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第五章 俺様、北方へ行く
9、誤魔化したけど、何か?
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さて、気を取り直して出発である。
まだ若干ぐったりしている俺をエヴァは頭に乗っけてくれている。
何となく踏み固められている道らしき場所をエミーリオは北へ北へと歩を進めていく。
イナゴの影響で一面更地になってしまっているから、今歩いている場所が道なのか道じゃないのか凄くわかりにくいんだ。
知らず知らずのうちに道を外れてしまっているんじゃ、という不安に速度を落としている。道を見誤らないようにと、エミーリオがエヴァから降りて歩いているからだ。
「ノルドには三つ大きな泉があって、ノルドの民はその泉を中心に移動しています」
「へー」
『これからそこに向かうというわけだな』
エミーリオの説明を聞いているんだか聞いていないんだかよくわからない相槌をしている1号。
エヴァの頭が案外揺れるのだけど、背中よりはまだマシだ。うっかり爪を立てないよう気をつけねば。
「この道に沿ってこのまま歩いて行けば、三つの泉全て通ります。集落から集落、そして国境の町を繋ぐ生活道路がこの道なんです」
『道を外れないよう気をつけねばな』
三つの泉はそれぞれプント、パトゥリモーニオ、ベネディジョンという名前で、その泉周辺の土地も同じ名前で呼ばれるらしい。
ノルドの人々はその泉を年単位で家ごと移住するのだが、土地の管理で数世帯は残るので常住用の建物も数軒あるのだとか。
「ここから一番近いプントでも今日中に着けるかどうか……」
『焦らず行ける所までで良い。焦って道を誤っては本末転倒だ』
俺とエミーリオは揃って見渡す限り土色の景色を見て溜息を吐く。本当に酷い有様なのだ。時折点々と共食いにあったらしいイナゴの死骸が落ちていたが、暗黒破壊神の欠片は手に入らなかった。
目印が何もない以上、慎重に進むしかない。日が暮れかけ道が判別できなくなる前にと、日が傾き始める4オーラ目までは進み、そこで野営にしようということになった。
「ふむ……無駄足な気がしてきたぞ……」
『1号が真面目なことを……』
「失礼な! 俺はいつだって真面目だぞ!」
いつになく真剣な口調で言う1号。そういやこいつ教師だった。
何か気付いたことがあるのかと話を促す。エミーリオには道を見極めることに集中してもらっている。
1号はその前に、とエヴァの背から飛び降りると、地面を這うようにウロウロと検分し始める。
「やっぱりなぁ。お前らサイズだと気付きにくいかもだけど、足跡があるんだよ。人のものとも、イナゴのものとも違うへっこみが、こう」
「イナゴ? 先ほど戦ったのはロクスタですよ」
「ああ、それそれ、ロクスタ。いや、俺らの世界だとイナゴって言うのよ、あれ。サイズはもと小さいけどな」
1号が道のこれまで通ってきた後方からこれから向かう前方へと腕を動かし、その向きに何らかの生物の移動があったのだと言う。それは人の物よりは大きく、数も物凄く多いと。
関所にあった街を構成する建物が何でできているかは知らないが、イナゴの被害だけなら基礎となる石組はそのまま残るそうだ。食えないからな。
あの街は石組の所まで崩れて割れた石が転がっていた。街を壊した奴がイナゴ以外にいるのだ。
『ならば、そいつは?』
「さぁな、少なくとも足跡はだいぶ古い。いるとしたらずっと先だろうよ」
1号の想像だと、ノルド国内をモンスターが蹂躙したのではないかと。足跡から察するにオチデン方面の森からノルド国内へ北上したっぽい。逆に、イナゴはノルドの奥地から南下してきたようだ。モンスターに縄張りを追われて来たか、モンスターを食い尽くした可能性もあるとか。ともかく1号の想像ではノルドはもう滅んでいるだろうと。
そんな話をしていると、骨組みだけになった馬車が点々とあった。血痕らしき茶色い染みも付いている。人の死骸はない。
「喰われたか」
『イナゴにか?』
「奴らが食べないのは石や金属くらいだ」
「何てむごい……」
先に行った馬車がこれかどうかはわからないが、無事でいたら良いと思う。
遺体がないから弔いも碌にできないが、馬車に向かって手を合わせた。
「さ、昼飯にしようぜ」
「ここでですか?!」
俺が合わせた手を戻すタイミングで、しんみりした雰囲気を払うように1号が場違いな明るい声を出す。
遺体が無いとはいえ、生々しい血痕のある馬車の残骸の前。
『貴様、ゾンビ映画見ながら食事ができるタイプか』
「え? できるけど? スプラッターシーン観ながら普通にステーキとか食べるけど?」
「ゾンビ映画? スプラッター?」
俺達の会話にエミーリオが頭上にはてなマークを飛ばしている。説明がめんどくさい。
『さ、食事の用意をするのだ、エミーリオ』
誤魔化したけど、何か?
かく言う俺もゾンビ映画を見ながらご飯食べれるタイプだ。
イナゴの死骸が視界に入るのが気持ち悪いが、これはどこまで進んでも同じ気がする。
そんな訳で、食欲がないとスープだけすするエミーリオを横目に1号と二人で干し肉をうまうましたのであった。
まだ若干ぐったりしている俺をエヴァは頭に乗っけてくれている。
何となく踏み固められている道らしき場所をエミーリオは北へ北へと歩を進めていく。
イナゴの影響で一面更地になってしまっているから、今歩いている場所が道なのか道じゃないのか凄くわかりにくいんだ。
知らず知らずのうちに道を外れてしまっているんじゃ、という不安に速度を落としている。道を見誤らないようにと、エミーリオがエヴァから降りて歩いているからだ。
「ノルドには三つ大きな泉があって、ノルドの民はその泉を中心に移動しています」
「へー」
『これからそこに向かうというわけだな』
エミーリオの説明を聞いているんだか聞いていないんだかよくわからない相槌をしている1号。
エヴァの頭が案外揺れるのだけど、背中よりはまだマシだ。うっかり爪を立てないよう気をつけねば。
「この道に沿ってこのまま歩いて行けば、三つの泉全て通ります。集落から集落、そして国境の町を繋ぐ生活道路がこの道なんです」
『道を外れないよう気をつけねばな』
三つの泉はそれぞれプント、パトゥリモーニオ、ベネディジョンという名前で、その泉周辺の土地も同じ名前で呼ばれるらしい。
ノルドの人々はその泉を年単位で家ごと移住するのだが、土地の管理で数世帯は残るので常住用の建物も数軒あるのだとか。
「ここから一番近いプントでも今日中に着けるかどうか……」
『焦らず行ける所までで良い。焦って道を誤っては本末転倒だ』
俺とエミーリオは揃って見渡す限り土色の景色を見て溜息を吐く。本当に酷い有様なのだ。時折点々と共食いにあったらしいイナゴの死骸が落ちていたが、暗黒破壊神の欠片は手に入らなかった。
目印が何もない以上、慎重に進むしかない。日が暮れかけ道が判別できなくなる前にと、日が傾き始める4オーラ目までは進み、そこで野営にしようということになった。
「ふむ……無駄足な気がしてきたぞ……」
『1号が真面目なことを……』
「失礼な! 俺はいつだって真面目だぞ!」
いつになく真剣な口調で言う1号。そういやこいつ教師だった。
何か気付いたことがあるのかと話を促す。エミーリオには道を見極めることに集中してもらっている。
1号はその前に、とエヴァの背から飛び降りると、地面を這うようにウロウロと検分し始める。
「やっぱりなぁ。お前らサイズだと気付きにくいかもだけど、足跡があるんだよ。人のものとも、イナゴのものとも違うへっこみが、こう」
「イナゴ? 先ほど戦ったのはロクスタですよ」
「ああ、それそれ、ロクスタ。いや、俺らの世界だとイナゴって言うのよ、あれ。サイズはもと小さいけどな」
1号が道のこれまで通ってきた後方からこれから向かう前方へと腕を動かし、その向きに何らかの生物の移動があったのだと言う。それは人の物よりは大きく、数も物凄く多いと。
関所にあった街を構成する建物が何でできているかは知らないが、イナゴの被害だけなら基礎となる石組はそのまま残るそうだ。食えないからな。
あの街は石組の所まで崩れて割れた石が転がっていた。街を壊した奴がイナゴ以外にいるのだ。
『ならば、そいつは?』
「さぁな、少なくとも足跡はだいぶ古い。いるとしたらずっと先だろうよ」
1号の想像だと、ノルド国内をモンスターが蹂躙したのではないかと。足跡から察するにオチデン方面の森からノルド国内へ北上したっぽい。逆に、イナゴはノルドの奥地から南下してきたようだ。モンスターに縄張りを追われて来たか、モンスターを食い尽くした可能性もあるとか。ともかく1号の想像ではノルドはもう滅んでいるだろうと。
そんな話をしていると、骨組みだけになった馬車が点々とあった。血痕らしき茶色い染みも付いている。人の死骸はない。
「喰われたか」
『イナゴにか?』
「奴らが食べないのは石や金属くらいだ」
「何てむごい……」
先に行った馬車がこれかどうかはわからないが、無事でいたら良いと思う。
遺体がないから弔いも碌にできないが、馬車に向かって手を合わせた。
「さ、昼飯にしようぜ」
「ここでですか?!」
俺が合わせた手を戻すタイミングで、しんみりした雰囲気を払うように1号が場違いな明るい声を出す。
遺体が無いとはいえ、生々しい血痕のある馬車の残骸の前。
『貴様、ゾンビ映画見ながら食事ができるタイプか』
「え? できるけど? スプラッターシーン観ながら普通にステーキとか食べるけど?」
「ゾンビ映画? スプラッター?」
俺達の会話にエミーリオが頭上にはてなマークを飛ばしている。説明がめんどくさい。
『さ、食事の用意をするのだ、エミーリオ』
誤魔化したけど、何か?
かく言う俺もゾンビ映画を見ながらご飯食べれるタイプだ。
イナゴの死骸が視界に入るのが気持ち悪いが、これはどこまで進んでも同じ気がする。
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