美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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 翌朝、私はスッキリした気持ちで目を覚ました。目を開けるとやはり豪華な天井が見える。私はまだマリアンヌだ。

 布団の中でニンマリ笑う。また料理ができるぞ。正直、元の世界に戻りたいとは思わなかった。マリアンヌとして料理を作り、食べてくれた人が美味しいと喜んでくれる。この世界が好きになっていた。

 昨夜、お兄様の部隊の人たちは食べ終わったらすぐに帰っていった。ノートルも余計なことを突っ込まずに大人しく帰ってくれた。それにしてもコニャンダー博士とやらの論文について聞かれなくてよかった。言葉が通じるからと言ってこの世界の常識が自分の常識に当てはまるとは限らない。注意しないと。

 手軽に食べられるおにぎりは好評だった。今日もたくさん作ってサンタクロースの袋に入れておこう。それにパンも焼いてサンドイッチを作っておかなくては。全員がそれぞれ違う発音だが、みんなサンドイッチが大好きなのだ。今日は何を作ろうか。おやつ用に甘いものも作らなくては。

 私は起き上がり着替えをした。クローゼットの中の衣類は公爵令嬢らしくゴージャスなドレスが並んでいる。こんな動きづらく扱いづらい服でよくストレスがたまらないものだと感心する。飾りの少ない地味なワンピースを選ぶが、こういう服は少ない。強請れば買ってくれるだろうか。でもおねだりは性に合わない。あのイケメンお父様におねだりなんて、畏れ多いではないか。

 グニャグニャと考えながら、キッチンへ向かう。今日も食材が大量に届いているはずである。今日は何を作ろうか。献立を考えるのも楽しい。

 今朝は雑炊にしようかと思う。メアリは物足りないかもしれないが、セバスチャンやマーサはシニア世代。脂っこいものばかりだとキツイかもしれないと思ったのだ。実はマリアンヌも普段あまり食べていないせいか少し胃がお疲れモード。12歳なのに弱っている。

 野菜を入れてコトコトと炊く。その間にまたパンも焼く。昨日の鮭をフライにしてクレープで巻いた。唐揚げとか卵焼きなども大量に作る。考える間もなくどんどん作れちゃうのだから恐ろしい。やはり加護のせいだと思い、深く考えないことにした。

「お嬢様、おはようございます」

 物音がするのでドアを開けたらセバスチャンがいた。少し疲れているように見える。奥からマーサとメアリも慌てたようにやってきた。3人とも顔色が悪い。やはり昨日の魔獣騒ぎでほとんど寝ていないのではないか。

 考えてみたら屋敷の管理はこの3人がやっている。無駄に広いので掃除だけでも1日がかりだろう。他にいないのだから仕方がないが、とんでもないブラックな職場である。せめて1日ゆっくり休ませてあげたい。

「お嬢様、今日は庭の整理のために庭師が何人か来ます。昨日魔獣が来て庭を荒らしたので、早急に整理しないとまた魔獣が来る可能性があるのです」
「おかしな匂いがするのも魔獣のせいです」

 起きた時から気がついていた。この独特のにおい。やはり昨日の魔獣は猫ではないかと思う。それか猫型の魔獣?しかし余計なことを言うと騒ぎになりそうなので我慢する。

「庭師の人にも昼食を出すわね」

 気持ちを切り替えるつもりで私は言った。庭師の人だとがっつりした物を出した方がいいか。昨日は親子丼だったから牛丼にしようか。確か牛肉があったはず。それともカツ丼?ついつい丼ものばかり思い浮かぶ。

「お嬢様・・・」

 心配そうなセバスチャンの目。昼食を出すのは反則なのか?

「こんな状態で庭師の人を頼むのは大変だったんじゃない?仕事をしてくれる人には十分に体力をつけてもらいたいもの」
「よろしいのですか。お嬢様にご負担がかかるのでは?」
「そんなことないわ」

 私はにっこり笑った。

「本当はみんなにも十分お休みをとって欲しいの。でも今はまだ無理」

 セバスチャンもマーサも若いとは言えない。メアリも目の下にクマができている。マーサを庇ってメアリが仕事をこなしているのも知っている。私を守るために3人がどれだけのことをしているか想像すると心が苦しくなる。

「だからね。私料理たくさん作るから。それから休憩は朝ごはんと昼ごはんの間だけじゃなくて、昼ごはんと夕飯の間にも取ろうと思うの」
「お嬢様・・・」

 3人の目に涙が浮かんだ。私も泣きそうになるのをグッと堪える。

「もちろん、お菓子も用意するわね」

 その言葉に3人の目がきらりと光った。涙はどこへいったのか。きらきらした瞳で3人は笑顔になっている。期待のこもった6個の瞳を見ながら、何を作ればいいかと考えていた。



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