ナリスの伝説 「オンリーワン」

けにあ

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旅の途中で

ナリスの伝説「オンリーワン」

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 ナリスの伝説「オンリー・ワン」第二部
  
  


★旅路★

ザンガの街を出て三日目

うーん・・・・こんなはずでは

後ろを振り向けば大商隊 の列

ふと見るとつるぎがニヤニヤしています


三日前ザンガの街を出発するときの事です。


商業ギルドの名前なんだっけかな 

「ナリス様、我が商業ギルドでいずれ幹部となるでしょう者をお連れください。若いですが優秀です、必ず向こうの街でお役に立つでしょう」
ルミ・ロンド
「ブルーワークス所属のルミでございます。よろしくお願いいたします。」

もう一人商業ギルドのおっさん
「お待ちください、我がレッドワークスからも一人お連れください。」
カナ・ロンド
「レッドワークス所属のカナでございます。よろしくお願いいたします。」

なに?

商業ギルドのなんだったかな?

つるぎ
「ナリス、お前さ今おっさんの名前を思い出そうとしているだろ」
え?
思わずつるぎの顔を凝視してしまいました。

はぁとため息をついて、つるぎが
「アレックス・ロンドさんだ」

アレックス・ロンド
「わ、私の事は呼び捨てで構いません」

ルミ・ロンド
「お父様?」

ガルズ・ロンド
「私は ガルズ・ロンドでございます。レッドワークス商会の代表をしております」
カナ・ロンド
「娘のカナ・ロンドでございます。」

ロンド?

アレックス・ロンド
「私たちはロンド家の長男・次男でございまして、二人とも独立しております」

何で二人の娘さんを?

アレックス・ロンド
「ディンガムまでの道案内を兼ねて、商品の輸送をと考えております。」
ガルズ・ロンド
「皆様も馬車にお乗りいただいて旅をしていただければと思っております。」

つるぎ
「それって護衛とかにならないか?」

アレックス・ロンド
「あははは、皆さまがいれば安心でございます」

笑い事じゃないぞ 笑ってしまったけど

アレックス・ロンド
「ディンガムにつきましたら二人が街をご案内いたします」
ガルズ・ロンド
「あちらの商会にも顔が聞きますので、お役に立つと、思います」

バッカス
「護衛は俺たちがやる、神殿からの依頼も受けている」
後ろ見ると二十名ぐらいの隊員さん達がいる

バッカス
「皆生まれも育ちもザンガだからな、外を見てみたいとさ」

お前ら遊びに行ってるじゃん!

バッカス
「最悪、手に負えないようなのが来たらナリス、よろしく頼むぜ」

やだよ

隊員さん
「我々は隊長もいるし、ナリス殿もいるので安心です。」

やめろ


という事があって、今は商隊の馬車に乗って街道を進んでいます。


ルミとカナが顔を見合わせて不思議がっているのが見える。

ルミ
「あのすみません、ナリス様とお父様とはどういう関係なのでしょうか?」


つるぎ
「なんだ、聞いていないのか、商業ギルドが納める税金 金貨五千枚をナリスが肩代わりしている」

さや
「もしかしたら金貨五万枚以上だったかもしれないけどね」
ルミとカナ
「え・・」

ソニア
「ナリスはダンジョンを攻略してお宝を一人で総どりできたのよ」
さや
「それも商業ギルトのミスでね」
ルミとカナ
「はい?」

さや
「ナリスは商業ギルドのミスで推定 金貨十万枚分の税金を払わないで済んでいるんだけど商業ギルドのミスはミスだから税金分を国から請求されるだろうって話になってたの」

ソニア
「でね、神殿からナリスに金貨五千枚を寄付していただけませんかって言われて即、出しているの、それを神殿が商業ギルドがミスした分の補填に当ててとりあえず大事にはならずに済んでいるのよ」

ルミとカナ
「おじい様が商業ギルドの代表を辞職しました。」

「おじい様?」

ルミ
「私たちのお父様、アレックス・ロンドとガルズ・ロンドはゴールドワークス商会から独立して現在の商会の代表となっております。ゼノン・ロンドはゴールドワークス商会の代表で私たちのおじい様です。」

つるぎ
「あいつら親子か、だから逆らう事に抵抗があったのかもな」

さや
「じゃあ ゴールドワークス商会って今後、どうなるの?」

ルミとカナ
「ゴールドワークス商会は解散命令が出されております。」

ルミ
「たぶん、代表と幹部は収監されると思います。」
かな
「国に与えた損害が大きすぎるとお父様たちが話しているのを聞きました。」

つるぎ
「あの爺さん自分のいう事は全てまかり通るという態度だったから、さぞショックを受けているだろうなぁ」

カナ
「あのそれで商業ギルドのミスというのは、どういう事でしょうか?」

ソニア
「えっとね、ダンジョンから持ち帰った財宝の鑑定を担当したんだけどね、買い手がつかないとか言って鑑定結果、無価値を決定したのよ」
ルミ
「はい?」
さや
「当然私たちは激怒したわよ」
ソニア
「商業ギルトで処分を手伝うとか言ってきたけど、激怒している私たちをほっといてナリスが大喜びで伯爵様に自分の物で間違いないでしょうかって確認してね」
さや
「そうそう、伯爵様が所有者はナリスで間違いないと承認してくれて、無価値なら税金もかかりませんねとさらに確認すると即ナリスがどこかに全部運びだしたのよ」

ソニア
「この時、ひと悶着あってね、あのおじいさんともう一人一度死んでるんだよ」

ルミとカナ
「はい?」

つるぎ
「ソロモンが生き返らせたって話だったな」
ソロモン
「あ・・・うん、そうだ」

つるぎがソロモンを黙って睨んでいます。

ルミとカナ
「そ、それはソロモン様ありがとうございます。」
ソロモン
「ああ、運よく成功しただけだ」
つるぎが今度は私を睨んでいます。笑

ルミとカナ
「おじい様及び商業ギルトがご迷惑をお掛けしました、申し訳ありません」

さや
「貴方方のお父様二人はこれからはナリスを支援するらしいわよ」

ルミとカナ
「はい、くれぐれも失礼のない様にと言われてきました。」

ソニア
「それだけとは思えないなぁ、二人も娘を出すなんて、兄弟に優秀な人はいなかったの?」

つるぎ
「お前らライバル多すぎだな」と言って笑っている。
さや
「なによ」
ソロモン
「なるほど、娘を出したという事は婚姻もしくは子供を産めという事か」
ルミとカナが顔を真っ赤にして
「そうなのです、私たちの言い分は全く聞く耳持たず、行けばわかると」

つるぎ
「わかりそうか?」
ルミとカナ
「全くわかりません。今分かった事は通常では想像できないお金持ちであるという事でしょうか」

つるぎ
「だろうな、こいつは自分の力を隠しているからな、昼行燈が好きなんだよ」
ルミとカナ
「昼行燈?」

ソロモン
「昼間に火をともしても、存在感がない、ぼんやりしている、まあ役に立たないって事かな」

ルミとカナ
「はぁ?」

つるぎ
「昼間に火をともして夜になると隠すやつだ、こいつは!」
さや
「それって?」
ソロモン
「はぁ、究極の役立たずでしょうか?」と言って笑っている。
ルミとカナ
「あの、それ笑い事ではありませんけど?」
ソニア
「そうだよ、だから親のいう事なんて聞かなくていいから帰りなよ」

つるぎ
「そうだな、帰ってくれればライバルが減って助かるな」
さやとソニア
「つるぎ、うるさい!」

ルミとカナ
「あの、皆さんはナリス様とどういう御関係なのですか?」
つるぎ
「俺たちはこいつの従者だ」
ソロモン
「まぁ、勝手について行っているだけという説もありますが」

さや
「わ、私は第一婦人です!」
ソニア
「え、じゃあ私は第二夫人で」

つるぎ
「おいおい」

ソロモン
「お二人ともバカですね」
つるぎ
「そうだな」
さや
「なんでよ」
つるぎ
「せっかく二人ともにナリスに失望しかけていたのに、今の台詞で興味を持つぞ」
ソロモン
「ですねぇ、昼行燈の男に二人の婦人ですか・・・・」
さやとソニア
「あ・・・」

つるぎ
「まぁ、俺たちはナリスの報酬から金貨を分配してもらってそれを預けてあるので、雇用関係でもおかしくは無いな」
ソロモン
「なるほど、賃金の前払いと思えばいいのですね」

つるぎ
「俺はナリスが何をするのか見届けたい」
ルミとカナ
「ナリス様は何かを為されるのですか?」
つるぎ
「ああ、予定の半分は完了しているそうだ」
ルミ
「予定?」

つるぎ
「ナリスは何か使命を持ってこの時代に生まれて来たらしい、そして半分は終わったらしいが、ここに来てからまだやらなければならないことが見つかったってさ」
ルミとカナ
「そんな神の使途みたいな・・・え!そうなのですか?」
さや
「あんた達の親はナリスを神様だと思っているみたいよ」



「神の使途・・・いやいや、それはやめましょう」

つるぎがまた変な目で私を見ています 笑

「えっと申し訳ないのですがちょっと寄り道をさせてください。」
ルミとカナ
「え?寄り道ですか? この街道は一本道ですよ?」

つるぎ
「なにかあったのか?」

「さあ?」
つるぎ
「はぁ、何を言っている」

「前方左側に何かがあります、まだ何があるのかはわかりません」
ルミとカナ
「この街道は小さいころから通り慣れておりますが何もないですよ?」

なにもない・・・

「いえ、無いわけではありません、たぶん見えないのだと思います。」

さや
「見えない?」

「はい、結界が張られています、とりあえず行軍を止めてください」

長い列の商隊が一旦行軍を止めました。

私は先頭のさらに先百メートルぐらいのところまで歩いて行きこのあたり一帯に魔力を張り巡らせ、索敵を行いました。


「つるぎ、もう少し先、二千メートルぐらいの所にたぶん武装した集団がいます。盗賊かな?」
つるぎ
「ほう」

つるぎが少し考えて
「そいつら待ち伏せしているのか?」

「そうでしょうね、私たちの? いや商隊の行動予定が筒抜けなのでしょうね」
つるぎ
「で、そいつらを倒せばいいのか?」

「あ、いえ、それは後回しで、たぶん、私が今することはこの辺りのようです」
つるぎ
「なんだよ、森の中に入ろうってのか?」
私はつるぎを見てがっくりとうなだれてみました。

つるぎ
「このやろ、失礼なことしているんじゃねぇ」

つるぎの事はほっといて魔力を解放

「我、ナリスが命じる、結界よ入口を現せ」

え?
皆の反応です
空間に歪みが生じて今まで見えていた森が無くなり、道が出現しました。


「これが入口で、結界でわからないようにしてあったようですね」
振り返って

「どうします? 私はちょっと中に寄って行きますが一緒に行きますか?」
つるぎ
「当り前じゃないか、一緒に行く」

「たぶん中は広く作ってあると思いますので馬車事ついて来るなら来てください」
といって 歩いて中に入りました。
立ち止まり後ろを振り返って見ると長い商隊が結界に入り切っている事を確認して

「我、ナリスが命じる、結界よ入口を閉ざせ」
つるぎ
「ナリス、お前ここに来たことがあるのか?」

「いえ、初めてですよ?」
つるぎ
「それにしては手慣れているな」

「手慣れて・・・そうですね、結界については初めてではないですから、それと街を出てからずっとこの辺りが気になっていました。」
さや
「なんで?」
ソニア
「ずっと静かだったのはそのせいかな?」

「ああ、そうですね、ずっとこの辺りを探っていましたので静かで・・・え、私がいつも騒いでいるような言い方ですね」

さや
「で?なんで気になったのよ」

「私の魔力が少しずつここに流れて行っていたのですよ、たぶんここは前世の私が作って、結界を・・・・という事はここに隠れていたのですね」
さや
「隠れて、何でわかるのよ」
つるぎ
「さや、お前ホントにあほだな」
さや
「な!」
ソロモン
「結界で隠してそれでも入口からこんなに長い通路、逃げ出す準備は万端という事でしょうか」
さや
「な、なるほど」

「いや、この通路も見た目で判断できません。」
つるぎ
「?」

「我、ナリスが命じる、封印を解け」
辺りが白く光り目の前にあった道が無くなり建物が出現した。


「この結界の中にいる間は他の者が襲撃してくることもありません、商隊の皆さんはここで待っていてください。」
建物は小さな平屋、人ひとりが暮すには十分だと思われた。
扉の前に立ち、さらに近づくといつものように扉が光だし、軽く押すだけで開いた。
今気が付いた。
中に入るのも中から出るのもいつも押していた。
いやそうか取っ手が無いから押すしかないか・・・・笑

つるぎ
「ナリス、一人でにやにやしているとキモイぞ?」
な・・・
ほっとけ

中は意外と広い・・・何もない空間、奥に扉、「ようこそ、次世代の私」と扉に書いてある。
扉を開けて入ると

左に台所、トイレ、風呂、右側にベット、正面に本棚、中央にテーブル、テーブルの上には箱がある。

箱はいつものように封印がされていたので封印を解除してあけた。
中には本が一冊



この記録を次世代の私に送ります。

私はこの大陸で三つのダンジョンを作ました。
ダンジョンの様式、構図、動力、モンスターの出現、ボス部屋の管理、ドロップの確率と品質、全てを残します。
詳細は別にまとめてあります。

彼らはダンジョン三か所を完成させた後当然のごとく私を排除しようとしてきました。
まあ、彼らからすれば危険すぎる存在と判断するでしょうね

私的には彼らはこの世界に必要な存在ではないかと考えています。
まあ、いずれこうなるだろうと思っていましたのでダンジョンに関わるようになってからこの辺りに結界をはって、隠れ住む場所を作っておきました。

彼らはこの星の進化を異常に嫌っています。
爆発物の製作、科学の進歩、魔法の研究にも敏感に反応します。

まあ、この辺りの事は理解していることかもしれません。
が、一応書いておきます

で、私がここで何をしていたかを記載しておきます

この世界に足らない物
ゲームの世界なら必ずあるもの、そう! レベル!

冒険者のランクは依頼を受けてクリアすると勝手に上がる、能力が低くてもパーティでこなせば上がる。
これは正直つまらない、そう思うよね?

私はここでレベル表示をすることを考えました。
正直このシステムを考えて、有効にするのにはかなりの時間がかかっています。

レベルMAX 九十九

上限無しでも良かったのですがランク設定と言うものを作ってみました。
つまり
普通に生活している者、駆け出しは ランク無しのレベル壱
ランク無しなのでランク表示も無し、レベルだけ

レベルがMAXになり条件を満たせばランク壱に昇格出来ます。
あとはこれの繰り返し


一応ランクも上限を十に設定してみましたが、達成不可の設定にしてあります。


レベルの確認については鑑定スキルを持っている者だけが確認可能。

さらに鑑定スキルは世界中で所持できる人数を十名以下にします。
私が持っているので残りは最大で九名ですね。
当然、隠蔽スキル所持者のステータスを見る事は基本出来ません。

隠蔽スキルランクより鑑定スキルランクが上である必要は同じにしました。
通常の鑑定ではスキル(能力)を鑑定もしくは装備品、物資等を鑑定しますが、「ステータス鑑定」を行う事で確認が可能にしてあります。


そしてこれ大事
私達?・・・転生しても継続するようにしました。

現在私のステータスはランク参のレベル二十二です。
歴代の私、頑張ってくれたみたいです。

その辺りにいる強者相手にも楽勝かな
何故ならランク無しのレベルMAXよりランク壱の方がはるかに強いです。
もしかして偶然ランクアップ出来た者もいるかもです、気を付けてくださいね。

さて次世代の私、楽しみですどれくらい上がっているのでしょうね。


「さやさん」
さや
「え、なに?」

「世界で十名に選ばれていますよ」
さや
「なにが?」

「鑑定スキルは世界で十名以下しか所持できないそうです」
なるほど、創作の能力はこういう風にも使えるのか、前世の私すごいな

ソロモン
「それって危険なのではないですか?、鑑定スキルが欲しいものは現在持っている者を滅ぼす必要があるとか?」


「持っている者を殺して次に自分が所持できる保証があればやるかもですね、しかし、数少ない所持者を殺してしまい、次の所持者がどこの国に現れるのか不明だと、保護していかないと鑑定できるものがいないという事になります」

つるぎ
「一つの街いや国に十名が揃っていたりすると連れ去られてしまうな」

さや
「な・・・なにそれ、ナリスしっかり私を守ってね」
え?
さや
「なに、いま面倒くさいとか思ってたりする?」


つるぎ
「さや、お前も少しこいつの事がわかって来たみたいだな」と大笑いしている


さや
「で?なにかいいことがあるの?」


「鑑定スキルの使い方ですね、通常の鑑定のほかに「ステータス鑑定」と言うのがあると・・・いや作ったと書いてあります。」
さや
「ステータス?」
つるぎ
「ゲームには必ずあったものだな、簡単に言うと個人の力を数値化したものだ」

さや
「ステータス鑑定」
・・・・
さや
「何も起きないじゃん」

「これ前にもやったよね? 私は隠蔽でってやつ」

さや
「むむむ」
気を取り直してさやが
「ステータス鑑定、つるぎのステータス:レベル七十六・ランク無」
おお、見えた

つるぎ
「レベル高いのか低いのか微妙だな」

さや
「私 四十二だよ、ソロモンが六十八、ソニアは五十二、ジャックは六十六、ライアスは七十二」

つるぎ
「ちなみにナリスレベル聞いてもいいか?」


「私? ランク七のレベル五十六ですね」

はぁ?

さや
「それってどういう事よ!」

「どういう事もこういう事もありません、私は神ではなくただ、レベルの高いだけの男という事です。」
つるぎ
「はぁ、何を言っているんだおまえは」
ライアス
「そうですよ」
ソロモン
「貴方の強さに引かれているわけではありません、というか 貴方は全然強そうでもありません」

それって喜んでいいのか、わるいのか・・・

さや
「そう!これは、運命の出会い」
つるぎ
「よかったな・・・・はいはい」


「前世の私が作ったこのシステム、私のレベルは転生しても継続されると書いてあります。」
さや
「だから?」

「私のレベルは数千年の月日をかけているという事ですね」

さや
「それってずるい」
つるぎ
「たしかに」


「まぁ 私が作ったシステムですからねぇ」
ソロモン
「そんな簡単に言葉にしていい問題でもないように思いますけどね、私は」


「レベルが上がると数値が上がる、経験に応じて能力値が上がるわけだし、それを数値化して解りやすくなっていいと思います、私」
ソロモン
「いや、あ・・・そういう問題では無くて、これって神様レベルじゃないのか?って話ですよ」

つるぎ
「そうだな、世界中で有効なルールを決めたわけだ・・・ん?」
ソロモン
「どうかしましたか?つるぎ」
つるぎ
「ナリス、お前・・・制約と言うのもお前が作ったんじゃないのか?」
お?

「なるほど・・・・・考えませんでしたが、私なら制約をかける、もしくはかけられるシステムを作る事が可能ですね」

あらーー
つるぎ
「おいおい!」
ソロモン
「お、それが正解ならナリスが制約を解除できるという事ですね」
なる

あ!

つるぎ
「お前と同じことを今考えた気がする」
さや
「なによ、私もまぜなさいよ」
つるぎ
「ダンジョンから出られなかったドラゴンを出した、つまりナリスが制約を解除したんだよ、解除というか制約を作った本人が出そうとしたわけだから自然と解除になった? どうだ!」

あはは


「十分ありえますね・・・まあ私が作ったかどうかは今となってはわかりませんが・・・・」
さや
「あのさ、ここ見たいにどこかに制約について記録が残っているかもよ?」

それはやばいかも

つるぎ
「お前、今、やばいとか思っているな!」
う!

こいつ・・・・やりたい放題やって来たって事か!これはたぶんここに居るみんなが思っていると思う

ソロモン
「これは本当にどうしたものでしょうねこの世界をどうにでも出来るという事じゃないですか!」

そうか

ソニア
「え?この世界を破壊するとか?」
ソロモン
「はい、簡単に破壊出来ますね」

「ああ、そういうのはスキル無くても出来ますよ?」
つるぎ
「あ?」

古の魔法に「メテオ」「ブラックホール」この二つはまじでやばいです
つるぎ
「メテオ」ってゲームなら星を落とすとかだろ?

「そうですね、星なんか落としたらこの星自体が爆発して消滅してしまいます。」

つるぎ
「ブラックホールって、お前」

「一応全てを吸い尽くすとかですね、闇魔法としてこれを使えると自己申告してた女性に会いましたよ」
つるぎ
「それマジ危ないな」

ソロモン
「どちらにせよ、ナリス!君はこの世界を自由に支配できるわけだ」
ああ

「出来るかもですね、でもしませんよ」
ソロモン
「なんだと、なぜだ」

つるぎ
「決まっているじゃないか、面倒くさいんだよ、こいつはそういうのが」と言って笑った。
そうそう

つるぎ
「見ろ、笑ってやがる」

あれ・・・
笑ってたかな?

つるぎ
「そうやって悩んでいるから間違いない・・・・」
なんと・・・

こいつ・・・やるなー
つるぎ
「おう、もっと褒めろ」
なんだとー くそー

つるぎ
「マジでバレバレなんだよ」

さや
「あんた達、ほんとに楽しそうね」

つるぎ
「さやも、もう少しナリスの事をわかると楽しいかもな」
さや 
「な!」


む・・・なんかムカつく
さや
「なんかムカつくわね」

おお

つるぎ
「勝手にムカつけ」

ルミとカナ
「あの・・・そのような無礼な態度でよろしいのですか?」

つるぎ
「お前らがこいつにどういう態度をとろうとそれはお前らの自由だ、好きにしろ、だが俺は俺の好きにする」

さや
「私もそれに賛成」
ソロモン
「まあ、二十年前後の期間限定ですけどね」
ルミとカナ
「二十年とはどういう事でしょうか?」

つるぎ
「こいつが果たすべき役目とやらにそれぐらいの年月がかかるらしい」
ルミとカナ
「果たすべき役目・・・やはり天啓をお受けなのですね」

ルミ
「お父様たちが失礼のない様にと何度も言われた意味が解りました。」
カナ
「私たちもナリス様のお役に立てるようになりたいと思います」
さや
「え・・・」

つるぎがさやとソニアを見てくすくす笑っています。

二人がつるぎを睨んで
「なによ」

ハモった。

んんん、と何か勝手に話が進んでいるけど、まあいいか

ルミとカナ
「ナリス様、私たちはこれから貴方様のお世話をさせていただきます。」



ルミとカナ
「私たちは戦闘は出来ませんが、幼き頃からお父様、お兄様たちについて学んでまいりましたので、取引については心得がございます。どうぞご活用くださいませ」


おお、それは心強い

つるぎ
「おい、さやにソニア、強敵が現れたな、がんばれよ」


さやとソニア
「なによ、きょ、強敵なんかじゃないわよ」

つるぎ
「そうか、それならいいな」

私は何気なく部屋をまわり、本棚を調べていて気が付きました。
あれっと思った本を手にしてぱらぱらとめくってみて
やばい・・・・

と思っていたら、つるぎが
「おい、どうかしたか?」

こいつ、するどいなあ

つるぎ
「というか、どうかしただろ」とにやにや・・・・

これは逃げられないな

「ここにダンジョン制作に関しての資料がありました。」
つるぎ
「ほう、それで?」

・・・・

つるぎがまたニヤニヤしながら
「どうした」と一言

あう


「制約について記述があります。」

つるぎ
「やっぱりか」

ソロモン
「確定ですね、犯人は君だ!」

つるぎ
「で?」

「はぁ、制約の代理執行役はジュ・オンさんですね」

ソロモン
「あのおっさんか」

つるぎ
「どういうことだ?」


「私の能力で作った制約ですが、私が不在の時のために制約の執行が出来るようにしてあるようですね。」


つるぎ
「そうか、それでどんな風に作ってある?」


「私、もしくは代理人がその都度好きに制約を決める事が出来ますね。」

ソロモン
「貴方と言う人は・・・・」

つるぎ
「という事は?その代理執行人を取り消すことも可能だな」

なるほど


「それは確かに出来ますね」
つるぎ
「なら即取り消せよ」
うーん

つるぎ
「どうした」

「今は取り消す時ではない気がします。」
あ、そういえば神楽を解放するときにジュ・オンさんは制約を執行しようとした、という事はやっぱり今取り消しては駄目だ

つるぎ
「どうした?」


「実は七千年後、ジュ・オンさんが制約を執行しようとします。なので今解除しては駄目だと考えていました。」

ソロモン
「七千年ですか」

はい

つるぎ
「そうか、わかった」

さや
「なに、なにがわかったのよ」

つるぎ
「こいつには俺たちにはわからない何かを背負っているという事だよ」

さや
「わかんないわよ」
つるぎ
「だからそう言っているだろうが!」

そうね

さや
「ごめん、わからないって言ってたね」

ソロモン
「そうですよ、五千年、七千年後の世界の話は我々では理解不可能ですね」
つるぎ
「たとえ、理解できてもどうしようもない」


暗い空気になりシンと静かになった。


「あ、一応言っておきますが、制約を執行しようとしたジュ・オンさんは封印してきました」
ソロモン
「七千年後に戦っているのですか?」

戦い?


「ああ、そうですね、私はつるぎと同じでステラに殺されました。」

つるぎ
「な・・・」


「転生してきたのが七千年前のこの世界という事です。」

ライアス
「もしかして前世で世界の歴史を調べていたのですか?」


「よくお分かりですね、いろいろと調べていました。」
ライアス
「だからいろいろと詳しいという事ですか?」
ああ

「いや、この国、世界の歴史については調べておりません。」

ライアス
「おや?ではドラゴンが国を滅ぼしたとか、勇者が魔王を倒すとかの話は歴史ではないのですか?」


「あ、それは国を滅ぼしたと噂になったドラゴンと、魔王を倒した、もしくは封印に成功した勇者、その勇者を探していたあの人たちと出会ったから知っているだけです。」

ライアス
「歴史書を読んできたとか?」

「ああ、一応ぱらぱら・・・と勇者とか魔王に関係しそうなものばかりを読んできました。」

ライアス
「国どおしでの戦争でどちらが勝利するとかが、先にわかると動きやすいのですが」


「なるほど、でも申し訳ありません、どこの国が勢力を伸ばすとかはどうでもいいです」
つるぎ
「まあ、今考えられることはナリス、お前と敵対しないところが伸びるだろうな」

ソロモン
「そうですね、敵対なんかしようものなら一気に潰されますからね」

いや、だから敵も味方もないって

つるぎ
「ここに立ち寄って得るものは得たのか?」

「そうですね、ここの書物も移動します。」
あ、そうか ここもあと数千年は利用可能だな


「ここは一応拠点として使いましょう」
転移門を印してと

「あ、さやさんは転移門だめですよ」

さや
「なんでよ」

「私がいないときに試しに転移してもらってもいいですがたぶん障壁に当たって死亡すると思います。」
さや
「し、しないわよ、ここには転移門は印さないです!」

それがいいです 笑

うぅん・・・と
改めて周りを見渡してみて

「ここ意外と広いので一応ではなくここを拠点として行動しましょうか?」

つるぎ
「どういうことだ?」

「ここに宿舎を作りましょう」
ソロモン
「ここに住むという事ですか?」


「ああ、まあそういう事になりますね」

ルミとカナ
「この先、移動しないのでしょうか?」


「ここから移動した場所に転移門を印して逐一帰ってくるのですよ」
ルミとカナ
「はぁ?」


「商隊の皆さんと護衛の方はここに残ってもらい、私が転移で戻ってから一緒に転移で移動する」

つるぎ
「毎日夜になると転移で戻れば宿代もいらないし、安全に睡眠がとれるということか」
さや
「毎日安全に寝れるってそれはすごいね」

ソロモン
「なるほど、ここなら見張りもいらないですね」


「いい機会ですので、一度お見せしておきますね」

つるぎ
「?」

つるぎの事はほっといて、まずは下水処理を地下にイメージしてディメンションポケットをロット領で作った処理施設につなげ、一階にミーティングルーム、カフェテリア、バスルーム、トイレ、二階と三階にプライベートルームを二十部屋、鍵は部屋の中に簡単なものをつけて日本で言う所の十二畳ぐらいの広さにしてベットと机、椅子、収納用ロッカーを完備、屋上にタンクを配備して、飲料水の準備、そこからバスルームには温度調節のスペルを置いてお湯を流し込み、そのまま垂れ流しで何時でも入れる

建設敷地に魔力をはり

「解放スキル発動」
魔力をはった土地が光に包まれ
「創造スキルを解放、発動」

土地に広がった光が、縦に延び立方体になったあとゆっくりと消えた。

光が消えた後に、建物が姿を現した。

おお

つるぎ
「これがお前の力・・・か」
さや
「うそ」
ルミとカナ
「ああ、神よ」

バッカス
「なんだ、なんだ何が起きた」
ソロモン
「ナリスが能力を発動させました。」
ライアス
「こんなことが・・・」


「ふぅ、完成しました」

つるぎ
「今日から使用可能なのか?」

「そうですね、各自で使用する部屋を決めて使ってください」

皆驚きで何か言いたいようですが声が出ないようです。

ふと街道の方に目をむけると
つるぎ
「どうした?」
こいつ鋭いよなぁ、ほんとに


「実はこの先三キロほど先に待ち伏せらしき人たちがいたのですが、私たちが来ないのでどうも探し始めたみたいです。」

つるぎ
「ほう」

ソロモン
「それで、どうするのですか?」
え?

「それ聞きますか?」

ソロモン
「ああ、そうだな、すまん」


「たぶんですが、この先に隠れ家があると思いますので、全ていただいてきましょう」

つるぎ
「言うと思ったが、待ち伏せって言ったな、俺たちの行動を知っていたって事か?」


「ああ、そうですね」

ソロモン
「商業ギルトの中に盗賊と繋がりのある者がいるのでしょうか?」

ルミとカナ
「え、そんな」

ライアス
「商業ギルトの方は大丈夫なのでしょうか?」

ルミとカナ
「どういうことですか?」
ソロモン
「なるほど、我々を待ち伏せしていた、そして街では商業ギルドが襲われる、ありえますね」

ルミとカナ
「お父様たちは大丈夫でしょうか?」

つるぎ
「いや、大丈夫じゃないな」
ルミとカナ
「あ・・・あの」


「一応様子を見に戻りましょうか?」
ルミとカナ
「お願いします。」

「神殿の部屋に転移してみましょう」

お?
つるぎとさやがさっとそばに寄って来た。

ソロモン
「ルミさんとカナさん、私とソニアまでいれて七名でいきましょうか?」
さや
「ナリス、何笑っているのよ?」


「メンバーがあっという間に決まったから・・・さ」

つるぎ
「決まったならさっさと行こう」

神殿の部屋に転移し外に出て商業ギルド街に向かって歩き出した
つるぎ
「騒がしいな」

路地から声をかけられた
「ナリス様」
見ると老人ジュ・オンさんが手招きをしています。

つるぎが警戒していましたが、無視してジュ・オンさんの所に行き「どうかしましたか?」と聞いてみると
「現在ブルーワークス商会とレッドワークス商会が襲われております。

やはり・・・・

ルミとカナ
「お父様たちは無事でしょうか」

老人ジュ・オンさん
「まだ建物の中までは進入を許してはおりません」

「情報をありがとうございます」
ソロモン
「やはり盗賊でしょうか?」
老人ジュ・オンさん
「盗賊の賞金首とゴールドワークス商会の人間が混ざっているようです。」

「昼間から堂々と襲うなんて何も考えていませんね」
老人ジュ・オンさん
「ゴールドワークス商会は解散命令が出ていました。数人はブルーワークス商会及びレッドワークス商会に移籍したようですが、移籍できなかった者たちが怒りに任せて両商会を潰そうとしているようです。」

ソロモン
「怒りに任せて・・・つまり潰せればそれでいいという事でしょうか?」
つるぎ
「何を言っているんだよ、金目の物を奪って逃走に決まっているだろうが」

ソロモン
「まあ、そうですね」
ルミとカナ
「あの、のんびりしている場合では・・・」


「そうですね、反撃しましょうか」
私は索敵を開始、魔力を広げ、鑑定、商会を襲っている者を特定しました。

「準備は出来ました。では攻撃を開始します。」
つるぎ
「おい!」
ソロモン
「まだ、商会を襲っている人数もわかっていませんが」


「建物を取り囲んでいる者が二百二十三名、別の建物から弓で牽制している者が五十七名で合計二百八十名ですね」
ルミとカナ
「ここからそんなに正確に把握出来るのですか」

「絶対零度」
つるぎ
「おい!ちょっとま・・・・て」
ソロモン
「つるぎ、どうかしましたか?」

つるぎ
「え・・・ああ、もうすべて終わったって事だ」
ルミとカナ
「はい?」

「解除」

つるぎが私をちらっと見てから
「一応現場まで行くか?」

「そうですね、直接会わないとお二人が安心できないでしょうから商会の方に行きましょう」

商会の建物の前まで着いて、立っている者がいないのを確認して、二人は走り出していきました。

建物の入り口で
ルミとカナ
「お父様」と大きな声で呼びかけていた。

アレックス・ロンド
「ルミお前どうしてここにいる、いや今外は危ないすぐ中に入りなさい」
ガルズ・ロンド
「カナ、お前もどうしてナリス様はどうしたのだ」
ルミとカナ
「ナリス様も一緒に来てくださっています。」

アレックス・ロンド
「な、なんだと、それはいけません、すぐに非難を」
つるぎ
「もう、何も問題はない」

ルミとカナ
「ナリス様が商隊を待ち伏せしている者がいると言われて先に商会の方の安全を確認しに戻ってきました。」
アレックス・ロンド
「もう?」

つるぎ
「しっかし、ナリスお前、マジでとんでもないな」
ソロモン
「え・・・これはすべてナリスがやったのですか?」
つるぎ
「他に誰がやるんだよ」
商会の建物の中にいた人たちは、外の様子を見に出てきて驚いています。

ソロモン
「死体全てえらく濡れていますが・・・どういう事でしょうか」
つるぎ
「さあな、ナリスに聞かないと分からないが、聞いても教えてくれないだろうな」

「いえいえ、遠隔魔法で凍らせたあと、解除しただけですよ」
つるぎ
「ほう、氷が解けたから濡れているって事か」
ソロモン
「遠隔で、ですか」

アレックス・ロンド
「ナリス様、ご心配をおかけしたようで申し訳ありません。ご助力ありがとうございます」


「何も被害はないですか?」
アレックス・ロンド
「はい、おかげさまで何も問題ありません」

「あとはお任せしてもよろしいですか?」
アレックス・ロンド
「はい、後片付けはこちらでやっておきます」
ガルズ・ロンド
「賞金、武器、防具、装飾品も全て回収しておきます、ご安心ください」

「それは是非お願いします。金貨百枚以上にはなりそうですね」
つるぎ
「一人で終わらせやがって・・・」

「はい、あとがつかえていますから、ここは急がないと」
つるぎ
「何かまだあるのか?」

「はい、商隊を襲うために私たちを探している盗賊討伐があります」
つるぎ
「そういえば商隊を探しているようだとか言ってたな」
ソロモンがアレックス・ロンドに何か小声で注意をしている
アレックス・ロンド
「そ、そうですね、気を付けておきます」
つるぎ
「それでは駄目だろ、しっかり探し出さないと」
アレックス・ロンド
「はい、わかりました。」


「では、後始末はお願いします。私たちは戻ります」
アレックス・ロンド
「ルミ、カナお役に立つんですよ」
ルミとカナ
「はい、お任せくださいませ」


私達は一度神殿まで戻ってから転移しました。
途中先ほどのジュ・オンさんが頭を下げているのが見えた。


結界の中で
つるぎ
「外に出ると盗賊が俺たちを探しているのか?」

「私たちを探しているのだと思いますよ?」

つるぎ
「じゃあ そいつらは俺たちにやらせろ、お前は駄目だ」

「ではお任せします、私はルミさん、カナさんとお茶でも飲んでいますね」

つるぎ
「おお、そうしろ」


ソロモン
「ところで外にはどれくらいの数がいるのかわかりますか?」

私は魔力を広げて索敵
「えっと、出入り口よりまだ先に一キロほど進んだあたりに十名程がいます。」

つるぎ
「十名・・・それだけか」

「まってください」といって魔力を広げさらに先を索敵

「三キロほど先に五十名ぐらいがいます」
つるぎ
「おおし、そいつらまで殲滅してくる」


「数人は殺さないようにして逃がせば隠れ家まで案内してくれるでしょうからうまくやってください」
つるぎ
「アジトがこの近くにあると思っているのか?」

「はい」
ソロモン
「全部いただくつもりですよね、当然」

「はい」

さや
「じゃあ、私もナリスと一緒にお茶でも・・・」
皆の冷たい視線を感じて最後まで言えないさやでした。


「さやは隠蔽でこちらの気配を消して移動をしてください、奇襲できますから、それとここの出口辺りに転移門を印しておいて危なくなったら転移で戻ってくる準備をお願いします。」

つるぎ
「おい、こら・・・・なんだよ危なくなったらって」
ソロモン
「敵にとんでもないのがいたらどうするのですか?」
つるぎ
「くっ、敵にドラゴンでもいるっていうのか!」

「ドラゴンに匹敵するようなものがいないとは言えません」

つるぎ
「ああ、そうだな」
顔に不満がはっきりと出ています

ソニア
「じゃあ、私が斥候を務めるから安心して」
ソロモン
「よろしくお願いします」
ライアス
「少し離れて援護をします。」
ソニア
「うん、ライアスよろしくね」
ジャック
「俺を置いて行くなよ」

バッカス
「俺たちもいくぞ、ナリスまた分け前よろしくな」

ソロモン
「ダンジョンの時のようにはいかないでしょうが、一人金貨十枚ぐらいにはなるのではないでしょうか?」


「はい?」
ソロモン
「あ、欲出しすぎましたか?」
つるぎ
「なんだよ」


「二人とも何を言っているのですか? 盗賊の隠れ家ですよ?」
さや
「だから?」


「ダンジョンの時と同じもしくはそれ以上の物があると思います。」

ソロモン
「そんなには無理ではないでしょうか?こんな近くで」


「ダンジョンの盗賊と今回の盗賊は仲間ではないでしょうか?」

つるぎ
「それなら、あちらさんの言い分としては取ったものを返せ・・・か?」

ソロモン
「こちらの言い分は?」
・・・・
つるぎ
「もっとよこせ!だな」

ソロモン
「了解」

さや
「金貨二百枚とかもういらないよ?」

ルミとカナ
「はい?」

ソニア
「ダンジョン攻略した時、同行者に分配があったのよ」

ルミとカナ
「金貨二百枚ですか?」

さや
「そう、私たちは二百枚、全部ナリスに預けてあるけどね」
ルミとカナ
「ナリス様、装備以外はお持ちではないようですけど」

さや
「ディメンションポケットとか言うのに収納しているって」

「それは収納庫への入り口の事ですけどね」
ルミとカナ
「入口?」

ソニア
「ナリスのウエストポーチ、あれから刀とか出てくるわよ」
ルミとカナ
「はい?」

私は結界を解放して出口を開き、つるぎ達を送り出したのですが、招かざる客人が来てしまいました。
サンタナ
「人間がこのような閉鎖空間を作れるとは驚きです」

ルミとカナ
「なに?」

「よく入って来れましたね」
サンタナ
「今結界が解けた時に道を作りました。」
ほう



「で、招いてもいないお客人、貴方は誰ですか?」
サンタナ
「これは大変失礼をいたしました。私、サンタナと申します。」


「それで、サンタナさん、何か御用でしょうか?」
サンタナ
「ふむ、これと言って用があるわけではありません、たまたま通りかかって「獲物が消えた」と騒いでいる者たちを見つけどんな獲物か私も気になって見ていたところです。」

ルミとカナ
「ナリス様、この方は悪魔ではないのですか?」
サンタナ
「よくご存じですね、人間界ではそう呼ばれる事が多いですね」

ルミとカナ
「ナリス様、逃げないと」

「それで、ここに戦いをしに?」
サンタナ
「いえ、とんでもありません、貴方のその落ち着き用、私の力量をはるかに超えているかただのバカか・・・」

ルミとカナ
「な!」


「戦ってみると分かると思いますが」
サンタナ
「ふむ。すばらしいですね、貴方のような人間は初めてですよ、良い土産話が出来ました」
土産話・・・・

サンタナ
「すみません、一つお願いがあるのですが」

ルミとカナ
「ひぃ」

「なんでしょう?」
ルミとカナ
「な、ナリス様!」
サンタナ
「今後も貴方方、ここに居る方には手を出しませんので今通した道をこのまま残しておいてほしいのですが」


「なんで?」
サンタナ
「ここなら他の人間に見られずに済みますから」
なるほど
ルミとカナ
「ナリス様、聞いてはいけません、危険です」


「ここで暴れないのなら許可しましょう」
サンタナ
「これは・・・快い返事をありがとうございます」
ルミとカナ
「ひぃ、ナリス様」

サンタナ
「脅す訳ではありませんが、私の主人様は私の数段格上の強さですよ」
サンタナは私を見て
サンタナ
「笑いますか、怖いですね」

ルミとカナがびっくりして私を見ています。

サンタナ
「この話を聞いた我が主様は手出しなどしません」と言って笑っている


「それは助かります、が一応試していかなくてよろしいですか?」

サンタナ
「それなのですが・・・・ああ、正直に申しましょう、貴方は私を瞬殺しそうな気がします。今感じているのは私の主人よりも強いかもしれないと。」


「ほんとに正直ですね」
サンタナ
「私の能力はホントに珍しいものなので死ぬわけにはいかないのですよ」

「それ聞いてもいいですか?」
サンタナ
「はい、私は異世界間を移動出来るのですよ」


「それは珍しいというか初めて聞きました。」


なるほど


「私も貴方とは仲良くしておいた方がよさそうですね」
サンタナ
「そう言っていただけると助かります。」

私は少し考えて

「解放スキル発動」
手の平の上に魔力をはり
「創造スキルを解放、発動」
はった魔力の部分が光だし
サンタナ
「どうされました?」

「少しお待ちください」
手の平の上の光が消えて私は私の魔力を纏った指輪を一つ創作し、サンタナに渡しました。

サンタナ
「これは?」

「この指輪を付けているとこの結界を自由に出入りできるようにしました。」
あ、そうかこれをさやさんにも渡しておけばいいのか・・・


サンタナ
「いただけるのですか?」


「ええ、どうぞ」
サンタナ
「ありがとうございます、使わせていただきますね、なるほどこれが無いと結界に阻まれて死んでしまうわけですね、助かります」

サンタナは少し間を置いて
サンタナ
「ではお礼に情報を一つ、今回、争っておられる相手には私ほどではありませんが一人お強い方がおりましたよ」


「その情報は助かります、ありがとうございます」

ふむ

「サンタナさん、貴方御暇ですか?」
サンタナ
「そうですね、貴方様が全てを終わらせる間は暇のような気がします。」

「それは助かります。ではここでお茶でも飲んでいてくれますか?」

ルミとカナ
「ひぃ」


「ルミさんカナさん、サンタナ様にお茶の用意をお願いしますね、私はちょっと出てきます」

ルミとカナ
「ナリス様・・・」

「大丈夫ですよ、サンタナ様は怖くありませんよ」

サンタナ
「私の事は呼び捨てで構いません」


「では、サンタナあとの事はよろしくお願いします」
サンタナ
「お任せください」

結界を解除して出口を作り外に出てのんびりとつるぎ達の後を追います。

え?
急がないのかって?
あわてていくとつるぎが不機嫌になりそうですからね 笑

少し行くとゾロたちが盗賊十名の亡骸の近くで戦利品の見張りをしていました。

ゾロ
「ナリス様、どうかしましたか?」

「盗賊の中にすごく強いやつがいると情報があり、様子を見に来ました。」

そら
「え」


「皆さんはここで待機をお願いしますね」
ゾロ
「ああ、わかった」
そら
「ナリス様は」

は?

「私はその強いやつを見に行ってきます、だいじょうぶですよ」

さてと魔法の絨毯の出番です
少し高度を上げて上から様子を見てみます。

まだ戦闘ははじまっていないようですね。
つるぎ達は何をしているのでしょうか?


えっと・・・・
いました。なるほど、ソニアが敵の強さに気が付いてつるぎを止めているようです。
ソニア
「つるぎ、駄目だって」
つるぎ
「相手が強いから逃げたとかナリスに言えないだろうが」

つるぎとソニアが言い合いをしているところに降りて

「お待たせしました。」
さや
「ナリス」
つるぎ
「何をしに来たおまえ」

「敵に少し強いやつがいると情報がありまして」
つるぎ
「どこからの情報だ!」

「悪魔とか言っていましたよ、今ルミさん、カナさんとお茶の時間を楽しんでいると思います」

な!

ソロモン
「悪魔・・・・大丈夫なのですか」


「はい、大丈夫です、さてと先を急ぎましょうか」

ソニア
「あの、ナリス・・・私足がすくんで」


「おお、それは気が付きませんでしたすみません、では皆さんはここに残ってください、私とつるぎで行ってきます。」

あ、そうだ

「さや、これを身につけておいてください、」
さや
「え?」
私の結界を自由に行き来出来るようになります。

さやが顔を真っ赤にして指輪をつけていると
ソニア
「ナリス!もう一つ出して!私にも頂戴よ」

お?
それはホントに気が付かなくてすみません
という事で指輪をもう一つ創作してソニアに渡しました。
ソニア
「ありがとう!」
嬉しそうに指につけていました。


「さや、計画通りに危なくなったら転移で飛んで結界の中に走ってください、中に入ると今言った悪魔名前はサンタナが助けてくれるでしょう」

さや
「サンタナ・・・・」

ソロモン
「私は一緒に行きますよ」

「いえ、ソロモンもライアスも皆を守っていてください、お願いします」

つるぎ
「よし、いくか」

「気を付けてくださいね、つるぎ」
つるぎ
「な・・・なんだ、気持ち悪いな」


「戦ってみたいでしょ、その強い奴と」
つるぎ
「そうか、わかった、そいつはお前に任せる」


「ど、どうしたのですか、貴方らしくもない」
つるぎ
「お前がそれだけ気を使っているんだ、とんでもなく差があるんだろう」

「はい」
つるぎ
「おい、そこはもう少し言葉を選べよ・・・・」

つるぎがフッと笑って
「お前の本気が少し見れるのかな」


「さあ、どうでしょうねぇ」

ちっ


「他にも貴方クラスの者がいるかもです、しっかりお願いしますね」
ソロモン
「だから私が必要だろう」
つるぎ
「ソロモン!」

「二人ともいいコンビですね」

私が先頭を歩きだすと
つるぎ
「おい、正面から行く気か?」

「はい?隠れても意味ないでしょ」

ソロモン
「どういうことですか?」

「あちらさんも私を見るとひとり出てきますよ」

ソロモン
「だから目につくように正面からいくと・・・」


「二人も少し離れていてくださいね」
つるぎ
「ああ、お前の邪魔にはならないようにしておく」

助かります

ソロモン
「ナリス、何か来ます」
ですね



「ではちょっと行ってきます」

二人を魔力障壁で包み・・・・あれ、さやさんたちもこっちに来ているし、もう

さやさんたちも魔力障壁で防御は万全、と前を見ると剣を上から振る?

あれってイリスの斬撃か?
やばい・・・敵と私を魔法障壁で隔離

イリスと戦っていて良かったと今思います、イリスの方が少し威力が高かったような、という事で回避が可能でした。
回避した後斬撃が障壁にあたったすさまじい轟音が響く

こいつ・・・
イリスみたいなことを平気でやるとは、何も考えていないな・・・

あ、まさか、こいつ

オリビアのクローンか?

こまったな、こっちの手の内をここで見せるわけには・・・
どうしようかな

あ、斬撃は有効ではないことを見せてしまったな

あとは、殺してしまわないように気をつけないと

え?

おい・・・

つるぎ
「なんだ、あいつ・・・あれ・・・・逃げたぞ」

ソロモン
「冷静に考えると力の差を見切ったという事でしょうか?」

つるぎ
「なんだよ、いさぎよいとか言いたいのか?」

ソロモン
「ナリスの強さを理解するにはそれなりの強さが必要という事ではないでしょうか?」

つるぎ
「おい!」
ソロモン
「そうですよ、認めなさい、私たちは彼の強さを全く理解出来ていない、それだけ弱いのですよ」

くそ
つるぎが悔しがって吐き捨てた

さや
「つるぎ!」
つるぎ
「なんだお前ら来たのか」
ソニア
「どうしたの、ナリスは?」

ソロモン
「ナリスからここで待つように言われて戦いを見物しようとしていましたが、敵が今逃走したところです。」
さや
「え、逃げたの?」

つるぎ
「ああ、一撃入れてきたが、ナリスが二人だけを魔法障壁で包み込んで防いだあと一目散に逃げて行った」
ソニア
「魔力障壁を自力で抜けて行ったって事?」
ソロモン
「いえ、ナリスが即座に解除したようです。」
さや
「それで今ナリスは?」
つるぎ
「あ、やばいぞ あいつまた一人で終わらせるぞ、いそげ」

走り出してすぐに異変に気が付き歩き出した
ソロモン
「なんだか、様子が変ですね」
私に追い付いてきたつるぎが
「なんだ、どうした」
と言いつつ辺りを見て理解していた
ソロモン
「武器、装備品、重いものを捨てて逃げ出したのですか、ここにいた、盗賊全員が」



「やあ、追いついてきましたか、ってあれ さや」

ソニア
「私もいますよ!」
ああ、ごめんごめん

ソロモン
「先ほどのあのすごい一撃、いままではあれで終わっていたのでしょうね」

ソニア
「ナリスは打ち込まなかったの?」
つるぎ
「なに?」
ソロモン
「貴方もあの一撃が撃てるのですか?」
ソニア
「バッカスがあれで死ぬところだったのよね」

バッカス
「あれはまじで勘弁してほしいな」


「あはは、実は」
つるぎ
「どうした」

「こちらの手の内を見せていいものか考えていたら障壁近くまで逃げていたので慌てて障壁を解除した始末です。」

つるぎ
「そのままにしておけば障壁にぶつかって死んだんじゃないのか、あいつ」

「あれ、うーんあの人を今殺してはいけない気がしました」

さや
「あれ?」

「ええ、あれ多分ドラゴンだと思います」

ソロモン
「なにを、もしそうなら今倒しておかないと駄目でしょ」

つるぎ
「なんだよ、またタイミングか?」

「はい、あれを倒すもしくは封印するのは勇者の仕事かと思います」

つるぎ
「あいつが魔王か」

「まあ そういう事になるかもです。」
ソロモン
「違ったら?」

「まだほかに魔王候補がどこかにいるという事になりますね」

ソロモン
「あの一撃をどうにかしろと?」

「そういう事になりますね、ここで私に出会った事でさらに力をつけようとするでしょうから、今よりかなり強くなると思います。」
ソロモン
「それはまた、余計な事をしてくれましたね」と言って笑った。

つるぎ
「どうすれば強くなれる」


「毎日地味に訓練を重ねて実践に出るしかないと思います」

つるぎ
「俺に対してもっと具体的に言うとどうなる?」

「前にも言ったと思いますが、つるぎは雑すぎるので、ステップをしっかり踏むとか小技を多用するとかした方が良いと思いますよ?」
ソロモン
「雑・・・?」


「大振りして当たれば効果大とか私はいりません、確実に当てて効果大を選びます。」

ソロモン
「そんな夢のようなことは無いでしょう」

「そんなことを言っているから強くならないのですよ」

さや
「わかるように言って」

「例えば 私の初級魔法の威力はその辺にいる上級魔法を使える方達より威力が上だと思いますよ?威力は上で魔力消費量は少なくて済む」

ソロモン
「それはナリス、貴方だからでしょ」


「私だから・・・もう話しするのはやめましょうか、貴方方が強くなることは無いと思います」
つるぎ
「なんだと」

「人の話を聞く気はないでしょ?聞いても今みたいにそれは貴方が特別だからと言って逃げる」

ソロモン
「私は別に逃げているわけではありません」

笑ってしまいました。
ソロモン
「何か変な事を言いましたか?」

「はい」
ソロモンが何か言おうとしましたが無視して

「小さな子供がソロモンみたいになりたいと言ったらどうしますか?」
ソロモン
「私程度なら誰でもなれます。」

「小さな子供はたぶん、それは貴方だから言える言葉だと言うでしょうね」

ソロモン
「な・・・・」


「どうですか その小さな子供に貴方は何と言いますか?」

さや
「それって結局こつこつやるしかないってこと?」

「毎日剣をしっかり振り、狙い通りに剣を使う鍛錬をしている方達は素早く、的確に剣を使います。構えただけでも美しい」

つるぎ
「お、おれは・・・」

「どうすればつるぎさんのようになれますかと聞かれて貴方は持って生まれた才能だと答えるしかないですよね」
つるぎ
「そしてその才能も活かせていないと言うのだろう」
はい

「つるぎは同じ天眼の能力を持っていて、鍛錬もしっかりして来た対手には勝てないでしょう」

くぅ
つるぎが唸ってから
「何をどうしたら俺が強くなれるのか教えて・・・・」
ソロモン
「つるぎ?」
つるぎ
「お願いします、教えてください」
さや
「貴方・・・」
つるぎ
「ナリス、お前はこの世界に十年以上いるんだろう、それだけ時間があれば俺もあいつの相手を出来るようになれないか?」

え・・・
つるぎ
「おい!露骨に嫌そうな顔をするな」

さや
「ぷ」

ソロモン
「本気ですか」
つるぎ
「このままでは、戦力外になるだろ」

ソロモン
「それは・・・そうですね」

「その話はここが、片付いてからしましょうか」

つるぎ
「頼む、いや・・・・頼みます」

さや
「わ、私も一緒にやるから、面倒見てよね」

ソニア
「私も、私もやります」


「もう、おいて行きますよ」

さや
「えぇ、待ってよ」

ソロモン
「逃げた先は分かっているのですか?」

「あの魔王候補のかたは真っすぐに逃げています、私からとにかく離れるつもりですね」

つるぎ
「よくわかっているんだな」
ソロモン
「他の者は?」

「はい、途中から左に曲がって山の方に向かっています」
ソロモン
「そこにアジトが?」

「はい」

つるぎ
「アジトに逃げるとなんとかなるのか?」

「そうですね、自分だけでも全財産持って逃げるつもりではないでしょうか?」

ソロモン
「逃げきる自信があるのでしょうか?」


「攻めてくる私たちの事を知らない人が応戦している間に行動するのでは?」

つるぎ
「そうだな、他の者を犠牲に自分が助かればいいだろうな」

私達は山の方に向かって走り出した。

すぐに足を止めました。

つるぎ
「おい、おい」
ソロモン
「本当ですか、これ」
さや
「なになに?」
ソニア
「あれって砦だよね?」

ジャック
「どういうことだ」

ライアス
「まあ 盗賊の頭は貴族でしたって落ちですね」


「へぇ、逃げた人たちは秘密?の通路を持っているようですね」
ソロモン
「はい?」


「あの砦の右の方に消えていきます。」
つるぎ
「なるほど」
ソロモン
「という事は?」
さや
「なになに?」

「ここの責任者が盗賊の関係者とははっきり言えなくなりましたね」
さや
「なんで?」

ソロモン
「でも最高責任者もしくはそれに準ずるものが関わらないと無理がありますよ」
つるぎ
「そうだな」

ライアス
「なるほど、砦の真面目な守備隊が戦っている間にこっそり町の方に逃げるわけだ」

ソロモン
「当然、全員がグルという事もあり得ます」

つるぎ
「どうする」

「そうですね、とりあえず逃げて行ったところに行ってみましょう入口があるはずです」

私達は砦の右に向かって歩を進めていましたが、砦の方が騒がしい事に気が付きました。つるぎ
「何が起こっているんだ?」
ソロモン
「気をつけましょう、いきなり弓矢が飛んでくるかもしれません」

ソニア
「ちょっとまって、ほんとに変だよ、砦の中で争っているみたい」

「どうもあわてたバカ者たちが盗賊の姿のままお宝を持って逃げだした所を守備兵に咎められているようですね」

さや
「顔を隠しているのかしら?」
ソロモン
「なるほど、いつも一緒にいる兵隊同士のはずだろうからな」

さや
「ここの責任者はどうしているのかしら」
つるぎ
「責任者が盗賊の頭だとしたら、お宝を持ち出されるのはいやだろうな」

ソロモン
「そんなに大きな砦ではないから常駐している兵隊も百名程度ではないでしょうか」
つるぎ
「そうなると半数以上は盗賊の仲間って事になるな」
ソロモン
「盗賊の十名は確保、十名近くは一目散にまっすぐ逃げたみたいだし、砦の中では五分の戦いになっているのですかね」

ソニア
「いえ、真面目な守備兵とか数人みたいです、押し切られそうです」

つるぎ
「誰も出てくる気配はないな」

「そうですね、反対側に抜け道があるのでしょうね」

逃げた盗賊が消えた辺りまで来て

「この辺りに出入り口があるはずです」
つるぎ
「あれか?」
見ると祠?がありました。
祠に近寄ると番人でしょうか?

五名の男が現れました。
現れた男
「おい、そこに近寄るんじゃねぇ」
ソロモン
「貴方方は逃げなかったのですか?」
現れた男
「ああ? 何を言ってやがる」
ソロモン
「砦の中が騒がしいのに気が付いてないのですか?」
現れた男
「俺たちの仕事はここに近づく者を排除する事だ」
と言って問答無用で襲ってきました。
現れた男B
「女もいるぜ、早い者勝ちな」

「数もこちらの方が多いのにえらく強気ですね」

現れた男
「なんだそれ、笑ってしまうぞお前ら俺たちを知らないとは失礼な奴らだな」
さや
「どこかで聞いたような台詞ね、ねぇつるぎ」
つるぎ
「うるさい」
ソロモンがくすくす笑ってしまっています。
現れた男
「おいおい、余裕だな、笑っていられるのは今の内だぞ」
つるぎ
「そうだな、お前ら今のうちに笑っておいた方がいいぞ」
さや
「ぷっ、笑わせないでよ、つるぎ」
現れた男
「おお、今のうちに笑っておけ」
つるぎ
「あほか、お前らの話だろうが」
現れた男
「もういい、あの世で後悔しろ」
強気な態度だけあって五名ともいい動きをしています。

が、つるぎの敵では無いようです
さやに向かっていった男の両腕が切断されて飛んだ

つるぎ
「なんだ 口の割には弱い奴から狙うのか」
現れた男
「当然だろ」

と言い放ちつるぎに向かって剣を振るってきたが、相手が悪かったね

つるぎは能力(天眼)を使っていなくてもこの人たちよりはるかに強いのは明白
相手の一撃をかわして片足を切断、そのまま他の三人に向かっていこうとするつるぎに
ジャック
「おい、俺の分をとるな」

とジャックが止めに入った。
がそれは余計な事だった。
他の三人は逃げ出した。
つるぎ
「おいおい、ジャック邪魔すんな、逃げられちまうだろうが」

ぎゃ
悲鳴が上がった方を見ると
ライアスとソニアが逃げた三人の動きを止めていた。

ライアスが一人の首を貫き、ソニアも短剣を突き刺していた。

残り一人
ジャック
「あああ、お前ら、まてまて」

と大声を上げたので残り一人が振り向いた、そこに戦斧が飛んできて首が飛んだ。

きゃ
ソニア
「ジャック、あんた私まで狙ったでしょ」
ジャック
「残念だな、まだ首がつながっていたか」

あんたってやつはーって怒ってるけど無視しよ

後続組みにあとは任せて祠を調べてみると隠してあるとは思えない入口を見つけた?

ソロモン
「流石に鍵がかかっていますね」
ジャック
「おお、どいてろ」
ソニア
「あんた何するつもりよ、大きな音は出すな!」

お前こそどいてろとソニアに言われているジャック あほだ 笑
ソニア
「解錠なら私に任せてよ」

ライアス
「ソニアは冒険者より盗賊家業の方が似合っていますね」と笑っていたらソニアから蹴りを入れられて悶絶していた。笑

ソニア
「開いたよ」
ライアス
「流石です」
ソニア
「うるさい!」
はいはい、行きますよ


あまり広くない通路だが、意外と長い道が左右に分かれた。

左側が騒がしいが、右側からも音がしているので、とりあえず右に曲がってみました。

前方が少し明るい・・・・
結構広い部屋に出た、というか宝物庫ですね、これはビンゴです
そして
「誰だ」
と声がした
つるぎ
「お前こそ誰だ?」
流石だなつるぎ すかさずその質問か

声の主
「ぶ、無礼者、私はここの管理者エドワルド伯爵であるぞ」
他の声
「伯爵様、これ以上はもう持ち出せません」
伯爵
「ばかもの、急いで全て運び出すのだ」

つるぎ
「おい、もう運ばなくていいぞ」
伯爵
「な、なんだと」
つるぎ
「ここにあるものすべて俺たちが没収する」
伯爵
「なにをいうか・・・な、お前たちか攻めてきたのは」

まあ、攻めてきたけど

「先に喧嘩を売ってきたのはそちらですよ」

つるぎ
「そうそう、売られた喧嘩は買う、そして全部奪う」

ソロモン
「私たちは私たちを襲ってきた者たちを追ってここまで来ております、伯爵と言われましたが貴方が盗賊の頭ですね」
伯爵
「ふ、ふざけるな」


「ふざけてなどおりません、貴方が誰であろうとここにある物は全て私がいただきます」
伯爵
「わ、私を怒らせるとただでは済まないぞ」

ソロモン
「貴方を盗賊の頭として討伐させていただきますので、どうぞお気になさらずに」

伯爵
「な、なんだと」
つるぎが一閃、伯爵の首を落とした。


わあぁ
と声がしたと思ったら残り全員が出口に向かって走り出した。
ジャック
「逃がすわけないだろうが」
ライアス
「ですね」

二人は逃げ出した伯爵の側近もしくは手下を切り捨てた。

という事でここに来た目的はもう終わりそうです。

つるぎ
「少し持ち出して逃げている雑魚どもをどうする?」


「そうですね、このまま逃がしてもまたどこかで誰かを襲いますね」
つるぎ
「じゃあ やることは一つだな」

「それはお任せしていいでしょうか?」
つるぎ
「ああ、任せろ、きっちり仕留めてくる」

「では、お願いします。」
ソニア
「ナリスはどうするの」

「私はここにある物を一度結界の中に運びます、あとはお茶でも飲んで皆さんのお帰りをお待ちしておりますね」
さや
「じゃあ、私も一緒にお茶を」

「何を言っているのですか、さやはつるぎ達の援護で残ってください」
さや
「援護?」

「すべて片付いたら転移で連れて帰って来てくださいね」
ソニア
「じゃあ私は一緒にお茶できるね」
さや
「ええええ」

つるぎ
「ほら、さや!行くぞ、急げ」
残った私とソニアは一度先ほどの出入り口に戻り、残っている他の人たちと戦利品を持って宝物庫に戻ってから、改めてすべてのお宝と一緒に転移しました。

結界の中
キーンと音がしているのに気が付いたルミとカナが当たりをきょろきょろしてみていた。

お宝とソニアを連れて転移で帰ってきました。

「サンタナありがとうございました。」
サンタナ
「お帰りなさいませ、あの逃げっぷりは流石でしたが、貴方様の力量をはっきりと理解したのでしょうね」


「はい、おかげで大して時間がかからずに済みました。」
サンタナ
「なかなかに上々な戦利品のようですね」

「前も思いましたけど盗賊って儲かるのですね」
ルミとカナ
「盗賊からの戦利品ですか」

「どうですか、お二人どれくらいの価値がありそうです?」

ルミとカナ
「金貨で数万枚の価値がありそうですね」

ソニア
「貴方が言っていた悪魔がその人?」

「はい、サンタナです」
サンタナ
「私、サンタナと申します以後よろしくお願いします」

・・・・

ルミとカナ
「それで他の皆様は?」


「ああ、残党狩りに残ってもらいました。」

ルミとカナ
「残党ですか」

「頭目は伯爵とか名乗っていましたよ」
ルミとカナ
「伯爵様、あの伯爵様はどうなりましたか?」

「つるぎが首をはねたよ」
ルミとカナ
「それはまずくないでしょうか?」

「問題は無いと思います、まあ伯爵家が一つ潰れるでしょうけどね」

ソニア
「賞金首もいるでしょうから、取り潰しになるでしょうね」
サンタナ
「何かお困りですか?」


「いえ、問題は無いと思います」
サンタナ
「ご相談なのですが、よろしければその盗賊の後始末を私にお任せいただけませんでしょうか?」
ソニア
「え、どういう事?」
サンタナ
「はい、供物として私の主様を召還したいと思いまして」
ルミとカナ
「悪魔がもう一人増えるのですか」
サンタナ
「ナリス様、我が主様にも貴方様を一目遠くからでもいいのでご覧いただこうかと・・・駄目でしょうか」


「わかりました、どうにかしないとあと後問題も出るでしょうからお好きになさってください。」
ルミとカナ
「ナリス様問題とは?」

「そのまま放置していると疫病とかが怖いですからね」
ルミ
「ナリス様はそちら方面の事情にもお詳しいのですか?」

「詳しいというわけではありません、聞いたことがあるくらいです」

サンタナ
「ありがとうございます、では残りの方々がお戻りになられたら出かけるとしますね」

「ルミさん、カナさん、お宝の査定とかお願いできますか?」

ルミとカナ
「すごい量ですから少しずつ見てみます」

「よろしくお願いいたします。」

ソニア
「ナリス、お疲れ様、お茶を入れたわ」

「ソニア、どうもありがとう」
ソニアは嬉しそうに渡した指輪を見ながらお茶を飲んでいる。


サンタナ
「すみません、質問してもよろしいでしょうか?」

「はい、どうぞ」
サンタナ
「ナリス様は人間なのですか?」

ソニアが振り向いていた。


「はい、人間のつもりです、持っている能力が特別なのです」
サンタナ
「ほう、私と同じで特別な能力ですか」

ソニアが「私にとってもものすごく特別な人です」と顔を真っ赤にして言った。

サンタナ
「それはそれは、ごちそうさまです」と私を見てニヤニヤ笑っている。

おいおい

まあ、悪い気はしませんね
サンタナ
「おや?否定はしないのですね」

「ええ、悪い気はしないなと思っていたところです。」
そうですか、あははははとサンタナが大笑いしているとルミとカナがびっくりして走ってやってきた。

ルミとカナ
「どうかしましたか?」

サンタナ
「何もありませんよ、三人で楽しく過ごしております」

あ!

サンタナ
「おや、ナリス様どうされました?」

「皆が帰ってきました。」
ソニア
「え、もうですか」

「ええ、早かったですね」

サンタナ
「では、私は出かけてきます」


「はい、いってらっしゃい」

サンタナはスゥっと消えて行った。

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