触手の魔女 ‐Tentacle witch‐

塩麹絢乃

文字の大きさ
103 / 158
第四章

3.ターニングポイント その②:独断専行

しおりを挟む
 それから馬車に揺られること三十分。目的地周辺に着いた馬車が緩やかに減速し始める。完全に停まるのを待ってはいられない。まだ動いている馬車から飛び降りた私は、急いで積んでおいた荷物を下ろしてゆく。

 ここは内海の南東に位置する街、クムラン。

 突入の合図はまだ先なので、今のうちに下ろした荷物をセーフハウスの方へ運び込んでおく。私の荷物は他人より特別多いので、少し早めの出発にしてもらったから時間的な余裕は十分にある筈だ。

 荷運びはロクサーヌにやらせた方が早いので、私は最低限の荷物を運んで自分の準備に入った。

 武具、魔道具アーティファクト、薬品……がちゃがちゃと忙しなく荷解きをしながら、セーフハウスの窓から突入予定先をちらと覗き見る。

 それは傍目にはただの民家と相違なかった。しかし、もちろんそれはガワだけだ。あの民家をすっかり取り壊せば、その下に広がる巨大な『地下空間』があらわになるだろう。そして、その『地下空間』は内海方面に向かって広がっている筈だ。

 あの民家へ私たちが突入した後、間もなく到着する予定の後詰め部隊がこのセーフハウスを拠点化し、後方支援を担当する手筈となっている。

 その時、不意にロクサーヌが荷運びの手をピタリと止めた。何事かと思ってそちらへ目をやると、ロクサーヌが呟く。

「狼煙が、上がりましたわ」
「なに……?」

 別の窓を見ると、確かに狼煙が上がっていた。これは突入の合図だ。

 予定より早い……どこかでトラブルでもあったのか? ともあれ、狼煙が上がったのなら私たち突入部隊はすぐに突入しなくてはならない。他の部隊と突入タイミングがバラけてしまうと、奇襲の効果が半減してしまう。

 しかし、困ったことに私の準備が全く終わっていなかった。じわりと僅かばかりの焦燥感が湧き出てくる。

(どうする……はなしで行くべき?)

 そんな私の逡巡を見て取ってか、ロクサーヌがふっと笑みを浮かべる。

「リンさん、そう焦る必要はありませんわ。露払いはわたくしが務めさせていただきますから」

 さっきまでロクサーヌの体を満たしていた怒気はどこかへ引っ込んでおり、戦意だけが極限まで研ぎ澄まされていた。そんな彼女の様子を見て、任せても問題ないと私は判断する。

「……悪いわね。万全を期したいし、お言葉に甘えさせてもらうわ。数分で追いつくから」
「ごゆるりと」

 ロクサーヌは不敵な笑みを残して、から出ていった。よくよく普通に出入りできない奴だな。相変わらずな彼女の言動に少しだけ緊張が和らいだ。

「さて、ロクサーヌばかりに頼ってちゃいけないわ。急いで準備しなきゃね」
「……いつでも良いぞ」

 マネの方も心は決まっているようだ。

 私は、カラギウスの剣の魔力刃を展開させ――




 手早く準備を終えた私は民家へ急行した。そして、戦闘音の聞こえる地下へ続く階段を飛ぶように降りてゆく。

 広い地下空間に辿り着いた時、まず最初に見えたのは頼りない灯りの中に佇む、それはそれは大きなロクサーヌの背中だった。高等部に上がって私も背丈が伸び、ロクサーヌと大して変わらぬぐらいにはなったのだが、どうしてか今でも彼女の背中を見る度に山のように広大な印象を持って見てしまう。

 そんなロクサーヌの大きな背中へ、暗がりから飛び出してきた異形が襲いかかる。

「ロクサー……」

 思わず大声を上げようとして、それは尻切れトンボに終わった。私としたことが、ロクサーヌほどの魔女ウィッチに注意喚起など必要ないということを忘れていた。

 鎧袖一触。背を向けたままロクサーヌが引っ掻くように指を曲げ、羽虫を振り払うようにさっと異形を掻けば、次の瞬間には異形の輪郭が蜃気楼のように揺らぐ。

 と言ったが、これは眼の錯覚ではない。実際に、異形の輪郭はその見た目通りに歪んでしまっているのだ。

 少しの間を置いて、異形の肉体がようやく引き裂かれたことに気が付き、ばらばらと細切れに別れて崩れ落ちる。ロクサーヌの五指がなぞった軌道の通りに血肉を削り取られた無残な死体が、これでまた一つ地面に積み上がった。

(薄々気付いてはいたけど、これが本来のロクサーヌの力か……!)

 私の振るうカラギウスの剣や、他の魔法使いウィザードの魔法のように、簡単に非殺傷設定にすることが出来ないのが、ロクサーヌの長所たる【身体強化】だ。少しでも力を入れ過ぎれば、今見たように私たちは一瞬でミンチになってしまうのだから、きっとロクサーヌは常日頃から繊細な手加減のために注意を払っていたことだろう。

 その枷から解き放たれたロクサーヌは正に人間凶器というに相応しい。私が準備をしていた数分間、血の滴るあの細腕で何人の戦闘員ガーズィーを葬り去ったのだろうか。周囲に散乱する死体の数はすぐには数え上げられない。

 ロクサーヌは、自然体でだらりと垂れ下げた両手に力を込め、ゴキリと威圧的な音を鳴らした。最後に残った眼前の敵に対して、次はお前の番だと告げるように。

「キ、キヒヒッ……! とんでもねぇ、嬢ちゃんだ。俺の部隊が全滅かよ……!」

 最後に残った竜頭の異形は、その口振りからすると戦闘員ガーズィーを纏め上げていた隊長格――高等戦闘員ラーカーンなのだろう。私も助勢しようかと剣を構えたところで、ロクサーヌに制される。

「リンさん……少々お時間を頂いてもよろしいですか?」
「……アンタが?」
「実は、彼奴きゃつめにまんまと入口の扉を施錠されてしまいまして……この扉が結構な曲者なのですわ」

 見ると、鋼鉄製の扉が魔力的な気配を発しながら、図面に有った入口のところに立ちふさがっていた。恐らく緊急時用の施錠ロックをだろう。見たところ、あれは生半な結界よりも頑強そうだ。

「全てはわたくしの不徳の致すところ。ですから――十秒ほど、お待ちあそばせ」
「ふーん……そう」

 そうまで言うのであれば、ここはロクサーヌに任せるとしよう。

 ロクサーヌに「扉を込みで十秒で片付ける」と言われた竜頭の異形は、その苛立ちをあらわにする。だが、油断した様子はない。部下たちが紙屑を引き裂くように屠られる光景を見ていたからだろう。

 まず、ロクサーヌが構えた。

「何を……している?」

 手首にを付けた右腕を、思い切り後ろに引き絞る。子供だって分かる明快なジェスチャー。「これからお前を殴る」という、これ以上ないほど原始的な意思表示。

「と、届くものかよ! そんな距離から……!」
「届きますわ」

 向かい合う両者の距離は約10m。とどのつまり――問題なく、ロクサーヌの射程距離内だ。ギリ、ギリ……と、まるで強弓を引き絞るかのような異音が、ロクサーヌの筋骨から発せられる。

「か、仮に届いたとして……! 偉大なる呪祷士カーヒンの作ったこの扉は決して……決して、破れぬ……!」
「破れますわ」

 ロクサーヌはハッキリとそう宣言した。その短い言葉の中に嘘偽りが入り込む余地が存在しないことは、この場の誰もが理解していた。それでも、竜頭の異形は気丈に虚勢を張る。

「嘘……嘘だッ!」
「嘘ではありません。なぜなら――殴るのはわたくしではありませんから」

 その時、の砕け散るような音がした。

 砕け散ったのは――ロクサーヌの掌中に握られた幾つもの『魔石ノクティルカ』。

 枷を外され、肌を焼き尽くすような魔力の熱風が、頭上の民家を吹き飛ばし一つの巨大な影を成す。

「わたくしは、ただ彼を導くだけ」
巨大おおき……すぎる……」

 竜頭の異形が見上げるその先には、ロクサーヌの使い魔メイト――巨人ティターンの恐ろしい巨影が破壊された民家の上から覆いかぶさっていた。

 これまで度々見せたロクサーヌの不可解な攻撃の正体は【部分召喚】だった。かつて、『サバイバル実習』にてグィネヴィアが白龍ホワイト・ドラゴンの首だけを召喚したのと同じことを、ロクサーヌもやっていたのだ。

 全身を完全に召喚するには、今のように貴重な『魔石ノクティルカ』を幾つも消費しなくてはならない。ゆえに普段は魔力消費を抑えるため瞬きほどの極々短時間だけ召喚し、攻撃方向を指示するためにロクサーヌ自身の動きをなぞらせていた。

「と、届くもの、か……や、破れる、もの、か――」

 そんな魂から絞り出すような虚勢も、ロクサーヌが地面を砕くほどの踏み込みをした瞬間、激しい衝撃音の中に霞んで消えた。破片と共に舞い上がった砂埃が落ち着いた時、そこには竜頭の異形も施錠された扉も何もかもが跡形もなく消し飛んでいた。

 お役御免となった巨人ティターンが雄叫びを上げながら消えてゆく。

「ヒューッ! やるじゃない」

 私は、ぱらぱらと瓦礫の舞い落ちてくる中に佇んでいたロクサーヌの背中をポンと叩いた。

「……リンさん。少しの間、戦闘を代わって頂けますか? 先程の扉、想像よりも厄介な作りをしていたようで、触れたのは僅かな時間だけでしたが魔力を半分ほど持っていかれました……」
「へえ、『ルクマーン・アル=ハキム』の仕掛けかしらね。そういうことなら、先に行かせてもらうわ! 入口、後で塞いどいてね」
「了解しましたわ」

 さて、ロクサーヌは宣言通り露払いを務め上げた。ならば、今度は私がどこまでも先行し、これ以上彼女の手を煩わすことのないようにしてやる。

 そんな子供じみた対抗意識を抱きつつも、私は焦ったり、冷静さを失ってはいない。用心深く、あらかじめマネを先の部屋に潜航させ中の様子を偵察させながら、先へ進んでゆく。

 ――誰もいないぜ。
 よし!

 魔力を練り上げ始めたロクサーヌをその場に置いて、私は瓦礫を飛び越え民宗派の本拠地アジトへ侵入した。

 本作戦の概要はこうだ。

 まず、本拠地アジトへ続く無数の入口から私たち戦闘員が突入し、中の敵を掃討する。そして、後から到着した後詰め部隊が入口を固め後方支援と討ち漏らしを防ぐ。

 そして、の起動と共に最終段階へ移行する――という予定だ。

 現実に思考を戻し、ヘレナの齎した図面を脳裏に描き出しながら二又の道を右折する。私の記憶が確かなら、右の道が研究室へ繋がる道だった筈だ。

 まずは――『ルクマーン・アル=ハキム』の首から取りにゆく。

 因みに言っておくと、これは堂々たる命令違反だった。本来は、秘密兵器の起動までは入口付近を固めるのが我々に与えられた仕事なのだが、そんな悠長なことをしている暇はないというのが私の考えだった。

(絶対に間に合わない――ルクマーン・アル=ハキムとは、それぐらいのことはしてくる相手!)

 とはいえ、作戦を知らされてから決行までの短い時間では上層部を説得することも、新たな作戦を周知させることも難しい。なので、ロクサーヌと相談をした上でこうしてすることと相なった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主』

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

処理中です...