28 / 228
第二章 俺様、ダンジョンを出る
14、どんだけ食い意地張ってんだよこのおっちゃん
しおりを挟む
野営地に着くと、バルトヴィーノが何やらもくもくと煙を出していた。あ、因みに一人あぶれたバルトヴィーノが野営地の守番だ。他の四人は、ドナートとアルベルト、チェーザーレとベルナルド先生でペアを組んで食料調達に行っている。
「おう、お帰り!」
俺達に気付いたバルトヴィーノが片手を上げて声をかけてくる。
「それは何をしているのですか?」
ルシアちゃんが荷物を下ろしながら聞く。かなり煙い。
「これか? ドナート達が鳥を獲ってきたんでな。羽を毟って燻製にしている所だ」
「燻製、ですか?」
そう言って煙を上げている地面から鉄板をどかし、薪を足している。
バルトヴィーノの話によると、天日干しするには時間が足りないが、燻製なら一夜燻していればできて正味4日の行軍ぐらいなら日保ちするとのこと。
燻製自体は知っていたけれど、こうして作るのは初めて知った。アウトドア系の番組とか、ホームセンターだと専用のオーブンとか使っていたからな。
なんでも、地面に穴を二つ掘り、その二つを管で繋げるというものらしく。パイプは竹を伐採して穴を開けたものを使っているとのこと。凄すぎる。兄貴と呼ぼう。
「そろそろ昼飯だし、他の連中も戻ってくるんじゃねぇか?」
「では、私達はお昼の用意をしましょうか、リージェ様」
ルシアちゃんはテントから鍋を持ってきて川の水を汲む。俺はルシアちゃんの荷物から虎肉を取り出すと、バルトヴィーノに渡した。
『虎の肉って食える?』
「おう、極上の肉じゃねぇか! 脂身が少ないところだけくれ。他は今日明日で焼いて食おうぜ」
なんでも、燻製にするには脂身が多すぎるとうまくいかないようで。バルトヴィーノは大雑把に肉を切り分けると、霜の入った部分を返してきて残りを燻製用の穴に放り込んでいた。
「あ~腹減ったぁ」
「何だか良い匂いがしますね」
タケノコが煮える頃チェーザーレとベルナルド先生が匂いにつられたかのように戻ってきた。
「良いタイミングですね。今できますので休んでいてください」
ベルナルド先生は薬草などをたくさん採ってきたらしい。同行していたチェーザーレもたくさんのきのこや野草を寄越してくれた。ついでに岩塩も見つけたとかで、馬鹿でかいのを寄越してきた。
昼食はもう作り終えるので、夕食に回すとのこと。
「おおっ、良い匂いだな」
「兎いっぱい獲ってきたぞ」
アルベルトとドナートが戻ってきた。二人は肉か。と言うことは、今バルトヴィーノが燻している肉も二人の獲物か。
腹っ減らしのチェーザーレが催促し、すぐに昼食になった。
「美味いな! これは何だ?」
チェーザーレが目を輝かせてルシアちゃんに詰め寄る。
「バンブーと虎の肉を煮詰めた物です。味付けは塩だけですけど……」
「「バンブーだって?!」」
ルシアちゃんの言葉に、おっちゃん達が目を丸くする。
あんな固い物が、煮詰めるとこんな柔らかくなるのか。こんなに旨いならもう何本か切り出してくるか。という声がぼそぼそ聞こえる。
どうやら、ルシアちゃんだけじゃなく、この世界の人は筍を食ったことが無いらしい。
『あー、チェーザーレ? バンブーはバンブーでも、地面から生えるか生えないかくらいの若芽しか食えんぞ?』
未知の場所、未知の食材! これぞ冒険者の醍醐味! と食い意地を見せたチェーザーレ。激しく同感だが放っておいたら普通に伸びた竹を切り出して食おうとしそうだから釘を刺しておいた。どんだけ食い意地張ってんだよこのおっちゃん。
俺は虎肉の串焼きのほうが好みだな。チェーザーレが持ってきた岩塩をかけたらさらに旨い。
昼食後は保存食作り。ベルナルド先生は薬草をすり鉢で潰して何かを作っている。この香りは……スパイス? 何だかとても食欲をそそる香りがする。
俺はひたすらチェーザーレが持ってきた岩塩を削って肉に刷り込む。肉が多くて燻製が間に合わないらしく、後から持ってきた分はこうやって水分を飛ばすことで保存するみたいだ。
夕食は鳥とタケノコを煮詰めたものと、虎肉ときのこを炒めたもの、野草のスープだった。白米が恋しい。
おっちゃん達は食べ足りないみたいで固パンを出して食べていた。
因みに補足すると、携行食には固パンと堅パンの二種類がある。どちらも「かたパン」と言うそうなのだが、固パンは日保ちしない代わりにスープに浸せば食べられる硬さ。堅パンはビスケットみたいな形で、とにかく硬い。ドラゴンである俺の牙をもってしても歯が立たなかった。釘が打てるんじゃないかってほど。どろどろに煮詰めてパン粥にして食べる。
固パンはこれで終わりで、残るは堅パンのみ。明日からパン粥の日々になるのか。
ルシアちゃんが料理上手だからそこまで不味くはないのだが、特別美味しくもない。燻製肉が大量に作れたのが不幸中の幸いか。
一通り保存食にした所で就寝。これで明日からはまた駆け足での強行軍になるな。
「おう、お帰り!」
俺達に気付いたバルトヴィーノが片手を上げて声をかけてくる。
「それは何をしているのですか?」
ルシアちゃんが荷物を下ろしながら聞く。かなり煙い。
「これか? ドナート達が鳥を獲ってきたんでな。羽を毟って燻製にしている所だ」
「燻製、ですか?」
そう言って煙を上げている地面から鉄板をどかし、薪を足している。
バルトヴィーノの話によると、天日干しするには時間が足りないが、燻製なら一夜燻していればできて正味4日の行軍ぐらいなら日保ちするとのこと。
燻製自体は知っていたけれど、こうして作るのは初めて知った。アウトドア系の番組とか、ホームセンターだと専用のオーブンとか使っていたからな。
なんでも、地面に穴を二つ掘り、その二つを管で繋げるというものらしく。パイプは竹を伐採して穴を開けたものを使っているとのこと。凄すぎる。兄貴と呼ぼう。
「そろそろ昼飯だし、他の連中も戻ってくるんじゃねぇか?」
「では、私達はお昼の用意をしましょうか、リージェ様」
ルシアちゃんはテントから鍋を持ってきて川の水を汲む。俺はルシアちゃんの荷物から虎肉を取り出すと、バルトヴィーノに渡した。
『虎の肉って食える?』
「おう、極上の肉じゃねぇか! 脂身が少ないところだけくれ。他は今日明日で焼いて食おうぜ」
なんでも、燻製にするには脂身が多すぎるとうまくいかないようで。バルトヴィーノは大雑把に肉を切り分けると、霜の入った部分を返してきて残りを燻製用の穴に放り込んでいた。
「あ~腹減ったぁ」
「何だか良い匂いがしますね」
タケノコが煮える頃チェーザーレとベルナルド先生が匂いにつられたかのように戻ってきた。
「良いタイミングですね。今できますので休んでいてください」
ベルナルド先生は薬草などをたくさん採ってきたらしい。同行していたチェーザーレもたくさんのきのこや野草を寄越してくれた。ついでに岩塩も見つけたとかで、馬鹿でかいのを寄越してきた。
昼食はもう作り終えるので、夕食に回すとのこと。
「おおっ、良い匂いだな」
「兎いっぱい獲ってきたぞ」
アルベルトとドナートが戻ってきた。二人は肉か。と言うことは、今バルトヴィーノが燻している肉も二人の獲物か。
腹っ減らしのチェーザーレが催促し、すぐに昼食になった。
「美味いな! これは何だ?」
チェーザーレが目を輝かせてルシアちゃんに詰め寄る。
「バンブーと虎の肉を煮詰めた物です。味付けは塩だけですけど……」
「「バンブーだって?!」」
ルシアちゃんの言葉に、おっちゃん達が目を丸くする。
あんな固い物が、煮詰めるとこんな柔らかくなるのか。こんなに旨いならもう何本か切り出してくるか。という声がぼそぼそ聞こえる。
どうやら、ルシアちゃんだけじゃなく、この世界の人は筍を食ったことが無いらしい。
『あー、チェーザーレ? バンブーはバンブーでも、地面から生えるか生えないかくらいの若芽しか食えんぞ?』
未知の場所、未知の食材! これぞ冒険者の醍醐味! と食い意地を見せたチェーザーレ。激しく同感だが放っておいたら普通に伸びた竹を切り出して食おうとしそうだから釘を刺しておいた。どんだけ食い意地張ってんだよこのおっちゃん。
俺は虎肉の串焼きのほうが好みだな。チェーザーレが持ってきた岩塩をかけたらさらに旨い。
昼食後は保存食作り。ベルナルド先生は薬草をすり鉢で潰して何かを作っている。この香りは……スパイス? 何だかとても食欲をそそる香りがする。
俺はひたすらチェーザーレが持ってきた岩塩を削って肉に刷り込む。肉が多くて燻製が間に合わないらしく、後から持ってきた分はこうやって水分を飛ばすことで保存するみたいだ。
夕食は鳥とタケノコを煮詰めたものと、虎肉ときのこを炒めたもの、野草のスープだった。白米が恋しい。
おっちゃん達は食べ足りないみたいで固パンを出して食べていた。
因みに補足すると、携行食には固パンと堅パンの二種類がある。どちらも「かたパン」と言うそうなのだが、固パンは日保ちしない代わりにスープに浸せば食べられる硬さ。堅パンはビスケットみたいな形で、とにかく硬い。ドラゴンである俺の牙をもってしても歯が立たなかった。釘が打てるんじゃないかってほど。どろどろに煮詰めてパン粥にして食べる。
固パンはこれで終わりで、残るは堅パンのみ。明日からパン粥の日々になるのか。
ルシアちゃんが料理上手だからそこまで不味くはないのだが、特別美味しくもない。燻製肉が大量に作れたのが不幸中の幸いか。
一通り保存食にした所で就寝。これで明日からはまた駆け足での強行軍になるな。
0
あなたにおすすめの小説
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?
山咲莉亜
ファンタジー
ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。
だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。
趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?
ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。
※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる