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しおりを挟むキッチンの中に入ると、バッグからコピー機を取り出した。カウンターの上に置いて中を見渡す。こじんまりとしてキッチンだ。3つ口コンロが奥にある。流しがあって冷蔵庫にオーブン。調味料や食材も揃っている。
『久しぶりだな』
突然女性の声がして振り返ったら女神様がいた。
「め、女神さま?」
驚いた。新しいキッチンだから出てきてくれたのだろうか。
『ここは長らく使われていなかった。お主が使ってくれるなら加護をもっと与えよう』
え?いりませんよ、これ以上。・・・と、断る間も無く眩しい光に包まれた。
気がつくと女神様は消えている。加護は十分だったのに。でもいただいたものは仕方がない。
コピー機を確認した。魔法省の在庫が十分ある。食べていないのだろうか。でも騎士団も公爵家もお父様のところも在庫が十分あった。
まさか・・・。飽きられた?
確かにいつも同じものになってきたという自覚がある。基本コピーしているのだ。最初は目新しくてもいつも同じじゃ飽きる。新しい料理を提供しなければ。
『いや、飽きた訳じゃない』
女神様がいた。
「帰ったんじゃないんですか」
『黙って帰った方が神秘的な雰囲気を醸し出せると思ったが、お主が盛大に勘違いしたので戻ってきた』
神秘的な雰囲気って。こんなに簡単に加護を与えてくれてたら神秘的も何もないでしょう。
『時間が来たら補充される仕組みにしておいた。定番商品の在庫を定着させたのじゃ』
まるで書いてある文字を読み上げたような棒読みで、女神様は言った。かなり得意げな様子である。
『お主がサボっても彼らには料理が提供される。有難いであろう』
女神様はえっへんと胸を張った。ただでさえ大きなお胸が張り出される。チッ。
「でも、あまり調子に乗ってあちこちにばら撒いたらダメってお父様にも陛下にも言われているんです」
『そのへんも抜かりない』
女神様はなおも胸を張る。いや、大きいのは承知しましたので大丈夫です。
『心無いものに提供しても食することはできぬ。何しろ女神の加護なのじゃから』
え?どういうこと?
『誰でも食せる訳ではないということじゃ』
え?悪者は食べられないということ?じゃあ、食べられなかった人は悪者なの?
『ま、そういうことじゃ』
女神様は得意満面の顔をして消えていった。いや、どういうこと?今まで食べられない人には会っていないからいいけど。いただきまーす、って言って食べられなかったらショックでしょ。
なんだか、そんな加護ありがた迷惑だわ。かなりショックだけど、気にしても仕方ない。とりあえず時間を考えたら、昼食の準備だ。そういえば朝食を食べていない。お腹が空いてきたので早く作ろう。
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