美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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 彼女はいつものように身支度を整えると、本を手に取り庭に向かった。外に出るといつもの令嬢たちが見えた。子爵と伯爵の家の令嬢たち。彼女たちは王城に避難してから親しくなったようだ。同年代の彼女たちは毎日集っては意味のないおしゃべりで1日を費やす。

 馬鹿な人たち。彼女たちが1日かけて話しあった内容は、ドレスや髪型についてなど。それが毎日繰り返されている。同じ話をずっとしていることに彼女たちは気づいていないのだ。だから、彼女はあえて彼女たちと会わないようにしてきた。私はあなたたちと違うの。心の中で毒づく。

「ご機嫌よう、リリア様」

 子爵令嬢が彼女に気付き挨拶をする。楽しそうに話していた彼女たちは急に静かになる。表情は固く、歓迎していない様子がわかった。あなたたちより、私が不快なの。歓迎していないなら話しかけないで。心の中で言う。

「ご機嫌よう、皆様」

 あえて名前を呼ばない。あなたたちの名前など覚えていないの。私には必要ないから。

「ご、ご存じですか?」

 彼女たちの1人が話し出した。挨拶とはいえ呼び止めてしまったので、何か話さないと悪いとでも思ったのだろうか。

「ジュリア様が聖女と認められたのですわ」

 色白でぽっちゃりとした子爵令嬢が言った。無理矢理微笑んだのが丸わかりで、微笑むというよりも顔を歪ませたように見える。

「結界も張られ、魔法省の方々が魔力を溜めていらっしゃるそうですの。もうじき元通りの生活になるそうですわよ」

 横にいた伯爵令嬢が続ける。わざとらしく目を大きく見開いて口角を上げている。マナー教師が教えた通り、という表情が寒々しく感じた。

「まあ、そうですの」

 彼女は心の動揺を悟られないように簡素な返事だけを返した。

「もうじきこの生活も終わってしまいますわね」
「家に戻れるのはありがたいですが、寂しくなりますわ」
「でもまたこうやってお会いしませんか?」
「そうしましょう」

 令嬢たちは嬉しそうに話し出した。その会話の輪に入るつもりは最初からない。彼女たちも話しかけたはいいが、その後どうしたらいいかわかっていないようだ。

「私はこれで」

 彼女はそう言ってその場を立ち去った。令嬢たちは安堵していることだろう。

 彼女は走り出したい気持ちを抑え、なるべく優雅にゆっくりと歩いた。そうすることで気持ちが段々落ち着いてきた。それでも彼女の口元は緩み、気分が高揚してきた。

 ジュリア様が聖女。

 ついに、私が殿下に選ばれるのだわ。

 彼女は貴婦人のように歩くことを心がけながら、1人微笑むのだった。


 

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