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そして終戦へ
ロストウィング.1
しおりを挟むロレーヌでは激しい首都攻防戦が繰り広げられていた。空軍基地でも1日中警報音が鳴っていて、防衛隊がライフル片手に基地内を走り回り、飛行場内では防空隊が上空を飛ぶヘリに向けて連発していた。
空軍基地の格納庫で通信担当の兵士が片手に無線機を持ちもう片方の手で書き留めていた。するとその兵士は担当士官に伝えた。
「郊外にて機影が確認されました。」
その士官はソリュードの方を指差した。
「ブリーチング隊、すぐさま上がれ!」
ソリュードは辺りを見回して言った。
「我々だけですか?」
「時間がない。すぐに上がれるものから飛ばすから先に行け!」
ソリュードはすぐさま隊を集めて任務内容を伝えた。
「後続隊は本当に上がるんだろうな?」
加藤が念を押した。
「信じるしかない。俺たち4機で敵爆撃機隊とシエラを相手するんだ。時間を稼げば必ず増援は来る。」
「ということは最初は主に爆撃機を狙って、時間を稼ぐということでしょうか?」
ライが言った。
「そういう事だ。残弾数には注意を払ってくれ。特にテレナイス、お前だ。」
テレナイスは苦笑いしながら言い訳をした。
「首都の部隊を援護するためにも俺たちが奮起しなければ行けないんだ。ブリーチング隊!行くぞ!」
ソリュードの一声で各メンバーは一斉に自分の機体へ乗り込んだ。
「ソリュードさん。異常ありません!ご武運を!」
整備士が搭乗し終えたソリュードに敬礼した。ソリュードは機体を移動し始めながら同時に風防を閉めた。
<管制、こちらブリーチング1。ブリーチング隊は離陸準備完了、指示を乞う。>
<了解ブリーチング。1番滑走路を使用し離陸せよ。>
<了解。>
<ブリーチング各員、1番滑走路!>
ソリュードがジェスチャーしながら言った。列機はソリュードの後ろにいた。
<管制からブリーチング、現在敵性航空隊がハーグスに差し掛かっている。時間が無い、上空のヘリは無視して離陸後はすぐに向かってくれ。>
<了解。離陸する。>
ソリュードはスロットルを勢いよく押し倒して離陸し、そのまま急上昇した。
<続け!>
あっという間に全機離陸を終え、編隊を組んで高速で敵爆撃隊に向けて飛行した。
ソリュードらは少し高めの高度を飛行して爆撃機隊を探していた。すると夕日に反射した敵機の翼が下に見えた。ソリュードはすぐに機体の翼を左右に振り、味方機に指示を出した。ソリュードは操縦桿を右に倒して降下した。敵B52の後方上空からブリーチング隊は一斉に攻撃を開始した。ブリーチング隊よりも数の多いB52はフレアを一斉に撒き散らしながら散開し始めた。
<ミサイルはまだだ。機銃で行け。>
ソリュードが操縦桿を右に左に切り返しながら言った。
<シエラはまだいない、今がチャンスだ。>
加藤が機体をバレルロールさせながらB52の主翼エンジンに狙いを定めて機関砲を撃ち込んだ。羽が無数の火花を散らした。小刻みにトリガーを引き攻撃効果を確認しながら何度も撃ち込んだ。するとようやくその敵機は火を吹き始め、やがてエンジンが爆発して翼がもぎ取れた。
<ソリュード、奴ら想像以上に硬いぞ!>
<分かってる。フレアが途絶えるのを待つんだ。>
メンバーはそれぞれ敵機に攻撃を加えているが効率的に落とせずにいた。
<ヤバイぞ、ロレーヌに近づいてきてる。>
テレナイスが目の前のB52を撃ち落とした直後に言った。ソリュードは敵の後ろにつきながら辺りを見回した。ブリーチング隊だけでは防ぎきれる程の敵機数では無かった。
<管制、増援はまだか!?管制!>
ソリュードが管制に力強く言った。だが管制からの応答は無かった。何度も何度も言うが返ってくる気配は無かった。すぐさまソリュードは切り替えて目の前のB52を狙った。落とされまいと、そのB52は必死にフレアを散らしながら回避運動し始め、弾丸を回避した。
<ちょこまか動くんじゃねぇ!>
ソリュードはレティクルがエンジンに合った瞬間、トリガーを強く引いた。すると運良く急所に命中して翼が爆散した。すると敵機の放つフレアが切れた。
<今がチャンスだ。だが節約して撃て!>
ミサイルのボタンを押し込み、敵の爆撃機が同時に何機もバラバラになりながら落ちて行った。
<ソリュード、敵の数もかなり減って来たんじゃ無いのか?>
加藤が言った。
<いや、最初に比べたらだ。クソ、管制は何やってるんだ。増援機は来ないじゃないか。>
すると再び敵爆撃隊がフレアを放出し始めた。またそれだけでなく上空から数機の護衛機までやってきて、ブリーチング隊は絶望の淵に立たされた。
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