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消えゆく存在と国家
21 武器商人 (改訂
しおりを挟む「お前たち、よくやった。」
イスビッシュが、帰還した5人を出迎えた。5人は栄誉を称えられ、ICICLEの隊員たちの歓声が上がるなか、凱旋した。
ICICLEの本拠点が反攻作戦に沸き立つ中、レイとリストはある武器商人を追っていた。情報によるとその武器商人は、セグワ島からオーシア政府を撤退に追い込む事が出来るほどの、モノを持っているらしい。2人は少し大きめのSUVに乗って追っていた。
「ターゲットの武器商人はスカイライン国籍。戦時中は軍の通信曹長として、数多くの情報を得た。戦後はいくつかの機密情報を漏洩させたとして彼を追うが、捕まえられず、ここ数年姿を消していた。だが、諜報隊によればここ最近島内で活動している事が判明。今回は最近まで活動拠点とされていた可能性のある、ベルン州内の旧セグワ軍防衛陣地に行って調査する。これが私たちの任務内容ね。」
「ああ、もし何かしら証拠があれば押収、本人がいたら確保、逃げられそうになったら、そのトラッキングダートで目印をつける。」
リストがそう言うと、レイは目の前のグローブボックスから、ダートが装填された銃器を取り出し、右脇下のホルスターにしまった。
防衛陣地に向かうために山道に入った。戦後からほとんど手がつけられてなかったので、揺れが激しかった。山道に揺られて、15分程度で目的地の陣地にたどり着いた。
レイとリストは車から降りて、陣地に足を踏み入れた。やはり閑静で風に揺れる木の音しかしなかった。だがそんな中、陣地内にほとんど汚れていないスーツケースが数個規則正しく並べられていた。
2人はそれを発見し近づいた。
「全然汚れてないね。」
「中身を確認しよう。」
リストがそう言うと、数個ある中から1つを持ち上げようとした。ずっしりと重みのあるケースを上げて、傷んだ台の上に置いた。ロックを開けて、慎重に蓋を開けて中を覗き込んだ。
「これは....SIGだ。」
リストが言った。
「SIGって、武装解除令でほとんどが解体か鹵獲されたんじゃなかったの?」
不思議に感じたレイが尋ねた。
「とりあえず、次のを確認しよう。」
リストはそう言って、次のケース開けた。今度はMG3が二丁入っていた。見る限り、丁寧な手入れがされていてコンディションは良さそうだった。
旧セグワ軍の主力兵器?
疑問を抱きながらも、次のケースを開けて、中を見た。その中身もやはりSIGで、最後のケースも同じであった。
「情報なんて無いね。今回は普通に密売とかじゃないのかな?」
レイが言った。
「けど、情報筋からはこの辺りが割れてるんだ。きっと今回の取引も関連してるんじゃないか?」
リストが答えていると、話し声が聞こえてきた。それに近づいてきている。2人はすぐに、ケースを元どおりに直して、付近にあった屋根の崩れた隊舎に隠れた。隠れて見ていると、奥の方からサングラスを掛けた若い男が2人やって来た。辺りを見回している。リストはすぐにレイにカメラを回すよう伝えた。レイはバックパックからカメラを取り出して、撮影を開始した。
しばらくすると、若い男の方へ白スーツを着た男が、数人のボディガードを連れて現れた。白スーツの男は若い男からスーツケース1個渡された。しかし、なにやら揉めているように見えた。
「レイ、音声拾えるか?」
「うん。」
すると、音声が鮮明に聞こえ始めた。
「話が違うじゃないか。」
白スーツの男が若い男を指差しながら言っている。
「これは上の決定だ。今回はその銃器だけを頂く。」
「なら、この情報はいらないんだな?」
若い男らは、SIGやMG3の入ったケースだけを持ち、その場から離れ始めた。白スーツの男も愚痴を吐き捨てながら、スーツケース1つ受け取って、引き返そうとしていた。
「リスト!」
レイが小声で左手にトラッキングダート銃を持ち、見せながら言った。
「そうだな。あの白スーツを追おう。」
2人は白スーツの後をつけはじめた。塹壕の木組みや瓦礫を上手く利用しながら、先回りして彼らの乗って来たと思われる車を発見した。
「レイ。」
レイは構えて、車体の後面に撃った。ダートはナンバープレートのすぐ下に命中して、上手く刺さった。
それからすぐに、白スーツの男らは車の所に現れた。ダートには気づかずに乗り込んで、その場を去って行った。
「これで、居場所が分かるはずだ。」
リストがそう言って、イスビッシュに連絡をいれた。
「今日は任務完了?」
レイが尋ねた。
「ああ、任務完了だな。とりあえず拠点に引き返して諜報部からの連絡を待とうか。」
そう言って2人は車に乗り、帰路に着いた。
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