ルビーの帰る場所［完結］

36

限界が来たという言葉がルビーの耳にこだました。
ノックは薪を動かして火の調整をしていた。
ルビーは外に出て息を吐き出した。
ルビーは顔を上げて上を見た。
地上のどこへ行っても形は違えど必ず星が見える。

ルビーははじめてノックと旅をした頃の言葉を思い出していた。
そして、出会った人の言葉を急に思い出していった。
ルビーは顔を下に向けてほっとしていた。
「なんだ、私が知りたい言葉、欲しかった感情は今までにあったんだ。」
ノックが小屋から出てきて言った。
「そうだね。非日常が日常的になれば大切なことを見失うことがある。ルビー、この世界に来た頃の過ごしたことは落ち着きがあっただろう。私と旅してから未知への恐れがあっただろう。でも、この一年で慣れてしまった。」
ルビーはこれを聞いてノックに言った。
「なんだか帰りたくなってきた。明日の朝に出て行くよ。」