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第37話 その頃の……
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採取士ギルドのメンバーがダンジョン『翠露の迷宮』に潜っている頃。
城壁都市ビーカルの、とある低ランク冒険者達が 、冒険者ギルドの酒場で話をしていた。
「おい、最近生活が正直キツくねえか?」
「だなぁ。罰金が一括で払えなかったから、毎回報酬から罰金を引かれるのってキツイよな」
「俺達ってそんなに悪い事したかぁ?」
「そうそう、草むし……、ソウタ男爵を探しただけだぜ」
「なぁ、……いっそのことこの都市から逃げ出そうかなぁ」
「おいおい、止めとけ。逃げ出した奴がどうなったか知らないのか?」
「なになに、逃げた奴がいるのか?」
「いた」
「それで、どうなった?」
「捕まって、奴隷墜ちだよ」
「え? 何でそこまで」
「なんかさ、罰金の分割返済を怠ったと言うことで、残額の一括返済を求められたらしい。そんな金ねえじゃん。……奴隷の代金で罰金の残額を支払わせられるってよ」
「うはぁ、それはキツイな、冒険者辞めるのも駄目か」
「罰金の分割支払は変わらねえぞ」
「だよなぁ、……採取士になっちまうか? 手心を加えて貰えるかもよ」
「この前、採取士の募集があっただろう。お前と同じ考えで、募集に申し込んだ奴が割りといたらしいぞ」
「お! どうなった?」
「あはは、駄目に決まってるじゃん。『草毟り』って馬鹿にしてたソウタ男爵が、直接面談に出ていてよ。俺の顔を見ただけで、不合格だってさ」
「お、お前も採取士の募集に申し込んだんだな」
「そ、そうなんだよ。はぁ」
酒場のテーブルに塞ぎ込む冒険者。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
採取士ギルドのギルド長コエザは、この都市の首脳?会議で声高に採取士のダンジョン立ち入りについて、必要性を訴えていた。
会議に参加していたのは領主ビーカル伯爵と4人の各ギルド長だ。
因みに各ギルド長は下記4人だ。
採取士ギルドのギルド長コエザ。
冒険者ギルドのギルド長コヤマザ。
商人ギルドのギルド長ニーオヤ。
錬金術ギルドのギルド長ヒンマル。
「……従って、採取士をダンジョン『翠露の迷宮』に入れる様にして貰わんと、薬草の安定供給が出来ないのじゃ」
「そうすると、回復薬や魔力回復薬、解毒薬も市場に出せなくなりますね。その為、再度、冒険者ギルドの各種回復薬の供給は停止します」
コエザの古巣錬金術ギルドは、基本コエザの味方なので、フォローを入れる
「おいおい、ちょっと待ってくれ。ただでさえ、低ランク冒険者は罰金漬けだし、回復薬の購入が出来なくて、ダンジョンまで採取士が入る様になると、この都市の冒険者は少なくなるぜ。モンスターを間引いて、都市を守れなくなるぞ。採取士は冒険者を護衛で雇ってダンジョンに潜ればいいだろう」
冒険者ギルドのギルド長コヤマザは、冒険者ギルドの権益を守る為、反対するが……。
「低ランク冒険者は自業自得! そもそも冒険者達が、近隣の薬草の生息地を荒らした事が原因じゃ。文句を言うなら近隣の薬草の生息地を復活させてみい、また経済が失速するのじゃ。そもそもソウタ男爵を、『草毟り』と揶揄していた冒険者どもを雇うつもりはない」
コエザの言葉に黙り込むコヤマザ。
「むむ……」
「コエザの意見は良く分かった。方向性は認める。しかし採取士は俺の肝入りで発足させた組織だ。大事な採取士を危険に合わせる訳にはいかない。一定の基準は必要だぞ」
ビーカル伯爵は最終判断を下す。
「その判断を採取士ギルドに任せて欲しいのじゃ」
「おう、その判断基準を提出してくれ、俺の確認後スタートしよう」
城壁都市ビーカルの、とある低ランク冒険者達が 、冒険者ギルドの酒場で話をしていた。
「おい、最近生活が正直キツくねえか?」
「だなぁ。罰金が一括で払えなかったから、毎回報酬から罰金を引かれるのってキツイよな」
「俺達ってそんなに悪い事したかぁ?」
「そうそう、草むし……、ソウタ男爵を探しただけだぜ」
「なぁ、……いっそのことこの都市から逃げ出そうかなぁ」
「おいおい、止めとけ。逃げ出した奴がどうなったか知らないのか?」
「なになに、逃げた奴がいるのか?」
「いた」
「それで、どうなった?」
「捕まって、奴隷墜ちだよ」
「え? 何でそこまで」
「なんかさ、罰金の分割返済を怠ったと言うことで、残額の一括返済を求められたらしい。そんな金ねえじゃん。……奴隷の代金で罰金の残額を支払わせられるってよ」
「うはぁ、それはキツイな、冒険者辞めるのも駄目か」
「罰金の分割支払は変わらねえぞ」
「だよなぁ、……採取士になっちまうか? 手心を加えて貰えるかもよ」
「この前、採取士の募集があっただろう。お前と同じ考えで、募集に申し込んだ奴が割りといたらしいぞ」
「お! どうなった?」
「あはは、駄目に決まってるじゃん。『草毟り』って馬鹿にしてたソウタ男爵が、直接面談に出ていてよ。俺の顔を見ただけで、不合格だってさ」
「お、お前も採取士の募集に申し込んだんだな」
「そ、そうなんだよ。はぁ」
酒場のテーブルに塞ぎ込む冒険者。
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採取士ギルドのギルド長コエザは、この都市の首脳?会議で声高に採取士のダンジョン立ち入りについて、必要性を訴えていた。
会議に参加していたのは領主ビーカル伯爵と4人の各ギルド長だ。
因みに各ギルド長は下記4人だ。
採取士ギルドのギルド長コエザ。
冒険者ギルドのギルド長コヤマザ。
商人ギルドのギルド長ニーオヤ。
錬金術ギルドのギルド長ヒンマル。
「……従って、採取士をダンジョン『翠露の迷宮』に入れる様にして貰わんと、薬草の安定供給が出来ないのじゃ」
「そうすると、回復薬や魔力回復薬、解毒薬も市場に出せなくなりますね。その為、再度、冒険者ギルドの各種回復薬の供給は停止します」
コエザの古巣錬金術ギルドは、基本コエザの味方なので、フォローを入れる
「おいおい、ちょっと待ってくれ。ただでさえ、低ランク冒険者は罰金漬けだし、回復薬の購入が出来なくて、ダンジョンまで採取士が入る様になると、この都市の冒険者は少なくなるぜ。モンスターを間引いて、都市を守れなくなるぞ。採取士は冒険者を護衛で雇ってダンジョンに潜ればいいだろう」
冒険者ギルドのギルド長コヤマザは、冒険者ギルドの権益を守る為、反対するが……。
「低ランク冒険者は自業自得! そもそも冒険者達が、近隣の薬草の生息地を荒らした事が原因じゃ。文句を言うなら近隣の薬草の生息地を復活させてみい、また経済が失速するのじゃ。そもそもソウタ男爵を、『草毟り』と揶揄していた冒険者どもを雇うつもりはない」
コエザの言葉に黙り込むコヤマザ。
「むむ……」
「コエザの意見は良く分かった。方向性は認める。しかし採取士は俺の肝入りで発足させた組織だ。大事な採取士を危険に合わせる訳にはいかない。一定の基準は必要だぞ」
ビーカル伯爵は最終判断を下す。
「その判断を採取士ギルドに任せて欲しいのじゃ」
「おう、その判断基準を提出してくれ、俺の確認後スタートしよう」
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