触手の魔女 ‐Tentacle witch‐

塩麹絢乃

文字の大きさ
120 / 158
第五章

2.祖国は危機にあり その②:恩師

しおりを挟む
 私が酒浸りの日々を送っている間に、世間は何だか戦争を始めたがっていた。

 ヒジャーズ王国の侵攻も失地回復を果たした時点で止まり、西のパルティア戦線もとっくの昔に膠着していた。これは、別にイリュリア王国が特別奮戦しているとかではなく、向こうが向こうの事情で侵攻を取り止めてくれたのである。内憂を孕むは、何もイリュリアだけの特権ではないらしい。

 なら、どうして戦争をしたがっているのか?
 
 それは昨年の8月末、アルゲニア王国へ亡命した王弟イッサカル伯が諸外国の王を通じて『外国の武力をもって直ちに行動を起こす』と宣言したからだ。これは脅迫と取られ、革命勢力は一気に緊張した。

 しかし、私が思うにこれは王弟イッサカル伯の勇み足だろう。

 なぜなら、その宣言に関わった諸外国は全くといって良いほど軍事行動に移るような気配を見せていないからだ。彼らの立場になってみれば、なぜ燃え盛る泥舟にわざわざ近付かなければならないのかという心境だろう。イッサカル伯に何か言ったとしても、恐らくそれはただの外交辞令程度のことだ。

 けれども、どういう訳か外交に疎い議会にはそれが分からぬらしい。

 ――今年4月、議会はアルゲニア王国への宣戦布告を宣言した。



 そんな折、シェケム監獄から一人の模範囚が仮釈放を許されるとの情報が私の耳に入ってきた。これには、すっかり出不精になってしまった私も重い腰を上げざるを得ない。

 シェケム監獄の前へ行ってみると、そこはまるで今日は祭日なのかと錯覚するほどの人だかりでごった返していた。しかし、生憎と彼女の出迎え目的で来ているのは私一人だけのようだ。

 それから暫くして、シェケム監獄から一人の女性が姿を現す。少ない手荷物を携えたその女性、本日付で仮釈放を許された模範囚――クラウディア教官は、驚いたように道にあふれかえる人の群れをしげしげと眺めながら私の方へ歩いてきた。

「――暴動か?」
「いえ、『革命』です」

 挨拶よりも先に、そんな剣呑なやり取りから私たちの数年ぶりの会話は始まった。

「お久しぶりです、教官。私ぐらいしか出迎えてあげられないと思って、差し出がましいことを承知で来てみました」
「いや……そんなことはない。ありがとう、素直に嬉しいよ」

 クラウディア教官は、「ただ――」と残念そうに続ける。

「ロクサーヌの奴も居ると思ったんだがな……」
「ああ……ロクサーヌは亡命しました。ガリア帝国に」
「なに?」

 クラウディア教官は驚いたような顔で、仔細を尋ねる視線ような視線を私に寄越した。だが、いつまでもこんなところで立ち話をするのも何だ。

「ここ数年で本当に色々なことがありました……お互い積もる話もあるでしょうが、ここでは邪魔が入ってしまいます。まずは場所を変えましょう」
「……ああ、そうだな、それがいい」

 クラウディア教官は、私の周囲3mだけ人の群れがぽっかりと空いているのを改めて睥睨してから頷いた。私が先導して、地面に横たわるを跨いで歩きだすと、クラウディア教官がふと思い出したように訂正する。

「ひとつ訂正しておくと、私はもう『教官』ではない。別の呼び方をしてくれないか」
「……つい、癖で。すみません、改めます」

 クラウディアと呼ぶべきなのだろうが、どうにも教官と言った方がしっくりきてしまう。店長の呼び方をイーナースさんに変えた時はそうでもなかったのだが。不思議だ。

 私はうっかりもう一度間違えてしまわないように、何度も頭の中で「クラウディアさん」「クラウディアさん」と繰り返しながら、予約を入れておいた店まで案内した。その道中、後ろの彼女が、数年前から大して変わっていない王都の景色を興味深そうにあちこち眺めていたのが印象的だった。

「さあ、着きました。ここは私の知る店の中でもなかなかですよ。何が良いってのが良いです。煩くなりようがない。それに味の方もまあまあです」

 酒も呑めますよと補足した。そこがもっとも重要なところだから。

 店に入ると予約しておいた奥の個室へ通される。私はいつもと同じ酒とツマミを頼み、教官はメニューをざっと流し見て軽食を一品だけ頼んだ。老婆心ながら、彼女は獄中生活を経て以前より随分と痩せこけているように見えたので、それだけで良いのかと口には出さないまでも勝手な心配をした。

 料理と酒が到着すると、私たちは示し合わせたように無言のまま同時に食べ始めた。

 何から話すべきか分からなかった。

 貴族を殺したクラウディアさんが死刑にならなかった理由でも伝えるべきか。それとも、それぐらいは獄中に居ても耳に入っているだろうし、別の話をするべきだろうか。

 例えば――『革命』の話とか。

「よく、飲むな」

 いつものペースでどんどんと酒を呑む私を見て、向かいの席に座るクラウディアさんがふとそんなことを呟いた。

「どうにも私は強い方らしくて。かなりの量を呑まないと酔いません」
「ふっ……それは羨ましい。私は下戸でな。生まれてこの方、酒の美味さなど知らん」

 そんな他愛もない会話をきっかけに雰囲気が和らぎ、私たちは数年の間に生まれた溝を埋めるように少しずつ言葉を交わしていった。

 民宗派の顛末、革命の気運、そしてロクサーヌの亡命のこと。

 それらを話し終わる頃には、お互いに注文した品々をすっかり腹のうちに収めていた。

「成程、道理で私が仮釈放になる訳だ。模範囚ではあったが貴族殺し。軽減された五年の刑期ぐらいは満了させるものと思っていたが、外がそのような有様ではな。わざわざ仮釈放の手続きを妨害するような余裕も理由もなかったという訳か」

 そういってクラウディアさんが浮かべたのは自嘲するかのような曖昧な笑みだった。

「すみません……」

 それを見て自然と私は謝っていた。あの日、クラウディアさんがした決意や求めた幸福を私が勝手な横槍を入れて台無しにしてしまった。そのことを後悔している訳ではないが、ずっと心のどこかに引っかかっていた。

「何を謝ることがある?」
「……貴方が情状酌量の余地ありとされたのは、王党派の働きかけによるものです。私が直接に助命嘆願をした訳ではありませんが、私を引き込みたい彼らの忖度によってそうなりました。そして、私は貴方が死を望んでいることを知りながら、その動きを看過した……貴方に、死んで欲しくなかったから……」

 せっかく和らいだ雰囲気が、気が付けばまた葬式のような暗くどんよりとしたものに戻ってしまっていた。

 私は情けないやら申し訳ないやらでクラウディアさんと眼を合わせられず、顔を俯かせて空になった皿をじっと見つめる。そうしていると、「……ふふふ……」と小さな笑い声が頭の上から聞こえてきた。

「ふふふ……もう、いいさ。あの時は私もヤケになっていた」

 それはさっきの自嘲するような正視に堪えないものではなく、晴れ晴れとした彼女の心が現れたような清々しいものだった。

「私もな、獄中で臭い飯を食いながらたっぷり考えたよ。フェイナーン伯の奴を殺したことは微塵も後悔していない。だが、お前の言う通りに逃げても良かったのではないかとな」
「……そうですよ。人間、生きてこそでしょう」
「しかし、他ならぬお前が見ている前だったから……つまらない意地を張ってしまった。人生にひとつの大きな区切りがついた余韻に浸りながら、格好つけて死にたかったんだ。いま考えれば、それが自分の望みであると思い込もうとしていた気がする。お前の言う通りに『現実逃避』でしかなかったのかもな」

 そう言って、クラウディアさんは意地悪く笑ったので、私は少し面映ゆく感じた。

「あ、あれは……貴方を止めたいばかりに少し言葉が過ぎました……」
「ふっふっふ……実はずっと気にしていたんだぞ?」
「やめてくださいよ、もうっ」

 思わず出てしまった辛気臭い謝罪の言葉から始まったなし崩し的な会話だったが、それでもなあなあにせずきちんと話し合えてよかった。ずっと引っかかっていた心のしこりが取れて久しぶりに爽やかな気分になれた。

 勘定を済ませて私たちは店を出た。

 空には雲ひとつない見事な夕焼けが広がっていた。今だけは、この世の悲惨さを全て忘れられそうだった。

「これからどうするんですか?」
「実は農水省の方からお呼びがかかっていてな。なぜ私のような凶状持ちのカタワを欲しがるのかと疑問に思っていたのだが、お前の話を聞いて理解した。単に人手不足なのだな」

 農水省とは農林水産省の略称だ。そこの管轄となる魔法使いウィザードの役職というと、それは土地管理官しかない。

 社会的には閑職として扱われる土地管理官だが、そういった偏見を排して考えてみれば、クラウディアさんの得意とする属性は泥(土+水の中級属性)なのだから、土地管理官の役職は適任と言える。

 問題は、クラウディアさん自身がどう感じているか……そんな私の懸念を彼女はバッサリと切って捨てた。

「私のような凶状持ちを受け入れてもらえるというのだから何も文句はないさ。もともと、軍官よりは土地管理官の方が向いていると自分でも思っていたしな」
「適性から言えば、そうでしょう。それにこの時代、闘争から遠ざかることはむしろ幸運と言えます」
「お前は……偶によく分からないことを言う。素で言っているのか、それとも……いや、やはり単純に常人とは違う感性で生きているのだろうな」

 よく分からないことを言うのはお互いさまではないかと思ったが口にはしない。

 考え込むように俯いていたクラウディアさんが、不意に顔をこちらへ向ける。暗い色をした肌色も、今ばかりは夕陽を浴びて光輝いて見えた。

「今日、話してくれたことがお前の全てでないことは分かっているつもりだ。そして、私が文字通りでくれてやった最後の訓示を忘れていることもな」

 ニヤリと口唇を釣り上げ、笑みを浮かべるクラウディアさんを見て、私はドキリとした。あんまりにも、彼女が綺麗だったから。

「――リン、幸せになろう」

 そして、その両眼の奥には――燦々さんさんと、狂気の光が覗いていたから。

「……も……」
「ああ、私も自分の幸せを探すさ」

 クラウディアさんは後ろ手に軽く手を振りつつ、ゆっくりと踵を返して歩き出した。

(祈ろう……クラウディアさんの新たな門出の無事を。そして、幸福を)

 その時、不意にクラウディアさんが立ち止まって、「それと――」と付け足す。

「呼び方、また戻っているぞ」
「……私、教官って言いました?」
「言った」

 くすくすと誂うような笑みを浮かべるクラウディアさんを見ていると、何だか言ったような気がしてきた。「気を付けます」とだけ返し、私たちはそんな会話を別れの挨拶の代わりとした。

 また、生きて会えるだろうか。

 家路についた私だったが、すぐに別れたばかりのクラウディアさんの方を振り返ってしまった。しかし、既に彼女の背中は人ごみの中に溶け込んでどれが誰やら見分けが付かなくなっていた。

 ふと、どうせなら次に会う時までにこの国が亡んでいれば良いと思った。

 それが、私の幸せだとは言わないけれど、想像したら割と溜飲が下がってしまったから。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主』

雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。 荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。 十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、 ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。 ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、 領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。 魔物被害、経済不安、流通の断絶── 没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。 新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。

処理中です...