美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

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「まっ、エビフライって、サクサクしているのねっ」

 確か皇后様は今食べているエビフライで4本目だと思う。1本食べるごとに同じ感想をおっしゃる。

「美味しいでしょう?天使ちゃんの料理は最高なんだからぁ」

 と、お母様はワインのグラスを揺らしている。横にはフランクリンが控えてワインを継ぎ足している。最初は全ての人のグラスを気にしていたが、今はお母様専属になってしまった。国王陛下の側近の人にワインを注がせていいのだろうか。

「エビフライもいいけど、この唐揚げも最高だ」

 と、アルバート殿下もご機嫌な様子。

「いや、トンカツもいいねぇ」

 ドミニク様も食欲旺盛である。

「あっ、こんなところで!」

 気がつくと殿下の専属の近衛騎士、アレンがいた。

「なんだ、今は親族の集いだ。お前はどっかへ行け」

 しっしっ、と追い払うように殿下はフォークを持ったまま右手を振った。

「ずるいです。マリアンヌ嬢はいずれ近衛がお守りするんですよ。今からお目通しいただいても構わないですよねっ」

 殿下に追い払われてもアレンは出て行こうとしない。

「僕も!僕も食べたいです!」

 そりゃ、これだけの料理を見て食べられないなんて拷問。どんな罰ゲームかって話だろう。私は料理を少しずつ盛ると手渡した。毒見皿である。

「うわぁ、マリアンヌ様は流石に女神様のご加護を受けた方ですねぇ」

 思いっきりお世辞としか聞こえないが、私は微笑んでおく。

「うまぁ、サイコー」

 一口齧るたびにそんな言葉を言いながら、アレンはお皿の料理を平らげていく。

「アレンにはリィの手土産を分けてやっただろう」
「あれはもう・・・、近衛で分けたら全部取られて・・・、僕の分は残らなかったんです・・・」

 昨日来られた時にお菓子の詰め合わせをお渡しした。結構な量を渡したはずである。が、アレンの口には入らず全部取られたと言う。アレンは涙目になり、鼻を啜りながらも唐揚げを丸々1個口の中に押し入れた。

「近衛はずいぶん野蛮だな」
「うちの騎士団はその点、統制が取れているからな。そんなことにはならんよ」

 騎士団の団長であるドミニク様は胸を張り、副団長であるレオポール兄様も鼻を膨らませて得意げな顔をした。

「マリを近衛に任せて大丈夫?そんな野蛮なところへ」

 フランツ兄様が私を引き寄せ頭に手を置いた。手の温もりが心地よい。

「そんなっ、騎士団には定期的に差し入れがあるのでしょう?近衛にもお願いします!」
「無理だな」

 そこになぜか陛下が現れた。

「話を聞くと、公爵家だけではなく騎士団と魔法省にも大量の差し入れをしているそうではないか。このままだとマリアンヌちゅあんが倒れるかもしれん」

 陛下は厳しい顔をしている。確かに今何人分の料理を作っているかわからない。でも知られていないけど、コピーしてるんだよね。だからまるっきり問題ないのだ。

「陛下、私なら・・・」

 だからそれを言おうとしたら、こちらを見る目がどこか違う。やや細い目になってじっくりと見てくる。

「へ、い、か?」

 グッとなって私は言い直した。

「パパ・・・、私なら平気です」

 陛下は笑顔になる。パパって・・・、本当にいいのか?

「問題はマリアンヌに取り入って料理を作らせようとする者が出てくることだ」

 お父様がいつの間にか私の横にいて私の肩に手を置いてくれた。

「マリアンヌは大丈夫と言って引き受けるかもしれないが、これからは承諾が必要になるかもしれない」

 王族となったらそう簡単にはいかないものがある。パワーバランスってやつだ。あっちに作って、こっちに作らないというわけにいかない。が、全てを満遍なく公平にというのも無理が出てくるだろう。

「そ、そうですね。お父様の判断に従います」

 お父様はにっこりと微笑んでくれた。

「近衛、近衛に何かお願いします!」

 アレンが片手を上げてぴょんぴょん飛び跳ねている。この人、陛下の御前でこの態度はいいのだろうか。しかし何か言わないと諦めなさそうである。大袈裟なくらいに大きなため息をついて、お父様が渋々近衛にも何か作ることを承諾したのだった。
 

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