくらい。
この最深層まで下りてきただけあって、五人ともかなりの実力者です。ドナート様が索敵でモンスターとの戦闘を避け、ベルナルド様の魔術で最短距離を進み、どうしても避けられない戦闘もアルベルト様が瞬時に終わらせてしまいます。後方からの攻撃を警戒しているバルトヴィーノ様やチェーザーレ様の戦うお姿は拝見しておりませんが、こんな高レベルのパーティーにいるのですから実力は推して知るべきです。
それにしても……駆け足で進む道中、私の横を飛んでいるリージェ様がベルナルド様をずっと見つめているのです。時折リージェ様が嬉しそうな声を出したり、踊ったり。
まさか、私よりもベルナルド様を好きになってしまったのでしょうか?
聖竜ではない、というアルベルト様の言葉が心の中でぐるぐると回ります。リージェ様、私を置いてどこかへ行ったりなんてしませんよね……?
「今日はここまでにしよう」
時告げの実を取り出したアルベルト様が付近のモンスターを排除しました。今日はここで野営だそうです。
アルベルト様は、ここは47階層だと言います。私が神殿で修行している間もダンジョンは成長していると。ダンジョンコアなんて、神殿のある最下層では見ませんでしたけど……まさか、毎日礼拝していた女神像の大きな水晶がコアなんて言いませんよね? 女神様が眠っているとされている水晶を壊すなんて罰当たりなこと、歴代聖女は誰一人できるはずはありません。
夕食はミノタウロスがドロップしたというお肉を串焼きに。リージェ様が目の色を変えてかぶり付いていて、メロンの時よりも必死に食べておられました。一口食べる度に「キュイッ」っと言っている姿がとても微笑ましいのです。
一本食べきった後の顔があまりにも悲しそうだったので思わず私の分も差し上げたら飛び上がって喜んでくださいました。お肉がお気に召したのですね。王都に着いたら美味しいお肉料理のお店に行きましょうね。
食事の後いつの間にか眠ってしまっていたようです。枕元でリージェ様が丸くなって熟睡していらっしゃいます。ダンジョンの中だというのに、少々無防備過ぎませんか?
冒険者の方々は夜通し見張りをして下さっていたようで、申し訳なくて朝食の準備を買って出ました。昨日のお肉の残りを使って簡単にスープを作り、メロンをシャーベットにしました。ドナートさんが固パンを分けてくださったのでだいぶ豪華になりました。
食事の後はまた駆け足での強行軍です。駆け足でどんどん階層を登っていきます。
階段を上り切ったところで突然巨大な黒いドラゴンに襲われました。階段を守るようにしていたことから、階層ボスのようです。ついに最深層を抜けたのですね。
ベルナルド様の指示で、ベルナルド様が詠唱をする間結界で守っていると、リージェ様がブレスで果敢に黒いドラゴンと戦ってくださいました。体格差があるにも関わらず立ち向かう姿は勇猛そのものです。さすがは私のリージェ様ですわ。
「キュッ」
黒いドラゴンを倒したリージェ様が得意げに踊っていらっしゃいます。可愛らしいのです。
ベルナルド様のお話ですと、ここの階層ボスは本来バジリスクという大蜥蜴で、≪暗黒破壊神の欠片≫とあるこの黒い水晶を埋め込まれてあのようなドラゴンになったとか。
つまりあのドラゴンは暗黒破壊神の分身そのものでしたのね。勝てて良かったのです。
「キュッ?!」
怪我をされた方々に回復魔法をかけている時、リージェ様の驚いたような声が聞こえて慌てて見ると、出てきた黒い水晶がリージェ様に吸い込まれるようにして消えてしまいました。
「大丈夫か? どこか痛いとか苦しいとかは……?」
ベルナルド様の推測から、リージェ様に何か異変が起こるのではないかと危惧したアルベルト様が恐る恐る聞くと、リージェ様は一瞬キョトンとした顔で首を傾げてから御身体を隅々まで確認してコクコクと頷かれました。いつも通りのその様子に、私は胸を撫で下ろしました。
「キュイ~! キュゥッキュキュィッ!」
元気いっぱいな様子を見せてくださったので、心配ではありますが再び出発となりました。
駆け足でひたすら進むこと1オーラ。39階層にて食事休憩となりました。なのですが。
「キュゥゥゥゥゥ……」
リージェ様がメロンとお肉の入った包みに抱きついたまま離れず、イヤイヤと首を横に振っています。アルベルト様に生ものは傷むから先に供与してくれ、と宥められ説得され名残惜しそうにしておられました。
私達の持っていた食料はほとんどが生ものでしたもの。仕方ありませんわ。
食料が残り少ないと知り、食べられそうなモンスターは避けずに狩っていこうということになりました。
そして、いよいよ深層を抜けます。階段を守っていたのは人の2倍の高さはあろうかという巨大な鶏。後方から来た私達に気付いていないので、バルトヴィーノ様がすぐに両脚を切り飛ばしておりました。
けれど、それで即死するわけでなく、羽を凄まじい勢いで飛ばしてきます。
着弾した羽は何と爆発をしました。私達は結界を張っていましたので怪我をしなかったのですが、結界の外にいたリージェ様が吹き飛ばされ壁に激突してしまいました。
「リージェ様!」
「キュ~……」
幸い、爆発に直接巻き込まれたわけではないので大きな怪我はなくすぐに治りました。
怪我の治ったリージェ様はドロップアイテムの鶏肉を見てピョンピョンと飛び跳ねて喜んでおりました。お肉が出て良かったですね、リージェ様。
リージェ様以外は怪我もなかったため、先を急ぎます。その間リージェ様はまたベルナルド様をジッと見つめて、何やら頷いたり腕や翼をパタパタと動かしたり、尻尾を揺らしたりしています。
何だかとてもご機嫌な様子。私、ベルナルド様に嫉妬してしまいそうですわ!
リージェ様がくねくねと愛らしい踊りを踊っておられます。この方達が気に入られたのでしょうか? ですが、リージェ様に武器を向けているのは許せません。
「武器を向けるのをやめてください。リージェ様は聖竜なのですよ!」
「キュッ! キュ~ィ」
失礼にもほどがあります! と憤慨している私の肩にリージェ様が乗り、体をすり寄せてきました。
そうですよね。リージェ様は言葉が解るのですもの。心無い言葉に傷つきましたよね。
慰めになれば、と頭を撫でて差し上げると、頭をさらに擦り付けてきました。とても愛おしいのです。
殿方達は武器を下ろしてくれたものの、あろうことかリージェ様が聖竜ではないと言い出しました。
「そんな筈はありません! リージェ様は先代聖女様が探し出して神殿にお連れしたのです!」
先代聖竜様が今際に産み落とした卵。毎日毎日女神様にお祈りして、やっと生まれた私のパートナーです。侮辱は許せません。
ベルナルドと名乗った魔術師が鑑定で聖竜の称号がなかったため誤解してしまったと謝罪してきました。いずれ聖竜へとなるだろうと。
聖竜から生まれた御子に聖竜の称号がない? そんなバカな……。いえ、こんなにも神々しく賢くいらっしゃるリージェ様ですもの。きっと聖竜となるに決まっております。私はそれを信じて支えるだけです。
愕然とする私にアルベルトと名乗る剣士が告げたのは、驚くべきお話でした。王都に暗黒破壊神が現れ結界が壊されたというのです。お父様とお母様はご無事でしょうか?
「急ぎましょう」
私の聖女としての初めての仕事が、まさか私の生まれ育った王都の結界修復だなんて。
自然と駆け足になります。アルベルト様はしきりに私の体力を気遣って休憩を申し出てくれますが、王都で苦しんでいる民を思えばこのくらい。
この最深層まで下りてきただけあって、五人ともかなりの実力者です。ドナート様が索敵でモンスターとの戦闘を避け、ベルナルド様の魔術で最短距離を進み、どうしても避けられない戦闘もアルベルト様が瞬時に終わらせてしまいます。後方からの攻撃を警戒しているバルトヴィーノ様やチェーザーレ様の戦うお姿は拝見しておりませんが、こんな高レベルのパーティーにいるのですから実力は推して知るべきです。
それにしても……駆け足で進む道中、私の横を飛んでいるリージェ様がベルナルド様をずっと見つめているのです。時折リージェ様が嬉しそうな声を出したり、踊ったり。
まさか、私よりもベルナルド様を好きになってしまったのでしょうか?
聖竜ではない、というアルベルト様の言葉が心の中でぐるぐると回ります。リージェ様、私を置いてどこかへ行ったりなんてしませんよね……?
「今日はここまでにしよう」
時告げの実を取り出したアルベルト様が付近のモンスターを排除しました。今日はここで野営だそうです。
アルベルト様は、ここは47階層だと言います。私が神殿で修行している間もダンジョンは成長していると。ダンジョンコアなんて、神殿のある最下層では見ませんでしたけど……まさか、毎日礼拝していた女神像の大きな水晶がコアなんて言いませんよね? 女神様が眠っているとされている水晶を壊すなんて罰当たりなこと、歴代聖女は誰一人できるはずはありません。
夕食はミノタウロスがドロップしたというお肉を串焼きに。リージェ様が目の色を変えてかぶり付いていて、メロンの時よりも必死に食べておられました。一口食べる度に「キュイッ」っと言っている姿がとても微笑ましいのです。
一本食べきった後の顔があまりにも悲しそうだったので思わず私の分も差し上げたら飛び上がって喜んでくださいました。お肉がお気に召したのですね。王都に着いたら美味しいお肉料理のお店に行きましょうね。
食事の後いつの間にか眠ってしまっていたようです。枕元でリージェ様が丸くなって熟睡していらっしゃいます。ダンジョンの中だというのに、少々無防備過ぎませんか?
冒険者の方々は夜通し見張りをして下さっていたようで、申し訳なくて朝食の準備を買って出ました。昨日のお肉の残りを使って簡単にスープを作り、メロンをシャーベットにしました。ドナートさんが固パンを分けてくださったのでだいぶ豪華になりました。
食事の後はまた駆け足での強行軍です。駆け足でどんどん階層を登っていきます。
階段を上り切ったところで突然巨大な黒いドラゴンに襲われました。階段を守るようにしていたことから、階層ボスのようです。ついに最深層を抜けたのですね。
ベルナルド様の指示で、ベルナルド様が詠唱をする間結界で守っていると、リージェ様がブレスで果敢に黒いドラゴンと戦ってくださいました。体格差があるにも関わらず立ち向かう姿は勇猛そのものです。さすがは私のリージェ様ですわ。
「キュッ」
黒いドラゴンを倒したリージェ様が得意げに踊っていらっしゃいます。可愛らしいのです。
ベルナルド様のお話ですと、ここの階層ボスは本来バジリスクという大蜥蜴で、≪暗黒破壊神の欠片≫とあるこの黒い水晶を埋め込まれてあのようなドラゴンになったとか。
つまりあのドラゴンは暗黒破壊神の分身そのものでしたのね。勝てて良かったのです。
「キュッ?!」
怪我をされた方々に回復魔法をかけている時、リージェ様の驚いたような声が聞こえて慌てて見ると、出てきた黒い水晶がリージェ様に吸い込まれるようにして消えてしまいました。
「大丈夫か? どこか痛いとか苦しいとかは……?」
ベルナルド様の推測から、リージェ様に何か異変が起こるのではないかと危惧したアルベルト様が恐る恐る聞くと、リージェ様は一瞬キョトンとした顔で首を傾げてから御身体を隅々まで確認してコクコクと頷かれました。いつも通りのその様子に、私は胸を撫で下ろしました。
「キュイ~! キュゥッキュキュィッ!」
元気いっぱいな様子を見せてくださったので、心配ではありますが再び出発となりました。
駆け足でひたすら進むこと1オーラ。39階層にて食事休憩となりました。なのですが。
「キュゥゥゥゥゥ……」
リージェ様がメロンとお肉の入った包みに抱きついたまま離れず、イヤイヤと首を横に振っています。アルベルト様に生ものは傷むから先に供与してくれ、と宥められ説得され名残惜しそうにしておられました。
私達の持っていた食料はほとんどが生ものでしたもの。仕方ありませんわ。
食料が残り少ないと知り、食べられそうなモンスターは避けずに狩っていこうということになりました。
そして、いよいよ深層を抜けます。階段を守っていたのは人の2倍の高さはあろうかという巨大な鶏。後方から来た私達に気付いていないので、バルトヴィーノ様がすぐに両脚を切り飛ばしておりました。
けれど、それで即死するわけでなく、羽を凄まじい勢いで飛ばしてきます。
着弾した羽は何と爆発をしました。私達は結界を張っていましたので怪我をしなかったのですが、結界の外にいたリージェ様が吹き飛ばされ壁に激突してしまいました。
「リージェ様!」
「キュ~……」
幸い、爆発に直接巻き込まれたわけではないので大きな怪我はなくすぐに治りました。
怪我の治ったリージェ様はドロップアイテムの鶏肉を見てピョンピョンと飛び跳ねて喜んでおりました。お肉が出て良かったですね、リージェ様。
リージェ様以外は怪我もなかったため、先を急ぎます。その間リージェ様はまたベルナルド様をジッと見つめて、何やら頷いたり腕や翼をパタパタと動かしたり、尻尾を揺らしたりしています。
何だかとてもご機嫌な様子。私、ベルナルド様に嫉妬してしまいそうですわ!
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***********************
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