美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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 外ではまだ他の人たちが後始末で働いている。結局猫だったのか魔獣だったのかわからないままだが、夜遅くまで働いている人がいるのは事実である。

「あの、少し何か召し上がっていかれては?」

 私の提案にお兄様がズイッと顔を寄せた。私の目の前にはお兄様の顔がある。見目麗しいお兄様のご尊顔に私はドキドキした。真理子だったら顔を背けてしまうはずだが、今はマリアンヌである。天下無敵の美少女だ。

「いいのか?部隊の奴らは遠慮しないぞ」

「大丈夫です」

 私は早速キッチンへ行き、サンタクロースの袋からおにぎりと豚汁を出す。ワゴンに乗せて外に出るとマーサとメアリが待ち構えていて給仕をしてくれる。やはり有能なメイドである。給仕をしながらも目はギラギラとしているが、仕事に熱心なだけだと思うことにする。

 外にいた人たちも戻ってきた。セバスチャンも一緒である。単なる執事だと思っていたが、彼は有能なので後始末は得意らしい。どんな後始末なのかは聞かないことにする。セバスチャンの笑顔が少しどす黒く見えたからである。

「お嬢様、お休みになれなかったばかりかお食事を・・・。なんとご慈愛に満ちていらっしゃるのでしょう」

 セバスチャンの大袈裟な言葉をスルーして、私は料理の説明をする。豚汁には七味唐辛子。昼のうちに調味料棚の中で見つけておいたのだ。これがあるとないとでは大きく差が出ると私は思っている。しかし作り置きは便利だ。やはり役に立つ。大量に作ってもこうして消費されるのだから、用意して正解だ。

「うまいな、これ」
「身体も温まるし、ありがたい」
「やはり、公爵家だな」

 部隊の人たちは嬉しそうに食べてくれている。仕事だといえばそれまでだが、やはり体を張って守ってくれているのだ。こんなに遅い時間でも働いてくれている。ありがたいことだ。私の料理で喜んでもらえるならそれでいい。

 その様子を見ていたら、昼間考えていたことを思い出した。セバスチャンに相談するつもりだったが、うっかり言い忘れていた。

「お兄様、実は考えていることがあるのです」

 鮭のおにぎりを食べながらお兄様が私を見る。おにぎりを持っている指がセクシーだ。って、何を思うのだ、私。

 お兄様は他人に聞かれないようにするためか私を部屋の隅に移動させた。セバスチャンも一緒である。そんな大層な話ではないのだが、私基準で考えてはいけないことかもしれない。

「お父様とお兄様にできた料理を運ぶことはできないでしょうか。食材を地方から届けるシステムがあるんだし」

 お兄様は驚いたような目で私を見ていた。

「いいのか、そんなこと」

 何がいけないのかわからないのだが、できるならやりたい。私は小さくうなづいた。

「セバスチャン、父上に相談してくれ」
「畏まりました」

 セバスチャンは恭しく首を下げた。

「しかし加護を分け与えてくださるとはさすがだな」
「やはりサーキス公爵家。スティラート家とは違う」

 近くにいた人たちが小声で囁いていた。私たちの会話は聞こえていないはずなので、今のこの食事や昼のサンドイッチ(彼ら曰くサン・ドーイチ)のことを言っているのだろう。この程度のことで大袈裟だなと思うが、そもそも加護を受けた料理人しか料理ができない世界なのだ。有り難く頂戴するという気持ちにもなるのだと彼らの様子を見てようやく理解した。

 しかしスティラート家?なんでここでその名前が出る?マリアンヌの記憶では同じ公爵家でジュリアという令嬢がいると分かった。お茶会などで顔を合わすたびに嫌味を言ったり、ちょっとした意地悪をするのでマリアンヌは嫌っていたようだ。同じ公爵家だけど、意地悪なジュリアとマリアンヌは違うということ?

 確かにジュリアは意地悪だし、マリアンヌと違ってルックスは恵まれていない。しかし他人がそんなふうに比べたりするから、ジュリアも卑屈になってしまって結果意地悪になるのじゃないか。まぁ、マリアンヌが美少女すぎるので余裕でそんな感想も出てしまう。

 とにかく。セバスチャンがお父様に相談したら、きっと忙しくなるだろう。何だかワクワクしてくる。朝になるにはまだ時間があるようだ。少し寝てから始めよう。

 私は部隊の人たちの食事は何がいいか考えていた。

 

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