モブキャラ異世界転生記～モブキャラに転生しちゃったけど従魔の力で何とかなりそうです～

第36話 翠露の迷宮２

「テロツ、前方にコボルトよ」
モモカはそう言うと、テロツの陰に飛び退いた。

ガサガサ、草陰からコボルトがナイフを持って飛び出して来た。

（うん。コボルトの襲撃前に気付いたので、ギリギリ合格かな）

テロツは前に出て丸盾でコボルトのナイフを弾く。

後ろからハルナが矢を放ち、コボルトのナイフ持った腕に矢が刺さる。

「ぐがふ！」

コボルトは痛そうな顔でナイフを落とし、腕に刺さった矢を抜こうとした。

その隙にテロツが剣でコボルトを斬り殺す。

ナナミがコボルトの死骸から素早く魔石を抜いて、草むらに死骸を避けた。

「ギリギリ合格だな」

ヤフジが剣を片手にモモカとテロツに言った。

「ふぅ、何とか初戦は終えました。次はもう少しスムーズに倒します」

テロツはヤフジに宣言する。

その後、薬草を採取しながら、コボルトとグリーンスライムを倒すナナミ達。

だんだん連携も良くなり、危なげなくモンスターも倒せる様になった。

（何だか思い出して来たぞ、確かこのダンジョンの攻略報酬は、『豊穣の杖』だったはず。ゲームではあまり使用しなかったけど、採取の仕事に関係ありそうだなぁ。取りに行くか）

「ヤフジさん、この調子だと地下１階の探索は問題無さそうだね」

ソウタがヤフジに確認する。

「そうですね。二手に分かれても良さそうですね」

ヤフジが答える。

「俺はリャンゾウとこのダンジョンを攻略してくるから、ヤフジさんとカモリナさんで続きをお願いしている良いですか？」

「え？　ソウタさんが強い事は知ってますが攻略って大丈夫なの？」

カモリナは心配そうにソウタを見詰める。ナナミも心配そうにソウタを見ている。

「ソウタさんには、リャンゾウがついてるから大丈夫だろう」
とヤフジが言って。

「危なかったら、無理はしないで帰って来るさ」

とソウタも言うので、カモリナとナナミも一応は納得したので、ナナミ達は二手に分かれて、採取を続けて、ソウタは攻略に向かう事になった。

「あくまでも目的は薬草採取なので、地下２階には降りないで、時間になったらギルドに戻る様にしてください」

「承知しています」

最後にソウタも注意して、ダンジョンを分かれて進む。

このダンジョンは地下１０階が最奥だったはず、半日も掛からないで行けそうだ。

採取の方は、カモリナ、ナナミ、テロツ、ハルナの４人のチームとヤフジ、モモカ、ユナの３人のチームに分かれる事になった。

ソウタとリャンゾウは奥を目指す。

（確かこのダンジョンって、入口から一番遠いところに、下の階に降りる階段があったはずなんだよなぁ）

地下１階では、薬草を採取せず、敵も倒さないで、ひたすら次の階を目指した。