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第三章 俺様、王都へ行く
1、 えぇ? 俺、首輪をするような趣味は持ち合わせていないんだけど。
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「お迎えに上がりました」
ダンジョンを出た所に、馬車がニ台泊まっていた。一台は物資と護衛の人達用、一台は俺達用らしい。アルベルトがご苦労とか偉そうに挨拶していた。
馬車の周りには武装した人間が十人、御者が二名の合計十二名がわざわざ迎えに来てくれたらしい。モンスターである俺に向けてくる警戒したような視線が鬱陶しい。
ベルナルド先生によると、行きもここまでは馬車で来て、近くの村で物資を補給してまた迎えに来てくれたんだと。
高位冒険者が尊敬を集めるというのはこちらの世界でも同じらしい。馬車の警護をしていたらしい十人が揃ってキラキラした眼で五人を見ていた。
「あの、イヴァーノ様はどうされたのですか?」
戸惑いがちに御者の若い男が声をかけてくる。
そういや、最初に出逢った階層ボスの部屋で両断されてた男がいたな。イヴァーノって名前だったのか。
意図的になのか、死んだ男についての話を誰も口にしようとしてなかったからな。
「イヴァーノは……死んだよ。最深層手前の階層ボスにやられてな……」
沈痛そうな顔で言ったアルベルトの言葉に周りがざわつく。誰も彼の死を信じられないと口々に言っていた。
『なぁ、その死んだイヴァーノって、どんな奴だったの?』
静寂に包まれた馬車。聞こえて来るのはただ蹄が地を駆る音と車輪の音のみで。後ろに続く馬車もイヴァーノの死を悼むかのように静まり返っている。俺は沈黙に耐えきれなくなって聞いてみた。
「良い奴だったよ。チェーザーレに負けず劣らず食い意地が張っていてな……」
アルベルトが答えた言葉を皮切りに、ポツポツと他のメンバーも語り出す。
曰く、パーティーのメンバーで一番若かったこと。酒や食べ物をチェーザーレやバルトヴィーノと奪い合うようにしていたこと。王都に恋人がいたこと。王都が落ち着きを取り戻したら結婚する予定だったこと。その出逢いや人柄まで。
「若さ故に揉めることも多かったけど、最後はちゃんと謝って来てな。少しずつ成長してたんだ。それなのに……」
最後は涙で言葉が出ない様子だった。
ダンジョンに遺体を喰われて僅かな装備品しか持ち帰れなかったから余計にその死を受け入れ難いのかもしれない。
『俺は直接イヴァーノを知らないけど、話してくれたおかげでどんな人か大体わかったよ。これからも色んな人に話していくと良い。少なくとも話を聞いた人間はイヴァーノを身近な存在として感じられる。おっちゃん達が語り継ぐ限り、何度だってイヴァーノは生き返るって俺は思うよ』
俺は月並みな言葉しか言えないけれど。故人を偲ぶなら押し黙って一人泣くよりも、大いに語り合うのが良い。忘れてしまわない限り、その人は心の中で生き続けると俺は思いたい。
そんな俺の言葉に、絞り出すようにベルナルド先生がありがとうと言ってくれた。
それから口々に語られるイヴァーノとの思い出を聞いている内に村に着いた。
この辺りにはモンスターが現れるらしく、背の高い塀と深い掘に囲まれていた。
入るときに少し抵抗を感じたけれど、普通に入れてしまった。馬車から降りる際にルシアちゃんが抱っこしてくれていたお陰で村人の混乱は少なかったけど、遠巻きに見られている。
「忘れてました。リージェにこれを」
アルベルト先生が宝石のついた首輪を取り出す。
えぇ? 俺、首輪をするような趣味は持ち合わせていないんだけど。
「リージェ様、無用の混乱を避けるためですの」
ルシアちゃんが言うなら仕方ないな。
俺を膝に乗せて首輪を締めてくれる。苦しくないか聞いてくれるから、大丈夫だと頷いて見せた。
「青い宝玉がリージェ様の白銀の鱗に映えて。とても素敵ですわ」
そんな風にルシアちゃんが笑うから。俺はあっさりと首輪を受け入れた。
ほら、パンクファッションだと思えば。うん、いけるいける。
そんな一幕があったが、その晩は村人総出で盛大な宴が催された。ダンジョンを脱出した祝いやイヴァーノの追悼のためらしい。村人がこんな宴を開くほどアルベルト達に人徳があるのだということだろう。
ひたすらに飲んで騒ぎ、イヴァーノとの思い出を語り。酒に呑まれたバルトヴィーノが裸踊りを始めて女性陣が逃げ回るというなかなかのカオスっぷり。
翌朝記憶の残ってる連中が気まずい空気を漂わせていたところまでが1セットで。
すっかり打ち解けた村人達全員に見送られて出発した。
道中特にモンスターに襲われることもなく、次の村へ着く。ここでも同じようにイヴァーノの死を悼んで宴が開かれた。
どうやら、俺の言った故人を偲ぶなら泣くのではなく語れというが浸透したようだ。
ダンジョンを出て二日。ひたすら馬を駆り続け、ようやく王都らしきものが見えてきた。
ダンジョンを出た所に、馬車がニ台泊まっていた。一台は物資と護衛の人達用、一台は俺達用らしい。アルベルトがご苦労とか偉そうに挨拶していた。
馬車の周りには武装した人間が十人、御者が二名の合計十二名がわざわざ迎えに来てくれたらしい。モンスターである俺に向けてくる警戒したような視線が鬱陶しい。
ベルナルド先生によると、行きもここまでは馬車で来て、近くの村で物資を補給してまた迎えに来てくれたんだと。
高位冒険者が尊敬を集めるというのはこちらの世界でも同じらしい。馬車の警護をしていたらしい十人が揃ってキラキラした眼で五人を見ていた。
「あの、イヴァーノ様はどうされたのですか?」
戸惑いがちに御者の若い男が声をかけてくる。
そういや、最初に出逢った階層ボスの部屋で両断されてた男がいたな。イヴァーノって名前だったのか。
意図的になのか、死んだ男についての話を誰も口にしようとしてなかったからな。
「イヴァーノは……死んだよ。最深層手前の階層ボスにやられてな……」
沈痛そうな顔で言ったアルベルトの言葉に周りがざわつく。誰も彼の死を信じられないと口々に言っていた。
『なぁ、その死んだイヴァーノって、どんな奴だったの?』
静寂に包まれた馬車。聞こえて来るのはただ蹄が地を駆る音と車輪の音のみで。後ろに続く馬車もイヴァーノの死を悼むかのように静まり返っている。俺は沈黙に耐えきれなくなって聞いてみた。
「良い奴だったよ。チェーザーレに負けず劣らず食い意地が張っていてな……」
アルベルトが答えた言葉を皮切りに、ポツポツと他のメンバーも語り出す。
曰く、パーティーのメンバーで一番若かったこと。酒や食べ物をチェーザーレやバルトヴィーノと奪い合うようにしていたこと。王都に恋人がいたこと。王都が落ち着きを取り戻したら結婚する予定だったこと。その出逢いや人柄まで。
「若さ故に揉めることも多かったけど、最後はちゃんと謝って来てな。少しずつ成長してたんだ。それなのに……」
最後は涙で言葉が出ない様子だった。
ダンジョンに遺体を喰われて僅かな装備品しか持ち帰れなかったから余計にその死を受け入れ難いのかもしれない。
『俺は直接イヴァーノを知らないけど、話してくれたおかげでどんな人か大体わかったよ。これからも色んな人に話していくと良い。少なくとも話を聞いた人間はイヴァーノを身近な存在として感じられる。おっちゃん達が語り継ぐ限り、何度だってイヴァーノは生き返るって俺は思うよ』
俺は月並みな言葉しか言えないけれど。故人を偲ぶなら押し黙って一人泣くよりも、大いに語り合うのが良い。忘れてしまわない限り、その人は心の中で生き続けると俺は思いたい。
そんな俺の言葉に、絞り出すようにベルナルド先生がありがとうと言ってくれた。
それから口々に語られるイヴァーノとの思い出を聞いている内に村に着いた。
この辺りにはモンスターが現れるらしく、背の高い塀と深い掘に囲まれていた。
入るときに少し抵抗を感じたけれど、普通に入れてしまった。馬車から降りる際にルシアちゃんが抱っこしてくれていたお陰で村人の混乱は少なかったけど、遠巻きに見られている。
「忘れてました。リージェにこれを」
アルベルト先生が宝石のついた首輪を取り出す。
えぇ? 俺、首輪をするような趣味は持ち合わせていないんだけど。
「リージェ様、無用の混乱を避けるためですの」
ルシアちゃんが言うなら仕方ないな。
俺を膝に乗せて首輪を締めてくれる。苦しくないか聞いてくれるから、大丈夫だと頷いて見せた。
「青い宝玉がリージェ様の白銀の鱗に映えて。とても素敵ですわ」
そんな風にルシアちゃんが笑うから。俺はあっさりと首輪を受け入れた。
ほら、パンクファッションだと思えば。うん、いけるいける。
そんな一幕があったが、その晩は村人総出で盛大な宴が催された。ダンジョンを脱出した祝いやイヴァーノの追悼のためらしい。村人がこんな宴を開くほどアルベルト達に人徳があるのだということだろう。
ひたすらに飲んで騒ぎ、イヴァーノとの思い出を語り。酒に呑まれたバルトヴィーノが裸踊りを始めて女性陣が逃げ回るというなかなかのカオスっぷり。
翌朝記憶の残ってる連中が気まずい空気を漂わせていたところまでが1セットで。
すっかり打ち解けた村人達全員に見送られて出発した。
道中特にモンスターに襲われることもなく、次の村へ着く。ここでも同じようにイヴァーノの死を悼んで宴が開かれた。
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