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デジタルソルジャー〜Digital・soldier〜

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 X、SNSの前駆体だった。

 ある日突然、アメリカンコミックヒーローのように、変身したSNSに、橘 鞠奈(たちばな まりな 21歳)は困惑する。

 彼女は、新人歯科衛生士をしながら、インターネット媒体で文章でアクセス数やインプレッションや、PVですごい数値を叩き出す文章のインフルエンサーでもある。


  ある朝、ゲームの世界のようにテレビをハイジャックした世界の巨悪、エリート集団Gによって、世界のルールを変える、エリート集団以外はみんなメイドや召使いなど、雇用人になるという世界設定が発表。


 そしてこれは、1部の書き手、小説家にのみ、夢の中で告示され、誰も信じてくれるはずが無かった。


 テレビメディアをハイジャックされており、一般市民は、テレビの言うことしか、信じないという、ハードモードも設定された。


 まさに、ゲームの世界を、リアル、現実世界でされたのである。


 橘 鞠奈は、まず、仲間を集めることに。

 相方と呼ばれる、織木真々のペンネームで活動していた高校の同級生に連絡をした。


 沖 柊吾(おき しゅうご 21歳)である。

  「marinaで活動しているけど、おまえこれほぼ本名じゃないか!」

  出逢いは、教室の、掃除当番が被った日の放課後だった。


  「柊吾くん、なんでバレたの?」

   「配信アプリの、声劇のAIハウス作中で!
俺の本名つかってんじゃねぇよ!びびったわマジで」

  「あー。よくご存知で。え、まさか配信アプリの、声劇、境界線の彼方へも」


   「おまえ!ペンネーム館花琴音も、おまえなのか!」

   「あ、うん。そう。それも私なの」


     「おまえ!どうするんだよ!え?インボイス制度とかやってるの?」 

   「まあね。なんか売れちゃったから。本がね。趣味だけど」



  という、呑気な会話からだった。


   私達は、21歳にして、本業をしつつ、「作家」となり、飄々と一般市民をしていたのだった。


  「織木真々の本も売れたじゃない。境界線の彼方へアナザーワールドで」

   「ありがとうよ!!おまえだと思わないだろうが!!って、それで?俺になんの用だよ」



  「Xでね、インフルエンサーと本当に繋がれるじゃない?これは作家アカウントだから。拡散したいものがあるのよ」


  私がみせたのは、SNSの、政治系の記事のポストや、世界ルール改変のポストだった。



   「陰謀論だろ、これは」


     「まあ、そういうよね。でも夢の中で告示されてない?」

    「……おまえも見たのか」

      「そう。だから、まあ、なんというか巻き込んでいい?」

    「巻き込んでるんだよもう!!!同じ高校で絡みないのに、距離感の詰め方恐ろしいなおまえ」



    「時間が、無いの。手伝って」




  


 

──────────
  ハンドルネーム:五十嵐勉
(いがらしつとむ)男性
3万垢。
成人男性 年齢不詳
アイコン本人?
  医療系のリスクへのポスト(投稿)多め。
万垢。

  ハンドルネーム:ぱねら
年齢不詳
性別男性。
 館花琴音のガチフォロワー。
ことねぇを推してくれている書き手。
本業は公務員とかどうとか。


  ハンドルネーム:looking
1万5000垢。
 イラストアイコン
 政治系のポスト多め
インプレッション高め
  拡散力大。万垢。



  ハンドルネーム:ピオ@物申す5歳児
年齢不詳
 女性
  イラストレーター
世界ルールを変えることへの警告
ポスト多め
#ルール変えたら推し活終了
のYouTubeチャンネルの
動画のイラストレーターさん


   
  政治系ポスト多め
ハンドルネーム「柚子姫」
1万3000垢。
   3000台のいいねをたたき出す
 キャッチコピーや比喩が天才的に
上手い
   納得いかないものポストに論破していく



  ハンドルネーム:ふぁむ
  男性
 オタク系のポスト多め
 推し活していたが、世界ルール改変で
推し活時間をインターネットの拡散に
使い始める
  



  「ここに我々が入って、7人。
ほら7人の小人みたいでしょ」
 
   と無邪気に鞠奈が言いかけると

   「それ言うなら侍だろ!小人になってどうする、ばか!」


   頭を抱える沖 柊吾。

   「すごいインプレッションあるアカウントからフォローされてるな、おまえ……どしたこれ」


  「気づいたらフォローされていたよね。」


   「ごめん、もう聞かない。とりあえず、拡散していかなきゃいけないわけね。で?どうやって信じさせるの?」


   ・・・・・・・。



  「信じさせる?」


    「夢で告示されました、世界ルール変わります。メディアは嘘を、
言っていますといって、信じるならもう真実は伝わっているはずだよね?」


     沖の言葉に、しばらく、沈黙し、深呼吸を、2回したあと。


    「怒らせたらどうだろう?」


      おもむろに、鞠奈は、言った。

     「炎上させるの?それは逆効果じゃない?」



    「ひとは、自分に関係ないものを無意識で見ない。飛ばして読む。目に止まらないと意味が無い、ということは、見た人が目に止まる投稿をしないといけない、と思う」


    沖は、唾を飲み込んだ。

    「見た人を、怒らせる、のか。馬鹿にすんな!っていうコンプレックスを刺すのか」


    「流石、私の相棒。そう、無関心しかいないこの世界を、ひっくり返すには、もう。心を刺すしかない。ほんとに身体を刺したら犯罪だけど、私たちには文章という、心を突き刺せる武器があるでしょ?」



      「リスクもある。それでもやるのか?」



     「夜、discordを繋いで、パソコン画面も繋いで、SNSの舞台上で、逢おう、織木真々。着いて来てくれるんでしょ?」



      沖 柊吾には、彼女がいる。鞠奈は彼女じゃない。それでもここまで文章の世界で付き合わせているのは、お互いが崇高なライバルで、
     「戦友」だからだ。性別を超えた、仲間。


   「……俺が、おまえの文章のファンだって、わかっててやって来たんだろ?付き合うよ墓場までな。おまえは友達だからな」



     同じ空気を纏うのに、男女の関係には、ならない。文章でだけ、繋がるビジネスパートナーだ。


    背中を預けられる、唯一無二の、相棒と
   同じく文章で繋がったインフルエンサーたちと、デジタルの世界で、戦闘する。


   「デジタルソルジャー、か」

     インフルエンサーの誰かが、そんな単語をハッシュタグにしていた。


  #デジタルソルジャー
#Digitalsoldier
       世界に、拡散、しないと
   これは、日本だけの問題では無くなっていた。


──────────


   「いつも拡散ありがとうございます!」

    インプレッション5万、6万をたたき出し
和風の姫君のアイコンで、政界からニュース記事から、真実を引用RTしていく。


  「柚子姫」ゆずこひめ

   「夢、私も見ました。同じものをみていますね、7人とも」



    パソコン画面の前で、アイコンだけが表示され、画面の奥のリアルな本人の姿を見ることは出来ない。


    声と文章しかない、けれど

    同じ「目的」で集まったSNSのデジタルソルジャー、拡散したり、投稿して「文字で戦う戦士」たちだ。


   突然、乱入してきたアカウントがあった。


   「ことねええええ!なぜ俺を入れないんだッ」



    10万フォロワーをもつ、ハッシュタグ
たけうちーむ代表、たけやんだった。


      「た、たけやん?!」

      「鞠奈さん、この方は……?」


  「8人目、か。神推し8とか推しが8人いたこともあるけど。」


    「ひとは多い方がいいんじゃない?」

     沖の鶴の一声で、たけやんの追加が決まる。


   「世界から笑われている、馬鹿にされているというスタンスで拡散するしかない」

    五十嵐勉さんのダンディな声がした。


   「ルール改変の動画は、私がアニメーションにして、ルール変えたら推し活終了のYouTubeチャンネルで拡散します!そのままSNSに動画貼り付けてもいいですね。2分ちょいなら」


    イラストレーターから引退していた
ピオ@物申す5歳児さんは
    推し活の危機に、イラストレーターとして無償でイラストを提供してくれた。

    
     それで声劇の告知動画を作ったスキルを活かして、サクッとルール変えたら推し活終了の動画を作成し、ここにいるみんなに拡散を頼むと、とてつもないスピードで、いいねが300近く、インプレッションもついて

    インターネットの拡散には、成功した。


    問題は、テレビしか見ていない「メディア脳」の一般市民に浸透しないことである。


   「デモと、1人でも多く、目に触れるようトレンド入りさせるしかないね」


   推し活メインにしてきた、ふぁむが
  悔しそうな声を絞り出す。


   「私とぱねらくんで、ルール関係のポストを拡散するようにしよう」


    たけやんが、館花琴音のガチ勢同士でタッグを、組んだ。


     「仕事中は、拡散出来ないけど。あともしなにか間違えた拡散していたら教えて欲しい。」

     少し不安そうにぱねらは、呟いた。

    「わかった。なにかあれば私がフォロー入れる」


     ぱねら、たけやんは、鞠奈がフォローを入れる。


    lookingさんと五十嵐勉さんと柚子姫ちゃんは、拡散力が尋常ではないため、個々にピンで動いてもらうことに。



     沖は、ピオをフォローしつつ、サブ垢も動かすことになった。



   「失敗したら、わかっているとおもうけど、世界ルールが変わり、私たちのアカウントそのものが、消される危険性がある」


    沖が、全員に、覚悟を尋ねた。


   「まあ、ハンドルネームだから。そのときは消すしかない。そして、再集結できるか分からない、それでも、やるのか、ということだ」



    「ルールが変わったら、どのみち、地獄のような世界線に立つことになる。声劇、境界線の彼方へのように。表が裏で裏が表になる。それだけは避けないと。子供たちの未来が消える」



    一瞬、イヤホンに誰の声もしなくなった。



  「やるしかないんだろ?ことねってる。みんな。迷うな!たけやんが背中を守る!」



     10万フォロワーのたけやんの、声が

   全員の迷いを、吹き飛ばした。


    「文章で、戦おう。未来を守ろう!デジタルソルジャーとして」


     私達は、画面に切り替え、discordの音源を落とす


      ━━━━━━━━━━━━━━━

  どうか無事で。
   文字のSNSで奮闘し続ける。




     拡散力で、世界を、ひっくり返すために。








to be continue……。
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