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第九章 俺様、ダンジョンに潜る
25、俺様の欠片を横取りしやがったな!
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それは、まるでアミールと遭遇した時のような感覚だった。
距離はかなり開いているのに、肌がぴりつく。
そして数秒後、全員がほぼ同時に異変に気が付いた。
「なぁ、なんか、あいつ、黒くね……?」
「逆光のせいでは……ないみたいだな」
「大きさも、前回戦った個体より数倍大きいぞ」
最初は陰になっているだけだと思った。
しかし、すぐにそうではないのだと悟った。
真っすぐに、ズン、と重い地響きを立てながら近づいてきたミノタウロスの体表は黒かった。
『あ、あいつ……! 俺様の欠片を取り込みやがったな……っ!』
怒りで体が震える。
既に俺のものという認識があったからか、横取りされた感がはんぱない。
「――ブモォォォォオ!!!」
ビリビリと空気を震わせ、ミノタウロスが吼えた。
奴もこちらに気付いたらしい。
声が止むと同時に、奴の持っていた棘つきの棍棒が音速で飛んでくる。
「避けろ!」
「ルシア様、こちらへ!」
アルベルトが指示するまでもなく、全員がその場から散開する。
ジルベルタが創世の腕輪に集中していたルシアちゃんを引っ張っていった。
直後、棍棒が着弾する。地面に深くめり込むとか、どんだけだよ。
幸い誰にも当たらなかったが、風圧でルシアちゃんが飛ばされた。おのれ。
「リージェ!」
おっと。
バルトヴィーノの短い警告に向き直ると、眼前にミノタウロスが迫っていた。
振り抜かれた筋肉隆々の腕を余裕で躱す。さすが俺。
だが、ミノタウロスも本気ではなかった。腕を突き出したのは攻撃ではなく、棍棒を拾うためだったのだ。
「ブフーッ」
ミノタウロスが唸り声ともつかない息を吐いた。
周囲を取り囲む俺たちをまるきり無視して、ジルベルタに連れられて距離をとったルシアちゃんの方へと一歩踏み出す。
「させるか!」
『ルシア、和魂の鈴を!』
「は、はい!」
――チリ―ン。
涼やかな鈴の音が響くと、ミノタウロスが動きを止めた。
その場に座り込むと、のんびりと咀嚼を始める。
まるで本物の牛のようだ。
「よし、今のうちにジルベルタ達は距離を取れ。念のため結界も張るんだ」
「はい!」
「ルシア様、あちらの木陰に」
アルベルトの指示に、ジルベルタとエミーリオがルシアちゃんを連れて退避する。
数メートルほど離れたところでエミーリオが魔法で地面に穴を開けたようだ。
ルシアちゃんが地中に姿を隠し、結界がその前に立つジルベルタとエミーリオを覆う。
さて、と。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ステータス】
種族名 :ネロ・ミノタウロス
個体名 :ハールーン
レベル : 17
EXP : 74,824/11,493,970
HP : 3,367,726/ 4,990,270
MP : 12,950/ 128,450
Atk : 382,005
Def : 206,805
ダンジョン【女神の寝所】の深層フロアにいる階層ボス、ミノタウロスが暗黒破壊神の欠片を多数取り込み進化した個体。
偽女神から名をもらったことで高い知性とステータスを兼ね備えていたところを更に強化されています。気を付けて。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
おおう、マジか……。
流石に黒モンスターの群れを相手して消耗しているようだが、それでも9割もHPを残している。
防御力も攻撃力も俺と遜色ないし、強敵じゃねぇか。
だが、これほど強力な個体がアミールの下へ向かわずにこっちに襲い掛かってきたのはどういうことだ?
鑑定ちゃんが偽女神に名づけられたって言ってるし、もしかしてそれで偽女神の手下になってるとかか?
あ、そういや偽女神のどっちかが洗脳の能力持ちだったな。
「さて、リージェ。まさかこのままやり過ごすって言わないよな?」
『うむ、こやつを倒して欠片を奪えれば、こちらの戦力増強になる。作戦その2でいくぞ』
「「了解」」
作戦とか言うが、簡単な話。
レガメメンバーが中心になって叩き、俺が補佐するのが作戦その1。
ステータス的にレガメメンバーだけでは分が悪いと判断したら俺がメインでレガメメンバーが補佐に回るってのが作戦その2。
「全力でいくぞ!」
和魂の鈴のおかげで、最初の一撃だけは無抵抗で叩ける。
レガメメンバーは武器を構えて詠唱を始めた。
ベルナルド先生以外が詠唱をしている姿を見るのは、初めて見るかもしれない。
声が混ざり合い、それぞれの詠唱の効果が目に見え始める。
ベルナルド先生は頭上に火の球を作り出し、詠唱が進むにつれてそれがだんだん槍のような形となり、巨大化していく。
バルトヴィーノは持っていた剣が何やら赤く光り出した。
ドナートは矢を番っている手の周囲に風が纏わり始めている。
チェーザーレは、足元の地面が何やらもこもこと動いている。
アルベルトは、両足と剣を握っている方の腕が倍ぐらいの太さに筋肉が盛り上がっている。ちょいキモイ。
攻撃スキルを使えるのはベルナルド先生だけのはずだから、それぞれ補助スキルのはずだ。
いや、チェーザーレのはエミーリオに教えた土魔法だな。見様見真似でものにしたって感じか。
っと、見てる場合じゃねぇな。俺も準備しねぇと。
『偽女神に操られし愚かな牛よ。ルシアを狙った罪、万死に値する!』
俺の翼の先に熱が集まる。
これは、俺が怒りの感情を高めた時にしか使えない大技だ。
ルシアちゃんが風圧で転ばされたシーンを脳内で繰り返し、怒りを高めていく。
「いくぞ!」
「!! ブモォォォォオッ!!!!」
『天罰!』
ベルナルド先生の詠唱が終わったタイミングで、レガメメンバーが仕掛ける。
チェーザーレの土魔法がミノタウロスの足元を一瞬だけ液状化させ固まる。
すかさずドナートの矢が右目から後頭部に突き抜け、アルベルトが右手を、バルトヴィーノが左手を、ベルナルド先生の火炎槍が腹部に突き立つ。
その結果を待たずに俺も白熱の光線を叩き込んだ。
「ブオォォォォォ!!」
「な、マジかよ」
ボロボロになってなお、ミノタウロスは立ち上がる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ステータス】
個体名 :ハールーン
HP : 673,545/ 4,990,270
MP : 12,950/ 128,450
Atk : 382,005
Def : 206,805
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お、だが結構効いてる。
もう一押し……って!
スキル≪神の眼≫で奴のステータスを見ている傍から、奴のMPがぐんぐん減って代わりにHPが回復していってやがる!
距離はかなり開いているのに、肌がぴりつく。
そして数秒後、全員がほぼ同時に異変に気が付いた。
「なぁ、なんか、あいつ、黒くね……?」
「逆光のせいでは……ないみたいだな」
「大きさも、前回戦った個体より数倍大きいぞ」
最初は陰になっているだけだと思った。
しかし、すぐにそうではないのだと悟った。
真っすぐに、ズン、と重い地響きを立てながら近づいてきたミノタウロスの体表は黒かった。
『あ、あいつ……! 俺様の欠片を取り込みやがったな……っ!』
怒りで体が震える。
既に俺のものという認識があったからか、横取りされた感がはんぱない。
「――ブモォォォォオ!!!」
ビリビリと空気を震わせ、ミノタウロスが吼えた。
奴もこちらに気付いたらしい。
声が止むと同時に、奴の持っていた棘つきの棍棒が音速で飛んでくる。
「避けろ!」
「ルシア様、こちらへ!」
アルベルトが指示するまでもなく、全員がその場から散開する。
ジルベルタが創世の腕輪に集中していたルシアちゃんを引っ張っていった。
直後、棍棒が着弾する。地面に深くめり込むとか、どんだけだよ。
幸い誰にも当たらなかったが、風圧でルシアちゃんが飛ばされた。おのれ。
「リージェ!」
おっと。
バルトヴィーノの短い警告に向き直ると、眼前にミノタウロスが迫っていた。
振り抜かれた筋肉隆々の腕を余裕で躱す。さすが俺。
だが、ミノタウロスも本気ではなかった。腕を突き出したのは攻撃ではなく、棍棒を拾うためだったのだ。
「ブフーッ」
ミノタウロスが唸り声ともつかない息を吐いた。
周囲を取り囲む俺たちをまるきり無視して、ジルベルタに連れられて距離をとったルシアちゃんの方へと一歩踏み出す。
「させるか!」
『ルシア、和魂の鈴を!』
「は、はい!」
――チリ―ン。
涼やかな鈴の音が響くと、ミノタウロスが動きを止めた。
その場に座り込むと、のんびりと咀嚼を始める。
まるで本物の牛のようだ。
「よし、今のうちにジルベルタ達は距離を取れ。念のため結界も張るんだ」
「はい!」
「ルシア様、あちらの木陰に」
アルベルトの指示に、ジルベルタとエミーリオがルシアちゃんを連れて退避する。
数メートルほど離れたところでエミーリオが魔法で地面に穴を開けたようだ。
ルシアちゃんが地中に姿を隠し、結界がその前に立つジルベルタとエミーリオを覆う。
さて、と。
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【ステータス】
種族名 :ネロ・ミノタウロス
個体名 :ハールーン
レベル : 17
EXP : 74,824/11,493,970
HP : 3,367,726/ 4,990,270
MP : 12,950/ 128,450
Atk : 382,005
Def : 206,805
ダンジョン【女神の寝所】の深層フロアにいる階層ボス、ミノタウロスが暗黒破壊神の欠片を多数取り込み進化した個体。
偽女神から名をもらったことで高い知性とステータスを兼ね備えていたところを更に強化されています。気を付けて。
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おおう、マジか……。
流石に黒モンスターの群れを相手して消耗しているようだが、それでも9割もHPを残している。
防御力も攻撃力も俺と遜色ないし、強敵じゃねぇか。
だが、これほど強力な個体がアミールの下へ向かわずにこっちに襲い掛かってきたのはどういうことだ?
鑑定ちゃんが偽女神に名づけられたって言ってるし、もしかしてそれで偽女神の手下になってるとかか?
あ、そういや偽女神のどっちかが洗脳の能力持ちだったな。
「さて、リージェ。まさかこのままやり過ごすって言わないよな?」
『うむ、こやつを倒して欠片を奪えれば、こちらの戦力増強になる。作戦その2でいくぞ』
「「了解」」
作戦とか言うが、簡単な話。
レガメメンバーが中心になって叩き、俺が補佐するのが作戦その1。
ステータス的にレガメメンバーだけでは分が悪いと判断したら俺がメインでレガメメンバーが補佐に回るってのが作戦その2。
「全力でいくぞ!」
和魂の鈴のおかげで、最初の一撃だけは無抵抗で叩ける。
レガメメンバーは武器を構えて詠唱を始めた。
ベルナルド先生以外が詠唱をしている姿を見るのは、初めて見るかもしれない。
声が混ざり合い、それぞれの詠唱の効果が目に見え始める。
ベルナルド先生は頭上に火の球を作り出し、詠唱が進むにつれてそれがだんだん槍のような形となり、巨大化していく。
バルトヴィーノは持っていた剣が何やら赤く光り出した。
ドナートは矢を番っている手の周囲に風が纏わり始めている。
チェーザーレは、足元の地面が何やらもこもこと動いている。
アルベルトは、両足と剣を握っている方の腕が倍ぐらいの太さに筋肉が盛り上がっている。ちょいキモイ。
攻撃スキルを使えるのはベルナルド先生だけのはずだから、それぞれ補助スキルのはずだ。
いや、チェーザーレのはエミーリオに教えた土魔法だな。見様見真似でものにしたって感じか。
っと、見てる場合じゃねぇな。俺も準備しねぇと。
『偽女神に操られし愚かな牛よ。ルシアを狙った罪、万死に値する!』
俺の翼の先に熱が集まる。
これは、俺が怒りの感情を高めた時にしか使えない大技だ。
ルシアちゃんが風圧で転ばされたシーンを脳内で繰り返し、怒りを高めていく。
「いくぞ!」
「!! ブモォォォォオッ!!!!」
『天罰!』
ベルナルド先生の詠唱が終わったタイミングで、レガメメンバーが仕掛ける。
チェーザーレの土魔法がミノタウロスの足元を一瞬だけ液状化させ固まる。
すかさずドナートの矢が右目から後頭部に突き抜け、アルベルトが右手を、バルトヴィーノが左手を、ベルナルド先生の火炎槍が腹部に突き立つ。
その結果を待たずに俺も白熱の光線を叩き込んだ。
「ブオォォォォォ!!」
「な、マジかよ」
ボロボロになってなお、ミノタウロスは立ち上がる。
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【ステータス】
個体名 :ハールーン
HP : 673,545/ 4,990,270
MP : 12,950/ 128,450
Atk : 382,005
Def : 206,805
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