義妹がピンク色の髪をしています

ゆーぞー

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「じゃあ、あの子は他人、他人ということね」

 母の声は華やいでいる。

「私たちの娘はマーガレットとデイジーの2人。そういうことね」

 久しぶりに聞く母の嬉しそうな声に私は泣きそうになった。この10年、母はミアのことでずっと人に謝ってばかりいた。他人だけじゃない、私たちにもだ。父の弟の子どもだから、と文句も言わず育ててきた。

 父は母の肩を優しくさすっていた。父は10年前はもっと快活な人だった。それが今は見た目は老人のようになっていた。

「ミアは知っていたのかしら」

 ミアは私たちを家族と思って過ごしてきたから、あんなワガママを言い続けてきたのではないだろうか。家族だからこそワガママを言えた、私はそう思っていた。

「最初から知っていたと思うよ。本当の家族じゃないって」

「え・・・」

 あんな小さかったのに、あの子は騙すためにうちに来たというのか。あの当時はそうやって生きていくしかできなかったかもしれない。でも10年も過ごして、何の後悔もしなかったのか。

「あの子のことを考えても無駄だぞ。心配しても損するだけだ」

 叔父さんの言葉はおそらく真実だろう。

「とりあえず、ミアとモロー家は関係ないという公式な書類を用意しよう。これからのことに必要になるから」

「これからのこと?」

 まさかと思うが、断罪イベント?私は穏やかに座るレナードを見た。そうだ、わざわざ外国の王子の側近がやってきたんだ。王子に不敬?うん、やるね。間違いない。

 両親もデイジーも震えている。青白い顔になっている。おそらく私もだろう。

「ミアは学校で次々と問題を起こしている」

 叔父さんの告白に私たちはうなづいた。問題を起こさないわけがない。問題の中身にもよるだろうけど。

「貴族としてのマナーがなっておらず、度々トラブルになっている」

 叔父さんの話に父が割り込んだ。

「言っとくが、家では教えようとしたからな。そのたびに文句を言うんだ。私がよその子だから意地悪を言うとか言って」

「泣き喚いて何も聞かないし」

「家でいじめられるとか、手伝いもしないのに召使いみたいな扱いを受けてるとか人に言うの」

「食べさせてもらえないとか言ってよその家にお邪魔したりとか」

 全員が愚痴り出したので、叔父さんの顔が引き攣った。レナードも引いている。

「まあ、とにかくそんな感じだ。そして注意されると、自分は平民出身だからと言って拗ねる」

「その後、必ず家では虐待を受けていたとか言ったんじゃないの?」

 私が言うと、「その通り」と叔父さんはうなづく。いつものパターンである。実際に虐待を受けたのはデイジーだ。体の小さいデイジーを狙うあたりが姑息な奴だった。思い出したらムカムカしてきた。

「それでミアは男性に近づいた」

 やっぱりゲームの通りだ。

「婚約者がいる男性に馴れ馴れしく話したり、距離が近かったりでしょ」

 叔父さんは目を見張り、やはり小さくうなづいた。その話でいくと、ミアは誰かと上手くいって卒業パーティで派手にやらかすのではないか?

「男性がミアの話を聞いて不審に思い、ミアについて調べようと言い出した」

「そ、その男性が殿下なの?」

 レナードが小さくうなづいた。

「王立の学校の学費が少なくないことは殿下もご承知です。その学費を出してくれた家が虐待をするとは思えない。殿下がそれを指摘すると、厄介払いをされたと返されたそうです」

 全員が下を向いた。厄介払いは正しい。

「モローという名前を聞いて俺を思い出し、それで俺のところに話が来たんだ。正直、帰国するつもりはなかったんだ。親父にも兄貴にも顔向けできないからな」

 父は叔父さんの肩をガシッと掴むと

「確かに親父の死に際に間に合わなかったな。だが、ミアが他人と分かっただけでもこっちは十分だ。これでミアが本当にお前の娘だったら、親父も成仏できないだろう」

 父の言い分は理解できるが、あまり良いことを言っていない。いや、ミアは確かにひどい子だけどさ。

「それでこれからのことなんだけど」

 叔父さんの話に私たちは耳を傾けた。



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