美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー

文字の大きさ
175 / 220

175

「マリアンヌにあまり負担をかけさせたくない」

 お父様がキッパリと宣言した。特に負担を感じてはいないが未成年だし、陛下との約束もあるのであまり色々活動するのは控えた方がいいだろう。

「残念ですな」
「しかし店は何かやりたいですね」
「場所がいいから何かできるのではないですか」
「ビタ茶とスウィを出すお店はどうでしょうか?」

 途中まで盛り上がっていたので申し訳なくなって提案してみた。

「それですわ!」
「あれなら売れますわね」

 みんなが盛り上がり出した頃、セバスチャンがお父様に何かを耳うちしている。お父様の目が見開いた。いつも落ち着いているセバスチャンの様子がどこかおかしい。目つきに余裕がないように見える。お父様は立ち上がって部屋を出ていった。

 すぐに部屋の外がざわつき出した。

「へ、陛下!」

 陛下と皇后、ドミニク様、殿下が入ってきたのだ。王族ファミリー勢揃いである。全員立ち上がってお辞儀する。しかしチュニックとイージーパンツという超絶カジュアルな服装である。滑稽すぎて笑いそうになるのをグッと抑える。

「頭を上げなさい」
「そうよぉ、勝手に来ちゃったんだから」

 にこやかな王族ファミリーだが、そう簡単に緊張がほぐれるわけでもない。全員きっと酔いも醒めただろう。いや、もしかしたら悪酔いしてしまったかもしれない。何故いきなり訪問してきたのだろうか。掟破りすぎる。というか、ヒマなわけがないはずだ。

「バーンヒル公爵が訪問してると聞いて、絶対美味しいものを食べてるはずだと思ったんだ」

 陛下のまさかの食いしん坊発言。絶対美味しいものを食べてるはず?

「そうしたら食べたくなっちゃって」

 皇后様、ワガママでは?人の家に勝手に来て食事を要求?

「たまにはいいですよね」

 ドミニク様、たまでもよくないです。

「リィ、今日のご飯は何?」

 殿下、爽やかな笑顔でたかるのはやめてください。

 追い返せる相手ではないので、使用人たちが総出で座る場所を準備する。私もキッチンへ戻る。我々が手をつけたものを差し出すわけにはいかない。勝手に来たのにきちんと用意しないといけない。元の世界だったらキレてもいい案件。

 すぐに用意をし直して、仕方なくではあるが王族の皆様を迎える。

「いや、悪いな」
「ごめんなさいね」
「美味しそうだな」
「リィ、これ何?」

 もう一度、乾杯をする。大人たちはビールのジョッキを掲げる。

「うわっ、これは何だ?」
「美味しいわぁ」
「ング、ング、ング・・・ぷはー」
「リィ、早く成人して、一緒にあれを飲もう」

 王族の皆さん、いちいちうるさいな。順番に喋るのはやめてほしい。

「これは美味しい飲み物だな。今までの酒とは違う」

 一気飲みしたドミニク様はすぐに2杯目を手にしている。

「そうなんです。仕事終わりにこれを呑める店があればって話していたんですよ」

 レオポール兄様の言葉にドミニク様が反応した。

「それはいいな」
「ですよね?で、宿舎の前に住んでいない家を公爵様が所有しているのでそこで店をやりたいなって話していたんです」

 酔った勢いか兄様は口を滑らせる。

「あのボロ・・・、ゴホンゴホン・・・あの風情のある屋敷か?」

 今、ボロいって言いかけましたね。ドミニク様。

「なるほど、あそこなら近くていいな」
「ですよね?」

 ドミニク様が盛り上がり出した。

「いつオープンするんだ?」

 3杯目のビールを片手に枝豆を摘んでドミニク様は上機嫌だ。

「店ができるとわかれば訓練にも身が入るというものだな」
「えー、勘弁してくださいよー」

 レオポール兄様とノートルが嬉しそうに会話している。普段の様子が窺える。和気藹々という感じだ。

「マリアンヌの料理は出しませんよ」

 お父様は少し離れた席にいたが、聞こえたのか釘を刺す。

「これ以上マリアンヌの負担を増やせません」
「えー、それじゃあ、計画はなしだな」

 ドミニク様は心底残念そうに言うとビールを一気に飲み干した。セバスチャンがすかさず4杯目を用意している。

「確かに残念だな」

 陛下も残念そうに言うが、お父様の方を見ると急に

「で、でもマリアンヌちゅあんを思うと仕方ないな」

 と、言い直した。お父様、何か力を使いましたね。

「ところで何で水を飲んでいるんだ?」

 陛下が気づいてしまった。

「うふふ、これでですねぇ」

 お母様のテンションの上がった声。地獄の飲み会スタートである。



あなたにおすすめの小説

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜

犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。 この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。 これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

幼子家精霊ノアの献身〜転生者と過ごした記憶を頼りに、家スキルで快適生活を送りたい〜

犬社護
ファンタジー
むか〜しむかし、とある山頂付近に、冤罪により断罪で断種された元王子様と、同じく断罪で国外追放された元公爵令嬢が住んでいました。2人は異世界[日本]の記憶を持っていながらも、味方からの裏切りに遭ったことで人間不信となってしまい、およそ50年間自給自足生活を続けてきましたが、ある日元王子様は寿命を迎えることとなりました。彼を深く愛していた元公爵令嬢は《自分も彼と共に天へ》と真摯に祈ったことで、神様はその願いを叶えるため、2人の住んでいた家に命を吹き込み、家精霊ノアとして誕生させました。ノアは、2人の願いを叶え丁重に葬りましたが、同時に孤独となってしまいます。家精霊の性質上、1人で生き抜くことは厳しい。そこで、ノアは下山することを決意します。 これは転生者たちと過ごした記憶と知識を糧に、家スキルを巧みに操りながら人々に善行を施し、仲間たちと共に世界に大きな変革をもたす精霊の物語。

記憶喪失となった転生少女は神から貰った『料理道』で異世界ライフを満喫したい

犬社護
ファンタジー
11歳・小学5年生の唯は交通事故に遭い、気がついたら何処かの部屋にいて、目の前には黒留袖を着た女性-鈴がいた。ここが死後の世界と知りショックを受けるものの、現世に未練があることを訴えると、鈴から異世界へ転生することを薦められる。理由を知った唯は転生を承諾するも、手続き中に『記憶の覚醒が11歳の誕生日、その後すぐにとある事件に巻き込まれ、数日中に死亡する』という事実が発覚する。 異世界の神も気の毒に思い、死なないルートを探すも、事件後の覚醒となってしまい、その影響で記憶喪失、取得スキルと魔法の喪失、ステータス能力値がほぼゼロ、覚醒場所は樹海の中という最底辺からのスタート。これに同情した鈴と神は、唯に統括型スキル【料理道[極み]】と善行ポイントを与え、異世界へと送り出す。 持ち前の明るく前向きな性格の唯は、このスキルでフェンリルを救ったことをキッカケに、様々な人々と出会っていくが、皆は彼女の料理だけでなく、調理時のスキルの使い方に驚くばかり。この料理道で皆を振り回していくものの、次第に愛される存在になっていく。 これは、ちょっぴり恋に鈍感で天然な唯と、もふもふ従魔や仲間たちとの異世界のんびり物語。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中に呆然と佇んでいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出したのだ。前世、日本伝統が子供の頃から大好きで、小中高大共に伝統に関わるクラブや学部に入り、卒業後はお世話になった大学教授の秘書となり、伝統のために毎日走り回っていたが、旅先の講演の合間、教授と2人で歩道を歩いていると、暴走車が突っ込んできたので、彼女は教授を助けるも、そのまま跳ね飛ばされてしまい、死を迎えてしまう。 享年は25歳。 周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっている。 25歳の精神だからこそ、これが何を意味しているのかに気づき、ショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。