京都に住んで和風ファンタジー(時には中華風)の取材などする日記

washusatomi

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【中華F】「雪舟伝説」展に行ってきました。

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 京都国立博物館で開催中の「雪舟伝説」展(※1)に行ってきました。
 これがどうして【中華F】なのかは後述致します。

 この「雪舟伝説」展。雪舟の国宝6点が勢ぞろいするというものですが。
 京都国立博物館のWebサイトには「※雪舟展ではありません」と注意書きがあります(※2 スクショがあります)。
 この展覧会の名称は、サブタイトルまで入れると「雪舟伝説─『画聖カリスマ』の誕生─」というものです。

 展覧会の趣旨は、雪舟「以降の画家たち」がいかに雪舟を受容してきたかというものです。
 要するにフォロワーというわけですが、このフォロワーたちも長谷川等伯、狩野探幽、尾形光琳、曽我蕭白、円山応挙、伊藤若冲、酒井抱一、司馬江漢、狩野芳崖などなど、日本史の教科書に載るようなビッグネームぞろい。

 雪舟がいかにその後の日本絵画に大きな影響を与え、画聖として評価されてきたかがよーく分かる展示なのです。

 この展覧会。
 鷲生が春先に友人に会うにあたって京博のWebサイトをチェックしたことで存在を知りました。
 実はその友人は京博でボランティアをしていまして。そこで「そういえば彼女どうしてるのかな~」と京博のイベントを調べていたのです。

 この展覧会の「※雪舟展ではありません」の注意書きを彼女に話題に出したところ、やはりこの展示の担当者は(雪舟が生きた)中世ではなく近世日本絵画が専門の方なのだとか。

 さきほどフォロワーとして上げた錚々たる画家たちの、雪舟の絵画の忠実な模写であったり、部分的な引用だったり、影響を受けた構図での作品であったりが数多く残されています。
 この展覧会ではそれらがずらっと並んでおり、それはそれは見ごたえ充分でした。ふう……。
「雪舟展ではない」「画聖の誕生」を取り上げているのだという展覧会の主題もとても明確で、これを担当された学芸員の方もすごく幸せなんじゃないかなーと思います。

 友人と言えば。
 鷲生の家族の仕事で知り合った方に、イタリア人の数学者の方がいます。
 この方がすっごい日本びいき。
 三島由紀夫や川端康成、紫式部の源氏物語にも造詣が深い日本マニアなのです。

 あるとき、私が「どうしてそんなに日本文化に興味を持つようになったのですか?」とお尋ねしてみたところ、「子どもの頃に、雪舟の絵を使ったカレンダーが家にあったからだ」とお返事されました。
 それに続いて「雪舟を知ったことが、僕が数学者になるきっかけだったのかもしれない」と。
 へえ、雪舟の絵と数学とに何の関係があるんだろう? と怪訝に思いましたが……。

 そう言えば、鷲生が高校生くらいのときに、ある文系の領域の有名人(誰か忘れましたが)が、数学の定義「線とは無数の点の集合である」という文章を知ったときに「とても美しい詩のように感じた」と述べているのを読んだことがあります。
 鷲生もその感覚がわかります。

 そこでイタリア人の数学者さんに、「数学の定義には詩のような美しさがある。雪舟の絵の美しさと数学にも共通点があるかもしれない。つまり、ミニマムな表現で、マキシマムな、無限のユニバース(宇宙)を描くというところが」と言ってみました。
 すると、彼は目を輝かせて「貴女と僕とは同じ物を別の角度から見ているのかもしれないね!」と言って下さいました。
 英語が得意ではない鷲生にしては、外国の方と中身のある会話ができたいい思い出です。

 さて。
 雪舟がイタリア人の心に訴えかける一方、雪舟は中国の明に三年ほど滞在しており、絵画の技法や、題材など中華な文化の影響も受けています。

 創作活動で中華ファンタジーを書く方にも、(その中華の世界が中国史のどの時代をモデルにするかにもよりますが)参考になるかもしれませんよ~。

 と。
 これだけ「良い展覧会なんですよ~」って煽っておきながら、この展覧会は京博だけでどこにも巡回しません。スミマセン……。
 首都圏の方など遠方の方はおいそれとお越しになれないかもしれませんが、もし会期中(5月26日まで)にどこか旅行に行く予定がおありでしたら、この展覧会のために京都を旅行先にされてもいいんじゃないかと思います。

 名古屋圏などギリギリ日帰りができる地域の方もぜひ。

 日本人として「雪舟の国宝6点を一ヵ所で見た」経験は一生の思い出になると鷲生は思います。
 鷲生が最も気に入ったのは「四季花鳥図屏風」の左の方、秋と冬の絵です(国宝ではなく重文だそうですが)。

 で。
 京都まで来てそこから京博へのルートですが。

 一般には京都駅から市バスと言われますが、京都在住の鷲生は「やめときなはれ」と断言します。
 激混みです。下手するとUSJなみの行列です(「最後尾はここ」「あと●時間●分」みたいな看板が出るそうです。Xで見ました)。

 鷲生が使っている移動手段は、地下鉄九条駅(京都駅から南へ一駅)までいき、そこから市バス208系統にのるものです(202、207系統でも「東山七条」で下りれば京博のすぐ裏に着きます)。混んでいなくて快適ですよ~。

 あるいはJR線で奈良方面に一駅の「東福寺駅」まで行き、そこで京阪電車に乗って七条駅に行くというルートもあります。

 なお、中華ファンタジーは書くけど今回の「雪舟伝説」展はムリ……という方。
 京都府立陶板名画の庭という施設(※3)には、澤端作「清明上河図」(
 台北故宮博物院蔵 35cm×1200cmの原寸を縦横2倍に拡大したもの)があります。
 ↑
 鷲生も中華ファンタジーを書くときに見に行きましたよ。
 安藤忠雄さんの設計です。
 京都府立なので入場料もたったの100円。
 鷲生がしょっちゅう行っている府立植物園(200円)と隣接しており、共通券を買うと300円のところが250円と50円お安くなりますw
 お時間のあるときにぜひ!

 *****

 ※1  京都国立博物館「雪舟伝説─『|画聖《カリスマ』』の誕生─」
 https://sesshu2024.exhn.jp/#part-intro

 ※2 京博の入口の看板の写真と、「※雪舟展ではありません」のスクショをXに投稿しております。
 https://twitter.com/washu72802210/status/1788501150821675460

 ※3 京都府立陶板名画の庭
 http://kyoto-toban-hp.or.jp/
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