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本編
23 エルの心情
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※※※北欧女神様ことエルの心情※※※
そう、それは、本当に「何となく」だった。
もちろん、打算が無かったと言えば嘘になる。
新しいお客さんになってくれれば嬉しいな、そういう思いも少しはあった。
でも、どうしてだろう。
そんな打算は既に消え去ってしまい、たった1日のやりとりだというのに、私の中はシロスケさんで一杯になってしまっている。
やはり、あの瞬間に、既に私の心はシロスケさんに奪われていたのかもしれない。
今朝、大通りを歩いていた私は、ふと、帰り道で不思議な青年を見つけた。
大通りのど真ん中で、裸で大の字になりながら、気持ち良さそうに寝ているのだ。
私はそんな青年を見て、思わず小さく笑ってしまう。
ここ最近、笑ったことなど無かったのに、ふと、無意識に、笑ってしまったのだ。
少しだけ心が軽くなった自分に、私は驚きつつ、道の上で寝ている裸な青年に、少しばかりの感謝の気持ちを抱いてしまった。
お酒を飲んで酔いつぶれるまで遊べる、ということは、きっと二ツ星娼館以上に入れる男性だろう。
それにしても、実に豪快な遊び方をする青年だな、と思った。
そして、何とも美しい黒い髪を持つ青年だ、とも思った。
私は、つい、引き寄せられるかのように、そんな青年の側まで近づいてしまう。
私は、青年の前で両膝を折ると、膝を抱え込むようにして座る。
そして、遠くで見たよりも、更に若そうな青年の顔、そしてその目立つ黒髪を、より間近で見た瞬間、思わずため息をこぼした。
……黒髪、凄い綺麗。
吸い込まれそうな程の漆黒の髪は、まるで夜の空を思わせる。
明るい光の世界の下にあるというのに、青年の髪には夜が留め置かれているかのようだった。
その髪が、通りを抜ける風にあおられて、サラサラと揺れ動いた。
そして、日の光を受けてキラキラと輝く。
まるで、夜空に星がきらめくようであった。
「……どこから来た人なのだろう」
私は思わず呟いていた。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
この異世界において、完全な黒髪はとても珍しい。
赤、青、緑などの様々な髪色が暗くなったダーク系は見かけるものの、ここまでの日本人的な深い黒々しさは、ほぼ存在しないほどであった。
更に、ここは金髪碧眼が主な国である。
東洋人の中で、西洋人に憧れる者がいるように、西洋人の中にも、東洋人に憧れる者がいる。
それは、無いものねだりではあるのだが、自分に無いからこそ、それらを強く求めることに罪は無い。
異世界人であろうとも、自分達に無い美しさに惹かれるのは、それが人として自然の発露(はつろ)であろう。
シロスケが、エルの金髪に対して、何でこんなにも神々しくも美しい色が存在するのか、と感銘(かんめい)を受けるのと同じように、エルもまた、シロスケの黒髪が何とも不思議で謎めいて、吸い込まれそうな妖しい美しさだと、感動を覚えているのであった。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
きっと、私は既に、この瞬間に心を奪われていたのだと思う。
だから、私はシロスケさんを放っておくことができなかったのだろう。
自分の店まで案内し、色々と世話を焼いてしまった。
あげくには、一文無しだからとお小遣いまで握らせてしまうしまつ。
普段の私でもここまではしなかったと思う。
お金をあげるにせよ、せめて、ひと仕事をお願いしたかもしれない。
だが、シロスケさんにはお願いできなかった。
若いとはいえ、既に青年。
だというのに、何とも爽やかで純朴さにあふれた初々しい雰囲気を、未だに持っているその姿は、どこか神々しささえも私には感じられた。
ああ、この若い青年の為に何かすることができたのならば、ま、それはそれで良いのかもしれない。
と思ってしまえるほどだった。
それに、彼は何をするにも態度がとても丁寧で、それがまた、私の中での好感度が上がり続ける原因となってしまった。
私が何をしてあげても、ありがとうありがとう、と本当に嬉しそうに喜んでくれるのだ。
そんなに喜ばれては、こちらも優しさの押し売りが止まらなくなりますよシロスケさん。
でも、本当に凄いのはここからでした。
シロスケさんは、私が差し上げたお小遣いで、すぐにお金を増やし、そして、私を指名しに来てくれたのです。
いつか、私のことを思い出して遊びに来てくれたらいいな、という淡い気持ち程度に思ってはいましたが、まさか、その日のうちに会いに来てくるなんて。
こんなに律儀な男性になど会ったことがありません。
その時、確信めいたものが、私の中に浮かびました。
この人は、たぶん、普通の男性とはどこか違う、と。
しかし、ここで、大変な事が起こりました。
なんと、シロスケさん、まったく女性を抱いていなかったらしく、魔素病が進行していたのです。
そこで、私が、娼館の若い娼婦を呼ぼうとすると、更に驚く事態になりました。
なんと、シロスケさんは断固として私を指名してくれたのです。
私は、もう既に30を過ぎた娼婦だというのに、目の前の若い青年シロスケさんは、私が良いというのです。
ああ、なんということでしょう。
この若者は、ここまでして先程の恩を私に返そうというのでしょうか。
ならば、きちんと、応えねばならない。
私は、全力でシロスケさんを救いました。
その結果、何と、15分間の間に3発も発射。
凄い、男性って、実はこんなことができるのですね。
いや、でも、長い娼婦経験の中で、このようなことができる男性はおりませんでした。
やはり、シロスケさんは、どこか特別なのかもしれません。
シロスケさんは、お礼にと銅貨1枚を加えてくれましたが、私はやんわりとお断りしました。
私がシロスケさんと出会えたこの思い出を、お金に換算してしまっては寂しいからです。
そして、最後に、お互いの名前を伝えあいました。
少し胸がドキドキしていたのは、秘密です。
そして、とうとう先程の出来事が起こりました。
私を定期的にからかいに来る、二人組みのお客が来たのです。
私の「逆払い」を受けながら、平然と「外出し」を行い、困る私の表情を見ながら、ケタケタと楽しそうに笑うのです。
でも、我慢するしかありません。
彼らが、いつか、普通の客に戻ってくれるかもしれない可能性があるからです。
ですが、その私の甘い幻想を、シロスケさんが打ち破ってくれました。
あの二人を追い返してくれたらしいのです。
そして、以後は、あの二人の代わりに、シロスケさんが私を指名をして、魔素排出を助けると言ってくれました。
ああ、なんと、凄い殿方(とのがた)なのでしょう。
私は30も過ぎた大人の女だというのに、思わず人前で大泣きをしてしまいました。
恥ずかしいかぎりです。
シロスケさんは、私よりも、かなり年下であるにも関わらず、その深い優しさ、迅速な行動力、そして、魅惑的な雰囲気は、驚き以外の何ものでもありません。
そんな彼は、またも凄いことを言います。
お昼に3回も出したというのに、また、私を30分指名してくれるというのです。
なんという、優しさ。
きっと、もう勃たないし、出ないであろうというのに、私を慰める為だけに、私を指名してくれたのです。
一ツ星、二ツ星、三ツ星と娼館を渡り歩いた私ですが、シロスケさんほどの殿方は、ついに見たことも聞いたこともありませんよ。
ここまでで、シロスケさんは100点満点の男性です。
そう、十分に満点なのです……。
だというのに、シロスケさんは、そこを軽々と突き抜けて行かれました。
なんと、お昼に3回も出したというのに、これだけでも凄いことなのに、何と平然とお勃ちになったのです。
しかも、私の膣に指を入れて遊ぶという、何とも不思議な行動をなされました。
ちょっと……というか、かなり気持ち良かったです。
更には、シロスケさんは、セックスには楽園があるという不思議なことを教えてくれました。
そして、それを証明するべく、シロスケさんは勃起された一物を私の中に入れ、そして、私は楽園へと旅立ちました。
そこには、きっと、この世界中の女性が誰も知らぬ楽園が、確かにありました。
三ツ星娼館のNo1まで昇りつめた私が言うのです、間違いないと思われます。
しかも、女性の射精版とでもいうべき、「イク」という体の反応も教えて頂きました。
男性が気持ちよさそうに射精する感覚を、実は女性も持っていたなど、想像もしたことがありませんでした。
更には、シロスケさんは白魔道士らしく、回復魔法を何度もかけてくれました。
セックスにおける疲労を少しも感じることなく、ただただ快感に身を委ねることができる幸福感。
ああ、なんと素敵な時間だったのでしょうか。
今も、つい先程のことを思い出すだけで、体の芯が熱くなってきます。
こんな感覚は生まれて一度も感じたことはありません。
何度も何度も私の中に放たれるシロスケさんの精液。
それを受けて何度も「イク」私。
そして、その楽園では、私の中に蓄積されていた魔素が完全排出される、というもの凄い効果まで付いてきました。
シロスケさんにあれだけ出して頂ければ、私の体内で蓄積されていた頑固な魔素であっても、慌てて逃げ出すしかないでしょう。
ああ、シロスケさん。
私は貴方に、どんなお返しができるのでしょうか。
想像もつきません。
このような身で、大したことはできる自信もありません。
でも、もし、また私を指名をしてくれるというのならば、私は、ただ、ただ、シロスケさんの為に、この身を捧げたいと思います。
ああ、だからどうか。
また、私に会いに来て下さいね。
シロスケさん。
「……ほぅ」
エルはシロスケを見送った後、娼館の廊下の壁に背を預けながら、右頬に手を添えて、宙空をぼんやりと眺めつつ、色っぽいため息を繰り返していた。
「……エル姉、さっきから、ため息ばかりよ?」
スプリンター御姉様ことレイが、腰に片手を乗せながら呆れた表情でエルを見つめていた。
「あら、ごめんなさい。つい、シロスケさんの事を思い出してしまって」
幸せそうなエルの表情を見て、レイも頬を緩ませた。
「……良かったねエル姉。なんだか嬉しそう」
「ええ、まさか、あんなに凄い殿方が、この国に居たなんて知りませんでした。そして、そんなシロスケさんと、出会えるという運が私にまだ残っていたことにも驚きです」
「……そういえば、あいつって何なの一体?」
「分かりません。この国ではない、どこか、よその方だとは思います。この国では見られない美しい黒髪ですから」
「そうだね。あの黒髪はずるいよね」
レイは苦笑いを浮かべた。
「ええ、確かにあればずるいですよね。この国の女性の大半は、たぶん、あの黒髪には心を奪われてしまうでしょうから」
「あと、意外と顔立ちが悪くないのも質が悪いし」
「うふふ、全くです。だからこそ、なぜ、シロスケさんが私を積極的に指名し、しかも、冗談ではなく、本気でセックスをしてくれるのかが正直、分かりません」
「……そうなんだ」
「ええ、でも、原因や過程は分からずとも、結果である事実は変わりません。シロスケさんが私を指名してくれる。それだけで十分です」
「……良かったねエル姉」
レイは微笑みを浮かべたつもりだったが、その微笑みはどこか、ぎこちがないものだった。
「ありがとう、レイ」
だが、普段ならばそんなレイの小さな変化を見逃さないエルではあったのだが、なにぶん、シロスケによって楽園に連れ込まれてしまった余韻(よいん)の影響で、エルは少しばかり色々な感覚が鈍くなってしまっていた。
「そういえば、あいつ、何発も出せるとか言っていたけれど、本当だったんだね」
「ええ、結局、いったい何回、私の中に出されたのかは覚えていないほどです」
「……信じられないわね」
レイは首を横に小さく振った。
「しかも、シロスケさんは白魔道士らしくて、セックス中も、惜しげもなく私の体力を回復魔法で回復してくれました」
「ええ? あいつ確かに白魔道士とか言っていたけれど、ケガもしていないのに回復魔法を何度も使ってくれるの?」
「そうなのよ。おかげで、セックスの疲労感が一切、無くて、楽園に連れて行かれたわ」
「……楽園?」
「シロスケさんが、セックスの先にはそういう場所があるって言うの。それで、確かにあったは楽園」
「何なの? 楽園って」
「男性って、射精時に気持ち良さそうにしているでしょう?」
「うん、まー、そうだね」
「あれの女性版があるんですって」
「……え?」
「そして、シロスケさんが私にそれを体験させてくれて、それが「イク」っていうものらしくて、もう私ったら何度も何度もイッてしまって……」
エルはまたも思い出したのか、「ほぅ」と色っぽいため息をついた。
「そんなのが……あるんだ」
レイは少しだけ青ざめながら、引きつった微笑みを浮かべる。
「セックスって……幸せになれる行為だったのね」
エルの一言に、レイは驚いた表情を一瞬だけ浮かべるが、すぐに消し去った。
「そ、そう、なんだ……、私には、よく分からないけれども、エル姉が幸せそうで嬉しいわ」
「ありがとうレイ、私、今日まで頑張って生きてきて良かった」
「……うん。じゃあ、私、まだ指名を受けないとダメだから」
「そうね、頑張って」
「う、うん」
レイは素早くエルに背を向けると、慌ててショーウィンドウ室へと逃げ込んだ。
レイはショーウィンドウ室のドアを背中で慌てて押し込んで閉める。
「……どうしたんだろう私。何だか、胸の奥がモヤモヤするわ」
レイは、自分の奥底から沸き起こる感情の正体が理解できず、ただ不安げな表情を浮かべるしかなかった。
そう、それは、本当に「何となく」だった。
もちろん、打算が無かったと言えば嘘になる。
新しいお客さんになってくれれば嬉しいな、そういう思いも少しはあった。
でも、どうしてだろう。
そんな打算は既に消え去ってしまい、たった1日のやりとりだというのに、私の中はシロスケさんで一杯になってしまっている。
やはり、あの瞬間に、既に私の心はシロスケさんに奪われていたのかもしれない。
今朝、大通りを歩いていた私は、ふと、帰り道で不思議な青年を見つけた。
大通りのど真ん中で、裸で大の字になりながら、気持ち良さそうに寝ているのだ。
私はそんな青年を見て、思わず小さく笑ってしまう。
ここ最近、笑ったことなど無かったのに、ふと、無意識に、笑ってしまったのだ。
少しだけ心が軽くなった自分に、私は驚きつつ、道の上で寝ている裸な青年に、少しばかりの感謝の気持ちを抱いてしまった。
お酒を飲んで酔いつぶれるまで遊べる、ということは、きっと二ツ星娼館以上に入れる男性だろう。
それにしても、実に豪快な遊び方をする青年だな、と思った。
そして、何とも美しい黒い髪を持つ青年だ、とも思った。
私は、つい、引き寄せられるかのように、そんな青年の側まで近づいてしまう。
私は、青年の前で両膝を折ると、膝を抱え込むようにして座る。
そして、遠くで見たよりも、更に若そうな青年の顔、そしてその目立つ黒髪を、より間近で見た瞬間、思わずため息をこぼした。
……黒髪、凄い綺麗。
吸い込まれそうな程の漆黒の髪は、まるで夜の空を思わせる。
明るい光の世界の下にあるというのに、青年の髪には夜が留め置かれているかのようだった。
その髪が、通りを抜ける風にあおられて、サラサラと揺れ動いた。
そして、日の光を受けてキラキラと輝く。
まるで、夜空に星がきらめくようであった。
「……どこから来た人なのだろう」
私は思わず呟いていた。
>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
この異世界において、完全な黒髪はとても珍しい。
赤、青、緑などの様々な髪色が暗くなったダーク系は見かけるものの、ここまでの日本人的な深い黒々しさは、ほぼ存在しないほどであった。
更に、ここは金髪碧眼が主な国である。
東洋人の中で、西洋人に憧れる者がいるように、西洋人の中にも、東洋人に憧れる者がいる。
それは、無いものねだりではあるのだが、自分に無いからこそ、それらを強く求めることに罪は無い。
異世界人であろうとも、自分達に無い美しさに惹かれるのは、それが人として自然の発露(はつろ)であろう。
シロスケが、エルの金髪に対して、何でこんなにも神々しくも美しい色が存在するのか、と感銘(かんめい)を受けるのと同じように、エルもまた、シロスケの黒髪が何とも不思議で謎めいて、吸い込まれそうな妖しい美しさだと、感動を覚えているのであった。
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きっと、私は既に、この瞬間に心を奪われていたのだと思う。
だから、私はシロスケさんを放っておくことができなかったのだろう。
自分の店まで案内し、色々と世話を焼いてしまった。
あげくには、一文無しだからとお小遣いまで握らせてしまうしまつ。
普段の私でもここまではしなかったと思う。
お金をあげるにせよ、せめて、ひと仕事をお願いしたかもしれない。
だが、シロスケさんにはお願いできなかった。
若いとはいえ、既に青年。
だというのに、何とも爽やかで純朴さにあふれた初々しい雰囲気を、未だに持っているその姿は、どこか神々しささえも私には感じられた。
ああ、この若い青年の為に何かすることができたのならば、ま、それはそれで良いのかもしれない。
と思ってしまえるほどだった。
それに、彼は何をするにも態度がとても丁寧で、それがまた、私の中での好感度が上がり続ける原因となってしまった。
私が何をしてあげても、ありがとうありがとう、と本当に嬉しそうに喜んでくれるのだ。
そんなに喜ばれては、こちらも優しさの押し売りが止まらなくなりますよシロスケさん。
でも、本当に凄いのはここからでした。
シロスケさんは、私が差し上げたお小遣いで、すぐにお金を増やし、そして、私を指名しに来てくれたのです。
いつか、私のことを思い出して遊びに来てくれたらいいな、という淡い気持ち程度に思ってはいましたが、まさか、その日のうちに会いに来てくるなんて。
こんなに律儀な男性になど会ったことがありません。
その時、確信めいたものが、私の中に浮かびました。
この人は、たぶん、普通の男性とはどこか違う、と。
しかし、ここで、大変な事が起こりました。
なんと、シロスケさん、まったく女性を抱いていなかったらしく、魔素病が進行していたのです。
そこで、私が、娼館の若い娼婦を呼ぼうとすると、更に驚く事態になりました。
なんと、シロスケさんは断固として私を指名してくれたのです。
私は、もう既に30を過ぎた娼婦だというのに、目の前の若い青年シロスケさんは、私が良いというのです。
ああ、なんということでしょう。
この若者は、ここまでして先程の恩を私に返そうというのでしょうか。
ならば、きちんと、応えねばならない。
私は、全力でシロスケさんを救いました。
その結果、何と、15分間の間に3発も発射。
凄い、男性って、実はこんなことができるのですね。
いや、でも、長い娼婦経験の中で、このようなことができる男性はおりませんでした。
やはり、シロスケさんは、どこか特別なのかもしれません。
シロスケさんは、お礼にと銅貨1枚を加えてくれましたが、私はやんわりとお断りしました。
私がシロスケさんと出会えたこの思い出を、お金に換算してしまっては寂しいからです。
そして、最後に、お互いの名前を伝えあいました。
少し胸がドキドキしていたのは、秘密です。
そして、とうとう先程の出来事が起こりました。
私を定期的にからかいに来る、二人組みのお客が来たのです。
私の「逆払い」を受けながら、平然と「外出し」を行い、困る私の表情を見ながら、ケタケタと楽しそうに笑うのです。
でも、我慢するしかありません。
彼らが、いつか、普通の客に戻ってくれるかもしれない可能性があるからです。
ですが、その私の甘い幻想を、シロスケさんが打ち破ってくれました。
あの二人を追い返してくれたらしいのです。
そして、以後は、あの二人の代わりに、シロスケさんが私を指名をして、魔素排出を助けると言ってくれました。
ああ、なんと、凄い殿方(とのがた)なのでしょう。
私は30も過ぎた大人の女だというのに、思わず人前で大泣きをしてしまいました。
恥ずかしいかぎりです。
シロスケさんは、私よりも、かなり年下であるにも関わらず、その深い優しさ、迅速な行動力、そして、魅惑的な雰囲気は、驚き以外の何ものでもありません。
そんな彼は、またも凄いことを言います。
お昼に3回も出したというのに、また、私を30分指名してくれるというのです。
なんという、優しさ。
きっと、もう勃たないし、出ないであろうというのに、私を慰める為だけに、私を指名してくれたのです。
一ツ星、二ツ星、三ツ星と娼館を渡り歩いた私ですが、シロスケさんほどの殿方は、ついに見たことも聞いたこともありませんよ。
ここまでで、シロスケさんは100点満点の男性です。
そう、十分に満点なのです……。
だというのに、シロスケさんは、そこを軽々と突き抜けて行かれました。
なんと、お昼に3回も出したというのに、これだけでも凄いことなのに、何と平然とお勃ちになったのです。
しかも、私の膣に指を入れて遊ぶという、何とも不思議な行動をなされました。
ちょっと……というか、かなり気持ち良かったです。
更には、シロスケさんは、セックスには楽園があるという不思議なことを教えてくれました。
そして、それを証明するべく、シロスケさんは勃起された一物を私の中に入れ、そして、私は楽園へと旅立ちました。
そこには、きっと、この世界中の女性が誰も知らぬ楽園が、確かにありました。
三ツ星娼館のNo1まで昇りつめた私が言うのです、間違いないと思われます。
しかも、女性の射精版とでもいうべき、「イク」という体の反応も教えて頂きました。
男性が気持ちよさそうに射精する感覚を、実は女性も持っていたなど、想像もしたことがありませんでした。
更には、シロスケさんは白魔道士らしく、回復魔法を何度もかけてくれました。
セックスにおける疲労を少しも感じることなく、ただただ快感に身を委ねることができる幸福感。
ああ、なんと素敵な時間だったのでしょうか。
今も、つい先程のことを思い出すだけで、体の芯が熱くなってきます。
こんな感覚は生まれて一度も感じたことはありません。
何度も何度も私の中に放たれるシロスケさんの精液。
それを受けて何度も「イク」私。
そして、その楽園では、私の中に蓄積されていた魔素が完全排出される、というもの凄い効果まで付いてきました。
シロスケさんにあれだけ出して頂ければ、私の体内で蓄積されていた頑固な魔素であっても、慌てて逃げ出すしかないでしょう。
ああ、シロスケさん。
私は貴方に、どんなお返しができるのでしょうか。
想像もつきません。
このような身で、大したことはできる自信もありません。
でも、もし、また私を指名をしてくれるというのならば、私は、ただ、ただ、シロスケさんの為に、この身を捧げたいと思います。
ああ、だからどうか。
また、私に会いに来て下さいね。
シロスケさん。
「……ほぅ」
エルはシロスケを見送った後、娼館の廊下の壁に背を預けながら、右頬に手を添えて、宙空をぼんやりと眺めつつ、色っぽいため息を繰り返していた。
「……エル姉、さっきから、ため息ばかりよ?」
スプリンター御姉様ことレイが、腰に片手を乗せながら呆れた表情でエルを見つめていた。
「あら、ごめんなさい。つい、シロスケさんの事を思い出してしまって」
幸せそうなエルの表情を見て、レイも頬を緩ませた。
「……良かったねエル姉。なんだか嬉しそう」
「ええ、まさか、あんなに凄い殿方が、この国に居たなんて知りませんでした。そして、そんなシロスケさんと、出会えるという運が私にまだ残っていたことにも驚きです」
「……そういえば、あいつって何なの一体?」
「分かりません。この国ではない、どこか、よその方だとは思います。この国では見られない美しい黒髪ですから」
「そうだね。あの黒髪はずるいよね」
レイは苦笑いを浮かべた。
「ええ、確かにあればずるいですよね。この国の女性の大半は、たぶん、あの黒髪には心を奪われてしまうでしょうから」
「あと、意外と顔立ちが悪くないのも質が悪いし」
「うふふ、全くです。だからこそ、なぜ、シロスケさんが私を積極的に指名し、しかも、冗談ではなく、本気でセックスをしてくれるのかが正直、分かりません」
「……そうなんだ」
「ええ、でも、原因や過程は分からずとも、結果である事実は変わりません。シロスケさんが私を指名してくれる。それだけで十分です」
「……良かったねエル姉」
レイは微笑みを浮かべたつもりだったが、その微笑みはどこか、ぎこちがないものだった。
「ありがとう、レイ」
だが、普段ならばそんなレイの小さな変化を見逃さないエルではあったのだが、なにぶん、シロスケによって楽園に連れ込まれてしまった余韻(よいん)の影響で、エルは少しばかり色々な感覚が鈍くなってしまっていた。
「そういえば、あいつ、何発も出せるとか言っていたけれど、本当だったんだね」
「ええ、結局、いったい何回、私の中に出されたのかは覚えていないほどです」
「……信じられないわね」
レイは首を横に小さく振った。
「しかも、シロスケさんは白魔道士らしくて、セックス中も、惜しげもなく私の体力を回復魔法で回復してくれました」
「ええ? あいつ確かに白魔道士とか言っていたけれど、ケガもしていないのに回復魔法を何度も使ってくれるの?」
「そうなのよ。おかげで、セックスの疲労感が一切、無くて、楽園に連れて行かれたわ」
「……楽園?」
「シロスケさんが、セックスの先にはそういう場所があるって言うの。それで、確かにあったは楽園」
「何なの? 楽園って」
「男性って、射精時に気持ち良さそうにしているでしょう?」
「うん、まー、そうだね」
「あれの女性版があるんですって」
「……え?」
「そして、シロスケさんが私にそれを体験させてくれて、それが「イク」っていうものらしくて、もう私ったら何度も何度もイッてしまって……」
エルはまたも思い出したのか、「ほぅ」と色っぽいため息をついた。
「そんなのが……あるんだ」
レイは少しだけ青ざめながら、引きつった微笑みを浮かべる。
「セックスって……幸せになれる行為だったのね」
エルの一言に、レイは驚いた表情を一瞬だけ浮かべるが、すぐに消し去った。
「そ、そう、なんだ……、私には、よく分からないけれども、エル姉が幸せそうで嬉しいわ」
「ありがとうレイ、私、今日まで頑張って生きてきて良かった」
「……うん。じゃあ、私、まだ指名を受けないとダメだから」
「そうね、頑張って」
「う、うん」
レイは素早くエルに背を向けると、慌ててショーウィンドウ室へと逃げ込んだ。
レイはショーウィンドウ室のドアを背中で慌てて押し込んで閉める。
「……どうしたんだろう私。何だか、胸の奥がモヤモヤするわ」
レイは、自分の奥底から沸き起こる感情の正体が理解できず、ただ不安げな表情を浮かべるしかなかった。
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※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
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