5 / 10
個人活動
5話
第5話 個人活動という分岐点
分岐点は、
派手な出来事として現れない。
大きな衝突も、決定的な言葉もないまま、
ある日ふと、進む道が二つに見える。
個人活動の話は、
いつも業務連絡の延長で始まった。
新しい企画、別名義の仕事、単発の依頼。
断る理由も、避ける必要もなかった。
むしろ、自然だった。
同じチームで動きながら、
それぞれの得意な場所が、少しずつ違っていく。
私は文章に戻り、
彼は場をつくる側に深く入っていく。
以前なら、不安になっていたかもしれない。
「一緒にやらなくていいのか」
「距離ができるのではないか」
でも、今回は違った。
仕事の報告は淡々としている。
成果は共有するが、感情は預けない。
相談はしても、依存しない。
その距離感が、心地よかった。
分岐点に立っているとき、
人は選択を迫られると思いがちだ。
どちらかを選び、どちらかを捨てる、と。
でも実際は、
両方を選ばないという選択肢もある。
今は、それぞれの場所でやる。
同じ方向を見なくてもいい。
同じ速度でなくてもいい。
境界線があるから、
比較も競争も生まれない。
私は原稿に向かい、
彼は配信者企画の調整に追われる。
会話は減ったが、信頼は減らなかった。
むしろ、確認することが減った。
説明しなくても分かる範囲だけを、共有すればいい。
分岐点は、別れではない。
役割が変わる合図だ。
一緒にいることで守ってきたものを、
今度は、離れて守る。
鏡に映る自分は、
もう迷っていなかった。
選ばなかった道を悔やむより、
選んだ距離を信じる。
個人活動という分岐点は、
関係を壊す場所じゃない。
続け方を更新する場所だった。
私は静かに、次の原稿を開いた。
彼もまた、別の場所で次の準備をしている。
同じ線の上で、
違う方向を向きながら。
分岐点は、
派手な出来事として現れない。
大きな衝突も、決定的な言葉もないまま、
ある日ふと、進む道が二つに見える。
個人活動の話は、
いつも業務連絡の延長で始まった。
新しい企画、別名義の仕事、単発の依頼。
断る理由も、避ける必要もなかった。
むしろ、自然だった。
同じチームで動きながら、
それぞれの得意な場所が、少しずつ違っていく。
私は文章に戻り、
彼は場をつくる側に深く入っていく。
以前なら、不安になっていたかもしれない。
「一緒にやらなくていいのか」
「距離ができるのではないか」
でも、今回は違った。
仕事の報告は淡々としている。
成果は共有するが、感情は預けない。
相談はしても、依存しない。
その距離感が、心地よかった。
分岐点に立っているとき、
人は選択を迫られると思いがちだ。
どちらかを選び、どちらかを捨てる、と。
でも実際は、
両方を選ばないという選択肢もある。
今は、それぞれの場所でやる。
同じ方向を見なくてもいい。
同じ速度でなくてもいい。
境界線があるから、
比較も競争も生まれない。
私は原稿に向かい、
彼は配信者企画の調整に追われる。
会話は減ったが、信頼は減らなかった。
むしろ、確認することが減った。
説明しなくても分かる範囲だけを、共有すればいい。
分岐点は、別れではない。
役割が変わる合図だ。
一緒にいることで守ってきたものを、
今度は、離れて守る。
鏡に映る自分は、
もう迷っていなかった。
選ばなかった道を悔やむより、
選んだ距離を信じる。
個人活動という分岐点は、
関係を壊す場所じゃない。
続け方を更新する場所だった。
私は静かに、次の原稿を開いた。
彼もまた、別の場所で次の準備をしている。
同じ線の上で、
違う方向を向きながら。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。