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1話~19話
16:「黒板」 黒板
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「おはよう」
体育会系の部活の子は、みんな真っ黒だ。
「夏休みの宿題終わった?」
後ろの席の映美が聞いてくる。
「家でトドをやってた奴に見せる宿題はありません」
演劇部で色白なのは映美だけだ。文化祭のシナリオを考えるとか言って、炎天下の土手で発声練習している時も来ない。声量を決めるのは体力だと言う事で炎天下のグランドで陸上部と競ったりした時も来ない。そんな奴に見せる宿題だなんて・・・・。
「冷たいなぁ、氷山じゃないんだから温かいところ見せておくれよ」
最初から低姿勢は珍しい。
「全然やってないんだよ。お願いだよぉ。友人が新聞に載るとこなんて見たくないだろう」
重ねての低姿勢は企みのある証拠だ。
「うわぁ~見たいなぁ。うん、見たい見たい」
「分かった」
徐にスポーツバッグを机の上に置くと、
「殺してやる」
「キャー」
ナタを振り回している。
「痛い・・・」
驚いたはずみで、椅子から落ちてしまった。
「ゴメン、お詫びに宿題写して、美奈子の功績を讃えてあげる」
「なんで、ナタなんて持ってきてるのよ」
映美の目の奥に光るものがある・・・、聞くんじゃなかった。
「演劇で使う小道具。ここ押すと血のりが出るんだよ。これで夏休み使ったから宿題出来なかったんだよぉ~」
後ろの席の映美を敵に回すと、鬱陶しい事になる。いや、どちらにしても鬱陶しい事にしかならないが・・・・
「分かったよ。写させてやるよ」
「素直に出せば、疲れないのに・・・・」
映美がぶつぶつ言った。
「なに?? 要らないの?」
私の宿題を取り上げると、夢中で写し始めた。
「ところでさぁ、なんか教室明るくない?」
学校が始まって、クラスメイトに再会して?かな?? なんか違う気もするけど・・・
「気のせいだよ。後先考えずに真っ黒になった連中が多いから暗くなったんじゃない。将来はシミにシワだらけの醜いオバンになるんだよ」
既に、宿題以外の事はどうでもいいらしい。
「生徒は体育館に集合」校内放送が始業式を告げていた。
体育館に続く廊下は他のクラスが合流するごとに、叫び声や叫び声・・・・同じ女子としても五月蠅過ぎる。
と・・・、窓の外を見ると見覚えのある男子が体育館の裏の方をずーっと見ている。
「美術部の男子だね。美奈子は彼が好みかね?」
目敏い映美は無視して体育館に急いだ。
そして、二学期が始まった。
「失礼します。先生、部室のカギ持ってきました」
「戸締りご苦労様」
・・・先生なら、分かるかもしれない。
「ん? どうした」
「一学期に比べて教室が明るくなった様に感じたんですけど」
一日、学校にいてやっぱりモヤモヤしていた。
「なに、寝ぼけた事言っているんだ。夏休みにホワイトボードに付け替えがあったんだよ。毎日見ているのに気づかなかったのか?」
「一年の時の教室はホワイトボードだったような・・・」
「ホワイトボードの教室もあったからな。これで全部付け替えだよ」
モヤモヤはなくなった筈なのに、
「失礼しました」
まだ、モヤモヤしている。
「先生。まだ、黒板残っていますか?」
「どうかな? ないと思うよ・・・、あ! あるとしたら体育館の裏かな?」
全て繋がった気がした。
「ありがとうございます」
昇降口とは反対に向かって走っていた。体育館からはボールの音も掛け声もなにも聞こえて来ない。部活はみんな終わっていた。
体育館の角から、そっと様子を伺うと、
コツコツ・・・コツ コツ スー
毎日、授業中に聞いていた音だ。誰かが黒板に書いている?
「わぁ、すごい。 黒板が見ていた風景」
そこには、教室での様々な出来事が描かれていた。
体育会系の部活の子は、みんな真っ黒だ。
「夏休みの宿題終わった?」
後ろの席の映美が聞いてくる。
「家でトドをやってた奴に見せる宿題はありません」
演劇部で色白なのは映美だけだ。文化祭のシナリオを考えるとか言って、炎天下の土手で発声練習している時も来ない。声量を決めるのは体力だと言う事で炎天下のグランドで陸上部と競ったりした時も来ない。そんな奴に見せる宿題だなんて・・・・。
「冷たいなぁ、氷山じゃないんだから温かいところ見せておくれよ」
最初から低姿勢は珍しい。
「全然やってないんだよ。お願いだよぉ。友人が新聞に載るとこなんて見たくないだろう」
重ねての低姿勢は企みのある証拠だ。
「うわぁ~見たいなぁ。うん、見たい見たい」
「分かった」
徐にスポーツバッグを机の上に置くと、
「殺してやる」
「キャー」
ナタを振り回している。
「痛い・・・」
驚いたはずみで、椅子から落ちてしまった。
「ゴメン、お詫びに宿題写して、美奈子の功績を讃えてあげる」
「なんで、ナタなんて持ってきてるのよ」
映美の目の奥に光るものがある・・・、聞くんじゃなかった。
「演劇で使う小道具。ここ押すと血のりが出るんだよ。これで夏休み使ったから宿題出来なかったんだよぉ~」
後ろの席の映美を敵に回すと、鬱陶しい事になる。いや、どちらにしても鬱陶しい事にしかならないが・・・・
「分かったよ。写させてやるよ」
「素直に出せば、疲れないのに・・・・」
映美がぶつぶつ言った。
「なに?? 要らないの?」
私の宿題を取り上げると、夢中で写し始めた。
「ところでさぁ、なんか教室明るくない?」
学校が始まって、クラスメイトに再会して?かな?? なんか違う気もするけど・・・
「気のせいだよ。後先考えずに真っ黒になった連中が多いから暗くなったんじゃない。将来はシミにシワだらけの醜いオバンになるんだよ」
既に、宿題以外の事はどうでもいいらしい。
「生徒は体育館に集合」校内放送が始業式を告げていた。
体育館に続く廊下は他のクラスが合流するごとに、叫び声や叫び声・・・・同じ女子としても五月蠅過ぎる。
と・・・、窓の外を見ると見覚えのある男子が体育館の裏の方をずーっと見ている。
「美術部の男子だね。美奈子は彼が好みかね?」
目敏い映美は無視して体育館に急いだ。
そして、二学期が始まった。
「失礼します。先生、部室のカギ持ってきました」
「戸締りご苦労様」
・・・先生なら、分かるかもしれない。
「ん? どうした」
「一学期に比べて教室が明るくなった様に感じたんですけど」
一日、学校にいてやっぱりモヤモヤしていた。
「なに、寝ぼけた事言っているんだ。夏休みにホワイトボードに付け替えがあったんだよ。毎日見ているのに気づかなかったのか?」
「一年の時の教室はホワイトボードだったような・・・」
「ホワイトボードの教室もあったからな。これで全部付け替えだよ」
モヤモヤはなくなった筈なのに、
「失礼しました」
まだ、モヤモヤしている。
「先生。まだ、黒板残っていますか?」
「どうかな? ないと思うよ・・・、あ! あるとしたら体育館の裏かな?」
全て繋がった気がした。
「ありがとうございます」
昇降口とは反対に向かって走っていた。体育館からはボールの音も掛け声もなにも聞こえて来ない。部活はみんな終わっていた。
体育館の角から、そっと様子を伺うと、
コツコツ・・・コツ コツ スー
毎日、授業中に聞いていた音だ。誰かが黒板に書いている?
「わぁ、すごい。 黒板が見ていた風景」
そこには、教室での様々な出来事が描かれていた。
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