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第三章 俺様、王都へ行く
15、ここでお別れだ。
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「なっ、何だ貴様は!」
壊れた扉の向こうにいたのは、半裸になった教皇。
その向こう側にある大きなベッドに横たえられていたのは、気を失ったルシアちゃんで。
それを見た瞬間、俺の中の何かがプチっと音を立てて切れた。
『貴様、聖女に何をした?!』
夜だというのに、室内が眩い光に包まれる。が、そんなこと気にならないくらい、頭の中が沸騰している。
後方から呻き声が聞こえた。俺の近くの床がジュッ、と音を立てて溶けるように穴が開いていく。
「落ち着いてください、聖竜様!」
俺を諫めようと延ばされたエミーリオの指がジュッと溶けて骨が出る。
溢れ出る血がどんどんと蒸発し赤い霧を生み出す。
それを見て少し冷静になった。
『済まぬ、エミーリオ。下がっていろ。彼奴はここで殺す』
エミーリオに怪我を負わせたのが俺の力だって言うなら、制御できるはずだ。
前面に、あのゲスにだけ照射するように。飛ぶために力を込めていたからか、光が翼の先に収束する。
「わ、私を害そうというのか? やはり、汚らわしいモンスターだ」
ヒヒ、と脂汗を垂らしながら引き笑いをする教皇。俺の光に当てられたせいか、肌にブツブツと気泡ができ、それが潰れ血が噴き出している。
そして、思い立ったようにルシアちゃんを引き寄せ盾にしやがった。咄嗟に少し下がる。
『エミーリオ』
「はいっ!」
力を制御できる程度には冷静になったからこそ、わかる。ルシアちゃんに着衣の乱れはない。まだ何もされていない。たぶん。
エミーリオの名を短く呼ぶと、怪我をしているとは思えない動きで前に飛び出した。俺の光を浴びる位置だというのに、少しの躊躇もない。
「ひっ! ぎゃぁぁぁぁぁぁああああ!!」
一瞬だった。
エミーリオが腕を振り上げたと思ったら、ゲスの腕が消えていた。数瞬の後にポト、と床に落ち、同時に血が噴き出す。
それらを認識する頃にはエミーリオは既にルシアちゃんを抱いて俺の後ろまで下がっていた。
『神職者でありながら、欲に溺れ聖女まで手にかけようとしたこと、地獄で後悔すると良い』
前方に何の憂いもない。
俺は翼の先に集まっていた熱源を全力でゲスに向かって飛ばした。
ジュッ
悲鳴すら聞こえなかった。
光の球が近づいただけで、ゲスは溶けてしまったのだ。
その後ろにあったベッドも、壁も。教会を半分ほど溶かし消し、光の球は消えた。
『――≪リージェ≫が経験値3750を獲得しました――』
『――≪リージェ≫がスキル≪メルトスラッシュ≫を獲得しました――』
とうとう、人間を殺してしまった。
いや、あんな奴死んで当然だったのだ。それに、俺は暗黒破壊神、人類の敵となるのだ。この程度で心を痛める必要はない。はず。
自分にそう言い聞かせて振り返ると、蒼い顔をしたエミーリオと目があった。
その後ろにいるシスター二人と違って怯えている様子ではない。
その指からはまだ血が溢れている。血が足りないのだ。
近寄ろうとすると、エミーリオの後ろの3人が小さく悲鳴を上げた。
『俺様が恐ろしいか?』
「いいえ、あれは天罰です。あなたは正しいことをなさいました」
『天罰……』
『――スキル≪メルトスラッシュ≫が≪天罰≫に改名されました――』
ゲスだけじゃなく、エミーリオにも重傷を負わせているのに、それが正しかったとエミーリオは言う。
スキルの判定になったし、次からは無関係な人を傷つけまいとエミーリオに回復魔法をかけながら誓った。
エミーリオに何度目かの回復魔法をかけたとき、溶けるように開いた穴から住人たちが覗いているのに気付いた。
必死になっていたから気づかなかったが、室内の惨状、特にエミーリオの怪我に顔を青褪めさせている。
俺が顔を上げると、視線の先にいた人が後退りする。その中には救護院で助けた人もいて。ズキリ、と胸が痛んだ。
『エミーリオ、ウェルナー、聖女のことを頼む』
「え、何を……」
『聞くが良い、住民達よ。この教会は汚れに染まり、既に女神の威光はない。よってその原因たる教皇を処断した。あとはこの地を浄化するだけだ』
俺は翼に光を集める。そして、それをエミーリオや住民に被弾しないよう天井や壁に向けて乱射する。
技名を言わずに放ったが、それでも瓦礫が崩れることなく、光刃に触れた箇所は溶けるように消失した。
『これでこの地の汚れは去った。女神が戻るよう、次は厳格な者を教皇に据えることだ』
エミーリオは何故かキラキラした瞳を向けてくるが、それ以外の住人は皆怯え顔だ。
ここまでか。
こんな大勢の人の前でこんなことをしたんじゃ、俺が聖竜ではなく暗黒破壊神だと気付く人もいるだろう。
ルシアちゃん、ここでお別れだ。
俺は聖竜なんかじゃない。暗黒破壊神なんだ。ただのモンスターなんだよ。
早く本物の聖竜に出会えることを祈っているよ。
俺はエミーリオが引き留めようと伸ばした手を振り払ってその場を後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 13
EXP : 14015/ 89867
HP : 1752/ 1752
MP : 749/ 1349
Atk : 2974
Def : 966
スキル : タリ―語 Lv.3
我が劫火に焼かれよ Lv.4
血飛沫と共に踊れ Lv.5
全てを見通す神の眼 Lv.2
念話 Lv.2
我を害さんとする者よ、姿を現せ Lv.1
反転せよ Lv.2
天罰 Lv.1
称号 : 中二病(笑)
害虫キラー
農家
ドM
聖竜(仮)
壊れた扉の向こうにいたのは、半裸になった教皇。
その向こう側にある大きなベッドに横たえられていたのは、気を失ったルシアちゃんで。
それを見た瞬間、俺の中の何かがプチっと音を立てて切れた。
『貴様、聖女に何をした?!』
夜だというのに、室内が眩い光に包まれる。が、そんなこと気にならないくらい、頭の中が沸騰している。
後方から呻き声が聞こえた。俺の近くの床がジュッ、と音を立てて溶けるように穴が開いていく。
「落ち着いてください、聖竜様!」
俺を諫めようと延ばされたエミーリオの指がジュッと溶けて骨が出る。
溢れ出る血がどんどんと蒸発し赤い霧を生み出す。
それを見て少し冷静になった。
『済まぬ、エミーリオ。下がっていろ。彼奴はここで殺す』
エミーリオに怪我を負わせたのが俺の力だって言うなら、制御できるはずだ。
前面に、あのゲスにだけ照射するように。飛ぶために力を込めていたからか、光が翼の先に収束する。
「わ、私を害そうというのか? やはり、汚らわしいモンスターだ」
ヒヒ、と脂汗を垂らしながら引き笑いをする教皇。俺の光に当てられたせいか、肌にブツブツと気泡ができ、それが潰れ血が噴き出している。
そして、思い立ったようにルシアちゃんを引き寄せ盾にしやがった。咄嗟に少し下がる。
『エミーリオ』
「はいっ!」
力を制御できる程度には冷静になったからこそ、わかる。ルシアちゃんに着衣の乱れはない。まだ何もされていない。たぶん。
エミーリオの名を短く呼ぶと、怪我をしているとは思えない動きで前に飛び出した。俺の光を浴びる位置だというのに、少しの躊躇もない。
「ひっ! ぎゃぁぁぁぁぁぁああああ!!」
一瞬だった。
エミーリオが腕を振り上げたと思ったら、ゲスの腕が消えていた。数瞬の後にポト、と床に落ち、同時に血が噴き出す。
それらを認識する頃にはエミーリオは既にルシアちゃんを抱いて俺の後ろまで下がっていた。
『神職者でありながら、欲に溺れ聖女まで手にかけようとしたこと、地獄で後悔すると良い』
前方に何の憂いもない。
俺は翼の先に集まっていた熱源を全力でゲスに向かって飛ばした。
ジュッ
悲鳴すら聞こえなかった。
光の球が近づいただけで、ゲスは溶けてしまったのだ。
その後ろにあったベッドも、壁も。教会を半分ほど溶かし消し、光の球は消えた。
『――≪リージェ≫が経験値3750を獲得しました――』
『――≪リージェ≫がスキル≪メルトスラッシュ≫を獲得しました――』
とうとう、人間を殺してしまった。
いや、あんな奴死んで当然だったのだ。それに、俺は暗黒破壊神、人類の敵となるのだ。この程度で心を痛める必要はない。はず。
自分にそう言い聞かせて振り返ると、蒼い顔をしたエミーリオと目があった。
その後ろにいるシスター二人と違って怯えている様子ではない。
その指からはまだ血が溢れている。血が足りないのだ。
近寄ろうとすると、エミーリオの後ろの3人が小さく悲鳴を上げた。
『俺様が恐ろしいか?』
「いいえ、あれは天罰です。あなたは正しいことをなさいました」
『天罰……』
『――スキル≪メルトスラッシュ≫が≪天罰≫に改名されました――』
ゲスだけじゃなく、エミーリオにも重傷を負わせているのに、それが正しかったとエミーリオは言う。
スキルの判定になったし、次からは無関係な人を傷つけまいとエミーリオに回復魔法をかけながら誓った。
エミーリオに何度目かの回復魔法をかけたとき、溶けるように開いた穴から住人たちが覗いているのに気付いた。
必死になっていたから気づかなかったが、室内の惨状、特にエミーリオの怪我に顔を青褪めさせている。
俺が顔を上げると、視線の先にいた人が後退りする。その中には救護院で助けた人もいて。ズキリ、と胸が痛んだ。
『エミーリオ、ウェルナー、聖女のことを頼む』
「え、何を……」
『聞くが良い、住民達よ。この教会は汚れに染まり、既に女神の威光はない。よってその原因たる教皇を処断した。あとはこの地を浄化するだけだ』
俺は翼に光を集める。そして、それをエミーリオや住民に被弾しないよう天井や壁に向けて乱射する。
技名を言わずに放ったが、それでも瓦礫が崩れることなく、光刃に触れた箇所は溶けるように消失した。
『これでこの地の汚れは去った。女神が戻るよう、次は厳格な者を教皇に据えることだ』
エミーリオは何故かキラキラした瞳を向けてくるが、それ以外の住人は皆怯え顔だ。
ここまでか。
こんな大勢の人の前でこんなことをしたんじゃ、俺が聖竜ではなく暗黒破壊神だと気付く人もいるだろう。
ルシアちゃん、ここでお別れだ。
俺は聖竜なんかじゃない。暗黒破壊神なんだ。ただのモンスターなんだよ。
早く本物の聖竜に出会えることを祈っているよ。
俺はエミーリオが引き留めようと伸ばした手を振り払ってその場を後にした。
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【ステータス】
名前 : リージェ
レベル : 13
EXP : 14015/ 89867
HP : 1752/ 1752
MP : 749/ 1349
Atk : 2974
Def : 966
スキル : タリ―語 Lv.3
我が劫火に焼かれよ Lv.4
血飛沫と共に踊れ Lv.5
全てを見通す神の眼 Lv.2
念話 Lv.2
我を害さんとする者よ、姿を現せ Lv.1
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