邪悪な勇者と神槍の英雄

ボルトコボルト

文字の大きさ
35 / 38

第35話 イドンテ2

しおりを挟む
ダオラン王国の都市イドンテに入ったドーマンとドンギュー。

木造の家が多く、スラム街の掘っ建て小屋がちょっと良くなった街並みだった。

「ふむ、国が変わると街並みも変わるな」
ドーマンの言葉に、

「いえ、ここはスラムに近い一画なのでしょう。中央に行けばギーベル……あ!ドーマン王国と変わらぬ石造りや鉄筋コンクリートの建物もあります」

「ふむ、そうか」
ドーマンは髭を撫でながら周りを見渡した。

その時、汚い服を着た女の子が横の路地からトテトテと走って来て、ドンギューにぶつかる。

「きゃあ、すいません。すいません」
と頭を下げながら、走り去って行く。

「むっ、無礼なぁ!」
ドンギューが剣を抜いたが、女の子はもう遠くを走っていた。

「ふっ、ドンギューはどんくさいな。」

「な、なんですと?」

「鎌鼬! 行って来なさい」
ドーマンが何も無い空間に声を掛けると、風が足元を吹き抜けた。

「ぎゃあ!」
遠くで女の子が転んだ。
女の子の両足が切られて血を流している。

風が戻って来ると、3匹の鎌鼬がドーマンの前で跪いた。

その内の1匹が、口にドンギューの財布を咥えていた。

「あ! 儂の財布だ」

「ドンギュー、今の奴に財布をすられた様だな。鎌鼬よ、ドンギューに返してあげなさい」

鎌鼬がドンギューの元に財布を渡した。

「お、おう。おのれぇ、儂に恥をかかせおってぇ!」

ドンギューは剣を抜いて、倒れた女の子元へ走る。ドーマンも歩いてついて行く。

ドンギューは女の子の前に駆け寄ると、剣を振りかざした。

「待ってくれ! この子の命だけは助けて下さい」

ドンギューの前で土下座する男の子。

「むむ……」

剣を止め躊躇するドンギュー。

「甘いな……」

ドンギューに追い付いたドーマンが囁き、いつの間にか男の子の後ろに現れたサトリが、口を開く。

「この男もグルです」

スパッ!

悲鳴をあげる間もなく、鎌鼬が男の子の首を刎ねた。

女の子が目を見開き、声も出せず押し黙る。

「お前はどこから来た」
ドーマンの問いに女の子は答えない。

「孤児院で生活する孤児です」
替わりにサトリが応えた。

「ふむ。この女の首も持って、孤児院とやらに行って見るか」

女の子は腰を抜かしたのか震えて首を振り、
地面に尻をついたまま後退る。

ズシャッ!

ドーマンは腰差した刀を抜きながら、居合斬りで女の子の首を刎ねた。

そして、懐から布を出すと、刀ついた血糊を拭いた。

「女子供の癖に生意気な……」
ドンギューの言葉に、

「男ですよ」
サトリが応える。

「え! まさか? 本当ですか?」

「どうやら女装していたらしいな。ドンギュー、こいつらの首を持って来い」

「へ? 首ですか?」

「そうだ」

「は、はい」

しかし、道の真ん中で二人の男の子の首を刎ねたのだ。目立たないはずが無い。

ドーマン達の周りを遠巻きに取り囲む人々がいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...