義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー

文字の大きさ
3 / 11

3

しおりを挟む
 まさか、と思った。ピンクの髪の男爵令嬢。しかも元平民。

 だが、王族が通うような学校に行けるわけがない。私は平民が通う学校に通うことが決まっている。おそらくミアもそうなるだろう。

「お姉ちゃんの髪、綺麗な色」

 何も知らないデイジーが無邪気に言った。父も母もニコニコしている。さっそくお姉ちゃんと呼んだ妹に安心したのだろう。

「私の髪の色がみんなと違うって言ってるのね。確かに私は他人よ。ひどいわっ」

 ミアの言葉に全員が固まった。確かに我が家全員の髪の色は栗毛色。みんなと違うのは一目瞭然であるが、デイジーは綺麗な色と誉めたのだ。なんでそんな発想になるのか?

「ま、まあ。デイジーは綺麗な色で羨ましいと思ったんだ。な、そうだろ」

 父が慌てて取り繕った。デイジーはベソをかいている。

「部屋に案内するわ。行きましょ」

 ここは姉である私が、と思い提案した。部屋は2階にあり、私たちは3人で1つの部屋を使うことになっている。少し窮屈になるが、私としては許容範囲だった。

「私に命令するの?私がこの家の子じゃないから?」

 は?と困惑して両親を見た。母の目は泳いでいるし、父の目は死んでいた。動いているだけ母の方がマシだと思い母を見る。

「ミア、この家の子だと思うからお部屋に案内するのよ」

 母の言葉にミアは明らかに不満げな顔をした。そして何も言わず階段を上りだしたので、私は後をついて行った。私に続いてデイジーもついてくる。

「あ、この部屋よ」

 私は部屋のドアを開けた。今まで私とデイジーの2人で使っていた部屋にもう一つベッドを入れた。クローゼットは左側が私、右側がデイジーとミアで共有になっている。ミアの身長がよくわからなかったので、5歳児ということで少し揃えた。

「このお洋服、可愛いでしょ」

 デイジーが1枚のワンピースを指さした。

「お姉ちゃん、この服着てみて?」

 デイジーはニコニコしている。この服はデイジーが気に入った服だった。ミアが着られなくなったら自分が着たいと言っていたが、むしろこの服をミアに着て欲しいと思っていたと思う。

 ミアはデイジーを睨みつけた。デイジーはびっくりした顔をして固まっている。

「私のことは、お姉ちゃんじゃなくてお姉様でしょ」

 そう言ってデイジーの頬をつねった。

「うちではお姉ちゃんと呼ぶことになっているの。お父さん、お母さんとも呼ぶし」

 慌ててデイジーを自分に引き寄せ、私はミアにそう言った。デイジーの頬は少し赤くなっている。私は優しくさすってやった。デイジーは驚きすぎたのか泣きもしなかったのが救いだった。

「貴族の家ではお姉様、お母様、お父様と呼ぶのが当たり前と聞いたわ。嘘を言うつもりなの?」

 は?とまた思った。ドアの外にいた母が

「他の貴族がどうかはわからないけど、家ではそういうふうに呼びましょうと決めているの」

と、言った。感情のない声だった。顔を見るとものすごく怒っているのがわかった。

「外で私が恥をかいてもいいってこと?」

 5歳の子がどうしてこんなことを言うのだろうと私は思った。もしかして、この子にも前世の記憶があるのだろうか。

「妹の頬をつねるなんてことはやめてちょうだい。それこそ外で恥をかくわよ」

 私も頭に来てしまい、つい言ってしまった。するとミアは

「ひどい~~。いじめた~~」

と、大声で泣き喚いたのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

素直になる魔法薬を飲まされて

青葉めいこ
ファンタジー
公爵令嬢であるわたくしと婚約者である王太子とのお茶会で、それは起こった。 王太子手ずから淹れたハーブティーを飲んだら本音しか言えなくなったのだ。 「わたくしよりも容姿や能力が劣るあなたが大嫌いですわ」 「王太子妃や王妃程度では、このわたくしに相応しくありませんわ」 わたくしといちゃつきたくて素直になる魔法薬を飲ませた王太子は、わたくしの素直な気持ちにショックを受ける。 婚約解消後、わたくしは、わたくしに相応しい所に行った。 小説家になろうにも投稿しています。

今、私は幸せなの。ほっといて

青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。 卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。 そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。 「今、私は幸せなの。ほっといて」 小説家になろうにも投稿しています。

さようなら、たった一人の妹。私、あなたが本当に大嫌いだったわ

青葉めいこ
恋愛
おいしい? よかったわ。あなたがこの世で飲む最後のお茶になるからね。 ※番(つがい)を否定する意図はありません。 小説家になろうにも投稿しています。

私は私として生きていく

青葉めいこ
ファンタジー
「私は私として生きていく」 あら、よく私がこの修道院にいるとお分かりになりましたね。辺境伯閣下。 ずっと君を捜していた? ふふ、捜していたのは、この体でしょう? 本来姉が宿っているはずの。 「私は私のまま生きていく」 せっかく永らえた命ですもの。 望んでいた未来を絶たれても、誰に愛されなくても、私は私のまま精一杯生きていく。 この体で、この中身の、私は私のまま生きていく――。 この話は「私は私として生きていく」の主人公の姉の一人語りです。 「私は私のために生きていく」 まさかあなたが、この修道院に現れるとは思いませんでしたわ。元婚約者様。 元じゃない。現在(いま)も僕は君の婚約者だ? 何言っているんですか? 婚約は解消されたでしょう? あなたが本当に愛する女性、今は女子爵となった彼女と結婚するために、伯爵令嬢だったわたくしとの婚約を解消したではないですか。お忘れになったんですか? さして過去の事でもないのに忘れたのなら記憶力に問題がありますね。 この話は「私は私のまま生きていく」の主人公と入れ替わっていた伯爵令嬢の一人語りです。「私は私~」シリーズの最終話です。 小説家になろうにも投稿しています。

姑に嫁いびりされている姿を見た夫に、離縁を突きつけられました

碧井 汐桜香
ファンタジー
姑に嫁いびりされている姿を見た夫が、嬉しそうに便乗してきます。 学園進学と同時に婚約を公表し、卒業と同時に結婚したわたくしたち。 昔から憧れていた姑を「お義母様」と呼べる新生活に胸躍らせていると、いろいろと想定外ですわ。

男の仕事に口を出すなと言ったのはあなたでしょうに、いまさら手伝えと言われましても。

kieiku
ファンタジー
旦那様、私の商会は渡しませんので、あなたはご自分の商会で、男の仕事とやらをなさってくださいね。

なんか修羅場が始まってるんだけどwww

一樹
ファンタジー
とある学校の卒業パーティでの1幕。

逆転した王女姉妹の復讐

碧井 汐桜香
ファンタジー
悪い噂の流れる第四王女と、 明るく美しく、使用人にまで優しい第五王女。

処理中です...